(AIで)爆乳で着衣で露出で実況で告白で~なエロ妄想集 作:ほんだ
床にへたり込んだまま、私はどれくらいの時間を過ごしただろうか。
膝をつき、両手で顔を覆い、荒くなった呼吸が整うのをひたすらに待っていた。
太ももの内側を伝う不快な粘り気と、鏡の前で自らお尻を突き出していたという事実が、私の思考を泥沼のように重くしている。
けれど、ここで停滞することは許されない。カメラの赤いランプは、依然として私を見つめている。私はカルデアのサーヴァントだ。たとえ身体がどうなろうとも、精神まで屈服してはならない。
「……ふぅ。……よし」
私は自分を鼓舞するように短く息を吐き、床に手をついて立ち上がった。
今の私の身体には小さすぎる黒のレオタードが、再び私の肉に食い込む。胸が揺れ、お尻の肉が波打つ感覚。
だが、私は努めてそれを無視し、カウンターへと視線を戻した。
映像資料は、危険すぎる。
あのプロジェクターの大画面と、鏡に映る自分の姿。その視覚的な情報の氾濫は、私の脳を直接揺さぶり、本能的な部分に訴えかけてくる。
「見る」という行為は受動的だ。流れてくる映像を一方的に浴びせられれば、思考する隙を与えられず、ただ反応することしかできなくなる。だからこそ、私はあのような醜態を晒してしまったのだ。
「視覚情報は……今の私には刺激が強すぎます。冷静な分析を妨げるノイズにしかなりません」
私はカメラに向かって、あるいは自分自身に向かって、言い訳のような分析を口にした。
敵の手口はわかった。視覚的な羞恥と興奮を煽り、自制心を破壊することだ。
ならば、対抗策は一つ。
視覚に頼らない情報収集──「テキストデータ」の解析に切り替えるべきだ。
「文字情報ならば……論理的に処理できます。感情に流されず、客観的な事実として内容を精査できるはずです」
それは一見、理にかなった判断のように思えた。
文章を読むという行為は能動的だ。自分のペースで読み進め、理解し、噛み砕くプロセスが必要になる。そこには理性のフィルターが介在する余地がある。
映像のような「強制的な同期」は起こり得ない。
そう信じて、私は再びカウンターの書棚へと手を伸ばした。
しかし、私は気づいていなかった。
文字情報こそが、視覚以上に深く、逃れようのない「想像力」という名の檻であることを。映像は「他人の姿」だが、文章は読み手の脳内で再構築され、「自分事」として体験されてしまう劇薬であることを、今の私はまだ甘く見ていたのだ。
私は書棚のカテゴリーを変えた。
先ほどまでの極彩色のDVDパッケージが並ぶ棚から視線を外し、書籍、大量の薄い同人誌が並ぶエリアへと移動する。そこには、大小様々な判型の本が、ぎっしりと隙間なく収められていた。
ほとんどはコミックのようで、薄く背表紙にはタイトルもない。
そんな中でもいくつかはそれなりの厚みがあり、小説本なのか、テキスト主体の本もあった。
『カルデア職員・裏マニュアル』
『サーヴァント肉体改造論』
『シールダー運用記録・改』
どれもこれも、まともな資料ではないことは明白だ。だが、この中にこの特異点の構造や、脱出の手がかりが隠されている可能性はゼロではない。
私は意を決して、数冊の本を抜き出し、カウンターの上に積み上げた。
まず手に取ったのは、市販のライトノベルのような装丁の一冊。文庫サイズで、表紙にはフルカラーのイラストが描かれている。そこにいるのは、やはり私──マシュ・キリエライトだ。
ただし、その姿は戦闘中の一幕を切り取ったようで、第一再臨の鎧が半壊し、胸やお尻が露わになっている。
絵柄は非常に繊細で美しく、商業誌と見紛うほどのクオリティだった。
「……『聖盾の堕落・上巻』。……あらすじを確認します」
私は裏表紙に目を走らせた。
そこには、こんな文章が踊っていた。
『世界を救う旅の途中、はぐれてしまったシールダー・マシュ。彼女が迷い込んだのは、サーヴァントを性欲処理の道具として扱う無法地帯だった。
高潔な彼女は抵抗を続けるが、投与される催淫薬と、開発されていく肉体の快楽に抗えず、次第に雌としての本能を剥き出しにしていく──』
