※この作品はR-18です。

ツンデレわん娘の躾け方   作:デイジー亭

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なんかお世話になってるチャットに私以上の狂人がいまして。
汚染されつつ書いたら、こうなりました。
SAN値とは、かくも重要なものである……


第17話 しっぽ手コキで躾けよう! わん娘視点

~前回までのあらすじ~

 

 愛するブリーダーの奸計にドハマりし。

 

 危機へと陥ったアカネ・クリムゾン。

 

 そのわん娘の尊厳の源。

 

 龍における逆鱗。

 

 つややかかつもふもふなしっぽを、弄ばれる危機に。

 

 彼女は胸をときめかせた。堕とし頃だからだ。

 

 だが、素直に即堕ちするわけにはいかぬ。

 

 何故ならば、その素直さはドSを悦ばせ。

 

 さらなるドSプレイの引き金となりかねぬからだ。くりむ知ってる。

 

 しかしながら、彼女は勘違いしていた。

 

 これは勝負ですらない。ただのお遊び。

 

 なんとなれば、愛する彼は、彼女が素直にならなければ。

 

 そのままペットとして彼女を愛でれば良いだけ。

 

 むしろこれは、蜘蛛の糸であったのだ。

 

 大胆に蜘蛛の糸を引きちぎろうとしていた自分。

 

 慌てて紐を手繰るも、彼はお釈迦様よりはるかにドS。

 

 愛犬家のサディストである。

 

 はしたないおねだりを強要され。

 

 彼女は大喜びでわん娘的淫語でおねだりした。

 

 何故ならば。根がばかいぬであったから。

 

 相互理解の日は遠い。

 

 

 

 

 

 

 

 「よし、クリム。これからしっぽをコくが。その前に」

 

 彼が手をわきわきさせながら、何か前振りをするようだ。

 

 なんだろう。彼女はしっぽをふりふり、言葉を待った。

 

 もはや我慢ならぬ。さっさとコいてくれないだろうか。

 

 

 

 「クリム。わん娘にとって、しっぽの太さとは?」

 

 「……し、しっぽが太いのはエロさの証。

 お前はドスケベだって言われてるようなものよ。

 太いとか。もっての他よ。あなたじゃなきゃ、火葬してるわ」

 

 (もうっ♡あたしの口からまた、えっちな言葉を言わせたいなんてっ♡あたしのしっぽ、ドスケベなのよっ♡あなただけに教えちゃうっ♡あなた専用どすけべごんぶとっ♡はやくシゴき倒してちょうだいっ♡♡♡)

 

 

 

 まったく。とんでもないドSである。

 

 またこの愛らしいおくちから。

 

 いやらしい言葉を聞きたいなどと。

 

 

 

 わん娘的淫語を必死に学んだ甲斐はあった。

 

 彼の興奮を昂らせるのに、非常に有効。くりむおぼえた。

 

 後で教授に補習を願い出よう。今の自分なら評価A⁺は堅いだろう。

 

 この間頂いた、評価D⁻は何かの間違いである。

 

 彼女は確信した。

 

 おや、彼が口をもごもごさせている。

 

 まだ何か、聞きたいようだ。かわいい。ちゅーしよ。

 

 

 

 「ならば、クリム。細い場合は?」

 

 「細いということは、あまり褒められたことではないわ。

 貧乳はステータスでは無いように。

 性的魅力に欠けるということよ。

 体型で言うと、ローリエ先輩みたいなものね」

 

 (……細い場合? あたしのしっぽは太いわ。つまり意味のない質問。なにかしら。この質問。何か深い意味が……? まぁいいわ。たぶん、またくだらない事を考えているだけね。あたし、知ってるもの)

 

 

 

 彼女は一人、納得した。いつものよくわからない質問である。

 

 特に意味はない。何故ならば、彼が自分のしっぽ以外を触る機会など。

 

 未来永劫ありえないのだから。細かいこと気にすると、ちゅーするわよ。ちゅー。

 

 

 

 「クリム。ちょうどいいしっぽの太さって、どのぐらい?」

 

