「で、では…挿れますね…」
「えっと…いつでもどうぞ?」
ぎゅっと目を瞑った私の下で、楽郎くんが応える。視界を封じた中で、両膝立ちの姿勢を取る私の下には、楽郎くんの肉槍が待ち構えている。膣口にあてがわれた肉の傘の表面を、雄と雌の混合液が、ぼたぼたと垂れ落ちて伝っていく。
私の意思で、私から楽郎くんと繋がる。普段とは違う情交の雰囲気に内心緊張を抱える中、右手の指二本で割れ目を広げ、今一度そそり勃つ男根を迎え入れる。
「う…おっ、クッ…!」
「はッ、あ…楽郎くんの、入って……んぁああっ!」
亀頭が浅瀬を擦る快美感に力が抜け、一息に腰を根本まで落としてしまう。自らの体重で奥深くまで突き刺さる剛棒に、目を見開いて天を仰ぐ。女を雌に変える欲望器官の前では、たった今抱いていた緊張など、どこかへとすっ飛んでしまった。
肉の隧道をさらに押し広げながら子宮口を押し上げる肉棒の圧迫感に息が詰まる。性の渇望が満たされる悦楽にめまいがした。ただ荒く息を継ぐだけで、腰から首筋まで甘美な電流が駆け抜け、歓悦が止まらない。
「ぁんっ♡ んああっ……ふあぁっ、はぁあんッ!」
肉鉾が抜ける寸前まで引き上げた腰を、再び根本まで叩きつける。ベッドのスプリングが返す反動も利用した、激しい上下運動で牡のシンボルに奉仕する。尻肉を楽郎くんの太腿の上でばちゅばちゅとバウンドさせ、音と感触の両方で楽郎くんを愉しませる。
「はぁっ、んぅうっ、んふっ、んひぃっ♡♡」
あるいは、腰を円を描くようにグラインドさせ、膣全体で肉棒を味わい、尽くす。粘膜襞は剛直を扱き上げ、牡の寵愛を請い続ける。ぐりぐりと腰を押し付けながら左右に揺すれば、出っ張ったエラが襞肉を掻き、失神しそうな快楽に腰肉が蕩けた。
奉仕を続ける中で思う。やっぱり私は、楽郎くんには敵わないのだと。
今こうして、私が上に乗り、私の意思で身体を動かしているのに、私は楽郎くんを『犯している』のではなく、楽郎くんに『奉仕している』と認識している。視覚的な立場の違いに意味は無く、根本的に私が楽郎くんに隷属しているのだ―――と、改めて実感する。
(ふふっ♡ そうと分かれば、もっと楽郎くんを楽しませないと…♡)
上半身を傾け、楽郎くんの頭上に覆い被さる。ぶつからないように、腕をベッドに突いて身体を支えて。
「っ……!」
腰の動きに呼応して目の前でふるふると揺れる胸肉に、楽郎くんが息を呑んだ。
私の胸に、楽郎くんが情欲の視線を向けている。喜悦に頬が緩んで、もっと大胆になってしまう。
「ぁはっ♡ 見てるだけで、良いん…ひゃうん♡」
「良いわけっ、あるかあ!」
言い切る前に楽郎くんの手が私の乳房に伸びた。
外側から押し付け合うように揉み込まれたり、上下互い違いに弄ばれる。
「…ん?」
私の胸を支えるように持ち上げていた楽郎くんが、ふと怪訝な顔をする。
「ど、どうし、ました…?」
「玲さん、ひょっとして……胸、大きくなってない?」
驚きのあまり腰が止まる。私自身、着替えの中で最近ようやく気づいたのをこんなにあっさりと。
(本当に、楽郎くんは私のこと、なんでもお見通しですね…)
「気づいてしまい、ましたか…」
「えっマジで?」
「高校生になってからは…成長はほとんど止まってたんですけど…最近になって、ですね……。下着が段々、きつくなってきていて…」
「………そりゃあ、また」
この際ついでに聞いてしまおう。楽郎くんがこのことをどう思うのか。
もし楽郎くんが巨乳嫌いとかであったのなら、何か対策をしなければならない。
「楽郎くんは、私のおっぱいが成長するの、嫌、ですか…?」
「……ハハハ」
楽郎くんの手が胸を離れ、わなわなと震えながら私の尻肉を鷲掴みにする。
「んうっ…♡ ら、らくろうくん…?」
「これが俺の答え…だっ!」
「え――んぃいいいっ!」
