「…さっ、それじゃ拓也君…、続きしましょうか。」
「…う、うぅ…っ。」
「…もうお尻ペンペンされたくないのはわかるけど…、おばさんの30回ペンペンが終わらないと、次の人にペンペンして貰えないわよ?…そうなったら拓也君、ずっとここに居なきゃいけないし…。」
「…で、でも……。」
「…あぁもうっ、男の子でしょっ、うじうじしないっ!」
…バチィィィィィッ!!!
「…ああああっ!!?」
「…こういう時はもっと、ハキハキ喋るっ!…拓也君さっき…、もっと思いっきりお尻ペンペンして下さいって、おばさん達に言ってたわね?あれはウソだったの?」
「…う…、うぞじゃ…、ない……。」
「…だったら、もっとしっかりごめんなさいって言いなさいっ!」
…ピッシャァァァァァ〜ンッ!!!
「…ぎゃああああ〜っ!!?」
「…まだまだぁっ!!」
…バチィィィィィッ!!!…パァァァァァンッ!!!…バッチィィィィィ〜ン!!!
「…ヒィィ…、ヒィィィィ〜ッ!!?」
麻希の母親は…、拓也の態度に業を煮やした様子で、突然、火が点いたように拓也を叱責し始めた。
周りの母親達も、その変わりように驚く。
「…え…、何あれ…、麻希ちゃんのお母さん、怒るとあんなタイプだったの…?」
「…あ〜…、…え〜っとですね…、麻希ちゃんのお母さんって、普段は大人しいんですけど…、ずっと運動部のキャプテンとかやってたせいか、熱が入るといっつもあんな感じで…。」
「…そ、そうなんだ…。…確か、学生時代からバレー部なんだっけ…?」
「…はい。…さっき、"男の子にお尻ペンペンするのは初めて"って言ってましたけど…、女子バレーのコーチもやってたはずなので…、たぶん、女の子達相手には、相当…。」
「…あぁ〜、そりゃ慣れてるはずだわ…。」
麻希の母親は温厚そうに見えて、実はバリバリの体育会系であり…、悪いことをしたのにはっきりと反省の態度を示さない拓也に、指導者としてのスイッチが入ってしまったのだった。
「…ほら拓也君っ!!大きな声で!ごめんなさいはどうしたのっ!?」
…バチィィィィィッ!!!…ピッシャァァァァンッ!!!…パァァァァァ〜ンッ!!!
「…いだぁいっ!!?…ひっぐ…、ごべんなざいぃ〜っ!!」
「…まだまだっ、声が小さいっ!!!」
…ピシャァァァァァァンッ!!!
「…ひぎぃぃぃぃぃ〜っ!!?」
麻希の母親は、一度熱くなるとなかなか止められない性分らしく…、周りの母親達もどうするべきか少し迷っていた。
「…あ〜あ〜あ〜…、あんなに思いっきりお尻ペンペンしたら…、拓也君、最後まで保たないんじゃない…?」
「…別に、良いんじゃないですか?…どのみち、1人30回って決まってるわけだし…。…悪戯が過ぎたお仕置きなんだから、効かないよりは、よ〜く反省して貰った方が…。」
「…だからって…、やり過ぎは駄目よ…。あくまで躾の一貫として皆やってるわけで…。」
拓也へのお尻ペンペンについて、母親達の議論が白熱する。
…冷静に考えて、その輪の中に拓也の母親が含まれていないのはどう考えてもおかしいのだが…、集まっている母親達は、そのことに疑問すら抱いていない。
(…うふふ…っ、…"拓っくん"ったら…、こ〜んなに厳しく叱ってくれるお母さん達が一杯増えちゃって…、今どんな気持ちかしら…?)
勇太の母親である奈津子は、拓也に"お尻ペンペン"する母親達が増えたことを、心から嬉しく思っていた。
奈津子にとっては、拓也はすでに我が子同然であり…、他の母親の手でお尻ペンペンされる"悪戯の過ぎた息子"を見守り続けることも…、母性の強すぎる奈津子には、幸せと感じられる時間なのだった。
「…ほら拓也君っ、泣いてるだけじゃ駄目でしょう!?…ここに居るおばさん達になんて言うのっ!?」
…バッチィィィィィ〜ンッ!!!
