前回の話からゲーム本編のデートとキャラクエ三話を経ている設定で書いているため、そちらを閲覧しないと少しわかりづらいかもしれません。
かなり長めなのでお暇な時にどうぞ…
これまでのわたしのこと
アレンさんの恋人になってから、わたしたちが所属するこの騎士団の仕事は忙しさを増していったような気がします。
お祭りや式典の警護のよく駆り出されるようになって、お給料を多く貰えるようになったり、街の人達から感謝の言葉を掛けてもらえるようになりました。
討伐任務にもよく出かけるようになって、皆さんがよく怪我をするようになったために、わたしは怪我の手当をすることが多くなりました。
花騎士の皆さんは世界花の加護のおかげなのか怪我の治りは普通の人よりも早くて、翌日には訓練をしたり任務に出る人も多いので、よっぽどの大怪我じゃない限りはあまり心配はしなくなりましたが、問題はアレンさんの方です。
剣術に長けている為か作戦の立案だけでなく実戦でもわたしたちを助けてくれるのですが、結構な怪我をしてても剣を振って害虫に立ち向かっていきます。
その勇敢な姿にはうっとりしてしまいそうになりますが、怪我をしているのに無茶をするのはやっぱり心配になっちゃうし、怪我の治りも普通の人並みだからお休みの日に一緒にデートに出掛けられなくなっちゃうこともあるのがつらいです。
この前のデート以外の休日は大体どちらかが体調を悪くするので、わたしも病弱な体を丈夫にしなきゃいけないと思いつつ、体調の悪い日はアレンさんが看病してくれるのが嬉しいと思ってしまったり…
恋人になる前に、怪我の手当てをするためにアレンさんの上半身は見たことがあるのですが、その時は逞しい体に見惚れて、顔を真っ赤にしすぎて熱を出してしまって逆に看病されてしまったこともありました。
その時のことを未だにアレンさんの手当てをするたびに思い出して、顔を真っ赤にしちゃうのも恥ずかしいです。
このところ忙しいせいで中々アレンさんと話が出来ていません。
お仕事の話は執務室でよくしますが、恋人らしい話は全然出来ていなくて、少し寂しい気持ちになっていました。
わたしはアレンさんと二人きりになるために、明日は早起きして剣の鍛錬をしている所にタオルとお水を持っていく為に、早く寝ることにしました。
最近は忙しいので、鍛錬中じゃないと二人きりになれそうになくて大変です。
わたしは早く寝る為に、布団に入って目を閉じるのでした。
愛情の眼差し
まだ空に太陽が登りきっていない頃、わたしは眠い目を擦りながら服を着替えて、水筒に水を汲んで、訓練所にで剣を振るっているアレンさんの元へ行きました。
「アレンさんっ、おはようございます。いるだろうと思って、タオルと水筒を持ってきました!」
元気に挨拶をして、手にしたタオルを差し出します。
「ああ、ありがとうゴデチアさん。良かった、今日も元気そうだね」
額の汗を腕で拭いながら、アレンさんは片手でタオルと受け取り、頭と顔を拭いていきました。
拭き終わった彼の気持ち良さげな顔を見てるとなんだか嬉しくて、心がぽかぽかしてきます。
それに、なんだかキラキラしてお伽話の王子様みたいに見えて、見てるだけで顔が赤くなって、ドキドキして…
体まで熱くなっていきます。
するとアレンさんは私を心配してくれたみたいで、こう言ってくれました。
「どうしたのゴデチアさん、僕の顔に何かついてるかい? それとも…僕に見惚れてるのかな? なんてね」
「えっ? ふ、ふぇぇ…ごめんなさい…見惚れちゃってましたぁ…」
わたしは泣きそうになりながらアレンさんを見つめて、素直に謝ります。
