「…10人掛かりでお尻ペンペン30回なんて…、最初は正直、"えっ"と思ったけれど…、この様子なら大丈夫そうね?」
「…すでに100回ぐらいペンペンしてるのに、まだ全然痛くないだなんて…。拓也君のお尻って、ほんとに強いんですね…。」
「…いや〜、わからないわよ…?案外、私達みんな…、自分達で思ってるほど強くは叩いてなかったんじゃない?」
「…えぇ〜、それは無いですって…。…私も子供の頃、親に散々やられましたけど…、あれで痛くないってのは、絶対に無いですよ…。」
「…ですね…。…それに…、拓也君のお尻にびっしりついてる手形、あれ見てくださいよ…。」
「…あぁ…、うん…。…確かに、あれでまだ痛くないって言えるのは、拓也君だけかもね…。」
お尻ペンペン"する側"の母親達でさえ少し引いてしまうぐらい、拓也の尻はもう真っ赤に腫れている。
それでも、まだ"4人目のお尻ペンペン"が続いている最中であり…、1人の母親が叩く分は、たった30回といえど…、それが10人続けてともなると、いかに恐ろしい罰になるか、子供の頃に"お尻ペンペン"を経験してきた何人かの母親達は、つい自分にも置き換えてしまうのだった。
「…最近の子供はあまり叱られなくなって羨ましい、なんて言うけど…、実際は違うわよねぇ?」
「…無い無い。家なんて、ほぼ毎日叱ってますもん…。」
「…ウチだってそうよ。…って言うか、外であまり"叱ってます"って言い辛くなっただけよね…。」
皆、似たような悩みを抱えているのか、「そうそう」「そうよね〜」などと同調の輪が広がっていく。
「…その点、拓也君は叱られ慣れてるみたいだし…、お家でどういう躾をされてるのか、すっごく興味あるわ〜…。」
「…あ〜それ、私も気になってました。」
母親達の関心は、"拓也の普段の躾"に向いていた。
…今、晶の母親にお尻ペンペンされている最中の拓也はそれどころではないが…、後ろに座っていた勇太の母親が、ここで代弁するように口を開く。
「…うふふ…、"拓也君"のお家では、"拓也君"が少しでも悪いことをすると、お母さんからお尻ペンペン200回の刑らしいですよ〜?」
「…えっ!?…そ…、そんなに…!?」
「…えぇ。…例えば宿題を忘れたり、ちょっとした悪戯でも絶対に200回。例外は一切無いそうです。」
「…へぇ〜…、…やっぱり、ちゃんとしてる家はそこまで厳しくやってるんだ…?」
奈津子は、あたかも自分が"拓也の母親から聞いただけ"のように周囲の母親達に話しているが…、拓也の母親に"お尻ペンペンは200回が良い"と教えたのは、他ならぬ奈津子本人である。
しかも、ズボンの上から叩いていることは完全に伏せたまま、"拓也は家で何か悪さをするたび、母親からお尻ペンペン200回の罰を受けている"ことを繰り返し強調していた。
「…そっか〜、家でそんなにしょっちゅうお尻ペンペンされてるんじゃ…、今回のことも、"やり過ぎ"って感じではないのかな…?」
「…そうですよね…。もしかしたら拓也君にとっては…、"いつもより少し多い"ぐらいの感覚なのかも…?」
「…そりゃ効かないわけだ…。だってまだ、100回ちょっとしかペンペンしてないものね…。」
(…えっ…、えぇ〜っ……!?)
拓也の知らないうちに、母親達はどんどん"拓也が痛がらない"ことが当然であるかのように、理解を示していく。
全ては、勇太の母親である奈津子がそう仕向けているだけに思えたが…、拓也は現在、他の母親達に"お尻ペンペン"されている最中で、反論すら許されない。
(…ゆ…、勇太君のお母さんってば、一体何を考えて…!?)
…パァァァァァ〜ンッ!!!
「…ああああっ!!?」
「…もうっ。拓也君ったら…、おばさんのお尻ペンペンがあまり痛くないからって、怒られてる最中によそ見してるなんて余裕ね?」
「…ひぃっ!?ち、違…!!」
「…お尻がこんなに赤くなってると思って、つい手加減しちゃったけど…。拓也君、本当に全然反省していなかったのね?おばさん、ちょっぴり怒っちゃった…。」
…バチィィィィィッ!!!
「…うあああっ!!?」
「家の晶もよく大袈裟に痛がるけれど…、拓也君も同じなのね?…よ〜くわかりました。」
…ピシャァァァァ〜ンッ!!!
「…ひぎぃぃぃ〜っ!!?」
「…そうやって痛いフリをしても、おばさんもう騙されませんよ〜?」
…バチィィィィィィッ!!!
「…ぎゃあああああ〜っ!!?」
本気で痛いのを、拓也はすべて"演技"だと決めつけられ…、同じクラスの女子の母親から、強烈な尻叩きを浴びせられ続けている。
(…ほ…、他の3人に比べたらましだと思ったのにぃぃ〜っ!!?)