「……よくある、三流の創作小説ですね」
私は冷ややかに評価を下そうとした。
フィクションだ。完全に作り話だ。私というキャラクターを使った、二次創作に過ぎない。
そう割り切ろうとして、ページをパラパラと捲った。
数ページおきに挿入されているモノクロの挿絵が目に入る。
最初は凛々しく盾を構えていた私が、ページが進むにつれて、涙目で喘ぎ、四つん這いにされ、最後には白濁した液体に塗れてアヘ顔を晒している。
その過程が、妙にリアルだった。
特に、私の身体的特徴の描き方が。物語の序盤ではスレンダーだった私が、調教が進むにつれて、乳房が大きくなり、お尻が肥大化し、そして……処理されなくなった体毛が濃くなっていく様子が、克明に描かれているのだ。
「っ……」
私は無意識に、自分の太ももの付け根を押さえた。
この本の作者は、私の今の状態を知っているのだろうか。それとも、今の私が、この本の通りに「改造」されている途中なのだろうか。
文字を目で追うだけで、挿絵の状況が脳内で再生される。映像よりも鮮明に。私の声で、私の肌の感触で。
私はその本を閉じ、カウンターの端に追いやった。
これはいけない。物語性が強すぎる。感情移入してしまう危険がある。
もっと、無機質な──データに近いものを探すべきだ。
次に手に取ったのは、A5判の薄い冊子だった。
表紙にイラストはない。
真っ黒な背景に、白い明朝体でタイトルだけが印字されている。
『特異点観測日誌:検体M・Kにおける恥辱反応の経過報告』
デザイン性の欠片もない、まるで学会の論文や、実験レポートのような装丁だ。
これなら、感情を挟まずに読めるかもしれない。
私は期待と不安をない交ぜにしながら、その表紙を開いた。
しかし、そこに書かれていたのは、学術的な報告などではなかった。
『X月X日。検体Mは、自身の肥大化した臀部を気にしており、頻繁にスカートの裾を直す仕草が見られる。その際、無防備にもガードが甘くなり、パンツのクロッチ部分が視認できる状態が多発した』
『X月△日。戦闘中の発汗により、検体の陰毛が蒸れ、特有のフェロモン臭が発生していることを確認。本人は気づいていないようだが、周囲の男性スタッフは勃起を隠すのに苦労していた』
『X月〇日。検体は、自身のオナニーを目撃されたにも関わらず、それを「寝ぼけていた」と言い訳した。その際、濡れた指の匂いを嗅いでいたことを、我々は記録している』
「……な、なんですか、これ……嘘です……!」
私の手が震えた。
観察日記。
誰かの視点から見た、私の行動記録。
もちろん、そのほとんどは捏造だ。オナニーを見られた覚えなんてないし、そんなふしだらな真似はしていない。
けれど、文章があまりにも具体的すぎた。
「いつ」「どこで」「どのように」というディテールが、私の記憶にある些細な日常の風景とリンクして、まるで「本当にあったこと」のように錯覚させる。
文字だけの羅列なのに。
いや、文字だけだからこそ。
私の脳は、勝手にその情景を補完してしまう。
蒸れたパンツの匂い。濡れた指の感触。見られた時の恥ずかしさ。
それらが、活字を通して私の感覚野を直接刺激する。
「捏造です……こんなの、デタラメです……」
否定の言葉を口にするたびに、自分の声が上擦っていくのがわかる。
私はその冊子も放り出した。
もっと、違うものを。
私を客観視できる、私とは関係のない、それでいてこの場所のルールを解き明かすための、何かを。
焦る私の指が、一冊の分厚い本に触れた。
B6判のソフトカバーだが、重厚な本だ。表紙にはタイトルがない。ただ、しっとりした手触りの装丁に、金色の箔押しで奇妙な紋章が刻まれているだけだ。
私は何かに惹かれるように、その本を開いた。
中は、小説形式だった。
だが、通常の小説とは書き方が違っていた。
『──』という鍵括弧から始まる、一人称の独白形式。
地の文がほとんどなく、主人公の「心の声」と「セリフ」だけで構成された、モノローグ集のような構成。
パラリ、と適当なページを開く。