するとアレンさんは向こうを向いてしまいました。
「…僕の方こそからかってごめん。まさかそんなに素直に見惚れてるなんて言われるとは思わなかったよ…
ああそうだ、水筒を持ってきてくれないかな、喉も渇いたしちょっと落ち着きたいんだ」
アレンさんは少し照れ臭そうにしながら、わたしが渡した水筒の水を一気に飲み干してしまいました。
「ハァ…冷たくて美味しかったよ、ありがとう。そういえば今日は随分と早起きだね、どうしたんだい?」
落ち着きを取り戻した爽やかな笑顔にまた見惚れそうになりながらも、早起きした理由を話します。
「最近は忙しくて二人きりになる機会がなかったから…もしかしたら剣の鍛錬をしている時なら二人きりでゆっくりお話ができると思って….ご迷惑でしたか…?」
「タオルと水筒まで持ってきてもらっておいて迷惑だなんて思ってないよ。僕もゆっくり話がしたかったんだ。そうだ、僕の昔話を聞いてくれないかな? ゴデチアさんには聞いて欲しかったんだ」
アレンさんは真剣な顔で、わたしに話し始めてくれました。
過去を知って、想いを知って
「僕には子供の頃、二人の友達がいたんだ。イアンって男の子とメコ…メコノプシスって女の子。子供の頃は両親の騎士団の遠征のせいか、友達が出来なくて本ばかり読んでいたんだ。
その事を見兼ねた父さんと母さんは知り合いのベルガモットバレーの貴族の娘、メコノプシスを紹介してくれた」
「彼女は好奇心旺盛でベルガモットバレーの色々な場所に連れて行ってくれたし、読んだ本の話を楽しそうに聞いてくれていた。初めて出来た友達と遊べるのが楽しくて、皆に怒られるくらい遅くまで遊んでたっけな…
そんなある日、僕とメコは父さんに他の騎士団の詰所に連れて行って貰った時に、一人で本を読んでいたイアンに会ったんだ」
アレンさんの昔話を聞いていると、好きな人がわたしに昔の話をしてくれることが嬉しくて、聞き入っていました。
イアンさんとメコノプシスさんかぁ…いつか会って、二人からアレンさんの子どもの頃の話が聞きたいなぁ…
「イアンはそこの騎士団の団長の息子で、僕らと同じく本が好きで、すぐに仲良くなれた。
イアンは物語を書くのが上手くて、驚かせたり、ハラハラさせたりして楽しませてくれたり、僕らが出したアイデアを使ってくれて話を作ったりしてくれたんだ。凄く楽しかったなぁ…」
「イアンは将来は小説家になりたくて、周りの大人が剣術や戦略を教えてくるのを嫌がっていた。
その事を聞いた僕は自分が父さんの後を継いで騎士団長になって、イアンの父さんの騎士団も統合して率いてみせると言った。
そしてメコも家を継いで、僕達二人の仕事をサポートしてくれると言ってくれた。
その時のイアンの嬉しそうな顔を今でも覚えている」
「それからは、僕の両親の騎士団とイアンの両親の騎士団がブロッサムヒルに帰還するまでの間は三人でずっと遊んでいた記憶しか思い出せない、それくらいに満ち足りた日々だった。それから、また大人になったら再開しようと約束して、ブロッサムヒルへと帰って行ったんだ」
アレンさんの昔話を聞いているうちに、自分の小さかった頃に遊んだ動物さん達の事を思い出していました。
わたしの中にあの子達との大切な思い出があるように、アレンさんの中にも大切な思い出があって、それを話してくれている。
わたしに大切な思い出を話してくれるくらいに、アレンさんは信頼してくれている…心がぽかぽかしていつもより元気が湧いてきます。
一人で舞い上がっていると、アレンさんは少し悲しそうな表情をしながら、話を続けてくれました。
