※この作品はR-18です。

ふしぎな気遣い   作:佐田トレコ

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拓也と卓哉18

(…な…っ、何でこんな子が家の中に居るのぉ…っ!?…い、いや…っ、今はそれより…っ!!)

 

拓也は素早く脳をフル回転させ、ひとまず"お漏らし用タオル"で素早く下半身を隠す。

…この場合、前はどうでもいい…。

…後ろが大問題なのだ。

…小さな子供とはいえ、お尻が真っ赤に腫れていることを第三者に見られるのは絶対にマズい…。

…しかし時は…、既に遅かった。

 

「…お、お兄さん…。」

「…ん?」

「…どうして、お尻が真っ赤っかに腫れてるの…?」

 

(…みっ、見られてるぅぅぅ〜っ!!!?)

 

…さすがの拓也も、この状況でお尻がパンパンに腫れていることを誤魔化す言い訳など思いつかない。

…そこへ…、新たな火種がトコトコとやって来た。

 

「…あっ、拓也お兄ちゃん…!?」

「…あ…っ、卓哉君…、この裸のお兄さんって、誰なの…?」

「…えっ、えぇ〜っと……!?」

 

…拓也と卓哉と…、謎の少年。

拓也にとっては、"地獄の3すくみ"状態が完成してしまったわけだが…、絶体絶命すぎる大ピンチに、すっかり頭が混乱している。

 

(…ど、どうしたら良いのぉ…っ!?…お尻が赤いのはもうバレてるし…、卓哉君は"演技"のことも全く知らないから…、僕が本当に"お漏らしを治すためのお尻ペンペン"を受けたと思っているはずだし…!?)

 

わかりやすく動揺する拓也を見て、"2年生の卓哉"がある提案を始めた。

 

「…拓也お兄ちゃん…、と、とりあえず…、向こうにある部屋で話そっ?」

「…えっ?」

「…ほら、ここだとお母さんに聞かれちゃうから…。」

 

"演技"だったことを知らない"2年生の卓哉"は…、これ以上、自分の母親によって"拓也お兄ちゃん"がお尻を叩かれないようにと気を遣い、風呂場から離れるよう促す。

 

(…ちょっ、ちょっと待ってぇ〜…!!?)

 

…しかしそれは…、暗い廊下から明るい部屋に出てしまうということであり…、ただ1人、お尻をパンパンに赤く腫らし、"お漏らし用タオル"を腰に巻いた格好で…、低学年2人の視線を感じながら拓也は、ほぼ全裸で明るい部屋に入っていく。

 

(…うっ、うぅ…、何でこんなことにぃ〜…っ!?)

 

「…拓也お兄ちゃん、ドア閉めて?」

「…う、うん…。」

「…この部屋なら大丈夫だよ。お母さんには聞こえないから…。」

 

そもそもが"演技"なので、"卓哉の母親"の耳を遠ざける必要など無いのだが…、拓也は黙っていた。

 

 

 

「…たっ、卓哉君…、本当にこのお兄さん、誰なの…?僕にも説明してよ…。」

「…あっ、秋仁君…、あのね…、え〜っとぉ…。」

 

秋仁君、と呼ばれたその少年は、どうやら卓哉の友達らしい。

…必死に誤魔化そうとする"2年生の卓哉"だが…、まったく何も思いつかず、…しかし拓也を庇おうと、とんでもない事を言ってしまう。

 

「…た、拓也お兄ちゃん…、安心してねっ!?…僕、絶対に言わないからっ!!」

「…たっ、卓哉君…。」

「…"お漏らし"のことも、"お尻ペンペン"のことも…、絶対に秘密にするからねっ!?」

「…卓哉くぅんっ!?」

「…あっ…。」

 

"2年生の卓哉"には、本当に悪気など無かった。

ただ純粋に…、"拓也お兄ちゃん"を守りたいと考えて…、その結果の大失態だ。

 

「…たっ、たぐやおにいぢゃぁ〜ん…、ぐずっ…。」

「…いや、いいよ…、どうせバレちゃう感じだったし…、秋仁君にも"協力"してもらおう…?」

「…う、うん…、ぐずっ…!」

「…あ、あのぅ〜。」

 