『私は、シールダー、マシュ・キリエライト。高潔な英霊……のつもりでした』
『でも、本当は違ったんです。この鎧の下で、私の身体はずっと疼いていました』
『マスターの……先輩の命令を聞く振りをして、本当は「命令されたい」だけだったんです』
『見てください、この身体。戦うためじゃなくて、犯されるためにこんなに大きくなっちゃったんです』
文字が、目に飛び込んでくる。
これは……私だ。
私の口調を真似た、誰かの創作文。
けれど、その内容は、先ほど鏡の前で私が抱いた疑惑や、無自覚な露出への自己嫌悪と、恐ろしいほどに合致していた。
(読んでしまう……)
やめるべきだ。これは毒だ。
判ってはいたものの、視線が次の行へ、次の行へと吸い込まれていく。
『鎧がきつい。乳首が擦れて痛い。でも、それが気持ちいい』
『お尻の毛がパンツの中でモジャモジャして、動くたびにアナルが刺激されます』
『あぁ、先輩。早く気づいて。私は盾なんかじゃなくて、ただの未処理の雌肉なんです』
「……っ」
呼吸が止まる。
今、私が感じている身体の感覚そのものが、そこに言語化されていた。
誰かが私の神経をジャックして、そのまま書き写したかのような正確さ。この本は、私の心を読んでいるのか? それとも、私がこの本の内容に寄せて、感じ方を書き換えられているのか?
私は本を閉じることができなかった。
活字の魔力。
「自分と同じ感覚」が記された文章を見つけた時、人はそこに強烈な共感を抱き、自分の代弁者として受け入れてしまう。
それは罠だ。
「これは私の気持ちだ」と一度でも認めてしまえば、その後に続く「捏造された恥辱」まで、自分の本心として飲み込まされてしまう。
「……調査、継続。……詳細な内容を、確認する必要があります」
私は乾いた唇を舐め、掠れた声でそう呟いた。
カメラが見ている。
私は報告者だ。黙って読みふけっていてはいけない。この異常なテキストの内容を、記録として残さなければならない。
それは義務感という名の仮面を被った、欲望の肯定だった。この、私の恥部を暴き立てるような文章を、声に出して読み上げたい。自分の声で、この卑猥な定義をなぞり、身体の奥底に刻み込みたい。
そんな倒錯した衝動が、理性の隙間から芽吹き始めていた。
活字の列が、鎖のように私を縛り付けようとしていた。
...▼
私はカウンターの前に立ち、その場違いに重厚な装丁の本を見下ろしていた。
視界の隅では、報告用端末の赤い録画ランプが点灯し続けている。それは無言の圧力であり、同時に私に残された唯一の「正当性の証」でもあった。
「……記録を、再開します」
私はカメラに向かって、努めて事務的な口調で語りかけた。
声が少し震えているのは、先ほどの鏡の前での失態の余韻のせいだ。そう自分に言い聞かせる。
「現在、室内の残留思念……あるいは精神汚染源と思われるテキストデータの解析を行います。視覚情報による精神攻撃を回避するため、文字媒体による情報収集に切り替えました」
そこまでは、論理的だった。
けれど、次の言葉を紡ぐために、私は一度大きく息を吸い込む必要があった。
「ただし……黙読では、この異常な内容を正確に記録・保存することができません。カルデアのデータベースに、この特異点の脅威度を正しく伝えるためには……音声データとして、内容を読み上げ、記録に残す義務があります」
詭弁だ。
自分でも呆れるほどの、子供騙しの理屈。
本来なら、スキャン機能を使うか、要約して口頭報告すれば済む話だ。わざわざ、一字一句を朗読する必要などどこにもない。
けれど、私の唇は、その「義務」という言葉を、どこか甘美な響きと共に受け入れていた。
読み上げたい。
この本に書かれた──私を汚すために紡がれた言葉を、私の声帯を使って、この部屋の空気に響かせたい。それは、被虐的な好奇心であり、破滅への誘惑だった。
「……読み上げます。タイトル、『盾の乙女の真実・性処理用擬似サーヴァントの告白』」
タイトルを口にしただけで、喉の奥が熱くなった。
私はページをめくり、本文の冒頭に視線を落とした。