「ブロッサムヒルの王都に着く前に立ち寄った小さな町が害虫に襲われていて、二つの騎士団は力を合わせて戦ったんだ。
結果は全ての害虫の討伐には成功し、町の被害は少なかった。…だけど二つの騎士団は壊滅的な被害を受け、僕とイアンの両親は、この戦いで戦死した。
…あの時に感じた怒りと悲しみを、生涯忘れることはないだろう」
「それから僕はブロッサムヒルの父の実家…祖父母の家に引き取られた。そのためにその後のイアンの行方は分からずに少し寂しかった。
だけど寂しんではいられなかった。騎士団長になるために、戦略の勉強や剣の修行を死に物狂いでやらなければならないと、そんな暇はないと思っていたからだ」
アレンさんは真剣な顔をして、わたしを見つめてこう話を続けた。
「ゴデチアさん、悲しい話だけど僕は君に聞いて欲しかったんだ。
僕が騎士団長になった理由を…一つは父と母に憧れて、二つ目はそんな両親や騎士団の仲間達の無念を晴らすため、三つ目は行方不明になった友達を探す為。この三つが騎士団長になった理由で、君に出会うまで騎士団長を続けてきた理由だ。ゴデチアさん…?」
その話を聞いて、わたしは大粒の涙を沢山こぼしていました。
アレンさんは沢山の苦労と悲しみを背負って今迄頑張ってきて、これからも頑張ろうとしている…それを思うと切なくて、涙が止まらなくなっちゃいました…
「ぐすっ、アレンさん…今迄ずっと頑張ってたんですね…ひぐっ、ぐすっ、ご両親を亡くされて、友達とも離れ離れになって…ううっ、ぐすっ、ひっく…うぇぇん」
「ごめんねゴデチアさん、悲しませてしまって。だけどこの話を最後まで聞いてほしいんだ。
僕は君に出会って、もう一つ騎士団長を続ける目的ができた。それは、初めて好きになった君のために、全力で何かを成し遂げたい、君の願いを叶えてあげたい、君とずっと一緒にいたい。だから、笑って欲しいんだ」
そう言ってわたしの涙を指で拭ってくれました。
アレンさんはやっぱり優しくてまっすぐな人です。
初めて好きになった君のために…君の願いを叶えてあげたい…その言葉を信じて、わたしはある計画を実行に移すために、アレンさんにこんな提案をするのでした。
「…じゃあアレンさん、今日お仕事が終わったら、わたしの部屋に来てください。アレンさんのことを癒やしてあげます!
…そろそろ時間ですね。お仕事の準備をしましょうか」
「ありがとう、ゴデチアさん。じゃあ剣やタオルなんかを片付けて着替えてくるから、先に執務室に行ってくれないかな」
わたしは、はいと返事を返しながら、執務室へ向かって行きました。
今日のお仕事も、アレンさんを癒すのも頑張らなきゃ!
はじめてのひざまくら
今日のお仕事も終わって夕食までの自由時間、わたしはお部屋でアレンさんを癒すための準備を整えて、アレンさんが来るのを待っていました。
するとトントンとノックが鳴って「ゴデチアさん、もういいかな」とアレンさんの声が聞こえました。
わたしは「大丈夫です、入ってきて下さいね」とアレンさんに促すと、彼が入ってきました。
わたしは淹れたてのハーブティーをカップに注いで、アレンさんに渡します。
「心を落ち着かせる成分が入ったハーブティーです。最近お医者様に教えてもらって、美味しかったのでアレンさんにも飲んで欲しくて」
アレンさんは息を吹いて少し冷ましてから、カップに口を付けて飲んでくれました。
「…こういうのを飲むのは初めてだったんだけど、美味しいね。こんなに美味しいお茶を淹れられるのを見ると、勝手が全然違うのはわかってるけど、ゴデチアさんが作った手料理も食べてみたいな」
アレンさんはこうやってわたしを褒めて、喜ばせてくれます…って、手料理?
