「…あら…、私…?…ふふ、本当に私で良いのかな〜…?」
「…えっ…?」
「…桃ちゃん、遅かれ早かれ順番は回って来るんだから…、選ばれたのなら、ちゃんと"拓也ちゃん"の"お母さん"してあげてね?」
「…は〜い、わかってますよぅ…。ちょっと"素"が出ちゃっただけじゃないですかぁ…。」
(…な、なに…?…このおば…さん…?…って言うか…、若すぎない…?)
拓也は今まで緊張で気付かなかったが…、"桃ちゃん"と呼ばれたその女性は、周りにいる母親の長女だと言われても信じてしまいそうなほど若く見える。
大学生…、いや、見る人によっては高校生ぐらいに見えてもおかしくない。
「…これでもちゃ〜んと、小学生の子供が居るんです〜…。…さっ、"拓也ちゃん"?…"怖〜いお母さん"の、お尻ペンペンの時間ですよ〜?」
「…うっ…、は…、はい…っ。」
あと3人我慢すれば、"お仕置き"から解放して貰える…。
拓也はそれだけを考え、耐え抜こうとしていたのだが…、またここにきて、違う恥ずかしさが芽生え始めていた。
…"お母さん"というよりも、"お姉さん"にしか見えない女の人が…、まもなく自分の"お母さん役"として、お尻ペンペンしようとしている…。
「ほら、どうしたの"拓也ちゃん"?早く"お母さん"のとこいらっしゃい。」
「…うっ、うう…っ。」
10人の母親達による、連続お尻ペンペン…。
…その8人目ともなれば、さすがに拓也も叩かれること自体には慣れるだろうと思っていたが…、途中から"恥ずかしさ重視"のお尻ペンペンに切り替わったこともあり…、ここで見知らぬ若い母親を選んでしまったことは、拓也にとっては大きな失態とも言えた。
「…さ〜あ"拓也ちゃん"〜?お尻ペンペンしましょうね〜?」
(……っ…!)
…パシッ!
「こっちのお尻もよ〜?」
…ピシャッ!
"桃ちゃん"と呼ばれた女性のお尻ペンペンは、今までの7人と比べると明らかに軽い。
…しかし拓也にしてみれば、それが、より一層の恥ずかしさを生み出してしまう。
「…ほら"拓也ちゃん"、ごめんなさいは〜?」
…ピシャンッ!
「…あっ!?…ご…、ごめんなさい…、"お母さん"…。」
「…あら、良い子ねぇ〜?催促していないのに、自分からちゃんと"お母さん"って言えたねぇ〜?」
(…うぅっ…!?)
拓也はつい、今までの流れから…、"桃ちゃん"に対して、自然に"お母さん"と口に出てしまった。
後から指摘され、猛烈な羞恥に襲われる。
(…うっ、うわぁ〜…っ!?僕いま…、言わされてもないのに、自分から…!?)
お仕置きとして"ままごと"を演じさせられ…、"言わされている"うちは、まだ良かった。
ついに自分から…、知らない誰かの母親のことを"お母さん"と呼んでしまい…、拓也の中で、何か大事なものが壊れていくような気がした。
(…うううっ…、僕…、な…、なんで…っ!?)
「ほ〜ら"拓也ちゃん"、もう1回よ〜?」
…ピシャッ!
「…うっ!……おっ、"お母さん"…、ごめんなさい……。」
「…は〜い、よく言えました〜。…でもまだ"お母さん"、お尻ペンペン止めませんよ〜?」
…パァンッ!…パシィッ!…ピシャンッ!………、
" 桃ちゃん"のお尻ペンペンは、拓也にとってもほとんど痛くはなく…、現状、"ただただ恥ずかしいだけ"の罰であった。
…しかし痛くないことで、これは"ままごと"であるという空気感はどんどん増していき…、拓也は1秒でも早く終わって欲しいという羞恥心と戦いながら、ひたすら耐え抜くしかないのだった。
…パンッ!
(…うっ…、ううぅ〜っ…!?)
…ピシャッ!…パシンッ!
(…こっ…、これじゃ、まるで…!?)
…パシィッ!
(…本当に、5歳の幼稚園児みたいだよォォ〜っ!!?)
…痛くて泣いてしまうほどの"お尻ペンペン"も、もちろん辛かったのだが…、あまりにも過剰に手加減され、5歳の悪戯っ子にするように…、甘〜くお仕置きされるというのも、小学生の拓也にとっては非常に屈辱的で耐え難かった。
"桃ちゃん"はそのことも理解した上で、拓也に"お尻ペンペン"しているように思える。
…さらにもう1つ、拓也にある事実が突きつけられる。
「…さすがは桃ちゃん、ピアノの幼児教室やってるだけのことはあるわね〜?」
(…えっ…?)
「…4〜5歳の子が中心なんで、慣れてはいますけどね…。でも…、さすがに最近は、あまり表向きには叱らないですよ?」
(…よっ…、幼児教室って…!?…僕も本当にいま、その子達と同じように扱われてるってこと〜っ!!?)
そう意識した瞬間…、拓也は恥ずかしさで震えが止まらなくなった。