※この作品はR-18です。

ふしぎな気遣い   作:佐田トレコ

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集会1

(あ〜、どうしよう…。本当に憂鬱だよ…。)

 

翌日。

学校の教室で1人、机に突っ伏した拓也は…、これから待つお尻ペンペンに関することで頭が一杯だった。

"お母さんにお電話するのは、明日にしてあげる"。

昨日、綾子の母親からそう言われている拓也は、それが一体いつ、何時頃のことなのか気になって仕方がない。

…僕が学校へ行っている間に、電話がくるのかな…?

…それとも…夜?…ご飯を食べている最中に電話なんて来たら、お母さん絶対にカンカンだよ…。

ありとあらゆる可能性を1つずつ考えては、マイナス方面の想像ばかりが膨らんでいく。

…もしもまた同じ日に、自分の母親と勇太の母親2人から尻叩きを受ける羽目になったら…。

…地獄なんてレベルじゃない。

まして今回は2度目なのだ。

先日…、拓也の母親へ指導するような形で、勇太の母親から尻叩きを受けた拓也だが…、あの時とはまるで状況が違う。

美由紀と奈津子…、2人ともがカンカンに怒るであろう、"絶対にやってはいけないこと"を拓也はしてしまったのだ。

 

(…お尻ペンペン200回の後に…、300回…!?…ああ〜っ、絶対に嫌だよ、そんなの…!?)

 

"もし家のお母さんにバレたら…、大変なことになるよ…!?"

あの時、勇太の忠告を素直に聞いていれば、こんなことにはならなかった。

…今さら、猛烈に後悔する拓也だが…、もう"お咎めなし"で済むはずがない。

…そしてもう1つ、拓也には大きな心配ごとがあった。

 

(…綾子ちゃん…、僕と口聞いてくれるかな…?)

 

昨日、拓也のせいで母親から強烈な尻叩きを浴びていた綾子は…、果たして許してくれるのか。

自分への尻叩きに関すること以上に、拓也はそれが気がかりだった。

 

(…あっ…、きっ…、来た…!?)

 

いつも通り、教室へ入って来た綾子は…、机の上に鞄を下ろし、チラチラと拓也の方を気にし始めた。

"絶交"の発言以来…、今後無視され続けることを一番恐れている拓也は、話し掛けるなら今しかないと、綾子の席へ向かう。

…しかし、次に綾子がとった行動は意外なものだった。

 

「…拓也君、少しだけ…、いいかな…?」

「…えっ…!?…うっ…、うん…。」

 

何と、先に話し掛けてきたのは綾子の方だった。

無視されるとばかり思っていた拓也は…、向こうからの予想外のアプローチにほんの少し安堵する。

 

「…あ、綾子ちゃん、あの…っ。」

「…待って、…教室で誰かに聞かれたら恥ずかしいから…、場所を変えて欲しい…。」

「…えっ?…う、うん…。」

 

昨日はゴメン、と謝ることばかりを考えていた拓也は…、恥ずかしそうにモジモジ赤面している綾子を見て、何だか様子がおかしいことに気付く。

"絶交"を口にするほど怒っているはずの綾子が…、人目を気にしながら、周りに悟られないよう必死に気を遣っている…。

 

(…そう言えば綾子ちゃんって、学校では"優等生"なんだっけ…。)

 

「…拓也君。…誰にも言ってないよね?」

「…えっ?」

「…昨日のこと…。」

「…う…、うん…。もちろん言ってない…。」

「…なら、"絶交"は許してあげる…。…はぁ〜…、もう、最悪よ〜。こんなにお尻叩かれたの久し振り…。」

「…ごめん、…凄かったもんね、昨日のお尻ペンペン…。」

「…えっ?」

 

綾子は、"何を言っているんだ"とでも言いたげな顔で拓也を見る。

 

「…違うってば。…昨日じゃなくって、"今朝"の話…。」

「…えっ?」

「…だから今朝っ!…家を出るまで、ず〜っとお母さんにお尻ペンペンされてたの!…昨日、拓也君に"絶交"だって言ったからって…。」

「…え…、ええ〜っ!!?」

「…おかげでお尻、パンパンに腫れちゃった…。もうすぐ授業も始まるのに、じっと座ってなきゃいけないだけで憂鬱よ…。」

 

…まだ、すっごくヒリヒリしてるんだから…。

そう言いながら、恥ずかしそうに両手を尻に当てる綾子。

拓也はその仕草を見てつい…、昨日…、綾子が母親から丸出しの尻を叩かれ、真っ赤に腫れ上がっていた光景を思いだしてしまった。

 

「…拓也君?」

「…ひゃいっ!?」

「…今、変な想像したでしょ…?」

「…しっ…、してないよ…!?」

「…言っておくけど、私のお尻を見たことはまだ許してないからね?」

 

ジト目で睨まれ、反射的に背筋が伸びる拓也。

 

「…はぁ、まぁいいわ。…とにかく、今日も絶対ウチに来てね?」

「…えっ、今日…?」

 

2日続けて女子の家にお邪魔するなんて、迷惑じゃないかな…?

そう思って、遠慮しようとした拓也だったが…。

 

「…もうっ!…拓也君が"許す"って言ってくれないと私…、明日も明後日も、お母さんからお尻叩かれちゃうんだよ?…自分で説明させないでよ、こんなこと…!」

「…あ…っ!」

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