そこには、マシュ・キリエライトの一人称で、独白形式の文章が綴られている。
『私の名前はマシュ・キリエライト。人理継続保障機関カルデアの、デミ・サーヴァントです』
滑り出しは、正常だった。
私のよく知る、私自身の自己紹介。
けれど、次の行から、世界は反転していた。
『……いいえ。それは表向きの顔。私の本当の役割は、英雄として戦うことではありません』
『この身体を見てください。戦うにはあまりにも邪魔な、大きな乳房。走るたびに揺れる、だらしないお尻。そして、鎧の下で蒸れている、獣のような剛毛』
『私は、マスターの性欲を処理するためだけに調整された、生きたオナホールなのです』
「……っ」
言葉が詰まる。
読み上げた自分の声が、鼓膜を揺らす。
「生きたオナホール」。
その単語を口にした瞬間、心臓がドクリと跳ねた。
否定しなくては。
こんなの、事実無根の捏造だと言わなくては。
「……と、書かれています。酷い……捏造です。私の身体的特徴を、卑猥な表現で……」
カメラへの注釈を挟む。
けれど、私の手はページを閉じるどころか、次を求めてめくっていた。
文章は続く。より過激に、より詳細に。
『私は知っています。先輩が、私の盾の裏側で何を求めているのかを』
『高潔な騎士のふりをして、お尻を突き出し、マンコを見せつける。それが私の戦闘スタイルです』
『敵の攻撃を防ぐたびに、私は子宮を疼かせていました。もっと激しく突いて。もっと乱暴に扱って。私は盾じゃなくて、ただの肉壁なんだから、壊れるまで使ってほしいと』
「……嘘、です……」
声が掠れる。
先ほど、鏡の前で私が抱いた妄想──「戦闘中に露出していたのではないか」という疑念と、このテキストの内容が、恐ろしいほどにリンクしている。
私の抱いた不安を見透かしたような文章。
いや、私がこの文章に影響されて、あの妄想を抱いたのか?
どちらが先か、もうわからなくなっていた。
読み進めるうちに、私の朗読のペースは、奇妙なリズムを帯び始めていた。事務的な報告口調は崩れ、どこか熱っぽく、艶を含んだ声色へと変わっていく。まるで、官能小説を読み聞かせるナレーターのように。
あるいは、自分の罪を懺悔し、罰を乞う罪人のように。
『先輩。どうか私を軽蔑してください』
『清純なふりをするのは、もう限界なんです』
『私のパンツの中は、いつだって汁でぐしょぐしょで、処理していない陰毛が絡みついて、発情した雌の匂いがしています』
『腋の毛も、お尻の毛も、剃っていません。だって、私は人間じゃなくて、交尾するためだけの獣ですから。毛深いままの方が、家畜らしくて興奮するでしょう?』
「……かちく?」
その単語が、呪いのように舌に絡みつく。
腋の下が熱い。食い込んだ鎧のアームホールの中で、剛毛が擦れる感触が、文章の内容を肯定している。
股間が熱い。レオタードの股布が、溢れ出た愛液を吸って重くなり、動くたびに「ぐしょぐしょ」という言葉通りの不快感を伝えてくる。
文字を目で追い、声に出して読み上げ、耳で聞き、身体で実感する。
その四重のプロセスが、私、マシュ・キリエライトの定義を、「サーヴァント」から「家畜」へと書き換えていく。
そして、ページをめくった先で、私は決定的な言葉と出会った。
『私の本当の名前は、シールダーではありません』
『精液を受け止めるだけの袋。排泄を見せるだけの穴。そう……』
『私は、ザーメン専用便器、精液便女です』
「せ、せいえき……べんじょ……」
その四文字を口にした瞬間。
脳裏に、鮮烈なフラッシュバックが走った。
──ジョロロロロロ……。
先ほど、バスルームで聞いた自分の排泄音。
便器の底から見上げていたカメラのレンズ。
そして、プロジェクターで投影されたAVの映像──男性用小便器に跨り、アナルを見せつけながら放尿していた、あの肉感的な女優の姿。
それらが一気に繋がり、私の頭の中でスパークした。
(便器……。私は、便器……?)
否定しなければならない。
私は人間だ。英霊だ。トイレなんかじゃない。
けれど、今の私はどうだ?