私が動きを止めた時よりもさらにガチガチに張り詰めた熱棒が、膣奥まで一瞬で貫いた。腰が止まっていた間に肉壷を満たしていた潤滑液が押しのけられ、結合部から派手に飛び散る。雷のような肉悦が脳芯を貫き、総身から力が抜けて、楽郎くんの上に倒れ込む。
「はぁっ、ひぃっ……ら、らくろう、く…」
「嫌なわけがあるかあ! 俺が! 玲さんの胸を育てたのかと思うと! なんとなく努力が報われた気分になったし……めっちゃ興奮するっつーの! 育てようなんて意識したこと無かったけど!」
私がのしかかっていることなど気にもとめず、楽郎くんは抽送を始める。さっき味わったばかりの、欲望任せの激しい突き上げ。しかし体位が異なることで、得られる甘美はまた違う味わいに変わる。
「んっ♡ やあっ♡ これっ、ちくび、こすれてぇっ♡」
襞を刮ぐようなピストンの度に、密着した互いの身体が擦れ合って上ずった媚声が漏れる。膣から奔る鮮烈な刺激と、胸から滲む快美感が重なり、甘ったるい性悦が桃色の息を継がせた。
「人の耳元でっ、あっまい声出しちゃってさぁ…っ! っく…また精液上ってきた…! 玲さんッ、また出すからなっ!」
「はぁっ♡ んふうっ、はっはいぃっ♡ だしてっ、楽郎くんの精液っ、私に受け止めさせてくださいぃっ!」
もう、中に出していいかなんて聞かれるまでもない。腰がギリギリまで引かれてから、渾身の力で剛棒が叩き込まれる。逞しい亀頭冠の肉削ぎに快楽電流が迸り、肉の愉悦に脳が灼け爛れる。シーツを握りしめる手に血が滲みそうな程の力を篭めた瞬間、下腹部の熱塊が噴火を起こした。
「イけっ、玲さんッ!」
「はッ、あッ……イッ、~~~~~~~~っ!!」
息を詰め、背筋を丸めて声にならない歓喜の咆哮を上げる。激しくも甘い悦楽の波濤に全てが攫われていく。子宮の奥に叩きつけられる牡のしぶきが下腹部を充足させ、下腹部全体がどろどろに蕩けていく。
楽郎くんは剛直を引き抜いて、私の体を横向きに寝転がす。汗だくで真っ赤な顔を向け合って、しばし無言で見つめ合う。
やがて、楽郎くんが口を開いた。
「まあその…玲さんの胸は、なるようになるのが一番だと思います…」
『大きくなるのは良いことだけど、無理はしなくていいよ』。そんな意味を感じ取って、胸がほわりと温まる。
「…じゃあ、そうしますね♡ …んっ」
その優しさに感謝を込めて、楽郎くんの頬に軽く口づけする。火照った頬は熱くて、唇が火傷するかと思うほどだった。
代わりに、楽郎くんの別の場所が、火傷しそうな程の熱を抱く。
「…いまので、完全復活しました」
「…♡」
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「結局…ふうっ、最後はっ、
「でもっ…あぁっ、らくろう、んっ♡ くんも…好き、でしょう…?」
「そりゃ…まあねっ…!」
「ぁ、深いっ…んぁあああっ♡」
今日、もう何度目か数えることも出来ない絶頂に、楽郎くんの耳元で甘い嬌声を立てる。この体位ではこうならざるを得ないので仕方がない。
正常位のまま、私の足を楽郎くんの腰に蟷螂のように絡め、外れないようにがっちりと固定した姿勢。俗に『だいしゅきホールド』とも、言う。ただ私達の場合は、絡めるのは足だけではない。
楽郎くんの腕は私の背中とうなじに。私の腕は楽郎くんの首元に。それぞれ回して上半身もひしと密着させる。お腹も、胸も、とにかく全部が擦れ合う。ナメクジのように肉体全てを絡ませて、身体を流れる汗も涎も涙も、どちらのものかわからないくらいに溶け合わせる。
暑くて、息苦しくて、動きづらくて。でもその全てが、愛情の下で快楽物質に変換される。
単純に肉体的な快楽を求めるのであれば、この体位より気持ち良くなれるものはある。けれど、互いの身体が本当に一つになってしまうような、脳髄を焦がす多幸感は、他ではそうそう味わえない。
だから、その日最後のセックスにこの体位を選ぶのは、私達のお決まりになっていた。
