「…あ~あ、結構叱られちゃったね…?」
「…うっ、うん…。」
…"遥香の母親"から3人一緒にお尻を叩かれ…、遥香や秋仁と共に子供部屋に足を踏み入れた拓也は…、先程までとはまた違う、"気まずさ"を感じていた。
(…う、うぅ…っ!?…遥香ちゃんのお母さんから3人一緒に"お仕置き"されて…、このあと何を喋れば…!?)
…まだお尻はジンジン、ヒリヒリと痛む…。
…それは目の前にいる遥香や秋仁も同じはずで…、たった今、"お仕置きのお尻ペンペン"が終わったばかりのこの状況で…、普段通りに会話をしろというのが無理な話だ。
…沈黙が気まずいのは遥香も同じだったのか、思いだしたように、弟の秋仁に話しかける。
「…秋仁も、お尻大丈夫…?」
「…ぐずっ…、…いだい…。」
「…お姉ちゃんに、見せて…?」
「……うん…。」
(…えっ…!?)
…なんと秋仁は、素直に再びズボンと下着を下ろし…、くるりと後ろを向くと、遥香に腫れたお尻がよく見えるように、ほんの少しつき出す姿勢をとった。
「…う~ん…、やっぱり結構赤くなってるね…?…痛いの痛いの、飛んでけぇ~。」
…ピシャッ。
「…うっ!」
「…じゃあ秋仁、反対側のお尻もよ~?…痛いの痛いの、飛んでけぇ~っ。」
…ピシィッ!
「…うぅっ!?…お、お姉ちゃん…、痛いよぉ~っ!?」
「…いつもより赤くなってるから、おまじないも強めにしたの。…ほらっ、もうあまり痛くないでしょう?」
「…えっ…?…そ、そういえば…!?」
…"母親のお仕置き"が終わった後の恒例行事なのか…、遥香は、秋仁の生のお尻を軽めに2発叩き…、「もう痛くないでしょう?」と口にした。
…思い込みにより、本当に効果があるのか…、秋仁はあっさりと泣き止んでいた。
(…すっ、すごいよ…、遥香ちゃん、秋仁君の扱いに完全に慣れてる…。)
一連のやり取りを見ていた拓也が感服してしまうほど、本当に仲の良い姉弟に思えた。
「…拓也君も、"おまじない"する?」
「…えっ!?…い、いやいやいやっ…、ぼっ、僕はいいよっ…!?」
「…そう?…効くと思うんだけどな~…。…ほら、秋仁はもうお尻しまって?」
…言いながら、秋仁がズボンを上げ直すのも手伝ってやる遥香。
…さすがの拓也も、遥香に腫れたお尻を見せて"恥ずかし過ぎるおまじない"を頼むような事など出来ない。
(…って言うか遥香ちゃん…、さらっと今の"おまじない"を、僕にもやるつもりだったの…!!?)
…本当の弟である秋仁ならば…、百歩譲って、姉弟間のコミュニケーションで済むかもしれないが…、今日初めて家に来ただけのクラスメイトである拓也に、腫れたお尻を差し出すように提案するというのは…、普段の物静かな遥香では、絶対にあり得ないことだ。
…今は"2人きり"でもなく、秋仁を含めて3人居るはずなのだが…、遥香は拓也に対し、まだ"弟遊び"を続けているように思える。
「…うふふっ…、まぁ…、無理にとは言わないわ?…拓也君は、秋仁よりもお兄ちゃんだから…、"おまじない"無しでも我慢できるのよね?」
「…う、うん…。」
「…ほら秋仁、痛いの痛いの、飛んでけ~…。…痛いの痛いの、飛んでけぇ~っ…。」
…言いながら、今度はズボンの上からぽんぽんと、秋仁のお尻を軽く叩く遥香。
左腕で秋仁にハグをしながら…、後ろへ回した右手で何度も叩いている感じだ。
(……は、遥香ちゃん…、まさかそれも…、僕にやるつもりだったの…!!?)
どう見ても"おまじない"の延長であるその行為を見て…、拓也は耳まで真っ赤になる。
…しばらく秋仁のお尻を優しく叩いてやったあと…、遥香が言った。
「…はい秋仁、もう痛くないでしょう?…ほら、拓也お兄ちゃんにもう一度謝って?」
「…うぅ…っ、…お、お兄さん…、本当にごめんなさい…。」
「…い、いや…、僕は別に、何も…。」
…拓也は、秋仁に対して申し訳なかったという気持ちはあっても、怒りの感情などあるはずも無い。
…こんな風に頭を下げられても、ただただ困惑するだけだ。
(…は、遥香ちゃんって…、家ではこんな"おまじない"すら普通のことなんだ…?…そりゃあ、僕の隣でお尻を出すくらい、恥ずかしくも何ともないわけだよ…。)
"お仕置き"の際、遥香がまったく動じなかった理由にようやく得心がいった拓也。
"自宅に居る時の遥香"は、やはり良い意味で図太いというか…、物怖じしない側面があるのだろう。
教室で見ている遥香とは正反対な気もするが…、拓也はもう、何も疑わなかった。
「…それじゃあ私…、ちょっとお手洗い行ってくるね?」
「…あっ…、うん…。」
…遥香はそう言って、自然な流れで子供部屋を出たのだが…、扉を閉めて1人になった瞬間、その様子が一変する。