(…いっそ、拓也君が本当に家の子だったら…。ふふっ…、"ちょっと来なさい、タクヤッ!"…なんて大声で叱ったら、2人で一緒に青い顔して出てくるのかしら…?)
"お漏らし"した拓也をシャワーで洗いながら、しばし妄想に耽る"卓哉の母親"。
「…おっ、おばさん…?」
「…あっ!…ご、ごめんね拓也君っ!?シャワー熱かった!?」
「…えっ、ううん…?そうじゃないけど…。」
…さっきからずっと、同じところ流してる気がするから…。
"卓哉の母親"は…、拓也を愛おしく思うあまり、つい自分の息子である卓哉と本当の兄弟だったらと妄想してしまい、完全に洗う手が止まっていた。
「…ほっ、本当にごめんなさい拓也君っ!」
「…い、いや…、そこまでのことじゃ…。」
「…おばさんね、拓也君が"協力"してくれたことがすっごく嬉しくって…、拓也君が本当におばさん家の子供だったらな〜って考えていたの…。」
「…えっ…?」
…その言葉は、言われた拓也も本心から嬉しかった。
「…ぼ、僕も…、こんな優しいお母さんが居てくれたらな〜って、思ってる…。」
「あらぁ〜、拓也君ったら、嬉しいこと言ってくれるわね〜?…でも良いの?…悪戯をしたら、こ〜んなに真っ赤になるまでお尻を叩く…、とっても怖〜いお母さんよ〜?」
「…うっ…。」
拓也はまだ全裸なので、パンパンに赤く腫れたお尻を曝したままだ。
…その状態のお尻を軽くペチペチと叩かれて、恥ずかしさが再燃する。
「…でっ、でも…、優しいのは本当だし…。」
「…ありがとう、拓也君…。…おばさん今日からは、何があっても拓也君の味方だからね…。」
そう言って拓也に最大限の感謝を伝える、"卓哉の母親"。
…"10人の母親達"の1人がコッソリ味方についてくれるのならば、拓也にとってこれほど心強いことは無い。
(…や、やったぁ〜…!…お尻は痛いけど…、今日ここに来て本当に良かったぁ…!!)
…思わぬ形で"味方"を得られたことに、歓喜する拓也。
…道中、"2年生の卓哉"の目の前でお尻ペンペンされるのはさすがに恥ずかしすぎると、来るのを躊躇ったりもしたが…、結果的に見れば、来て良かったと思えた。
「…それじゃ、おばさんもこの後でシャワー浴びるから…、拓也君、先に出ていて貰える?バスタオル、出てすぐ足元のカゴに入ってるから。」
「…あ…っ、は…、はいっ。」
浴室から脱衣スペースへと先に出て、目の前にあったカゴを覗いた拓也は…、何枚か畳んだ状態で重なっているバスタオルを見て、あることに気付く。
(…こっ…、このタオル全部…、さっきおばさんが言ってた、"お漏らし用タオル"だ…っ!)
先程、"2年生の卓哉の母親"からお尻ペンペンされている最中に…、拓也は"お漏らし"をしてしまい、息子の卓哉に指示を出して大きなバスタオルを持ってこさせていた。
…カゴの中にあるタオルは、全てそのバスタオルと同じ種類に見える。
(…うぅ…っ、…ってことはやっぱり…、低学年の子が、普段"お漏らし"した時に使ってるやつ…。)
…意識してしまい、急に恥ずかしくなってくる。
「拓也君、タオルわかった〜?」
「…あっ!?…は、はいぃっ!」
「ちゃんとフキフキして、良い子で待っててね〜?おばさんも軽くシャワー浴びたら、すぐに出るから〜。」
「…わっ、わかり…ましたぁ…!!」
浴室から響くその声に、拓也は焦りながら返事をして、慌てて"お漏らし用タオル"を手に取った。
…拓也の裸を見るのは平気でも、さすがに目の前で服を脱ぎ始めるのは教育に悪いと思ったのだろう。
拓也もそれを察して、大急ぎで髪や身体の水滴を拭い、"卓哉の母親"の着替えられる場所を早く作ろうと廊下に出る。
「おばさん、もう良いよ〜!」
「…は〜い、ありがとう〜!」
…今からおばさんが着替えるんだという状況に少しドキドキしながらも…、拓也はすぐにその場を離れようと考えた。
…この時点で、"お漏らし用タオル"は手に持ったままだ。
(…ふぅ…。どうにか終わったけど…、"演技"だったことは卓哉君にバレないようにしないといけないな…。)
…拓也は…、ある意味で"油断"していた。
…まさか、このタイミングで音もなく家の中に入ってくる人物が居ようなどとは…。
「…?」
「…あっ、ゴメン卓哉君。さっきは拭いてくれてありが───、」
廊下の暗がりで、ほんの一瞬わからなかった。
…"2年生の卓哉"では…ない。
「…えっ…!?…だっ、誰っ!?」
「…え、お兄さんこそ…、誰…っ?」
ここ、卓哉君のお家だよ…っ!?
…背丈こそ"2年生の卓哉"と似ているが…、眼鏡をかけた、いかにも真面目そうな少年がそこに立っていた。
…もちろん拓也はまったく知らない人物だ。