"卓哉の母親"は、我が子より年上である目の前の拓也を…、"まだお漏らしする"という前提で叱りながら、よく正直に言えたねぇと、まるで幼い子供に言うような口調で褒め始めた。
…これによって、"拓也お兄ちゃんは、まだお漏らしをしている"という話の信憑性は増してしまい…、聞いている"卓哉"も、少しずつその話を真実だと思い込んでいくのであった。
「…た、拓也お兄ちゃん…。」
(…くぅぅ…っ。)
「…僕も…、夜のおトイレ、とっても怖いから…。よくお漏らししちゃって、お母さんに怒られるんだけど…、拓也お兄ちゃんも、同じだったんだね…?」
(…な…、何でこんな事になっちゃうのォォ〜っ!!?)
…拓也がお漏らしについて否定すれば、この"見せしめ"は破綻してしまう。
…そうなれば、"卓哉の母親"にきちんと"協力"しなかったという罪が重なり…、また昨日の"集会"のような目に遭わされてしまうかもしれない。
…拓也は、全てを受け入れるしか無い。
「…そうだね卓哉。…でも、"拓也お兄ちゃん"は、卓哉よりずっと大っきなお兄ちゃんだから…、お漏らしなんてしちゃったら、こうされるんだよ?」
言うと、卓哉の母親は右手を振り上げ…、ほぼ渾身の力をこめて、拓也の左の尻たぶへ打ち下ろした。
…バッチィィィィィ〜ンッ!!!!
「…痛っ…、だぁぁぁぁぁぁぁ〜っ!!?」
「…ほらぁ、拓也お兄ちゃんったら…、こんなに痛がっているでしょう?…あっ拓也君…、右側のお尻もだから、動かないでね〜?」
「…はぁっ、はぁっ…、おっ…、おばざ…、」
「…お漏らしなんてしちゃ〜…、駄目でしょう?」
…ピッシャァァァァァ〜ンッ!!!!
「…ぎゃあああああっ!!!?」
「…見なさい卓哉、…拓也お兄ちゃんのお尻…。お母さん、まだたったの2回しか叩いていないのに…、手の形に真っ赤になってるでしょう?」
「…ほ、ほんとだ…。拓也お兄ちゃんのお尻…、真っ赤っ赤だぁ…。」
「…拓也お兄ちゃんくらいの、大っきなお兄ちゃんがお漏らしするってね…、こういう事なのよ。…まだ卓哉は2年生だから、ちょっとだけのお尻ペンペンで済んでいるけど…、3年生や4年生になって、もし直らなかったら…、今の拓也お兄ちゃんみたいに、お尻痛〜くされちゃうわよ?」
「…ぼ、僕…っ、頑張っておトイレ行くもん…!!」
「…えぇ、そうねぇ?卓哉は良い子だねぇ?」
"卓哉の母親"による、"見せしめ"目的の拓也へのお尻ペンペンは…、叩く側としては概ね成功しており、あとはどの程度、拓也のお尻を叩いて終わりにするか…という問題だけであった。
(…お尻に真っ赤な手形を付けたら、痛そうに見えるわよね…?…ごめんね拓也君、とっても痛かったと思うけど…、家の卓哉にばれちゃったら、拓也君の頑張りも台無しになっちゃうから…。)
…卓哉の母親は、昨日の"集会"で見た、学の母親による痛々しい"モミジ"を参考にして…、敢えて普段は絶対にしないほど思いきり、拓也のお尻を2回叩き…、くっきりと手形を残したのだ。
…これならば、残りは多少手加減して叩いても…、手形のインパクトに震え上がっている息子の卓哉は騙されてくれるはず…。
(…本当にごめんね拓也君…、後でちゃんと、お礼を言うからね…。)
…内心はそんな風に思いながらも、卓哉の母親は"見せしめ"のため…、いま自分に出来ることを全力でやろうとしている。
「…拓也君は、随分大っきなお兄ちゃんなのに…、家の卓哉と一緒で、ちゃんとおトイレでオシッコが出来ないのねぇ?」
…ピッシャアアアッ!!!
