※この作品はR-18です。

ふしぎな気遣い   作:佐田トレコ

21 / 137
試み3

ピンポ〜ン。

 

「…あらっ、大変…。予定より早かったかしら…?」

 

奈津子に尻を叩かれ、拓也が泣いていたのが丸わかりの状態で、玄関のベルが鳴る。

 

「…拓っくん、すぐにズボン上げて?…それから勇太、もう一度お尻を出して、壁の方を向いて立っていなさい。」

「…えっ…!?…な、何でぇ…!?」

「…これも、お母さんにウソをついた罰の続きよ?…それとも…、まだお尻ペンペン足りないなら、お母さん、いくらでもしてあげるけど?」

「…ひっ!?…わ、わかった…。」

 

勇太は渋々…、真っ赤に腫れた尻を出したまま、壁の方を向いて立つ。

呼び鈴が鳴ったということは…、誰か、お客さんが来ているはずなのに、奈津子に慌てる様子はない。

 

「…それじゃ、呼んで来るわね?…2人共、動いちゃ駄目よ?」

 

(…えっ…!?…よ、呼ぶって…、まさか、この部屋に…!?)

 

ズボンを下ろし、尻を出した状態で立たされている勇太と、ズボンは穿いているものの、泣いていたことがはっきりわかってしまう拓也。

そんな2人の居る部屋に、一体、誰を呼ぶというのか…。

 

「…た、拓也…っ!?」

「…えっ!?…お、お母さん…!!?」

 

なんとそこに現れたのは、拓也の母である美由紀だった。

 

「…拓也、一体何をしているの!!よそ様のお宅にご迷惑を掛けるだなんて…!!」

「…まぁまぁお母さん…。迷惑なんかじゃ全然ないですよ?…ただ…、ご家庭の躾の話ですから、私が勝手に手をあげるのもどうかと思いまして…。」

「…まぁ、ご親切にわざわざ…。」

 

話が見えない…。

まだ頭が混乱している拓也は、いま何が起きているかを理解するだけで必死だ。

 

「…じゃあ、あそこに立たされているのは…?」

「…えぇ、息子の勇太です。…今日は悪さが過ぎたので、いつもより厳しくしてますが…。」

「…まぁ…。」

 

親同士の会話から、勇太は、入って来たのが拓也の母親だとは気づいていたが、壁を向いて立たされているため、確認が出来ない。

 

(…た、拓也くんのお母さん…っ!?…う、家のお母さんってば、一体、何のつもりで…!?)

 

何も聞かされていないまま、友達同士の母親が2人、同じ部屋に揃う。

拓也も勇太も、これから何が始まるのか、戸惑いと恐怖でただ怯えているのだった。

 

 

 

「…それで、拓っく…、いえ、拓也君のお母さん。早速ですけど…。」

「…えぇ、わかっています。…お電話でお話した通り…、…勇太君がああして叱られている以上、家の拓也だけ無罪放免という訳にはいきませんわ。」

 

(…えっ…?何…?一体、何の話をしているの…!?)

 

拓也は美由紀と奈津子の会話の内容を何とか理解しようとしたが…。

 

「…ただ、恥ずかしながら…、家では、手をあげるどころか…、拓也を厳しく叱った記憶もあまり無くて…。」

「…えぇ、拓也君は…、いつも本当に良い子ですものね…。」

「…いいえ。いつか…必要な時が来るだろうとはわかっていたんです。母親である私が目をそらしていただけで…。…それで、あの…。」

「…えぇ、わかっています。…さっきお話した件ですね?」

「…はい。…ただ、その…、勇太君の、あんなに腫れたお尻を、実際に見てしまうと…。」

「…安心して下さい。…拓也君には、あそこまできつくする必要はありませんわ。悪いことをしたとわかれば、きちんと反省が出来る子だと思いますから…。」

「…そう、ですか…?すみません、こちらからお願いしたのに、今になって色々と…。」

「…いえいえ、同じ母親ですもの。お気持ちは十分わかりますわ。」

 

話がまとまったのか、奈津子と美由紀は拓也の方へ向き直る。

つい先程まで、奈津子に尻を叩かれ、ズボンの中に真っ赤な尻を隠したまま正座をしている拓也は、急に自分の母親と奈津子が協力し始めたことにまだ混乱していた。

 

「…拓也、聞いていたでしょう?…今から、勇太君のお母さんに、あなたを"お仕置き"して貰います。」

「…え…?」

「…よそ様の家で、ご迷惑を掛けるだなんて…。…本当はお母さんが、この場で"お仕置き"してあげたいけれど…、勇太君のお母さん、とっても慣れてるみたいだから、今日はお任せすることにしたの。」

「…お、お任せ…って…?」

「…あそこに立たされてる勇太君を見なさい。…お尻、真っ赤でしょう?…勇太君のお家はね、悪いことをすると、あんな風に必ずお尻をペンペンされるんですって。」

 

そんなこと…、言われなくても知っている。

自分の母親から、あらためて奈津子のお尻ペンペンについて詳しく聞かされる拓也は、いま自分の尻がその奈津子の手によって真っ赤に腫れてしまっていることを、母親にだけは悟られないよう、不慣れな演技を続けるのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。