「てっ、手料理ですか…? アレンさんのお口に合うかどうかはわかりませんけど…近いうちに何か作ってみますね…
あうぅ…飲み終わったらこっちにきてくれますか…?」
手料理という言葉にドキッとしつつ、わたしは座布団の上に座って、耳かきのために綿棒を手に持って太ももをぽんぽんします。
「えっと、もしかして耳かき? …膝枕? いいの?」
「アレンさんを癒やしてあげるって言いましたよね? …だから大丈夫です、わたしのことは気にしないで、沢山癒されてくださいね」
恥ずかしいけど距離が縮むのが嬉しくて、少し大胆なことも出来ちゃいます。
ハーブティーを飲み終えたアレンさんは、わたしの太ももに頭を乗せてくれました。
「えっと…耳かきは耳の掃除だけじゃなくて、耳かきされている時の音に癒しの効果があるらしいです。だから耳かきでたっぷり癒しちゃいますね。
まずは右耳から…結構大きな耳垢がありますね、…取れました! 耳の複雑なところも…よしっ。
後は息を吹きかけて飛ばしちゃいますね。ふーっ、ふーっ…出来ました! 次は左耳ですね、頭を逆にしてもらえますか?」
頭を逆に向けてもらうと、アレンさんは突然とんでもない事を言ってきました。
「ゴデチアさんの太ももってさ、細いのにもちもちしてて柔らかいよね。膝枕してもらってるけど頭全然痛くないし、なんか甘い香りも…」
「えっ? きゃーっ!」
わたしは驚いて綿棒を思いっきりアレンさんの耳の穴に突き刺してしまいました…なんで急にそんなえっちな事を…?
「うわァァァ!! …ごめん、急に変なこと言って…
えっと…耳かきも膝枕も気持ちいいよ。恥ずかしいだろうに、ありがとう」
「うぅっ、わたしも綿棒を突き刺してごめんなさい…あっ、大きなのが取れました!次は細かいのをこうやってカリカリして…後は息を吹きかけて…ふーっ、ふーっ…はい、出来ました」
途中でやらかしてしまったけど、なんとかアレンさんの耳かきが終わりました。
でもアレンさんは耳かきが終わっても起きあがろうとせず、仰向けになってわたしの顔を見上げて、こう言いました。
「まだ時間はあるし、今度はゴデチアさんの話が聞きたいな。今朝は僕の身の上話で終わったからね」
わたしはアレンさんの顔を見下ろすのに新鮮な気持ちになりながら、話をすることにしました。
「アレンさん、剣を振って戦ってくれるのは勇敢でカッコいいし単純に戦力になるので嬉しいんです。
でも、前にも言いましたけど怪我をしているのに無茶はやめて下さい…アレンさんは世界花の加護を受けていないから怪我の治りは遅いんですから。
大怪我をして治せなくて…そのまま死んじゃうことだってあるかも知れません。そんなことになったらわたしは…悲しくてどうにかなりそうです…
だから少しの怪我でも用心して、痛かったらわたしを呼んでくれても構いませんから…」
するとアレンさんは申し訳なさそうに口を開いて
「ごめん…やっぱり心配させてたんだね…わかった。引き際は弁えるし、痛みは我慢しないようにするよ。
…ああ、そうだゴデチアさん、今週末は何か予定はあるかな? なかったら久々にデートしたいな」
アレンさんはわたしと指切りしながら約束しつつ、デートのお誘いをしてきました。
週末は予定も無いし、断る理由はありません。
「週末は大丈夫ですっ! どこに連れて行ってくれるんですか?」
「買い物かな。前のデートで買った服も見たいし、可愛いぬいぐるみを売ってる雑貨屋を見かけたから買ってあげたくて…それにちょっと試したいこともあってね。」
アレンさんが微笑むと、ノックの音が聞こえてきて、開けていいと言うと扉が開くと共にカカオさんの元気な声が聞こえてきます。
「ゴデチアさーん、晩御飯の用意ができましたよー。あっ、団長さんが膝枕してもらってます。羨ましいなぁ…団長さんも晩御飯の用意ができましたから起きて来てくださいねー」
そう言ってカカオさんは扉を閉めていきました。
カカオさんの格好、どうにかならないでしょうか…
彼女の声が聞こえると反射的に目を閉じてしまうくらいに肌の露出がすごいです…
目を閉じたまま話すのも失礼だし、どうしましょう…
「ゴデチアさん…カカオさんにはもっと露出の低い服を着るように言ってあげようか?
