今までほとんど痛くなかった"桃ちゃん"のお尻ペンペンが、すっかり痛いものに変わってしまった。
…どちらかと言えば、こちらが本当に、我が子が悪さをした時の"お仕置き"なのだろう。
…拓也はそれを、身に沁みて感じている。
「…ほ〜ら"拓也ちゃん"、"お母さん"の言うことが聞けない子は…、こうなるのよ〜?」
…パァァァァァ〜ンッ!!!
「…痛だぁっ、…痛だぁぁ〜っ!!?」
「…えぇそうねぇ…、痛いよね〜?…毎回素直に"お母さんごめんなさい"ってちゃんと言えてたら、こんなことにはなってないのにねぇ〜?」
…バチィィィィィッ!!!
「…ひぅぅぅぅ〜っ!!?…ぐずっ、…ぐずっ…!!」
…拓也は決して、強情を張って謝らなかったわけではなく…、"ままごと"での5歳児扱いや、"桃ちゃん"に関する衝撃的な話に気を取られ…、つい言うのを忘れてしまっただけである。
…もちろん、母親役の"桃ちゃん"もそんなことはわかっているが…、裏には、拓也のことを気遣う事情があった。
(…うぅ〜…、この"拓也君"のお尻…、もう限界だろうなぁ…。…私も本当は叩きたくない…、…けど…。)
もし自分がここで手加減したら…、"奈津子おばさん"にお尻ペンペンの役割が移ってしまう…。
…それだけはどうしても避けてあげたいからと、"桃ちゃん"は敢えて自分が嫌われ役になっても、拓也へのお尻ペンペンを強めにすると決めたのだった。
…ピッシャァァァァンッ!!!
「…ああああ〜っ!!?」
…バッチィィィィン!!!
「…いだい…、いだいぃぃ〜っ!!?」
…パァァァァァァンッ!!!
「…おがっ…、おがぁざんごべんなざぃぃ〜っ!!…ひっぐ…、ひっぐ…!!?」
拓也はあまりの痛みにもう訳もわからず、泣きながら「お母さんごめんなさい」と叫んでいた。
「…あらあら…、"5歳の拓也ちゃん"ったら…、ようやく"お母さん"の言う事が聞けるようになってきたみたいですよ〜?」
「…ホントですね、どうしますか?"拓也ちゃん"の"お母さん"。」
「…う〜ん…、…ここで簡単に許したら、うちの"拓也ちゃん"はまたすぐに悪戯をしちゃうので…。」
…バチィィィィィッ!!!
「…ひぎぃぃぃぃ〜っ!!?」
「…あと少し、懲らしめてあげることにしますね?」
そう言いながらも"桃ちゃん"は、チラチラと奈津子のほうを気にしている。
(…もぉ〜っ…、奈津子おばさんったら…、そろそろ止めに入ってくれても良いのにぃ〜…!?…"拓也君"のお尻…、もうこんなに腫れちゃってるよぉ…!?)
…ピシャァァァァッ!!!
「…あ痛ぃぃぃぃ〜っ!!?」
…パァァァァァァンッ!!!
「…ひっぐっ…、…ぐずっ…!!」
…バッチィィィィィン!!!
「…いだひ…、いだぃよぉぉ〜っ…!!…ぐずっ…!!」
(…ごめん…、ごめんね"拓也君"…、あとちょっとで終わりのはずだからね…!?)
"桃ちゃん"は、拓也へのお尻ペンペンをこれ以上続けたくない気持ちを必死に押し殺し…、"お仕置き"として、周りの母親達も納得するであろう強さを意識しながら、平手を振り上げ続けているのだった。
…ピッシャァァァァァンッ!!!
「…あああああ〜っ!!?…ひっぐ…、ひっぐ
っ…!!」
拓也も何とか我慢してはいたのだが…、"10人の母親達"による"連続お尻ペンペンの刑"は、"桃ちゃん"で既に8人目だ。
…途中から、"痛くないお尻ペンペン"が混じっていたとはいえ…、拓也の尻はもうさすがに限界だった。
「…いだぃ〜っ!?…いだいよぉぉ〜っ!!?…おがぁざん…、ごべんなざぃぃ〜っ!!?…ひっぐ…、…ひっぐ…!!!」
本気で涙を流している拓也に、周りの母親達も同情し始める。
「…ね、ねぇ…、さすがにもう、そろそろ…。」
「…う、うん…、許してあげても良いんじゃない…?」
(…そうっ、そのと〜り!!ママさん達…、お願いだからもっともっと言ってやって〜!!)
"桃ちゃん"は、奈津子のお尻ペンペンの威力を自分がよく知っているぶん…、拓也が何とかこれ以上、奈津子に"追加のお尻ペンペン"を受けないようにと考えていたのだが…、その代償として、"桃ちゃん"自身は拓也に"本気のお仕置き"を与え続けてしまっている。
…仕方のない事とはいえ…、"桃ちゃん"の胸中は罪悪感で一杯になっていた。
(…うぅ〜、"拓也君"には絶対嫌われちゃったよねぇ…。…っていうか、もう本っ当に嫌いよね…。初めて会った日に、こんなにきつくお尻ペンペンしてくる人なんて…。)
"桃ちゃん"は、親戚である勇太の友人だという拓也に対し、本当は仲良くしたかったのだが…、状況が状況だけに、本気でお尻ペンペンするしかないのであった。