※この作品はR-18です。

ふしぎな気遣い   作:佐田トレコ

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提案5

2人のやり取りを見ていて、拓也は思った。

もしかして…、この"50回"は手加減をしてくれるのか…?

 

「…さ、いくわよ?拓也君。…あと50回だから、我慢しなさいね?」

「…はっ、はい…!」

 

(…きっとそうだよね…。…って言うか、手加減してくれなきゃもう、お尻が…。)

 

…バッチィィィィィィ〜ンッ!!!!!

 

「…いぃぃぃ〜っ…、痛ぅ…!?」

 

…ピシャァァァァァ〜ン!!!!!

 

「…ちょっ…、待っ……!!?」

 

…バチィィィィィ〜ンッ!!!!!

 

「…あああああっ!!?…はぁっ…、…はぁ〜っ…!?」

 

(…ウ…、ウソでしょ…!?手加減どころか…!?)

 

それまでのお仕置きと何ら変わりなく…、くっきりと手形の残る勢いで拓也の尻を打ち据える、綾子の母親。

お尻ペンペン50回と聞いて、「それくらいだったら…」と安堵していた綾子の態度は何だったのか…。

 

「…ほら拓也君。あと47回よ?しっかりしなさい。」

「…お、おばざん…、あの…っ!!」

「…綾子のお尻ペンペンもしないといけないから…、後でね?…終わったら、ゆっくり聞いてあげるから。」

「…ひっ…!?」

「…いくわよ?」

 

…バチィィィィィッ!!!!!

 

「…ぎゃあああああ〜っ!!?」

 

…パァァァァァ〜ンッ!!!!!

 

「…ひっ!?…ひぃぃぃぃ〜っ!!?」

 

…バッチィィィィィィンッ!!!!!

 

「…いだぁいっ!!?…ぐずっ、…うぇぇぇぇ〜ん…。」

 

拓也は再び泣き出してしまった。

…しかし綾子の母親は、そんなことぐらいは想定済みとばかりに、顔色ひとつ変えず、また平手を振りおろす。

 

…バチィィィィィ〜ンッ!!!!!

 

「…うわぁぁぁぁ〜ん!!…いだいっ、…いだいよぉぉ〜っ!!?」

「…はいはい痛いわね〜?…拓也君、あとちょっとよ〜?」

 

…ピシャァァァァァンッ!!!!!

 

…まだ40発以上も残っているのに、何の気休めにもならない「あとちょっと…」に拓也の気持ちは振り回され続けている。

 

(…い…、痛すぎるよぉぉ〜っ!!?…綾子ちゃんのお母さんって…、いつもこんな強さで、綾子ちゃんにもお尻ペンペンしてるのぉ〜…っ!!?)

 

それは勇太の母親である奈津子以上に、情け容赦のない尻叩きだった。

"男の子のお母さんと、女の子のお母さんって…、どっちが怖いと思う?"

あの時、そう聞かれた言葉が…、今になって頭の中に蘇る。

 

「…ほら拓也君っ、反省しなさいっ!」

 

…バシィィィィィンッ!!!!!…パァァァァァ〜ンッ!!!!!…パァァァァァン〜ッ!!!!!……、

 

「…ひっ!!?…ひっ!!?…ひぃぃぃぃ〜っ!!?」

「…泣いてちゃわからないわよ?…おばさんあと50回って言ったけど…、反省する気が全く無いなら、いくらでも増やしてあげますからね?」

「…ぐずっ、…ひっぐ…、うぇぇぇぇん…、ごべんなざいぃぃ〜っ…。」

「拓也君、家のお母さんは本当に増やす人だから…、もっとちゃんと"ごめんなさい"しないと駄目だよ?」

 

隣に居る、同じクラスの女子からアドバイスを貰い、その母親から尻を叩かれ続ける拓也。

…肉体的にも精神的にも、傍目で見ていてわかるくらいボロボロだ。

 

「…ひっく…、…えっく…、ご…、ごべんなざい…、おばざん…。」

「…はい、良く言えました。…もうお尻痛いよね?…あと少しだから、頑張って?」

「…ぐずっ…、…はい…。」

 

綾子の母親は、優しい雰囲気こそ出してはいるが、決して叩く数を減らしたり手加減したりはしてくれない。

そう思った拓也は、素直に全部受け切るのが一番だと、自分から、無惨に腫れた尻を前へ差し出す。

 

「…あらまぁ。…さすが男の子。とっても潔いのね?」

 

そう言いつつ綾子の母親は、腫れた部分めがけてとびきりの平手を叩きつける。

 

…バッチィィィィィィ〜ンッ!!!!!