「はあっ、はぁっ…玲さん…舌出して舌っ…」
「ふぁ…♡ はぁ、い……んっ、れるっ…ちゅぷ…」
腕や足だけでは飽き足らず、舌まで絡ませ合う。重力に引かれて零れてくる楽郎くんの唾液を、喉を鳴らして飲み下しながら、舌が蕩けるような甘い接吻に時を忘れて没頭する。
全身を包む『しあわせ』に呼応して、媚肉襞も一層淫らに肉棒を舐り上げる。下腹部に力を入れて鉄棒を締め付け、膣全体で楽郎くんを愉しませる。引き抜かれる際の雁首に膣天井を掻かれ、視界に火花が乱舞する。同時に粘膜が肉竿全体を愛撫し、肉交の熱と至福を分かち合う。
「ハァッ…玲さんっ、んむっ、ぷはっ、玲さんっ…、玲、さん…っ!」
「はあぁっ、楽郎くんっ…、ちゅっ、ぁ…♡ らく、楽郎くんっ…!」
朦朧とする意識の中で名前を呼ぶ。視界は桃色に染まりながら澱み、いくら鼻を鳴らせどこの空間に満ちる淫臭しか感じられない。味蕾は互いの唾液で埋め尽くされ、全身で感じ取れるのは、体液と肌のぬめり、熱さ、そして感触だけ。
もう、音くらいしか互いを認識できなかった。
思考力は焼け落ち、なんでこんな事になっているのかも忘れて、わけがわからなくなって。
ただ、理屈を失った『きもちいい』と『しあわせ』だけが全身を満たして。
「れい、っさ…! だすよ……っ、全部、全部だすっ……!」
「らく、ろーく、んっ……キス、キスしてぇ…♡ ――んむぅ♡♡」
『しあわせ』のダメ押しをせがむ私に、楽郎くんは応えてくれた。
どちらともなく腕の力を強め、より強く抱きしめ合う。
下腹部の奥底でどぱっとあふれた幸せのエキスが、突き込まれた男根を聖域に導く。
そして、欲望は解き放たれる。
―――びゅぐるるるっ! びゅぐっ! びゅぶっ! びゅぶっ、びゅぶーっ…!
「んうぅぅぅうううううーーーっっ♡♡♡♡」
秘奥のさらに奥に、雄液が大量に注ぎ込まれる。今日三度目の、しかしそれらとは全く異なる、肉体と脳の両方でオーガズムを迎えた真っ最中に放たれる灼熱の迸りは、あまりにも熱く、あまりにも強く、あまりにも気持ち良かった。
極限の至福に酔い溺れ、果てしない快楽に狂い啼く。唇同士をくっつけているためくぐもった声ではあったが、それは間違いなく歓喜を、喜悦を、悦楽を歌っていた。
―――どぷっ、どくっ、どぷどぷどぷ…っ
無限にも思えた射精が、ゆっくり、ゆっくりとその勢いを減じていく。幸せの時間は終わりを告げるのだと、否応なく思い知らされた。
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全て出し切った楽郎くんが、私の中からペニスを引き抜く。様々な液体に塗れ尽くし、それらの混ざった何かをぼたぼたとシーツに零す逸物を、私はぼうっと見ていた。
「あ゛ーつっかれた……立つ気も起きん…えっとティッシュ…いやもう諸々込みでタオルかこれ…」
何事かをつぶやきながら、楽郎くんが私の上を四つん這いになって、勉強机の方に向かっていく。
すぐ真上に、鼻が曲がりそうなほどの淫臭を放つ男性器がぶら下げられる。ぼやっとそれを眺めていた私は、ふと思った。
(きれいに……しなきゃ……)
楽郎くんの腰に腕を回して強引に自分の頭を持ち上げ、力を失った男根を口に含む。
「ちょっ、玲さ…!?」
肉竿全体にねっとりと纏わり付いた欲望の雫を舌で舐め取り、尿道の中に残った精液をちゅうちゅうと吸い出す。味は…なんだかよくわからないけれど、とにかく嫌いな感じではなかった。
「の……っふ……ッ!」
ちゅぱっ、と小さな音を残して頭を離すと、幾分かきれいになった陰茎が視界に映る。
よかった。
「はあ゛っ…玲さん…何やって――。…あっハイ、何もわかってない感じね…」
「……?」
楽郎くんが苦笑して頭を掻いている。どうしたんだろう。
「とりあえず、シャワー浴びようか。玲さん」
「そう…ですね」
エピローグは翌日か、年明けに投稿します。