「……あー、その、何だ……君、誰だ?」
その日、俺が相手も曖昧なまま向かうよう言われた研修ルームで会ったのは──見慣れない少年だった。
「やだなあ、私だよ私」
だが向こうは俺の事を知っているのか、まるで勝手知ったる友人のように語りかけてくる。
いわゆる「エルフ」を意識したアバターなのだろうか。尖った耳と、肩口まで伸びた緑のメッシュ混じりのサラサラした黒髪。少女にも見紛う整った顔立ちの少年は俺を見上げて笑っていた。上半身は短めの緑のマントと肌にぴっちりとフィットしたシャツ。サスペンダーで釣られたショートパンツの間で綺麗な臍が覗いている。
「いや、すまない、ちょっと待ってくれ、思い出してみる……」
額をトントンと叩き、記憶の中に該当する存在を検索する。
──ダメだ、やはりこの店で会った人間に彼の記憶は無い。彼が男娼の候補生だとすれば初対面の筈だが、それにしては態度が明らかに初見のそれではない。
「あー、声を高めにしてるからかな」
俺の困惑に少年は納得したように頷くと、喉に手をあてて音程を探るように言った。
「ンッ……あー、あー、どう? これなら分かる?」
「へ? あ……あぁ!?」
急にトーンが下がり、太めの男性的な声に変わる少年。その声を聴いて俺は確かに
「お、おい!? アンタまさか……『チャイカ』か!?」
「やっと気付いてくれた。ま、この格好の時は『チャイ』とか『チャイちゃん』って呼んでよ」
俺の驚きを気にする風でもなく少年──「チャイ」は中性的な声に戻して言うとベッドに腰かけた。
「チャイカ」。この店の
しかし、俺の知る彼は緑髪のエルフでこそあれ屈強な長身の男性だった筈だ。少なくともこんな美少年ではない。
「はは、驚いた?」
「驚いたも何も……一体どうしてそんな格好に?」
とりあえず相手の正体が判明した事で俺は多少は落ち着きを取り戻し、彼──チャイ、と呼べば良いのだろうか──に向き合うように椅子に座り問いかけた。
「うん、まあ、覆面警備員みたいな感じかな」
細い腕を組みつつチャイは答えた。脚を広げてゆったりと座る態度は確かに普段のチャイカと同じだが、それを真っ白な脚の少年でやられると何とも奇妙で倒錯的だ。これまでの「緑仙」や「勝」との邂逅で、俺が男性相手にも
「覆面って……客の振りをして、万引きとかを監視するやつ?」
「そうそれ。知ってると思うけど私、門番役として立ってたしそれで防げた悪質客も居たんだけど、最近はそうもいかなくなってきてね」
「防げなくなってきた、って事か?」
「巧妙になってきてるの。見た目も態度も普通の客で入店時のスキャンにも異常なし。だけど予約を入れてルームに入ってから、多重プロテクトをかけて隠してた電子ドラッグを女の子に使ってキメセクしたりね。『ちゃんと用心棒さんには通して貰ったから』ってので逆に信用しちゃうみたいで」
腕を広げてチャイは肩をすくめた。
PCのセキュリティソフトとそれを潜り抜けるウイルスやワームの新開発が延々と続く鼬ごっこであるように、発見するツールと隠ぺいするツールの開発も日々競争が続いている。高級VR風俗店である「電燈二次三次」はその辺りのセキュリティも最新鋭のものだが、この店の利用層は会員紹介制という事もあり富裕層の客が多い。その手の裏事情に通じている者も居るのだろう。確かに頭の痛い問題だ。
「こっちも他人のセックスを全監視する訳にもいかないから、プレイが始まると嬢の方から開いてくれないと中は分かんない仕様だしね。それで後から分かっちゃったりするとサ、『店のツールの脆弱性が原因だから仕方ない』って尊様や支配人は言ってくれるけど、それでも責任は感じちゃって」
「それで、そのアバターを?」
何となく話が分かってきた。俺の問いかけにチャイが頷く。
「少し前からお願いしててね。中で本性を出すってんなら、私もその中に入って探ろうって事で」
「いや、まあ……その心がけは立派だと思うけどよ」
俺は顎に手をあてて困惑の視線をチャイに向けた。
「その……
「『いいのか』って?」
「だから、その……中に入るって事は、あんたが『嬢』として、客と、あー、だから……」
「言い淀むねェ。『セックス』って言やあ良いのに」
片脚を膝に乗せた行儀の悪い姿勢でチャイはあっさりと言った。なるほど、確かにこの図太さは「チャイカ」のそれだ。何だか俺の方が腰が引けているみたいになってきた。
「……まあ、そういう事さ。あんたは確かにこの店は俺より長いけど、そっちの抵抗感とかは無いのか?」
「無いよ? ほら、私ってもともとニューハーフだから。そりゃ普段は女の子で勃起したりオナニーもするけどサ、男性もウェルカムってやつ?」
おおよそ中性的な声で美少年が発する言葉ではない。呆れつつも俺は考え込んだ。
「(何と言うか……やり辛いなァ、オイ)」
今まで
確かに今は女ものの服を着ればそのまま少女に見間違えるであろう程の少年だ。だが中身はあくまで「チャイカ」なのだ。この後で元の姿に戻った彼と会った時にはどんな顔をしたものか。
「……ああ、もう。面倒くさい」
そんな俺の迷いは顔にはっきりと表れていたのだろう。少しイラつき気味にチャイは頭を掻きつつ立ち上がった。
「って言うか兄さん、もう緑仙や勝くんとヤッたんでしょ? だったら二人も三人も変わらないって」