 「えっ? ……わからないわ。しっぽの太さの話になると。

 お互いキレ散らかすもの。誰もわからないんじゃないかしら。

 あたしたち、毛並み以外の話題では、しっぽに触れないわ。

 もちろん毛並みも褒めるだけよ。侮辱したら殺し合いだもの」

 

 (もうっ! しつこいわねっ! しつこいヒトは好かれるわよ! あたしに! ブリーダーのねちっこい責め、正直大好き……♡でもこれはお預けね。お預けはあまり好きではないわ……でもしゅき。ぶっちゃけあなたが目の前に居るだけで、多幸感が溢れ出すわ。恐らく麻薬成分を分泌してるわね。なんて罪深いオスなのかしら……♡)

 

 

 

 なんと煮え切らない男か。意味のわからぬ質問ばかり。

 

 まぁいい。彼の声はドストライク。

 

 なんとなれば、我が心のピンはいつでもぐらぐら。

 

 息を吹きかけるどころか、レーンに彼が登場するだけで倒れかねぬ。

 

 

 

 恋愛は、惚れた者が負け。母が言っていた。

 

 愛する父に、常にボロ負けしている彼女の言には、異常な説得力があったものだ。

 

 しかし……長い。考え込んでいる時間が長すぎる。

 

 ぶっちゃけコかれたさすぎて、しっぽの震えが止まらない。

 

 これはもう虐待ではないか。

 

 だが、お利口さんな自分は、待ても完璧もう待てねぇ。

 

 

 

 「ねぇ。いつコくのかしら」

 

 (もう待てないっ♡わんわんっ♡コいて欲しいわんっ♡)

 

 ふりふりとしっぽを振りながら、おねだりを試みる。

 

 やはりいつでも真っ向勝負。ルチャドーラとは、斯くあるべし。

 

 この艶姿を見て、さっさとコくがいい。

 

 

 

 「そんなにコかれたいのか、このごんぶとしっぽ。

 性欲がしっぽの太さに比例するならば、この逞しさ。

 お前の淫らさは、群を抜いているということだな?」

 

 「ひぃんっ♡そ、そんなっ♡エロくていやらしいわっ♡

 く、くりむの……♡どす恋しっぽ、ブリーダーの愛でごっつぁんしてくださいっ♡」

 

 (はひぃんっ♡す、すごい淫語っ♡♡♡さすがだんなさまっ♡淫語までかんぺきっ♡声も加味して、評価はA⁺を超えてひゃくおくちょうまんてんッ♡♡♡でも、負けちゃだめよくりむっ♡♡♡あたしも応戦っ♡すっごいすけべなエクセレント、あなたに聞かせてあげるッ♡)

 

 

 

 なるほどしゅごい。わん語的淫語の習得速度。天凛を感じさせる。

 

 さすがは自分のだんなさまである。

 

 彼女は忠誠心とおよめさんごごろを天元突破した。

 

 そして彼のアツい視線を自らのごんぶとしっぽに感じる。

 

 なんということか。その視線の熱さ。

 

 全ての熱を支配する、深紅の女王たる自分を。

 

 その瞳に籠る劣情だけで、焼き尽くしかねぬ。

 

 しゅきしゅきだいしゅきはよコいて。

 

 

 

 にぎにぎ。

 

 「ひあっ…………! どすこぉぉぉぉぉぉぉぉいっ♡♡♡♡♡」

 

 (きたー♡♡♡さぁ盛り上がって参りました♡♡♡にしぃー♡♡♡ブリのやまぁぁぁぁ♡♡♡♡♡ひがしぃー♡♡♡♡♡くりむのさとぉぉぉぉぉ♡♡♡はっけよーい♡♡♡レディゴッ♡♡♡♡♡)

 

 

 

 心の中に住まう行司が、開戦を告げる。

 

 のこったのこった。理性などもう残っておらぬ。

 

 

 

 一瞬で心の中のメスガキが寄り切られ、だんなさまのトドメ。

 

 突っ張りにより土俵から真っ逆さまに堕ちる。

 

 決まり手はしっぽにぎにぎ。当然のことだ。

 

 

 