「…ひぃぃぃぃ〜っ!!?…ごっ、ごべ…!!ごべんなざいぃぃ〜っ!!?」
「…そうっ!!ごめんなさい言えるじゃないのっ!!…どうしてそれを最初から大きな声で言わないのっ!?」
…パァァァァァァンッ!!!…ピシャァァァァァン!!!
「…いだいっ!!?…いだぁぁいぃ〜っ!!?」
「…悪戯をしちゃったことと、反省する気が無いのは別よっ!?拓也君っ!」
…バチィィィィィィンッ!!!
「…うわぁぁぁぁん!!?…ごべんなざいぃぃ〜!!!」
麻希の母親は完全に怒りモードになっている。
彼女にとって、"お仕置き続行"に素直に応じられなかったことはどうしても許せない事だったらしく…、そこに拓也の男らしくない態度も重なり、指導者魂に火を点けてしまったのだ。
「…ぐずっ…、ぐずっ…、ひっぐ…!!」
「…家の麻希だったら、もう一度ゼロ回からやり直しよっ!?…拓也君、もう反省は出来たのっ!?」
問い詰めるような麻希の母親の叱責に、拓也は必死に答える。
「…ひっぐ…!!…は、はんぜい…、しでまずぅぅ〜っ!!!」
「…良しっ!!…なら予定通り…、あと3回っ!!!…ちゃんとごめんなさいするのよっ!?」
「…ぐずっ…、はぃぃぃ〜っ!!!」
麻紀の母親はそのやり取りを終えると、ひと呼吸置いてから右手を振り上げる。
…ピッシャァァァァァァ〜ンッ!!!
「…あいぃぃぃ〜っ!!?…ごべっ…、ごべんなざいぃぃ〜っ!!?」
「…はい良しっ、あと2回っ!!」
…バッチィィィィィィ〜ン!!!
「…ぐぁぁぁぁぁっ!!?…ごべん…、ごべんなざい…っ!!!」
「…さっきより声が小さいけど…、まぁ良いでしょう。…ほら最後よ、今までで一番大きな声でっ!!」
…パァァァァァァァ〜ンッ!!!!
「…いだぁぁぁぁ〜っ!!?…ごべっ…、ごべんなざいぃぃぃ〜っ!!!!」
「…良し合格っ!!拓也君、もう悪戯なんてしちゃダメよっ!?」
「…はっ…、はいぃぃぃ〜っ!!!」
もう絶対にじまぜぇん…、その拓也の心からの叫びに、麻希の母親もようやく納得したのか、今の今まで全力で叩いていた拓也の尻肌に、今度は優しく触れる。
「…あ痛…っ!?」
「…ふふっ…、もう触っただけで痛いわね?」
「…ぐずっ…、…はいぃ……。」
「…そりゃあ…、こんなに沢山お尻ペンペンされてるんだもの、当然よね?…お尻、少し触っただけでこんなに熱いし…。」
「…ひぁっ!?」
「…でもね拓也君、ここに居るお母さん達…、みんなそうだと思うけど、叩きたくて叩いてるお母さんなんて誰も居ないのよ?拓也君に良い子になって欲しくて、みんな心を鬼にして頑張っているの。」
「…ひぐっ…、…はいぃ…、わがっで、まず…。」
「…良い子ね。…それじゃ、おばさんからはこれでお終い。…あぁ、それから…。」
「…っ!?」
まだ叱られるのかと思い、身構える拓也だったが…、どうやら違うようだった。
「…こんな怖〜いおばさんの娘だけど…、これからも麻希と仲良くしてあげてね?」
麻希の母親は、拓也の耳元で囁くように呟く。
拓也は何度も頷き、肯定の意思を示しながらも…、ここにきて、ある事が気がかりになっていた。
(…うぅ…、これじゃ明日、学校で顔を合わせた時に…、麻希ちゃんのお母さんのお尻ペンペンを思いだしちゃうよ…。)