綾子は顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。
学校の教室で話をする程度で、それほど親密な関係ではない異性の拓也に…、母親からお尻ペンペンされている姿を見られたうえに、真後ろに立たれ、尻がどんどん腫れていくさまを観察されてしまうのだ。
綾子にとってそれがどんなに屈辱的で…、単に叩くよりも効果があるか、綾子の母親は拓也には申し訳ないと思いながらも、これぐらいしないと綾子は反省しないと判断したのだった。
「…お、お母さん…、もうしない…、もう、絶対に…、ちゃんと言うこと聞くからぁ…。」
「…駄目です。…それで聞かなかったから…、今こんな風にされているんでしょう?」
「…うぅ…。」
「…その様子だと、さすがに効き目があるみたいね?…さぁ拓也君、綾子のお尻が、よ〜く見える位置まで移動して貰える?」
「…だっ…、駄目ぇっ!!拓也君っ!?…もしそんなことしたら、…絶交…、だからね…っ!」
(…ど…っ、どうしよう…!?)
気まずいのは拓也も同じだった。
初めてお邪魔する同級生の女子の家で…、自分がお尻ペンペンされた上に…、その女子もお尻ペンペンされることになり、さらに、その叩かれる最中の尻を近くで見ろというのだ。
年頃の拓也にとって…、もしかしたらそれは、叩かれる綾子以上に恥ずかしいことかもしれなかった。
「…まったく、この子ったら…。…ごめんなさいね、拓也君。…もし綾子に学校で何か意地悪されたら…、2、3日ほど我慢して貰える?」
「…え?…2、3日…?」
「…えぇ。…綾子がもし本当に"絶交"したら…、それから毎日おばさん綾子のお尻を叩いて、『取り消して』って、"お願い"してあげるからね〜?」
「…は、はぁっ!?何それっ!?」
「…当たり前でしょう?せっかく、拓也君が協力してくれているのに、"絶交"だなんて…。お母さん許しませんよ?…撤回するまで毎日、毎朝…、綾子が起きてから、学校に行くまで、何回でもお尻ペンペンしますからね?」
「…じょ、冗談でしょう…?」
「…冗談だと思う?」
…バシィィィィィィッ!!!!!
「…ひぅっ!?」
「…そう思うなら勝手にしなさい。…ただ…、お母さんは本気ですからね?」
拓也に"絶交する"と発言したことが、どうやら火に油を注いでしまったようだ。
「…さ、まずはお片付けしなかったぶんのお仕置きよ。…"絶交"の件については…、拓也君が帰った後で、お母さんとじっくりお話をしましょうね?」
「…お、お母さん…、違うの…、それは…っ!!」
「…聞きません。」
…バチィィィィィィッ!!!!!
「…ひぃっ!?」
「…"たったの"100回なんだから、もっと素直に受けなさい。…往生際が悪いわよ?」
「…だ…、だってぇ〜…。」
「…だってじゃないっ!」
…ピッシャァァァァァ〜ンッ!!!!!
「…あ痛たっ!?…お、お母さん…、ちょっと強いよぉ…!?」
「…当たり前ですっ!…まったく…、何回注意したらわかるのっ!?」
…バシィィィィィィ〜ッ!!!!!…パァァァァァンッ!!!!!…パァァァァァァ〜ンッ!!!!!
「…ああん、痛い、痛いってぇ…、もう…、ギブギブ〜!」
やはり綾子の痛がり方は、どこか軽いように感じられる。
拓也に尻を見られていることへの照れ隠しも含まれているのか…、痛いと言いながらも饒舌だった。
(…お、お尻に手形がどんどん増えていく…。痛そう…。…でも、綾子ちゃん家って…、部屋の片付けをサボっただけで、こんなにきつくお尻を叩かれるんだ…。)
見ているだけの拓也のほうがむしろ恐怖を感じてしまい、普段は優しい雰囲気である綾子の母親が豹変した姿に、つい勇太の母親の奈津子を重ねてしまう。
(…そういえば、勇太君のお母さんも…、お尻ペンペンする時だけは、こんな風に、鬼みたいに怖くなるんだよね…。)
拓也の場合、口調は優しいまま強く叩かれるのだが…、綾子と母親のそのやり取りは、実の母子である勇太と奈津子のそれに似ていた。
拓也はなぜかほんの少し、厳しくされる2人を羨ましく感じてしまった。
「…ほら綾子っ!…ごめんなさいはどうしたのっ!?」
「…だ…、だから謝ってるじゃん…。」
…バッチィィィィィィ〜ン!!!!!
「…痛ったぁ!?」
「…ちっとも謝ってないでしょう!!…あなた、拓也君がお仕置きされてるのちゃんと見てたの!?」
「…み、見てたよぉ…。」
「…涙を流してごめんなさいするほど反省したこと、あなたにあったかしらっ!?」
…ピッシャァァァァァァ〜ンッ!!!!!
「…痛っ!…あ、あるよぉ…。」
「…いつ!?」
「…よ、幼稚園とか…?」