誰でも入れるこの部屋で、カメラに監視されながら、排泄シーンを記録し、お尻を洗う様子を公開し、そして今、自ら進んで自分を貶める言葉を読み上げている。誰の視線も拒絶せず、全てを受け入れている。
それはまさに、来るものを拒まず、汚物も欲望もすべて受け入れる「便器」の在り方そのものではないか。
『ザーメン処理専用の、肉便器』
『お使いください。口でも、マンコでも、アナルでも』
『特にアナルは感度良好です。排泄するための穴なのに、性器よりも感じてしまう、どうしようもない変態の穴、感度良好なケツマンコです』
『ウンチを出す場所でイくなんて、雌として終わっています。でも、それが私なんです』
「あ……っ、んぅ……」
朗読が、続かない。
言葉の代わりに、甘い吐息が漏れる。
「精液便女」「肉便器」「変態の穴」。
本来なら口にするのも憚られるような汚い言葉たち。それが、私の口から飛び出すたびに、脳の奥が痺れるような快感に襲われる。言葉の持つ「穢れ」が、私の中の「聖性」を侵食し、黒く塗りつぶしていく感覚。
カメラのレンズが、私の口元をアップで捉えている気がした。
ピンク色の唇が動き、卑猥な単語を紡ぎ出す様を。
その唇は、まるでフェラチオをする時のように艶めかしく濡れ、震えている。
「……と、いう……記述が、あります……」
私は必死に理性をかき集め、カメラへの注釈を付け加えた。
けれど、その声は弱々しく、自分自身を説得する力さえ持っていなかった。
身体が熱い。
喉が渇く。
卑猥な言葉を喋りすぎたせいか、口の中が粘つき、唾液が溜まっていく。
私は本から目を逸らせなかった。
嫌悪感はある。羞恥心もある。
けれど、それ以上に「続きが知りたい」という欲求が勝っていた。この本には、私がまだ知らない──けれど、身体の奥底では知っている「私の本当の使い道」が書かれている。
それを読み上げることが、今の私に与えられた唯一の役割であるかのように。
私は、震える指で次のページをめくった。
そこには、文字だけでなく、挿絵があった。
目隠しをされ、口にボールギャグを嵌められ、四つん這いにされた私が、お尻の穴を指で広げられているイラスト。
そのイラストの横に、太字で書かれた一文。
『言葉はいりません。ただ、鳴くだけの家畜になりなさい』
その命令文が、私の理性の最後の防壁を、コツンと叩いた気がした。
...▼
私の唇は、もう止まらなかった。
カメラの赤いランプが点滅している。それは警告信号のようであり、同時に私を急き立てる観客の視線のようでもあった。
私は、カウンターに広げられた『盾の乙女の真実』という名の呪詛に、完全に絡め取られていた。
最初は、カルデアへの報告という大義名分があった。
敵の精神攻撃の手口を記録し、解析するために読み上げるのだと、そう自分に言い聞かせていた。
けれど、ページをめくるたびに、その言い訳は薄れ、代わりにどす黒く、甘美な衝動が胸を満たしていく。
否定の言葉は、もう出てこない。
「……と、書かれています」という注釈すら、今の私には邪魔なノイズだった。ただ、そこに記された言葉を、私の声で、私の肉体に刻み込みたい。
その一心で、私は次の章段へと視線を滑らせた。
そこには、私の身体的特徴に関する、執拗なまでの記述が並んでいた。
「……朗読を、継続します」
掠れた声で宣言し、私は再び物語の中の「私」へと憑依する。
『私は、自分の身体が嫌いです』
『サーヴァントとして、マスターを守る盾として、この身体はあまりにも不適合で、あまりにも淫らすぎるからです』
私の視線が、無意識に自分の胸元へと落ちる。
鎧に押し潰され、谷間から溢れ出している白い肉塊。
呼吸をするたびに大きく波打ち、戦闘中には邪魔で仕方がない重量物。
本の中の私は、それをこう定義していた。
『見てください、この無駄に育ってしまった乳房を』
『戦士には必要のない脂肪です。走れば揺れて重心を崩し、盾を構えれば腕に当たって邪魔になる。ただ重いだけの、恥ずかしい贅肉です』
『でも、どうしてこんなに大きくなってしまったのか。それは、私の身体が、戦うことよりも「孕んで乳を出す」ことを優先してしまったからに他なりません』
「……はらんで、ちちを……だす……」
言葉を復唱した瞬間、乳首の奥がチリリと痺れた。
鎧の硬い素材が、勃起した先端を擦る。
私は知っている。この胸が、ただ大きいだけではないことを。敏感すぎて、少しの刺激でもすぐに硬くなり、下着の中で主張してしまうことを。
『先輩も、きっと呆れているはずです』
『真面目な顔をして「守ります」と言いながら、胸元ではこんなに大きな乳をブラブラさせているんですから』
『これは母乳を出すためのタンクです。あるいは、男性の性欲を受け止めるための、柔らかいクッションでしかありません』
『私は、この胸が揺れるたびに思います。「ああ、私は雌なんだ。誰かに揉まれて、しゃぶられて、愛玩されるための生き物なんだ」と』
愛玩。
その言葉の響きに、膝が震えた。
そうだ。私はいつだって、先輩に頭を撫でられるのが好きだった。
でも、もし先輩の手が、頭ではなくこの胸に向けられていたら? 「邪魔だな」と苦笑しながら、この溢れ出る脂肪を鷲掴みにし、弄ばれたとしたら?
