…バチィィィィィィンッ!!!!!
「…つまり…、小学校に上がってからは、な〜んにも反省したことが無いんじゃないのっ!?」
「…そ、そういう意味じゃなくって…!…あ痛たた…っ。」
綾子が何か言うたびに母親は激昂し、尻を叩く平手打ちに力がこもる。
(…あ〜あ…、これ、何言っても駄目なやつだ…。…うぅ…、家のお母さん、このモードになると超面倒なんだよね…。)
綾子の母親が子供の尻叩きを"やり慣れている"のと同じく、その母親のもとで育った綾子は、自然と、尻叩きを受けること自体には慣れていた。
もちろん痛みが無いわけではないが…、ほかのことを考えながら、母親が許してくれるまで耐えるぐらいの余裕はある。
ただそれは、"いつものお尻ペンペン"に関しての話で…、拓也に真後ろから尻叩きを見られている、という今の状況では、さすがの綾子も恥ずかしすぎて…、内心、全くいつも通りではいられないのだった。
(…はぁ…、それにしたってお母さん…、お尻ペンペンの最中に、拓也君をすぐ傍まで呼ぶだなんて…。)
綾子は拓也の方へ尻を向けている格好なので、直接、目で見てその姿を確認することは出来ない。
しかし…、先ほど母親と会話をした際、叩かれている自分のすぐ後ろまで移動してきたことはわかっていた。
まるで自分だけが目隠しをした状態で、母親による尻叩きを拓也にじっと観察されているような…、"見えない"ことで何倍増しにも感じてしまう羞恥心は、尻叩きの痛みに慣れているはずの綾子にも耐えがたいほどの屈辱を与えていた。
…ピッシャァァァァ〜ンッ!!!!!
「…あぁっ!?」
「…ふふっ…、…どうしたの綾子?…今日はやけに素直じゃない。」
「…お、お母さん…?」
「…いつもみたいに、"お尻叩かれたら、片付けなくても良いんでしょ?"なんて生意気なことは言わないの?…お母さん、とっても助かるわ〜?」
「…お…、お母さんっ!?」
学校では明るくて、真面目で…、先生からもほとんど叱られない綾子。
…そんな綾子は、母親に家での生活態度を暴露され、尻を叩かれていること以上に恥ずかしがっていた。
(…あ、綾子ちゃんって…、家では結構お転婆なんだな…。)
尻叩きの際、叩いている母親に言い返すなど…、拓也や勇太ではとても考えられない。
その直後から、どんな目に遭わされるか…考えるだけでも恐ろしいからだ。
「…お、お母さぁん…、…私が悪かったからぁ…。」
「…えぇ、そうね。…だからこうやってお仕置きされてるんでしょ?」
…バッチィィィィィ〜ンッ!!!!!
「…ひぅっ!?」
「…いつもいつもいつも…、お母さんの言うことを聞かないで…。…拓也君に見てもらって、少しは反省しなさいっ!」
…ピシャァァァァァ〜ンッ!!!!!
「…あぁっ!?」
「…ほら綾子、お尻に真っ赤な手形がいっぱい付いてるわね〜?…あらやだ恥ずかしいね〜、小っちゃい子供みたいよ〜?」
「…うぅ…っ。」
綾子の母親はそうやって綾子を辱めているが…、見ている拓也も先ほど、綾子の母親から嫌というほど尻を叩かれたばかりで…、尻に無数の手形が残っているのは同じである。
綾子の母親は、娘を叱ることに夢中で、そのことには全く気づいていない。
「…こんな風にお尻ペンペンされるのってぇ、本当は、とっても恥ずかしいことなのよ〜?…わかる〜?…普通、綾子ぐらいの歳になったら…、お尻ペンペンされなくても言われたらわかるんですからね〜?」
綾子の母親は皮肉でなく、天然で拓也も同時に辱めていた。
…ピシャァァァァァンッ!!!!!…パァァァァァンッ!!!!!…パァァァァァ〜ンッ!!!!!
「…ぐっ…、…あっ…、…あぁっ!?」
痛みだけなら我慢出来る綾子だが…、どうやら恥をかかされることに対してはあまり耐性が無いらしく、そこを母親から集中攻撃されているように思える。
(…あ、綾子ちゃんのお母さん…、怒らせると本当に怖いんだなぁ…。)
拓也は目の前で行われるお尻ペンペンの威力に加えて、今まで見たことがなかった綾子とその母親の"素の一面"にただただ驚いていた。
普段の教室で見かける、"明るくて真面目な綾子"とのギャップ。
…そして、公園で拓也と会った時のような、"優しそうで、少し口の軽いおばさん"という印象とはあまりにもかけ離れた…、強烈なお尻ペンペンと叱責で子供を折檻し続ける綾子の母親。
そんな2人を見ながら拓也は…、つい先日からお尻ペンペンするようになった自分の母親のことを思いだしていた。
(…そういえば、勇太君が言ってたっけ…、よその家のお母さんに叩かれる時の方が、ずっと恥ずかしいって…。)