「…反省しなさいっ、遥香っ!」
…ピッシャァァァァァ〜ンッ!!!
「…あひぃぃぃぃ〜っ!?…ご、ごめんなさいお母さぁ〜ん…っ!!」
「…ダメっ!」
…バチィィィィィンッ!!!
「…きゃあああっ!?」
「…あなたがいつもいつも甘やかすから…、秋仁も、善い事と悪い事の区別が出来なくなってきてるのよっ!?」
「…だ…っ、だってぇ…。」
「…今のは少〜しだけ、お母さんの本音です。」
…ピシャァァァァァァッ!!!!
「…痛ったぁぁぁぁ〜いっ!!?」
「…とっても痛いでしょう?…このままずっと甘やかし続けていたら…、秋仁もず〜っとこんな目に遭っちゃうわよ?」
「…うぅ…っ。」
…どうやら"遥香の母親"は…、今回、遥香の企んだ"弟の罰を半分庇う計画"よりも…、遥香が日頃から、"弟に甘すぎる"ことを叱っている様子だ。
…拓也には、姉弟の仲が良くて何が問題なのかは全くピンと来ないが…、母親が怒るほどである。
…よほど常軌を逸しているのかもしれない。
「…今回のことだって…、拓也君まで巻き込んで、この子はっ!!」
…パァァァァァァァ〜ンッ!!!
「…ひぃぃぃぃっ!?…そ、それ…、は…っ。」
「…遥香1人でこんなこと頼んでも、お母さんが聞いてくれないと思ったんでしょう?…だから、拓也君を無理に巻き込んだ。…違う?」
「…。」
「…あら、お返事が出来ないの遥香は?」
…バッチィィィィィィィ〜ンッ!!!!
「…きゃああああああ〜っ!!?」
「…秋仁を助けたいからって、同じクラスのお友達まで巻き込んで…っ!!…お母さん、遥香をそんなイケナイ子に育てた覚えはありませんよっ!?」
…ピッシャァァァァァァンッ!!!!
「…ひいぃっ!!?…ひぃぃぃぃぃ〜っ!!?」
…パァァァァァァンッ、…バチィィィィィィィッ!!!!
「…嫌ぁぁぁぁぁぁ〜っ!!?」
…半分は"演技"の、"たった30回のお尻ペンペン"だったはずが…、遥香はもう、完全に母親から"お仕置き"されている…。
そのすぐ隣で、四つんばいの姿勢でお尻を突き出している拓也は…、これが済んだら、次は自分なのだとガタガタ震えていた。
(…ううっ…、さ…、30回だけならと思って…、簡単に引き受けちゃったけど…。…おばさん、"集会"の時より更に、お尻ペンペン強くなってない…!?)
…遥香は泣いてこそいないが…、直接見なくてもわかる。
これほど強く叩かれ続けたら…、遥香のお尻はもう、"母親の手形"で埋め尽くされているはずだ。
すぐ隣で四つんばいにさせられている拓也には…、遥香が痛みに耐えきれず、小刻みにプルプル震えているのが伝わってくる。
(…はっ、遥香ちゃん…!!…頑張って…、あと少しだよ…っ!?)
…心の中で、そう応援するくらいしか出来ない拓也は…、自分がもうすぐ同じ目に遭わされることも忘れて、遥香を気にかけていた。
(…うぅ…、こんなに痛い思いをしてまで、弟を庇ってあげるだなんて…。やっぱり、遥香ちゃんは優しいよ…。)
…もはや、"弟を身代わりにする"という話など…、微塵も信じていない拓也。
…ただ…、遥香のことを心配して、少し長く見つめていると…、2人のやり取りに少し"違和感"を覚えた。
(…んん…?)
「…本当にこの子はっ!!…いつもいつも秋仁を甘やかしてぇっ!!」
…ピッシャァァァァァッ!!!
「…ああんっ!!?…お母さん、痛いぃ〜っ!!?」
「…当たり前ですっ!…秋仁と並んでお尻叩かれるの、これで何度目だと思ってるのっ!?」
…バッチィィィィィィンッ!!!!