あの娘は大人はもっと露出の低い服を着るって言えば着ると思うからさ…」
アレンさんにまで気を使われてしまいました…
「ごめんなさい、できればそう言っておいて下さい…
えっと、アレンさん、わたしはカップを片付けてから行くので食堂には先に行ってくれませんか?」
「えっ、食堂で片付けるんじゃ?まぁいいか、じゃあ先に行ってるね」
そう言ってアレンさんが出ていくのを見送ると、わたしはアレンさんが使っていたカップを持って、口を付けていた部分に軽くキスをしました。
「今は間接キスしか出来ないですけど…いつかは、本当のキスがしたいです…んっ、ちゅっ…ちゅっ…」
それからしばらくしてわたしは名残惜しいけどカップを口から離して、トレイに乗せて食堂へと向かいました。
新しい服であなたと
週末、わたしは前のデートでアレンさんに買ってもらった服を着て、騎士団の宿舎の入り口に向かっていました。
「あっ、アレンさん! もう来てたんですね。ごめんなさい、髪のセットにちょっと時間かかっちゃって…」
白いワイシャツに青いネクタイは普段と変わらないけど、ネクタイよりも淡い青のジャケットがかっこよくて少し見惚れてしまいました。
「おはよう、ゴデチアさん。まだ約束の時間には早かったから大丈夫だよ。…やっぱりその服は似合ってるね。かわいいなぁ、買ってあげてよかったよ」
かわいいって褒めてくれて、凄く嬉しい…
「はっ…ごめんなさい、また俯いてしまって…今日はいいお天気になってよかったです」
「ゴデチアさん、朝から謝り過ぎだよ…でもいい天気なのは嬉しいね。
約束の時間より早いけどもう行こうか、手を繋ぎながらさ」
そう言ってアレンさんはわたしの手を手繰り寄せながら、手を繋いでくれました。
「手を繋いでくれてありがとうございます。まずはどこに連れて行ってくれるんですか?」
「じゃあまずは本屋に行こうか、少し気になってる本があって」
本屋さん…アレンさんと恋人になる前は医学書や学術書、動物図鑑なんかを買う時くらいにしか立ち寄らなかったけど、アレンさんからもらった恋愛小説を読んでからは、本を読むのが面白いと思うようになって、よく立ち寄るようになりました。
ちょっとえっちな恋愛小説ばかり探すようになってしまいましたが…
「はいっ、わたしも読書が好きになってきたんで行きたかったんです。アレンさんの手、大きくて暖かい…い、行きましょうか…」
わたしがアレンさんの手を褒めると、アレンさんが少し照れ臭そうにしてしまって、その反応にわたしも恥ずかしくなりながらも、本屋さんに向かうことにしました。
「着いたね、じゃあ一緒に巡ろうか」
「はいっ、アレンさんが気になってる本も気になりますし、わたしが気になってる本もアレンさんに知って欲しいです」
そうしてふたりで本屋さんの中を物色しながら、それぞれお目当ての本を買って、カフェで見せ合っていました。
「ゴデチアさんのは「大国の王子と小国の姫」かぁ。故郷のバナナオーシャンにあったとされる小国の伝説を元にした小説だね。確かお姫様の名前が…」
「わたしと同じ名前のゴデチア姫です。子供の頃に絵本で読んでもらってて、わたしと名前が一緒のお姫様が王子様に助けられて、王子様と行動するうちに世界花の加護を受けて
わたしは自分の買った小説の表紙を見せながら、アレンさんと笑い合っていました。
穏やかな時間を大好きな人と笑い合って過ごす…こんな時間を過ごせるなんて…しあわせ過ぎてとろけちゃいそうです…
「僕が買ったのは「とある傭兵騎士団長の日記」という本。面白そうだったって言うのもあるけどここ、作者の名前を見てみて」
「はっ、はい…えーっと、イアン…この名前ってまさか!?」
確かこの名前は…前に話してくれたアレンさんの幼馴染の人の名前…
「それにほら、この幼少期の文のここに、僕とメコの名前があるんだ。…やっと手掛かりが見つかったんだ…やっと…ずっと探してた手掛かりを…やっと…」
アレンさんの泣きそうな顔を見て、わたしも涙が出てきちゃいます
「よかったですねアレンさん…手掛かりが見つかって…ううっ、ぐすっ、うぇぇ…」
「あのー…」
「まだ手掛かりだけだよ…自分のことでもないのにそんなに泣いてくれるんだね。ゴデチアさんは優しくていい子だなぁ」
「ケーキ、持ってきましたよ…?」
「ふあっ、頭を撫でてくれるんですか…?
