突如、"桃ちゃん"と母親達による真面目な躾の会話が始まってしまい…、"ままごと"とはいえ、その"桃ちゃん"の膝の上で"お尻ペンペン"されている最中の拓也にとっては、この上なく余計な"延長"だった。
(…うぅ〜っ…、早く終わって欲しいのにぃ〜っ…!?)
その後もしばらく、母親達によるピアノ教室の罰に関しての問答は続き…、話は思わぬ方向に向かうことになる。
「…でも…、今の時代は、あってもその程度ですよ?…母の時代は、もっと凄かったですけど…。」
「…え、お母さん…?」
「…あぁ、"桃ちゃん"のお母さんも昔から…、ピアノの先生をやってたんですよ。」
「へぇ〜っ、知らなかった…。」
「…じゃあ、親子2代でピアノの先生ってこと?」
「…そ、そんなに大げさなものじゃ〜無いですけど…、はい、まぁ…、一応…。」
「…すっご〜い。ご家族の中に2人もピアノの"先生"が居たら…、お子さんも嬉しいでしょうね〜?」
「…いや〜、どうでしょう…?嬉しいっていうよりむしろ…、家の子にとっては"恐怖"の存在だったかもしれません。」
「…えっ?"桃ちゃん"のお母さんって、お孫さんにもそんなに厳しかったの…?」
「…はい。…まぁ、私の頃よりだいぶ甘くなってはいますけど…、孫相手にお尻ペンペンも普通にしますし、家の子も、お仕置きですって言われたら素直にお尻を出してますね。」
「…うわぁ〜っ、そっかぁ…、厳しいお母さんが、家の中に2人居るようなものだものね…?」
「…確かに、子供にとっては恐怖かも…。」
母親達はその環境を想像し、何人かは自分の尻に手をやっていた。
…昔叩かれていた時の記憶が蘇ったのだろうか。
「…あの頃の母は、ピアノ教室の子達にも普通に"お仕置き部屋"を使ってましたからね…。」
「…えっ!?…お、お仕置き部屋…!?」
「…はい。ピアノを練習してる部屋の隣がそうで…。母の頃はまだ小学生が中心だったんですけど、座っていられないほどお尻ペンペンされて…。でも、即練習に戻されるんです。」
「…す、すごい話ですね…。お仕置き部屋…?」
「…あらっ?単なるお仕置き部屋なら、ウチにもあるわよ?ピアノ教室の中に、ってのは驚きだけど…。」
「…家にもありますよ〜?…家の場合、仏間がそういう感じかな?…昔よく、押入れに閉じ込めていた名残りで…、今もよくその押入れの前で、お尻ペンペンしてます〜。」
母親達のうち何人かは、まだ家に"お仕置き部屋"が残っているらしく…、"桃ちゃん"の話に次々共感している。
…今まさに"お仕置き"されている最中の拓也は、もちろん恥ずかしくてたまらないのだが…、もう1人、この話題が続けば続くほど、表情がどんどん気まずくなっていく人物が居た。
…"桃ちゃん"本人である。
「…あ、あのぅ〜、…この話、そろそろ止めにしません?…ほ、ほら…、まだ"拓也ちゃん"に、お尻ペンペンしないといけないですから…。」
「…あら、そう?滅多に聞けない話が聞ける良い機会だから…、もっと詳しく聞きたかったんだけど。」
「…で、でも、ほら…、"拓也ちゃん"、待ちくたびれちゃってますし…。」
(…え…っ?)
拓也にも、なぜか"桃ちゃん"が少し焦っているように見える。
…その理由を察したのか、勇太の母親である奈津子が口を挟む。
「…うふふっ、…"桃ちゃん"、どうしてそんなに焦っているのかな〜?」
「…あっ…、おば…、じゃなかった、勇太君のお母さん、そ、そんなことないです…、よ…?」
「…あら〜っ、"桃ちゃん"ったらぁ…、すっかり立派な"お母さん"になったわねぇ〜?…ふふっ、ついこの間まで、私にお尻ペンペンされてエンエン泣いてたのが嘘みたい…。」
「…ちょっ!!?…な…、奈津子おばさんっ!!?」
(…えっ…!?)
「…はいはい、何ですか〜?…まったくもう…、いくらバレたら恥ずかしいからって、"勇太君のお母さん"なんて今まで一度も呼んだこと無いでしょう?…うふふっ…、意地悪したくもなりますよ。」
「…うぅぅ〜っ…。」
"桃ちゃん"は拓也を膝に寝かせたまま…、自らも急激に赤面していく。
まさかこの話を暴露されるとは思っていなかったらしい。
「…えっ…、もしかして"桃ちゃん"って…、勇太君のお母さんと親戚なの…?」
「…えぇ。昔からよ〜く家に遊びに来てた子ですよ?…お尻ペンペンも、何度もした事あるんですよ〜?」
「…おっ、おばさぁ〜ん…。」
「…ふふっ、自分で"お仕置き部屋"の話題を振ったんだから…、少しぐらい恥ずかしいのは我慢しなさい。」
「…ちぇ〜っ。」
(…えっ…!?…じゃ、じゃあ…、前におばさんが言ってた"親戚の子"って、まさか…!?)