「…え…っ!?」
遥香の言葉を聞いて、母親は驚きの表情になる。
「…はっ、遥香…、何を言っているの…?…だってさっきあなた…、拓也君の姿を見て、普通に驚いていたじゃないの。」
「…そっ、それは…。」
「…それに…、知ってたから全くの同罪っていうのも少し…、無理があると思わない…?」
「…うっ、うぅ…。」
「…まったく…、嘘をつくのがヘタなお姉ちゃんね…?」
嘘が…、ヘタ…?
…本当に、そうなのだろうか?
…だって、遥香ちゃんはついさっき、僕に───、
(…拓也君、今だよ。)
…遥香が、拓也の方へ何度も視線を送ってくる。
…拓也も、自分が何を求められているかは何となく察していた。
「…お、おばさん…。」
「…ん?どうしたの、拓也君。」
「…ぼっ、僕も…、最初から全部知ってたって言うか…、"共犯"、みたいな…?」
…"遥香の母親"はそれを聞いて、目をぱちくりさせたあと…、額に手を当てながら、大きくため息をついた。
「…はぁ〜っ…、あなた達2人には負けるわぁ〜…。…じゃあ2人とも…、"最初から知ってた"って言いたいわけね?」
「…うっ…、うんっ!」
「…知って…、ました…。」
「…どう考えても、そんな事は無いと思うけれど…。…わかりました。…それじゃ、"悪〜いお兄ちゃんとお姉ちゃん"にも…、"痛〜いお仕置き"をしなきゃいけないわねぇ〜?」
「…うっ、うん…。」
「…お、おばさん…、ごめんなさい…。」
遥香と拓也の白々しい"謝罪"に呆れながらも…、"遥香の母親"は、3人に対して処罰を言い渡す。
「…3人とも、そこに並んで手をついて、四つんばいになりなさい。…3人仲良く、お尻を真っ赤っ赤にしてあげる。」
「…お、お母さん…っ。」
「…ただし、秋仁はいつも通り60発。…遥香と拓也君で、半分この30発ずつね?…あんまり甘やかすと秋仁のためにならないから…、これ以上はもう譲りません。」
「…う、うん…。お母さんっ、ありがとう…っ!」
…今から自分も巻き添えで、母親から剥き出しのお尻をぶたれてしまうというのに…、その母親にお礼まで言う遥香。
…そんな遥香を見て拓也は、本当に"優しいお姉ちゃん"だなぁと感心するのだった。
(…ぼ、僕も一緒に叩かれることにはなっちゃったけど…、30回ぐらいなら、秋仁君に押し付けるよりは気が楽だよね…?)
…遥香と拓也も合意の上で、"遥香の母親"からお尻ペンペンされる…。
…もちろん、教室で隣の席の女子である遥香の家で、まさかそんな目に遭うとは思っていなかった拓也だが…、秋仁を助けると言った以上、応じないわけにもいかない。
(…そ、それにしても…、3人で一緒にお尻を出して、四つんばいで並べだなんて…。)
…拓也は、"遥香の母親"からお尻ペンペンされてしまうことよりも…、普段は隣の席である遥香と、その弟と3人横並びで四つんばいになり、一緒にお尻を突き出しなさい…、という恥ずかしすぎる命令に耐えかねていた。
(…うっ、うぅ〜っ…!?…1対1でお尻ペンペンされるのも恥ずかしいけど…、よりによって、遥香ちゃんの真横で一緒にお尻を出すなんて…っ!?)
…綾子の時のように、異性のお尻を直接見るわけではないが…、やはり、猛烈に恥ずかしくなってしまう拓也。
…しかし、そんな拓也とは違い…、遥香は"お姉ちゃんらしく"、冷静に2人に指示を飛ばす。
「…拓也君は、私の左隣に居てくれる?…私が真ん中で…、秋仁は私の右側ね?」
「…えっ?…う、うん…。」
(…い、意識してるのって、僕だけ…?…遥香ちゃんは、僕の隣でお尻を出すぐらい、全然恥ずかしくないのかなぁ…?)
…自分が"気にしすぎ"だったと反省する拓也。
…しかしそうは言っても…、同じクラスの女子と横並びになり、四つんばいでお尻を出すというのは、恥ずかしすぎる…。
…さらに、お尻ペンペンするのはその女子の母親であり…、いくら拓也が"2度目"であっても、平常心でいられるはずが無い。
「…さぁ〜っ、誰からお尻真っ赤っ赤になる…?」
"遥香の母親"はそう言って、四つんばいの3人の背中に問う。
…背後からそんな声が聞こえてきた拓也は…、やはり自分が先に行くべきだろうと、名乗り出ようとした。
…しかし──、
「…お母さん、まず最初に私のお尻をぶってくれる?」
「…は、遥香ちゃんっ!?」
「…ごめんね拓也君、巻き込んじゃって…。…私が最初に罰を受けるから、隣で待ってて?」
「…う、うん…。」
…じつは拓也は、先ほど"身代わり"の話を聞いて…、ほんの少し、心のどこかで…、遥香が、自分だけ罰を受けないよう"ズルをする可能性"を疑っていた。
…だが、目の前の遥香は…、逃げるどころか、自分を先に叩いてくれと、身を挺して主張している。