ありがとうございます…えへへ…」
「ケーキ…ここに置いておきますね…」
わたし達がケーキに気づいたのは、店員さんがケーキを置いてからだいぶ経ってからでした…
恥ずかしくても、甘さを分け合って
アレンさんとのデート中、カフェでの昼下がり。
さっき店員さんに頭を撫でられてるやり取りを見られてたかと思うとまだ恥ずかしいですが、デザートのショートケーキを食べることにします。
「甘くて柔らかくて美味しい…アレンさんのチョコケーキは美味しいですか?」
「うん、ゴデチアさんのショートケーキと比べるとちょっと苦めだと思うけど、僕はこれくらいの甘さの方が好きだから美味しいよ。
でもゴデチアさんのショートケーキも美味しそうだなぁ…」
そう言いながらアレンさんは、チョコケーキを少し切って、わたしの口元に向けてこう言いました。
「このチョコケーキを少しあげるから、ゴデチアさんのショートケーキを分けて欲しいな。
…駄目かな」
「ふぇっ、ええっ!? …えっと、これって、お口を開けて食べていいんですか…!?本当に?」
「うん、いいよ。だからゴデチアさんもね。はい、あーん」
わたしは口元のアレンさんのチョコケーキを、いつもより口を開けて食べました。
「…全然苦くないです、甘くて美味しいです…ショートケーキの甘さが残ってたんでしょうか…?」
よくよく考えてみたらフォークで間接キスをしていることに気づいて、顔が火照ってきました。うう…恥ずかしいですよぉ…
でも勇気を出して、わたしも同じようにショートケーキを少し切って、アレンさんの口元に差し出します。
「アレンさん、はい、あーんっ」
アレンさんは口を開けてわたしのショートケーキを食べてくれました。
「甘くて美味しいね。…ゴデチアさんに食べさせて貰ったからかもしれないな…なんてね」
アレンさんは少し照れて、恥ずかしそうにからかってきました。
それからはお互いに恥ずかしがりながらケーキを分け合って食べたせいか、自分で頼んだケーキの方は少ししか食べてなかったような気がします…
その後は服屋さんに行ってお互いの服を見に行ったり、果物屋さんに行って明日のおやつのアップルパイを作るためのりんごを買ったりした後に、かわいいぬいぐるみや小物が売っている雑貨屋さんに行きました。
「あっ、この子かわいいです! アレンさんはどう思いますか?」
帽子を被ったうさぎさんのぬいぐるみを持って、アレンさんに見せて感想を聞きます。
「確かに可愛いね。気に入ったのなら買ってあげようか?」
その言葉にわたしは喜びそうになりましたが、今着ているこの服も買ってもらったのに買ってもらうばかりではいけないと思い、少し考えてからこう言いました。
「買ってくれるのは嬉しいですけど…アレンさんには貰ってばかりだから今日はわたしもお返しがしたいです。
ここは女の子向けのファンシーなお店だと思われてますけど、カップル用に男の人向けのアクセサリーもあるみたいです。アレンさんが気に入った物をわたしが買ってあげますから、この子はそのお返しでいいですか…?」
アレンさんは少し考えて「…じゃあゴデチアさんに選んできて欲しいな。実はそう言うアクセサリーって買ったことなくて…その間にその子は買っておくから、店の外で待ってるよ」
と言ってうさぎのぬいぐるみを持ってカウンターに行きました。