「…ひぃぃぃぃぃ〜っ!!?…ゆ、許してぇぇぇ…っ。」
(…な、"何度目"って事は…、今日みたいに、秋仁君と並んで四つんばいになるの、遥香ちゃんは初めてじゃないんだ…?)
ドクン。
…何だ…?この感じ…。
…何だか、触れてはいけない事実が、目の前に突然現れたような…?
…パァァァァァァ〜ンッ!!!
「…ああ〜ん、ごめんなさいぃぃ〜っ!!?」
…何かが、ずっと引っかかる。
…遥香ちゃんは、今まで何度もこうやって秋仁君を庇って、一緒に並んでお尻を叩かれていたのか…?
…だとしたら、弟の秋仁君が言う、"ほとんどお姉ちゃんの身代わりでお尻を叩かれる"とは…?
…ピッシャァァァァァンッ!!!
「…ひぃぃぃぃぃ〜っ!!?」
(…で、でも…、遥香ちゃん、こんなに痛がっているし…、もし本当に"身代わり"にするつもりなら、普通、自分が叩かれずに済む方法を選ぶよね…?)
…今回、姉の遥香が横から口を挟まなければ、弟の秋仁は"お尻ペンペン120発"の罰を受けていただろう。
…秋仁の言うような、冷酷なお姉ちゃんとはどうしても思えない。
…むしろ、真逆の行動である。
「…はい遥香、あと3発だから…、頑張って耐えなさい。」
「…はぁっ、…はぁっ…、…は、はぃぃ…っ。」
「…いくわよ?」
…そう言って"遥香の母親"は、再び腕を振り上げる。
…ピッシャァァァァァァァ〜ンッ!!!!
「…あああああぁ〜っ!!!?」
「…あと2発。」
…バッチィィィィィィィ〜ン!!!!
「…きゃああああああ〜っ!!!?」
「…はい、痛かったね。…最後の1発よ?」
…パァァァァァァァァンッ!!!!!
「…ひぃぃぃぃぃぃぃ〜っ!!!?…ひっ、…ひっ、…ひっ…!!!」
「…はいっ、お姉ちゃんの分おわり…。いつもより強く叩いたから、痛かったでしょう?」
「…つっ、強くしすぎだよお母さん…っ、あ痛たたた…っ。…も、もう…、泣きそうだもん…。」
「…それくらいしないと懲りないからでしょう?遥香も秋仁も、本当にもう…。…ほら、まだ拓也君と秋仁にもお尻ペンペンしなきゃいけないんだから、遥香はお尻を突き出したままで待機ね?」
「…あ…っ。」
…遥香の家のルールとして、こうして複数人で一緒にお尻ペンペンされる場合…、自分が罰を受け終えても、全員が同じように叩かれ終わるまでは、ずっと四つんばいで待機しなければいけないようだ…。
…もちろん、普段は遥香と秋仁の2人だけに課せられているルールだろうが、今回は、そこに拓也が混じっている。
(…うぅっ…、ま…、真ん中に居る遥香ちゃんだけは、もうお尻が真っ赤に腫れてるんだよね…。)
四つんばいで横並びになっている拓也には、遥香のお尻が直接見えている訳ではないが…、遥香はたった今、お尻をきつく叩かれたばかりで…、はぁはぁ肩で息をしており、額に汗もかいている。
…ピッタリと隣で四つんばいになっている拓也には、その全てを感じとることが出来てしまう…。
(…つっ、次ってやっぱり、僕の番なのかなぁ…?…"集会"のこともあるし、おばさんが手加減してくれるとは思えないけど…。)
…30発とはいえ、すぐ隣で遥香があれほど痛がっている姿を見せられて…、拓也は正直、今すぐにでも逃げ出したかった。
(…でっ、でも…、2年生の秋仁君が60発もぶたれるなら…、上級生の僕が、今さら逃げるわけにはいかないよ…!?)