私はそれを拒絶できただろうか。
いいえ、きっと──。
『嬉しい……。先輩に「女」として見られていることが、たまらなく嬉しい』
『盾として信頼されるよりも、雌として消費される方が、ずっとゾクゾクする』
『だから私は、わざと胸を強調するようなピチピチのレオタードを着ているんです。先輩の視線を誘うために。この「搾乳待ち」の乳房を、アピールするために』
「……っ、ふぅ……っ」
息が苦しい。
朗読を続ける声が、熱を帯びて艶めかしいものに変わっていく。
もはや、ただ文章を追っているだけではない。そこに書かれた感情が、血液となって全身を駆け巡っている。
私は、カメラに向かって胸を張った。
無意識の動作だった。
「見てください」と、本の中の私が叫んでいるから。
現実の私もまた、レンズの向こうの先輩に、この「無駄な脂肪」を見せつけずにはいられなかったのだ。
ページをめくる。
今度は、下半身についての記述だ。先ほど、鏡の前で散々見せつけられた、あの醜い下半身。
『そして、何より恥ずべきは、この下半身です』
『デミ・サーヴァントとしての脚力? 大地を踏みしめるための太もも? いいえ、違います』
『この安産型の大きな骨盤と、パンパンに張った太ももは、背後から乗っかられるためにあつらえられたものです』
乗っかられる。
その直接的な表現に、喉が鳴る。
ゴクリ、と唾を飲み込む音が、静寂に響いた。
『私の戦闘スタイルを見てください。深く腰を落とし、お尻を突き出す姿勢』
『あれは、四つん這いの姿勢の変形です。敵に向かって盾を構えているふりをして、背後のマスターには、無防備なアナルを捧げているんです』
『「先輩、準備はできています。いつでも後ろから挿れてください」。私の身体は、常にそう訴えかけていたんです』
「……じゅんびは……できて、います……」
口が勝手に動く。
脳裏に浮かぶのは、戦場での私だ。
あの緊迫した空気の中で、私は本当にお尻を捧げていたのだろうか。先輩の熱い視線を背中に感じて、子宮の口をパクパクと開閉させていたのだろうか。
この本は、それを「真実」だと断定している。
そして今の私は、それを否定する材料を持っていない。なぜなら、今まさに、私の股間は期待に震え、じわりと湿り気を帯びているのだから。
『さらに、この股間を見てください』
『現代の女の子なら、みんな綺麗に処理しているはずのアンダーヘア。でも、私のここは……黒々とした剛毛が、密林のように生い茂っています』
『不潔? だらしない? その通りです』
『でも、それこそが私が「人間」ではなく、性処理専用の「家畜」である証拠なんです』
家畜。
先ほど読んだ言葉が、再び脳を侵食する。
私は、自分の股間を見下ろした。レオタード越しにもわかる、もっこりとした膨らみ。
その奥に、黒々とした剛毛がうごめいている。
『パンツの中でモジャモジャと、恥ずかしい剛毛が擦れるたびに、思います』
『「ああ、先輩。どうか私の尻毛ごと、私を可愛がってください」と』
『処理されていない、獣のような交尾器官。私の身体は、生きたまま性器なんです』
『いつからでしょう。私が自分の意思で動いていると錯覚していたのは』
問いかけ。
私は、誰に問いかけているのだろうか。
カメラに向かって? それとも、私自身に?