わたしはアレンさんに似合いそうだと思っていた剣を模したアクセサリーの付いたブレスレットを持って、カウンターに行きました。会計を済ませて店を出て、アレンさんに買ったブレスレットを渡すことにしました。
「アレンさん、似合うと思って買ったブレスレットです。付けてあげますね…ここをこうして、はい、完成です」
やっぱり凄く似合ってる…格好いいです…
「ありがとう。こういうのは興味を持ったことはなかったから、似合ってるかどうかわからないけど…それじゃあ、この子を渡してあげるね。
…ゴデチアさん、少しついて来てくれないかな」
アレンさんはそう言ってわたしの手を繋いで、町の外れの静かな場所に連れて行ってくれました
帰って寝るまでがデートです
「風が気持ちよくて夕日が綺麗ですね。…アレンさん、デートはもう終わりなんですか…?」
期待していることが起こる気がして、わたしの顔は火照っていきました…
「そうだね、皆も待ってるだろうしそろそろ終わらせて帰ろうか。目を閉じてくれないかな」
言われるがままに目を閉じました。
その瞬間に、わたしと彼の唇が重なります。
その感触はとても気持ちが良くて、嬉しさがあふれてきました。
「んんっ、ちゅっ、ちゅっ…んむっ…ちゅっ…ちゅっ…ぷはぁっ…アレンしゃん…しゅき、好きですっ…もっとお願いしますっ」
わたしは少し興奮気味に、キスを求めていました。するとアレンさんは少し時間を置いて、またキスをしてくれました。
「ちゅっ…ちゅっ…んむぅっ…ちゅっ…ううっ…ちゅっ、ちゅっ…ぷはぁ…お口から糸が引いてる…拭いてあげますね…」
名残惜しいと感じつつも、ポシェットからハンカチを取り出して、お互いのお口を拭いていきます。
「ありがとう…日も落ちてきたしそろそろ帰ろうか」
アレンさんはそう言って手を繋いで、騎士団の宿舎に帰ることにしました。
その日の夜、まだキスの興奮が冷めていないわたしはアレンさんにおやすみの挨拶をするために、彼の自室の扉をノックして彼を呼び出します。
「一体誰だい…ってゴデチアさん? どうしたんだ?」
アレンさんが扉を開くと、わたしは彼の唇に軽めのキスをして、おやすみの挨拶をします。
「今日は一日楽しかったです、またデートに誘ってくださいね…それでは、おやすみなさい」
わたしはお辞儀をして、自分の部屋へ帰って行きました。
わたしは部屋に帰って布団に入ると、さっきアレンさんにしてしまったことを思い出していました。
「ううっ…なんでわたし、あんなに大胆なことしちゃったんでしょう…
誰かが見ていたかもしれないのに…! アレンさんだって困ったかも知れないのに…!
でも、アレンさんだって不意打ちで太ももが柔らかいって言ってきたことがありましたし…うぅぅ…明日はアレンさんのこと、恥ずかしくてまともに見れません…」
出来心でしてしまった行為を忘れるためにも、もう寝ることにしました。
(今日はアレンさんの色んな表情が見れた…泣きそうになったり、恥ずかしそうにしたり、いつもみたいに爽やかな笑顔でわたしに話しかけてくれたり…わたしはこの人の恋人になれて、本当によかった…)
わたしは幸せな気持ちになりながら、眠りにつくのでした。
明日からも彼との日々は続くけれど、今日の気持ちを、生涯忘れないでおきたいです。
それくらいに今日の思い出は、わたしにとって大切なものになりました…
ゴデチアちゃんの視点で書くことが多いので
恋する乙女の妄想的な描写が多くなりがちですが楽しいですね…
次回もよろしくお願いします