「…あああっ!?」
「…おばさん手伝ってあげよっか?…今からおトイレまでついて行って…、シーシー、ってやってあげよっか?小っちゃい子にするみたいに…。」
…ピッシィィィィッ!!!
「…痛っだぁぁぁっ!!?」
「…それと拓也君、よくお庭でもしちゃうんですって?…お庭は、オシッコをしても良い所ですか?」
…バチィィィィィンッ!!!
「…ひぎぃぃぃぃ〜っ!!?」
「…答えなさい、拓也君。…お庭は、オシッコをしても良い所なの?」
…パァァァァァ〜ンッ!!!
「…くぅぅぅぅ〜っ!!?…ダ、ダメな所ですぅぅ〜っ!!?」
「…そうよね?…それじゃ…、もう大っきなお兄ちゃんの拓也君は…、これからはどこでオシッコをしたら良いのかな?」
…バッチィィィィ〜ンッ!!!
「…痛だぁぁいっ!!?…ト、トイレで、ちゃんと…!!?」
「…うん、そうだねぇ…?…大っきなお兄ちゃんの拓也君は、もう1人で、ちゃんとおトイレ出来るんだもんねぇ〜?」
(…こ、これ…っ、昨日の"ままごと"の時よりも…、もっと恥ずかしいよぉぉ〜っ!!?)
…その場に居た全員が、"演技"だとわかってやっていた、昨日の"ままごと"とは違い…、隣で見ている"2年生の卓哉"は、"拓也お兄ちゃん"が本当にお漏らしをするのだと信じ込んでいる…。
…さらに、自分の母親が"痛〜いお尻ペンペンを頼まれた"という話も…、2年生の卓哉は普段から母親の手でお尻ペンペンされる事など日常茶飯事のため、疑問すら抱いていなかった。
(…た、拓也お兄ちゃんも…、お漏らししたり、お庭でオシッコをしたら…、あんな風に痛〜いお尻ペンペンされちゃうんだ…!?)
…自分が拓也ぐらいの年齢になれば、母親からのお尻ペンペンは自然と無くなると思っていた"卓哉"は…、目の前の光景にショックを受けている。
…しかし同時に、"拓也お兄ちゃんでもまだお漏らしする"という仲間意識のような安心感が、拓也との距離をより近付けていた。
(…拓也お兄ちゃん…、お尻真っ赤で可哀想だな…。)
「…拓也君っ、"寝る前にはちゃんと、おトイレに行きます"…、はいっ、おばさんに続けて言って?」
「…ねっ、寝る前にちゃんと…、おトイレ行きます…。」
…バッチィィィィィンッ!!!
「…ぎゃああっ!!?」
「…"お漏らしをしたら、すぐにお母さんに正直に言います"…、はいっ?」
「…お…っ、…お漏らしを…、したら……、」
…ピッシャァァァァ〜ンッ!!!
「…ああああああ〜っ!!!?」
「…声が小さいですよ〜?…はいっ、もう1回?」
「…おっ、お漏らしを…、しだら…、お母ざんに、正直に言いまずぅぅ〜っ…!!!?」
「…はい、宜しい。…じゃあ次…、"怖くておトイレに入れない時は、お母さんを呼びます"……、」
…"卓哉の母親"は、拓也にとって"恥ずかしい言葉"を何度も大きな声で復唱させながら…、そのたび、かなり強めに拓也のお尻を叩く。
…バッチィィィィィンッ!!!
「…痛だぁいっ!!?…ぐずっ…、…ぐずっ…!!」
…それはまるで…、勇太の母親である奈津子を思わせるようなお仕置きであり…、隣にいる息子の卓哉は、見ているだけで思わず自分のお尻を押さえてしまう。
(…ぼ、僕も…、…拓也お兄ちゃんぐらい大きくなったら、こんな風にされちゃうの…!?)
ガタガタと怯え始める"2年生の卓哉"。
…それを見て"卓哉の母親"は、どうやら効き目があったみたいで良かった…、とひとまず安堵するのだった。