 

「…ああああああっ!!?」

「…おばさん嬉しい…。拓也君が自分から、おばさんに叱られても良いって思ってくれたのよね。…おばさん、愛情たっぷり込めてお仕置きするからね〜?」

 

…ピッシャァァァァァン!!!!!

 

「…ひぎぃぃぃぃ〜っ!!?」

「…ほら、悪〜い気持ちがどんどん出ていくわよ〜?…それっ!」

 

バチィィィィィ〜ッ!!!!!

 

「…あああっ!!?…あぐっ…、えぐっ…!!」

「…ほらほら拓也君、どんどん良い子になってきたねぇ〜?」

 

綾子の母親は、まるで泣いている幼児をあやすような口調で拓也に語りかける。

強烈な尻叩きをただ続けながら、その表情は微笑みすら浮かべていた。

 

(…あ〜、家のお母さん、完全に"スイッチ"入っちゃってるなぁ…。…拓也君、大丈夫かな…?)

 

綾子の母親は、悪さをした子供の"悪い心を追い出す"ことに至上の悦びを感じていた。

もちろん"子供の為に"と第一に考えてはいるのだが…、自分が尻を叩くことによって、"良い子になる"きっかけを与えてやれることが心から嬉しいらしく…、拓也が泣けば泣くほど気持ちが昂ぶり、平手打ちにも力がこもっているのだった。

 

…バシィィィィィィッ!!!!!

 

「…ぎゃぁぁぁぁぁ〜っ!!?」

 

…パァァァァァァンッ!!!!!…パァァァァァ〜ンッ!!!!!

 

「…うわぁぁぁぁ〜んっ!!!…ぐすっ…、…ぐすっ…!!」

 

拓也の尻は無惨に赤く腫れあがり、痣にならないかどうかを気にしていた奈津子の時と比べ、明らかに濃い色に染まっている。

 

(…ああなったら、本当に痛いんだよね…。…ごめんね、拓也君…。)

 

綾子は、自分の母親の膝の上で大泣きしているクラスメイトを見ながら、申し訳なさそうに縮こまっている。

慣れている自分はともかく、拓也君は可哀想だよ…。

拓也が自宅だけでなく、勇太の家でもたびたび尻叩きを受けていることを知らない綾子は、母親の平手打ちを"やり過ぎ"だと感じるのだった。

 

「…お、お母さん…。」

「…ん?…どうしたの、綾子?」

「…わ、私が拓也君のぶんも罰を受けるから…、もう、拓也君は許してあげて…?」

「…あら珍しい。綾子が自分からそんなことを言うなんて…。」

「……。」

「…良いわよ?…でも…、他の子の罰の肩代わりをするっていうことが、どういうことかわかってる?」

「…う、うん…。」

「…拓也君がこのまま我慢すれば、あと20回くらいで終わりだけど…、綾子が代わりに受けるなら、100回以上は覚悟して貰うわよ…?」

 

先程"50回で許す"と言われたばかりの綾子だが、そのくらいの処罰は覚悟の上だった。

 

「…わ、わかってる…。…100回でも何でも良いから、拓也君を離してあげて…。」

「…わかったわ。…本当に良いのね?」

「…うん…。」

「…ぐずっ…、…あ…、綾子、ぢゃん…!?」

 

拓也は、自分が軽い気持ちで罰を受けに来たことがそもそも原因で、綾子が身代わりになると言い始めたことにかなり焦っていた。

 

「…ち、違うんだ綾子ぢゃん…、本当は…っ!」

「…えっ…?」

 

ただの出来心で…、とつい本音を吐露してしまった拓也は、綾子とその母親の前で、洗いざらい白状せざるを得なくなってしまった。

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