そんな中、奈津子は拓也の尻を叩く手を止めて、母親達に呼び掛け始めた。
「皆さん。…厳しく見えるかもしれませんが…、"拓也君"にとって、これは必要なことなんです。」
「…えぇ。…もちろん、皆それはわかっています。…ただ、やっぱり少し…、厳しいんじゃありません?」
「…いえ…。じつは"拓也君"…、とっても痛みに強くて…。…それに、痛がる演技もすっごく上手なんです…。」
「…まぁ、そうなの…!?」
「…はい。"拓也君"のお母さんからも、くれぐれも気をつけて下さいって…、以前、躾の話になった時に言われたのを良く覚えていますわ。」
「…そ、そうだったんですか…。」
「…それじゃあ…、この子が"わざと"お尻ペンペンされてたっていうのも…?」
「本当に、痛くなかったってこと…?」
「…うわぁ〜…、もしそうなら、私は許せないわね〜…。私達母親が、いつもどんな気持ちで、大切な子供を叱っているか…。」
「…ね〜?…ちょっとこの拓也君にも、"わからせて"あげた方が良いかもしれませんね…。」
同情していた周囲の母親達は一転、拓也を"多少のお尻ペンペンでは全く懲りない子"として認識を改める。
…一方、"痛みに強い"などと吹聴されてしまった拓也は…、一刻も早く否定しなければ大変なことになる状況を理解しながらも、"わざとお尻ペンペンされに行った"ことが事実であるため…、どう言い訳しても説得力がないことも自覚していた。
(…お、おばさん…、もしかして…、最初からこうするつもりで…!?)
もはや、拓也の味方になってくれる母親は1人も居ない。
仮に奈津子がこのまま"お尻ペンペン300回"を実行したとしても…、誰も止めてくれない可能性は非常に高い。
(…お、終わりだ…っ、みんなが見ている前で、勇太君のお母さんからお尻ペンペン300回なんて…!?)
…ピッシャァァァァン!!!
「…ああっ!!?」
「…ほら"拓也君"、おばさんの後に続けて?…"もう、2度とおばさんにウソはつきません"。…はいっ。」
「…あ痛たた…、も、もう、2度と…、」
「…声が小さいっ!」
…バッチィィィィ〜ンッ!!!
「…ひぃぃぃぃ〜っ!!?」
「…"拓也君"?…あなたは前にもウソをつきませんってお約束をしたのに…、それを守れなかったのよね?…もっと大きな声で言ってくれないと、おばさんもう信用は出来ないかな~…。」
「…ひぃぃっ!?…だ、だってぇ…!!?」
「…あら?まだ素直に言えないのかな?おばさんのお尻ペンペン…、全然効いていないのかしら?」
…バッチィィィィィ〜ンッ!!!
「…ぎゃああっ!!?」
「…ホントに"拓也君"ったら…、お尻の痛みに強いわね〜?こんなにくっきりお尻に手形が残っているのに、全然痛くないだなんて…。」
…ピシャァァァァァン!!!
「…ああああ〜っ!!?」
勇太の母親である奈津子は、何度も何度も拓也の尻を叩きながら…、拓也が全く痛がっていないと周囲の母親達にアピールする。
…当然、実際には痛くないはずはなく…、拓也は尻を打たれるたび、必死に激痛と戦っているのだが…、"痛がる演技が上手い"と事前に刷り込まれている母親達は、それが拓也の痛がっているフリだと信じ込んでいるのだった。
「…凄いわね〜…。あんなに強く叩かれても、全然痛くないだなんて…。」
「…ほんとよねぇ…、家の子だったら、2、3回でもう泣き出してるわよ…。」
「…あれは騙されちゃうわね…。…拓也君にはお気の毒だけど、今日は勇太君のお母さんから徹底的に懲らしめて貰った方が本人の為だと思うわ…。」
「…本当にそうよね…。あれだけ叩かれて、内心ケロッとしてるんだったら…、家の子も、お尻ペンペンが本当に効いてるかどうか、帰って確かめないといけないわね…。」
「…家も、そうしてみようかしら…。」
拓也の知らない所で、母親達がそんな会話をしているとはつゆ知らず…、拓也は奈津子の膝の上で、尻叩きの連打に耐え続けている。
…バチィィィンッ!!!…パァァァァンッ!!!…パァァァァァ〜ンッ!!!
「…ああ〜っ!!?…い、痛いぃぃ〜っ!!」
「…ええ、そうね?…でも、"拓也君"が悪いんでしょう?」
…ピッシャァァァァ〜ン!!!
「…ぐううぅ〜っ!!?」
拓也はあまりの痛さに泣きたい気持ちになっていたが…、周りの母親達に見られている、という恥ずかしさもあり、泣くに泣けない。
…加えて、もし奈津子が本当に300叩くつもりだとしたら…、お仕置きはまだ序盤も序盤。
奈津子の手形で尻一面がびっしり埋まっていても、回数はまだ1割にも満たないのだった。
(…し、死んじゃう…、このまま300叩きなんて…、痛すぎて死んじゃうよぉ…っ!?)