 逆鱗を貫かれた龍は、天より堕ちる。

 

 しっぽをにぎにぎされたわん娘は、性癖が堕ちる。

 

 

 

 もはや、およめさんからおよめさん奴隷に堕ちる事は確定的に明らかである。

 

 マゾ心をこれでもかとばかりに刺激され、心のメスガキは即堕ち2コマ。

 

 マゾメスガキへと進化した。

 

 

 

 だがここでガッツ。

 

 マゾメスガキとなり果てようとも、メスガキはメスガキ。

 

 およめさんメスガキは、愛するだんなさまをマゾに堕とすために煽る。

 

 だがおよめさん奴隷メスガキは、堕ちた自分をさらにお仕置きしてもらうため。

 

 負ける事が確定している土俵に、再度入場するのが定めなのだ。

 

 

 

 大相撲メスガキ場所、再度開幕。

 

 ハンデ制により、およめさん奴隷メスガキは、土下座した状態での土俵入りです。

 

 よし敗北。決まり手は三つ指。およめさん奴隷として当然の事である。

 

 行司のコールを聞きつつ、メスガキ煽りを再開せん。

 

 

 

 「ひ……♡ひんっ♡ブリーダー、あたしのごんぶと、しっかり握りすぎぃ……♡♡♡」

 

 (もうっ♡わん娘相撲四十八手♡奥義・しっぽにぎにぎ♡♡♡こんな完成度、横綱でも見惚れちゃうっ♡♡♡決してあたしがチョロいわけではないのよっ♡♡♡わかったら、もっと追い討ち♡♡♡興奮した大関によるストンピングッ♡♡♡砂被りが血煙に染まる、惨劇よっ♡♡♡)

 

 

 

 メスガキ関、煽った煽った! いや煽ってない……? 

 

 ただの苦情を申し立てた! 

 

 

 

 メスガキ煽りは不発。だが問題ない。

 

 ちょっとした口答えだけでも。彼は凄まじい勢いでぶちかましをしてくるのだ。

 

 ヤクザでももうちょっと躊躇する勢いである。完全にベッドヤクザより悪質。

 

 いつからラグビー選手になったのだろうか。大学の闇は深い。しゅき。

 

 

 

 ぎゅむ。ぎゅむぎゅむっ。

 

 「きゃいいいいいいんッッ♡♡♡ひんっ♡ひんひんっ♡つよっ、つよいわっ♡♡♡

 あたしのしっぽ、こわれちゃ……うっきゅううううううっ♡♡♡」

 

 (ほら、きたぁぁぁぁぁ♡♡♡♡♡予想通りっ♡♡♡やはり野球はデータでやるものねっ♡♡♡♡♡)

 

 

 

 ここで出っ歯のデータ至上主義。万年ベンチが血煙の中、砂被りに姿を現す。

 

 脳内で彼のデータ収集を担当する、くりむメガネだ。

 

 徹底的にデータを分析し、いつでも的確なサインを出す。

 

 だいたいデータは間違っている。恋のサインは低めの直球。

 

 彼のボレーシュートで、いつでもホームランなのだ。

 

 

 

 だって まけたいんだもの くりむ

 

 

 

 敗北者インタビューでは、常にこう答えている。

 

 およめさん奴隷としては当然のことだ。

 

 八百長など必要ない。だって試合の日取りが決まった時。

 

 すでに惨敗は確定しているのだから。

 

 さぁ。次のサインは。四股でも踏んでおくべきか。

 

 

 

 「どうだクリム。オレの痛みが理解できたか。

 これに懲りたら……」

 

 「わかったわっ♡とっても気持ちよかったのねっ♡……ブリーダー?」

 

 (うんっ♡理解したわっ♡手加減無用ッ♡いつでも全力投球ねっ♡……あら?)

