いや、お待たせし過ぎました。
それは青天の霹靂のような
私の一日は、朝日と共に始まります。
ゼニス様を起こして着替えさせた後、自分もメイド服に着替える。
朝食の準備をする為に階段へ向かうと、シルフィ様も階段を降りようとしていました。
「おはようございます、奥様。」
「あ、おはようございます、リーリャさん。」
階段を下りてキッチンへ向かう。
その間は、シルフィ様とのお話です。
「今日はいい天気ですねー。…あ、そうだ、ボク買い物行って来ますね。」
こんな早くに買い物ですか。
恐らく、朝市の事でしょうね。
「それでしたら私にお任せを。奥様は朝食の準備をお願いします。」
「はい、分かりました。」
☆★☆
カゴとお金を持ち、家を出発する。
清々しい朝の陽気に、心も踊ります。
小石でも蹴っちゃいましょうか。
それにしても、ルーデウス様は本当にいい奥さんを見つけました。
健気で従順、私の願いも快く引き受けてくださるシルフィ様。
聡明で謙虚、常に向上心を忘れずに色々手助けをしてくださるロキシー様。
活発で律儀、「この方に任せておけば大丈夫」という信頼の置けるエリス様。
そして我が娘、アイシャ。
4人も娶っていても、その愛は誰一人として不平等で無く全員に最大限の愛が注がれている。
…正直、羨ましいです。
パウロ様の割合は、体感で言うと7:3でしたからね。
もちろん幸せだったけれど、何だかちょっと物足りない気持ちもあります。
でも、この年で結婚は難しそうですしね…
そんな事を考えていると、ふと視線を感じた。
「…どなたですか?」
「あれぇ?ばれてたの。」
後ろにいたのは、スーツ姿の小柄な男だった。
「もう一度言います。どなたですか?」
「ひるまないねぇ。もしかして、元王族の護衛だったりする?」
「…」
「お、図星かな?だよね、だーよねそうだよねぇ?」
少し髭を蓄えた顔が醜く歪む。
それは恐怖ではなく、本能から来る生理的嫌悪感だった。
「あなた、グレイラットの人間でしょ。」
「逆に問いますが、何故それを聞かれるのでしょうか?」
「君と同じ、言う訳無いよね。まぁ、君がグレイラットの人間なのは既に調査済みだけどね。あれ?もしかしてこの質問意味無かった?あっちゃーー!僕とした事が大失態!」
「…気持ち悪い。」
腕を顔の前で交差させながら、意味の分からない言葉を呟く怪人。
極度の緊張からか、額に汗が滲んだ。
「まぁいいよ。取り敢えず攫うね。」
「!?」
次の瞬間、そこに男は居なかった。
と思うと、既に後ろにいて、首を絞められる状態になる。
「びっくりしたでしょ。」
「…速すぎる。」
この速度は、恐らく素のルーデウス様を超えている。
いや、これは単純な話では無い。
あまりに速すぎて、
咄嗟の判断で腕を挟む事は出来たが、抑える力が強すぎて抜け出せない。
「はいはい無駄な抵抗しないよー。そーーれっ」
バキッ
鈍い音が鳴り、私の腕が有り得ない方向へと曲がる。
「っつ、あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「くっはははは!いいよ!その声!痛み、感情、全てぇ!愛おしい!世界の心理へと近づく一番の理想だよ!素敵!素敵だ!実に羨ましい!」
これはもう、駄目だ。
思考す痛いる事が出来な痛いい。
ル痛いーデ痛いウス痛い様、痛いどう痛いか探痛いさな痛いいで痛い下さ痛いい。
私痛いな痛いん痛いか痛い痛い痛い痛い痛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!
「泥沼」
意識が飛びかけた時、いきなり地面が液状化した。
男は慌てて飛び退き、私は宙に放り出される。
「大丈夫ですか、リーリャさん!」
「…しるふぃ、さま?」
「今治癒します!ルディ、そっちは頼むよ!」
「あぁ!」
☆★☆
…さて。
「おい」
「何だよぉ、そんなに怒んなって。」
この挑発する態度、気に食わないな。
ふざけやがって。
俺はノータイムで魔法を放つ。
しかし、全て避けられてしまった。
馬鹿な。どんな弾幕キメたと思ってるんだよ。
「話!話聞こうぜ旦那様!」
「黙れ。お前はもう、喋るな。」
魔法が駄目なら、と肉弾戦を仕掛けてみる。
すると男が一瞬で消え、見失ってしまった。
「駄目だよぉ、戦場で敵を見失っちゃ。」
声のする方を向く。
さっきの男は、悠々と木の枝に座っていた。
「さっきから君たちに与えてたのは他でもない自由なんだよ?痛みで他の事全部忘れて解放されて。死によって魂を救済するんだ。そんな慈悲をお前らは踏みにじりやがって。これだからグレイラットは嫌いなんだ。ヒトガミとはまた違うウザさだね。」
…何を言ってるんだこいつは?
いや、今はそんな事どうでもいい。
今こいつ、ヒトガミって言わなかったか?
「僕はカミュラ。名前だけでも知っておいてね。じゃ!」
「あ。待て!」
叫びは届かず、カミュラと名乗った男は風のように消えていった。
そこにはただ、木の葉が舞い落ちるばかり。
☆★☆
「ルディ、大丈夫でした?」
「えぇ、大丈夫ですよ。…誰だ?」
あの後無事に骨は治ったので、一旦帰宅する事になった。
ルーデウス様は家に帰った途端、一人で考え込んでしまいました。
しかし、何故でしょう。ルーデウス様の横顔から目が離せません。
「…?どうしました、リーリャさん」
「え?あ、いえ!何でもありません!」
「…お母さん?」
この感情が何なのか、私にははっきり分かります。
ですが、認めてしまうとこの家の秩序が危ぶまれるかも知れません。
どうしましょう…私、ルーデウス様に一目惚れしてしまいました。
お察し頂けたでしょうか。
今回は、リーリャメインです!
ですが、単純にIFの短編で終わらせるのもなんかもったいないので、
割と長編になるかと。
まぁ、2回に1回はエロ挟むから我慢してくれや。