『英霊としての自我なんて、最初からなかったんです』
『私はマシュ・キリエライト。カルデアが生み出した、性処理専用の生体素材』
『この身体は、先輩の……マスターの性欲を受け入れるためだけの、便利な肉穴に過ぎません』
肉穴。
人間としての尊厳も、意志も、感情もなく、ただ快楽のために存在し、使われることを目的とした物体。
けれど、なぜだろう。
その言葉の響きに、安堵にも似た感覚が広がっているのは。
思考することをやめ、責任を放棄し、ただ「使われる」だけの存在になれたなら、どれほど楽だろうか。
『先輩、お願いします』
『この、デカいだけの無様な乳を、乱暴に揉みしだいてください』
『剛毛まみれのアナルを、無理やりこじ開けてください』
『私は、先輩専用の、使い捨てのオナホールになりたいんです』
「おねがい……します。せんぱい、わたしを……っ!」
声が震える。
朗読のリズムが乱れ、吐息混じりの喘ぎ声へと変わっていく。
喉が渇く。
舌が乾く。
口の中が、ネチャリと音を立てる。
私は、もう読んでいるのか、自分の言葉を話しているのか、わからなくなっていた。
カメラの赤い光が、私を嘲笑っている。
「本性を見せたな」と。
「本当は、お前もそれを望んでいたんだろう?」と。
私は、カウンターの端に置かれたペットボトル──あるはずのない、幻影のような救いを求めて手を伸ばした。
けれど、そこには何もない。
あるのは、無慈悲に続くテキストの羅列だけだ。
『私は、先輩に犯されるために生まれました』
『盾なんて、方便です。本当は、お股を開いて、お尻を突き出して、「挿れてください」と懇願するのが、私の唯一の仕事なんです』
『痛くてもいい。壊れてもいい。私の身体は、先輩のザーメンで満たされて初めて、生きる意味を持つのですから』
ザーメン。
その卑猥な響きが、子宮の奥底に熱い楔を打ち込む。下腹部が熱い。太ももの内側が、じわりと湿っていくのがわかる。
これは生理現象だ。ただの反射だ。
そう言い訳したかったけれど、私の身体は正直だった。
私は、自分の左手をそっと下腹部に這わせた。
レオタードの上から、股間をなぞる。そこは、驚くほど熱を持っていた。
何より衝撃的だったのは、私の指が触れた瞬間、股間が「ビクンッ」と反応し、悦びの涙を流したことだった。
「ぁ……っ」
声が漏れた。
朗読の声が、完全に喘ぎ声に変わった瞬間だった。
私は、本から目を逸らすことができなかった。そこに書かれた言葉の一つ一つが、私の性感帯を刺激し、脳髄を溶かしていく。
『気持ちいい……。こんなに辱められているのに、身体が喜んでいる』
『私は、どうしようもないドMの雌豚です』
『言葉責めだけで、こんなに濡らして……先輩に聞かれたら、なんて言い訳すればいいの?』
『いいえ、言い訳なんていりません。ただ、正直に言えばいいんです』
私は、カメラをじっと見つめた。
潤んだ瞳で。熱っぽい視線で。
そして、最後の一文を読み上げた。
『「先輩。私は、ただの性処理人形です。どうか、私の穴を好きに使ってください」』
その言葉を口にした瞬間、私の中で何かが完全に弾け飛んだ。
羞恥心という名の最後のストッパーが外れ、代わりに強烈な快楽と、どうしようもない自己嫌悪が津波のように押し寄せてくる。
「はぁ……っ、はぁ……っ」
呼吸が荒い。全身が汗ばみ、身体中が火照っている。喉が、カラカラに乾いていた。
まるで、長い戦闘の後みたいに。
あるいは、ずっと誰かの名前を叫び続けていたかのように。
私はふらりと、キッチンの方向へ視線を向けた。
水が欲しい。
この熱を冷ますための水が。でも、今の私の身体は、ただ水を飲むことさえも、「卑猥な行為」に変えてしまう予感に満ちていた。
...▲