 

 

 

 彼ががっくりと項垂れる。どうしたのだろうか。

 

 先ほどから教え込んでくれていた、死体蹴りの足が止まった。

 

 敵に情けを掛けてはいけない。当然の心構えを骨の髄まで教えてくれた恩師。

 

 だんなさまは首を振り。

 

 まるでスプーン投げ選手権に挑む、医師のような横顔を見せる。きゅん。

 

 

 

 「クリム。オレが悪かった。どうやらオレは、お前をマゾに躾けすぎたようだ」

 

 「えっ? な、なによぅ……あたし、ドМじゃなきゃっひぃぃぃぃぃぃん♡♡♡♡♡」

 

 (もうっ♡だんなさまったら勘違いッ♡♡♡あたしがドМなんじゃないわ、あなたが超ドSなだけっ♡当たり前のことを忘れるなんてっ♡♡♡しょうがないだんなさまねっ♡やーい、愛してる♡ばーか、もっといぢめてっ♡くれてるうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ♡♡♡♡♡)

 

 

 

 彼の手が止まったため、死体蹴りされていたメスガキ奴隷が奇跡の復活。

 

 そのまま煽り倒そうとした瞬間、浴びせ倒しを受け崩れ落ちる。

 

 メスガキとは、プレスされる運命にあるのだ。

 

 様式美というものである。

 

 

 

 ぎゅむぎゅむ。

 

 (きゃっひぃぃぃぃぃぃぃんっ♡♡♡やっぱり追撃は基本っ♡♡♡♡♡くりむ、覚えすぎるッ♡♡♡♡♡しっぽへの握撃は愛の証ッ♡♡♡♡♡あなたの闘魂も同様ッ♡♡♡跳ね回っても、手を緩めてはいけないのねっ♡♡♡♡)

 

 

 

 そのまま、大相撲裏奥義・死体種付けプレスを受け続けるメスガキ奴隷。

 

 正月の餅搗きのような、容赦ないピストン。

 

 神聖なる土俵が、メスガキの形に凹んでいく。

 

 おまけにばかいぬの認識も、歪な形に凹んでいく。

 

 

 

 ぎゅむぎゅむ。ぎゅぎゅっ。

 

 「きゃいんっ♡♡♡きゃいんっ♡♡♡きゃっひぃぃぃぃんッ♡♡♡」

 

 (きゅうっ♡きゃうんっ♡きゃんきゃんきゃんっ♡暴れれば暴れるほどっ♡♡♡しっぽぎゅむぎゅむ加速するっ♡♡♡さっきの手コキ、やっぱりだんなさまが怒ったのはっ♡♡♡途中で力を抜いたからねっ♡♡♡くりむ、おぼえたっ♡♡♡あたしの全力を尽くさねばッ♡♡♡無作法というものッ♡♡♡全力にて仕るッ♡♡♡♡♡)

 

 

 

 心の中の野武士が、残心の重要さを告げる。

 

 やはり。宮本武蔵は正しかった。あらゆる手段を用いて負けるため。

 

 手コキ奉仕に手を抜いてはならぬ。いやヌきはするのだが。

 

 よし。これで今度こそ。次なる奉仕でだんなさまを満足させることが出来る筈。

 

 

 

 さわさわ。

 

 「……? やさしい……。ブリーダー、握らないの?」

 

 (ンんッ……? 手を緩める……? ドSらしからぬ所業……何か企んでいる……?)

 

 

 

 仕込まれたケツ振りにて、誘惑しつつ。

 

 だんなさまに尋ねてみる。油断してはいけない。

 

 彼が手を緩める時。いつだってそれは、更なる暴虐の予兆なのだから。

 

 気を抜けばすぐに面白いいきものに進化させられかねぬ。

 

 

 

 「クリム。やはりしっぽも闘魂も。

 優しく扱うべきだと思わないか」

 

 

 

 しゅっ……しゅっ……

 

 「んはぁっ♡急になに……? そ、そうね……♡そうかも……♡」

 

 (んふっ♡やっぱり優しいのもしゅき……♡えっ? 何を言ってるのかしら……あなたがあたしを優しく扱ったこと、あった……? だいたいとんでもない事しか、あたしされてないんだけど……♡まぁ、嬉しいからいいわッ♡それよりここは、阿るべきね……口答えしたら最後。またおかしな方向に、キレかねないわ……)

 

 

 

