もし拓也が"恥ずかしいお尻ペンペン"を受け入れなければ…、また"痛すぎるお尻ペンペン"に戻されてしまう…。
"5歳児扱い"など…、もちろん拓也も絶対に嫌だったが…、それと引き換えに、あの地獄のような痛みから逃れられるならば…と、結局は受け入れるしか選択肢が無いのだった。
「…うふふ、決まった…?じゃあ…"拓也ちゃん"、"お母さん"のお尻ペンペン…、お約束通りに受けられるかな?」
「…うっ…、はいぃ…。」
「…はい。…良い子ね?…それじゃあ"拓也ちゃん"、ピーマンをお残しした罰ですよ?…3切れお残ししちゃったから…、30発ね?…この前、"お母さん"とお約束したもんねぇ?」
「…は、はい…。」
謙太の母親は、"1人につき30発"という拓也への尻叩きの数を"ままごと"の中へ自然と盛り込み…、まるで最初からそう決まっていたかのように、拓也を膝の上へ寝かせる。
「…いきますよ?…"拓也ちゃん"。」
「…はい…っ。」
(…うぅ〜っ、…痛くないって言っても、どうせ…、)
…パチッ!
(…えっ?)
…パンッ!…ピシッ!…パシッ!…ピシャッ……、
(…あっ…、あれ…っ?…ほんとに、痛くないの…?)
拓也は拍子抜けしたのか、あまりの軽さに驚きを隠せない。
…しかし、"痛くない"ことがイコールで甘い罰では無いのだと、拓也はこのあと思い知らされる。
…パシッ!…パシンッ!…パァンッ…!
「…"拓也ちゃん"…、お母さんのお尻ペンペン痛いねぇ〜?」
「…うっ…、はっ…、はい…。」
周りの母親の1人が、拓也に声を掛けてきた。
「…好き嫌いしたら大きくなれないよって、お母さんに叱られちゃってるんだもんね〜?…ちゃんと"お母さん、ごめんなさい"って大きな声で言わないと…、"拓也ちゃんのお母さん"、いつまで経っても許してくれないんじゃないかな〜?」
「…えっ…!?」
「…あら、それは名案…、…じゃなかった、…"拓也ちゃん"?…さっきからずっと、"お母さん、ごめんなさい"が聞こえないわよ?」
(…えっ、ほ…、ほんとに言うのぉ…っ!?)
拓也は…、謙太の母親のお尻ペンペンが痛くなかったことで、母親達の行う"ままごと"上のお尻ペンペンは、今までほどは辛くないのだと思いかけていた。
…痛みに関しては、確かにその通りなのだが…、痛くないぶん、色々な事を"考え"させられてしまう。
「…ほら"拓也ちゃん"、"お母さんごめんなさい"は?」
…パシッ!
「…うっ!…お、お母さん…、ごめん…、なさい…。」
「…そうよ、"ピーマン食べられなくてごめんなさい"は?」
…ピシッ!
「…っ…!…ピ…、ピーマン食べられなくて…、ごめんなさい…。」
「…そうよね?…食べものを粗末にしちゃいけませんって、お母さんいつも言ってるでしょう?」
…パァンッ!
「…痛っ…、…おっ、お母さん…、ごめんなさい…っ。」
拓也は謙太の母親のことを、"お母さん"と何度も呼ばされ…、そのたびに、"ごめんなさい"と謝ることを強要されている。
それが、この"ままごと"のルールであり…、拓也も"5歳児"としてきちんと参加しないと、いつまでも終わらないのだ。
…ただ痛みに耐えるだけだった、先ほどまでの"お尻ペンペン"とは…、辛さの質がまた違うのだった。
(…ぐぅぅ〜っ…、は…、恥ずかしすぎるよぉ〜っ…!?)
拓也は顔を真っ赤にしながらも要求に従っているが、見ていた母親の1人が、こんなことを言い始めた。
「…でも何だか、"覚えた台詞を言ってる"だけに聞こえちゃうわねぇ〜?」
(…えっ…?…こ、今度は何…!?)
「まだ、心から"お母さん"だと思えてないんじゃない?…先にそっちの練習をして貰ったら?」
「…なるほど、それもそうね…。」
「…"拓也ちゃん"、"お母さん"って呼んでみて?」
「…えっ…!?…で…、でも…!?」
「…どうしたの?…さっきはちゃんと"お母さんごめんなさい"って言えてたと思うけど…。…やっぱり、ただ言いなさいって言われたから言ってるだけだったの?」
「…あ、あぅ…。」
「…いけない"拓也ちゃん"ね?…そんなに"お母さん"にお尻ペンペンされたい?」
…バチッ!!…パァンッ!…バチィッ!!
「…ひぐっ!!?…痛だっ!!?…だっ、だってぇ…!?」
心なしか威力を増した"お尻ペンペン"に、拓也の緊張感が高まる。
…下手なことを言えば、また"痛すぎるお尻ペンペン"に戻されてしまうかもしれない…。
「…ちゃんと"お母さん"って言えない子は…、いつまで経ってもお尻ペンペン止めませんからね〜?」
…パシィッ!!…パンッ!…バチッ!
「…ヒッ!?ヒィィ〜ッ…!!?」
拓也は謙太の母親の叱責を、自分の母親にされている時のように錯覚し始めていた。