秋仁が申し訳無さそうに手を挙げながら、さらりと言う。

 

「…言いづらいんですけど…、今ので全部わかっちゃいました…。…お兄さんが卓哉君の家で"お漏らし"をして、卓哉君のお母さんから"お尻ペンペン"されたんですよね…?」

「…う…。」

 

…厳密には、"お尻ペンペン"されている途中での"お漏らし"なのだが…、仮にそこを訂正したとしても、拓也の尊厳は一切回復しない。

…余計な口は挟まない方が良さそうだ。

 

「…う、うん…、そうなんだ…。我慢してたんだけど、つい出ちゃって…。」

「…それで、そんなに真っ赤になるまで…?」

「…う、うん…。」

 

秋仁は少し怪訝な目で、拓也のお尻の赤みを見る。

…タオルでほとんど隠れているが…、先ほどモロに見られてしまったようなので、もはや隠す意味など無い。

 

「…"お漏らし"をしたからって、上級生のお兄さんのお尻を、こんなになるまで…?…う〜ん…。」

「…な、何か変…?」

「…いや…、"卓哉君のお母さん"って、もっとこう…、優しいというか、ほとんど怒らない人だったような…。」

 

この発言には、"2年生の卓哉"が反論する。

 

「…それは違うよ、秋仁君っ!…僕なんか、しょっちゅうお尻ペンペンされてるもんっ!!」

「…う、うん…、それも知ってるけど…、卓哉君の時って、もう少し軽いよね…?」

「…う…?」

 

 

 

…どうやら秋仁は、"母親にお尻ペンペンされる卓哉"を何度も見ているらしく…、こんなにお尻が赤くなっていたことは一度もなかった、と断言する。

 

「…そ、それは…、拓也お兄ちゃんが、僕たちより年上だから…。」

「…でもさ…、卓哉君のお母さんだよ?…いつもめっちゃ優しいじゃん。…お漏らししたぐらいで、こんなになるまで叩く…?」

「…う…。」

 

…何だか雲行きが怪しい。

秋仁は、拓也のお尻があまりにも腫れていることに違和感を覚えているようだ。

…あの優しいおばさんが、そんなことをするはずがないと。

 

(…まっ、まずいな…、このまま秋仁君って子に疑問を持たれちゃったら、おばさんと"演技"していることがバレるかも…?)

 

そう判断した拓也は、どう説明するべきか少し迷ったが…、演技の"設定"を活かすことに決めた。

 

「…あ、秋仁君…だっけ?ちょっと聞いてくれる?」

「…?…はい。」

「…今日、おばさんが僕のお尻を叩いたのは…、僕のお母さんに頼まれたからなんだ。」

「…え…、お兄さんの、お母さん?」

「…うん。…僕もしょっちゅう、家でお尻ペンペンされてて…、それでも全然懲りないから、今日は卓哉君のお母さんにも叩いてもらって来なさい!…って…。」

「…す、すっごい怖いんですね…、お兄さんのお母さん…。」

「…うん。…だから、敢えてお尻を赤くしてくれたんだと思う。…色が変わってなかったら、怒られた証拠が無いって、帰ってまた怒られちゃうから…。」

「…なるほど…。」

 

拓也のとっさの説明で、秋仁もどうやら腑に落ちた様子だ。

 

「…おばさん、とっても優しいから…、頼まれたら断れなかったんだと思う。…そもそも怒られるような事をしたのは僕だから、自業自得なんだけどね?」

「…お、お兄さん…、そんなにお尻腫れてるのに、もう痛くないの?」

「…あはは…、そりゃあ、ちょっとは痛いけど…、慣れてるから。」

「…すっ、すごいや…。」

 

…本当は、まだお尻がジンジンして仕方のない拓也だが…、"母親からしょっちゅう叩かれている"という話に信憑性をもたせるために、痩せ我慢をして笑い飛ばす。

 

「…そっ…、そうだよっ!拓也お兄ちゃんはすごいんだからっ!」

「…うっ、うん…、あの…、お兄さん…っ!?」

 

秋仁が拓也の顔を見る。

 

「…お兄さんに…、ちょっと…、"相談"っていうか…、聞いてもらっていいですか…?」

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