 彼の説得力がマイナスを振り切った言葉。何言ってるんだコイツ。

 

 やれやれ、錯乱気味なだんなさまを持つおよめさん奴隷は大変である。

 

 まぁ、しょうがない。このくりむちゃんの包容力。

 

 そんじょそこらのわん娘とは格が違う。

 

 ここは話を合わせるべきだろう。

 

 

 

 ヒトの社会も追従と愛想笑いが大事。

 

 くりむ知ってるもの。つまらない生き方をするわね。ヒトって。

 

 でもだんなさまはいつでも本音。わん娘と近しい性質を持ってるわ。

 

 だっていきなりキレるもの。だんなさまはわん息子なのかもしれないわね。

 

 そういうところに惚れたのよ。そのままのあなたでいて。

 

 

 

 彼への愛を高めながら、大人しく戯言を聞いてやる。

 

 どうせすぐにしっぽを全力で握られるのだ。くりむ知ってる。

 

 リンゴが木から落ちるのよりも、確実な法則である。

 

 

 

 なんとなればリンゴは突風で飛び去る可能性がある。

 

 だが彼が突然しっぽを握撃しない可能性はゼロ。

 

 火を見るよりも明らかだ。

 

 

 

 「ほうらクリム。おまえのごんぶと。

 このぐらいが、一番気持ちいいんじゃないか? 

 やはり優しさは重要。そうは思わないか。

 お互いに尊重しあってこそ。

 真の愛はその姿を現すのだ」

 

 

 

 しゅこしゅこ。

 

 「ンきゅうっ♡あ、愛を感じるわ……♡このぐらいがいいのね……♡」 

 

 (んふぅっ♡さすがだんなさまっ♡♡♡油断させるのにも手を抜かないッ♡♡♡なんて理想的なドSなのかしらっ♡♡♡やはり、エクスタシーは弛緩からの全力でのみ、得られるのねッ♡♡♡)

 

 

 

 だんなさまの優しい愛撫。明らかに罠だ。

 

 こちらが気を緩めた瞬間。ベストなタイミングで。

 

 彼は満身の力を籠めるに違い無い。かっこいい。しゅき。

 

 

 

 だが、こちらとしてはそれを従順に受け入れる他にない。

 

 何故ならば。こちらはおよめさん奴隷。あちらはだんなさま。

 

 性殺与奪の拳を振り下ろすのは、いつだってだんなさまだからだ。

 

 

 

 しゅこしゅこ。しゅこしゅこ。

 

 「ふぁぁぁぁぁ……♡あたし、愛されてるぅぅぅ♡♡♡♡♡」

 

 (ゆ、油断しちゃだめよくりむっ♡♡♡この優しさ、明らかにブラフッ♡♡♡でも、すんごくきもちいい……♡♡♡も、もしかしてだんなさまが改心したのかしら……♡♡♡そんなわけないじゃない。夢を見すぎよあたし。彼が改心する可能性。信じたいけど、ゼロに近いわ……)

 

 

 

 くったりと身体を床に預けても彼の握撃が来ない。

 

 もしかして本当に改心したのだろうか。

 

 このだらしない姿。いつもなら落ち度を凄まじい勢いで追及される。

 

 

 

 それなのにお仕置きが来ない。

 

 信じてもいい……? いや、駄目だ。

 

 信じたいけど信じられない。

 

 だってこのヒト、頭がおかしいんだもの。

 

 

 

 しゅこしゅこ。しゅこしゅこ。しゅしゅしゅのしゅ。

 

 「きゅうんっ♡んふぅっ♡あッ♡あッ♡愛っ♡土俵戦士っ♡」

 

 (ふあああああっ♡♡♡やっぱりやさしいっ♡♡♡だいしゅきっ♡♡♡こ、このまま優しく愛し続けれくれれば……♡♡♡どんなに素敵なことなのかしらっ♡♡♡だんなさま、やっぱりあたし、信じ……)

 

 

 

 なんと。まだ握撃が来ない。

 

 もしや、信じてもいいのだろうか。

 

 愛情たっぷりの奉仕に、心が揺れる。

 

 

 

 そうだ。自分はおよめさん奴隷。

 

 彼を信じられなくて、どうするというのか。

 

 疑ってごめんなさい。これからは心を入れ替え。

 

 あなたをさらに盲目的に信じ…… 

 

 

 

 ぎゅうむっ。

 

 「きゃっひぃぃぃぃぃぃぃぃぃんっ♡♡♡

 あたしっっっ♡握るっ♡♡♡つよくっ♡♡

 きんもちぃぃぃぃぃぃぃぃっ♡♡♡♡♡♡」

 

 (やっぱりぃぃぃぃぃぃぃぃッ♡♡♡信じたあたしがばかいぬだったわっ♡♡♡♡♡くりむ、覚えたっ♡♡♡だんなさまの甘い言葉、甘い奉仕ッ♡♡♡♡♡ぜんぶ信じちゃダメなのねっ♡♡♡確実に本気で言って、やってるけどもッ♡♡♡気が狂ってるからすぐキレるっ♡♡♡♡♡嘘をつかずとも、騙すことはできるのねっ♡♡♡だんなさま、素敵過ぎっ♡♡♡あたしも少しでも、追いつかないとッ♡♡♡)

 

 

 

 轟っ。

 

 掌中で燃え盛る闘魂。わかったのだ。

 

 愛するヒトの言葉を信じてはいけない。

 

 狂気に身を任せ、思うさま一方的に愛する事こそが極意。

 

 

 

 彼自身が示した真実の愛のカタチ。

 

 騙し討ちこそが、彼の求める愛なのだろう。

 

 ならば、このクリム。

 

 正気を捨て、全力全壊にて奉仕をせねばなるまい。

 

 

 

 彼が泣き叫んでもそれはブラフ。

 

 さらなる火力でもって、一方的に愛を押し付け。

 

 だんなさまの性癖を、満足させねばならないのだ。

 

 彼が己のしっぽを使い、存分に躾けてくれた通り。

 

 

 

 なんと困難な。なんとやりがいのある奉仕か。

 

 やれやれ。気の狂っただんなさまを持つのも大変だ。

 

 だが、愛しているのだ。その流儀に従ってやらねば。

 

 だんなさまを満足させるのは、およめさん奴隷の義務であり権利なのだから。

 

 

 

 「クリム。落ち着け。今のはそう……ちょっとしたやらかしだ」

 

 「ブリーダー♡あたし、わかったのっ♡

 強ければ強いほどいいのねっ♡

 次はあなたのごんぶとをっ♡♡♡

 あたしの全力でッ♡♡♡

 愛し尽くしてあげるからッ♡♡♡」

 

 (んふっ♡嘘はついてないッ♡でももう騙されないわっ♡♡♡すぐに気が狂うものっ♡♡♡一瞬前の本音が、すぐに嘘に変わるッ♡♡♡扱いづらいだんなさまねっ♡♡♡でも安心して、ブリーダーッ♡♡♡およめさんは、先見の明がだいじっ♡♡♡弱めろと言えば強く、強くと言われれば弱くッ♡そう、あなたの人格がすぐに反転するのはもはや見切ったッ♡♡♡躾けは完全に馴染んだわッ♡♡♡愛の勝利ねっ♡♡♡)

 

 

 

 彼女は確信した。

 

 今の自分なら、だんなさまのニーズを完全に満足させられる。

 

 狂人を悦ばせるには、己も狂犬とならねばならぬ。

 

 

 

 共に狂気の闇に堕ちよう。

 

 どこまでも深く、深く。

 

 きっと底には愛がある。

 

 

 

 永遠の愛。

 

 狂った性癖の井戸の底。 

 

 そこには真実がきっとあるのだ。

 

 

 

 しゅっこしゅっこ。

 

 「物足りないわ……♡もっと強くぅ……♡」

 

 (んふっ♡また反転ッ♡次の反転はいつかしらッ♡♡♡誘って、誘発しなきゃッ♡♡♡およめさんとして、狂化タイミングも読めるようにッ♡あわよくば、こちらでもコントロールできるようにしないとッ♡♡♡メスガキ煽りばかいぬシステム、頼むわよっ♡♡♡)

 

 

 

 彼の優しい奉仕。

 

 正気に見せかけている時の彼だ。

 

 次の反転タイミングを予測する。

 

 

 

 むり。このヒトほんとわけわかんない。

 

 なんとかメスガキ煽りで誘発できないかしら。

 

 まったく、なんというやりがいのある仕事か。

 

 でも愛してるからへいき。くりむえらい。

 

 

 

 しゅっこしゅっこ。

 

 「きゅうんっ♡これもイイけど……♡やっぱり愛は力いっぱい伝えるべきね……♡」

 

 (んふっ♡油断した姿を見せれば、恐らく誘発は可能……♡トレーニングを並行して行えば、だんなさまは恐らく腹を立て。渾身のご褒美をカマしてくるはずよ……! だんなさまの発狂コントロール。これが今後の課題ね……!)

 

 

 

 ボウッ。ボワァッ。シュゴォッ。

 

 手の内で燃え盛る、愛の炎。

 

 だんなさまが手を止め、呆然とこちらを見る。

 

 

 

 明らかにブラフ。今彼は、内心腹を立て。

 

 次のお仕置きのご褒美を、着々と準備しているのだ。

 

 手を止めたのはその証左。最大の振れ幅にて、クレイジーを叩き込むのだろう。

 

 

 

 クリムさん? あの……

 

 「どうしたの? あたし、今ちょうどいい火加減を探すのに夢中なのだけれど」

 

 (敬語。つまりは振れ幅は予想よりも大きいわね。想定よりもとんでもない握力を発揮しそう。彼、いつの間にかヒトをやめてたし……わん娘並みの握力があると仮定した方がいいわ。まったく。どこまであたしを悦ばせるつもりかしら。ドМじゃないけど。ないけど。だんなさまがドSすぎるから、あたしはM側に回らざるを得ないのよ。まったく。なんてすばらしいだんなさまなのかしら。もっとやれ)

 

 

 

 引き続き、トレーニングに夢中になっているふうに装う。

 

 普段敬語を使わない彼の敬語。どれだけ自分を油断させたいのか。

 

 つまりはしっぽを引きちぎられるぐらいの握力。

 

 これを発揮するつもりだろう。

 

 

 

 恐ろしいが、致し方ない。

 

 しっぽを千切られるのは、わん娘として最大の屈辱。

 

 もはやヒト前に姿を見せれぬ身体となる。

 

 愛する父母と会うことも、できなくなるだろう。

 

 

 

 だが、それがどうしたというのだ。

 

 愛している。愛している。心の底から、この狂人を。

 

 ならば両親と会えぬことなど。

 

 

 

 彼を除く世界の全てを捨て去ることなど。

 

 自分にとっては容易いことだ。

 

 だって、彼こそが。

 

 あたしの世界の全て。 

 

 

 

 さぁ。愛しておくれ。愛するヒトよ。

 

 その愛の全てを受け入れよう。

 

 どこまでも沈んでいこう。愛の沼へ。

 

 どんな握力であろうと。

 

 今の自分なら耐えられるはず。

 

 

 

 しゅこしゅこグワッッッシィ。

 

 「ふぁぁぁぁ……♡きゃっひぃぃぃぃぃぃん♡♡♡♡♡」

 

 (やっぱ無理ぃぃぃぃぃぃぃぃッ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡あふんっ♡♡♡)

 

 

 

 フェイントからの全力の握撃。

 

 びっくんびっくんして浴場の床をまたも黄色く汚しつつ。

 

 アカネ・クリムゾンは即座に気絶した。

 

 

 

 どんなに大層なモノローグを語り、覚悟をキメようと。

 

 愛するだんなさまに、勝てる筈が無かったのだ。

 

 即堕ち2コマは様式美。

 

 お約束とは、破られないからお約束なのだから。

 

 

 

 

 

 

 さらによくわからないことにされるのが確定している、ばかいぬ。

 

 彼女の明日はどっちだ。(配点:100点)

 

 

 

 

 

 

 つづかない 

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