「いや、そうは言うけど……うおっ!?」
そのままスタスタとこちらに接近してきたかと思えば、チャイはがっしりと俺の脚を掴んで広げるとそこに頭を突っ込ませてきた。外見こそ小柄な少年だが、その膂力は元のままという事か。
「って、何やってんだ!?」
「ふも!? ふぁふぁまふぃいはらふぁっふぁふぉはひめろ! んむっ!」
「ちょ……うぅっ!」
おそらくは「喧しいからさっさと始めろ」と言ったのだろうか。
そんな事を冷静に考える間もなくチャイは俺のスラックスを消失させ、まだ垂れたままだった肉棒を咥えた。サラサラした黒髪をかき上げつつ喉奥まで呑み込み、そのまま強引に勃起させようとしてくる。
「んぱ、ンッ、ちゅ、じゅるるっ!」
「く、うあっ!」
荒々しい吸い付きと唇の締め付け。それでいて舌の動きはあくまで丁寧で肉棒に痛みを与えずに快感を引き出そうとしてくれている。チャイの二面性がそのまま表れたかのようなフェラチオは──まだ受け入れきれていない気持ちもあったが、確かに気持ち良かった。股間に血流が集まり、次第に固さを増してゆくのが分かる。
「ちゅ、んむ、ちゅうぅぅ」
「お、おい、チャイ! 吸うの、強いって……!」
強烈な吸い上げに思わず腰が浮く。ムクムクと膨れ上がった肉棒がチャイの口腔内を押し広げてゆくが、それでも彼は口を離さない。眉をひそめながらも口を一杯に広げて竿を咥え込むその様子は、顔だけならば少女の献身的なフェラチオにしか思えないだろう。
やがて十二分に勃起した肉棒に満足したのか、チャイはようやく口を離した。赤黒い亀頭と整った唇の間に唾液の橋がかかる。
「ぷはっ……うわぁ、話には聞いてたけどホントにおっきいね。俺の
一人称が「私」から「俺」に変わってきた辺り、チャイも昂ってきているようだ。白い頬に朱が差し、瞳は潤み始めている。
「(うっ……!)」
不覚にも「可愛い」と思ってしまった自分に戸惑う。その間にチャイは立ち上がり、サスペンダーを外してズボンを脱ぐと座ったままの俺に跨ってきた。
「ほら、始めよ? 俺は構わないって言ってんだからサ」
「……分かったよ。ンッ」
「んっ? ふぁ、ちゅ……」
俺は観念して苦笑を浮かべ、チャイの薄い唇に口づけた。もっと男臭い感じのキスになるかと想像していたが彼の吐息は思った以上に甘く、そして熱かった。
膝の上に乗る身体も元の巨体からは考えられない程に軽い。アバターに合わせて体重設定を下げているのだろうか、俺が腰を持てばひょいと上がりそうだ。
「あぅ、そこ、こ、擦れてっ……!」
ノーパンでズボンのみだったのか、既に彼の下半身は剥き出しになっていた。半分皮を被った肉茎が俺の腹にあたり、身体を揺するごとに擦れている。俺はチャイの細い背中に手を回し、より密着を強めるとキスをしたまま自身のスラックスを消失させた。直接に互いの肌が触れ、少年らしい高めの体温が伝わってくる。
「やるからには、こっちも本気でいくからな……よっ、んっ……」
「うあっ!」
チャイの肉茎に怒張を擦り合わせて同時に更にキスを重ねる。俺の中にあった抵抗感は快感によって薄れ、逆に背徳感へと変化して興奮を煽ってくる。その衝動に任せるまま、俺はチャイと舌を絡ませた。
「ちゅ、んは、あぁ……の、ノッてきた、じゃないっ……んんっ」
「んぱっ、お前が、乗せたんだろ……ふぅ、ちゅ、じゅるっ……よ、くっ……」
「うあっ!」
口の減らないチャイに言い返しつつ、俺は腰を揺すった。細い肉茎の先端がが俺の竿に強く擦られ、少女のような高い声で悶える。
びくびくと震える背を優しく撫で、声をかける。
「悪い……ちょっと、痛かったか?」
「あっ、あふっ……う、ううん。今のくらいが、いちばん、いいかも……ね、もっと……」
瞳を潤ませ、愛撫をねだる緑髪の少年。その甘えるような声に肉棒がビクンと反応を示す。全く、我ながら男相手にも節操が無くなってきたものだ。
内心で苦笑しつつ俺はチャイにキスをして言った。
「ンッ……」
「じゃ、もっとしてやるよ。尻をこっちに向けな」
「………」
「どうした?」
「……何か、こっちが恥ずかしくなってきた」
俺の直接的な言葉にチャイは少し赤面する。普段は押しの強いキャラだけに、主導権を奪われると逆に弱いようだ。
しかし彼の方も股間で健気に屹立する肉茎の様子からして興奮してるのは確かだった。俺の上で身体を回し、こちらに背を向ける。
「なあ、尻に挿れられた事はあんのか?」
「……ない。その、普段の身体だと、俺が基本的に責める側だったから」
「そっか、それじゃあ……ちょっと慣らさないとな」
「『慣らさないと』って……んくっ、あ、はぁっ……!?」
緑仙や勝との交わりを経て、俺にも少年への「責め方」というのが若干だが分かってきた。今回の場合は中身は成人男性だが、ここまでの反応を見る限りは少なくとも今のアバターであれば同様の流れで良さそうだ。先走りの滲む亀頭でチャイの可愛らしい尻穴を擦り上げるとびっくりしたように小柄な体が跳ねた。そのまま彼の腰を掴み、ぐりぐりと窄まりを解すようにその周辺を肉棒でつつく。
「んあ、ちょっと、人の尻で、遊ばない、でよっ……!」
「くうっ……遊んで、ねえ、さっ。バーチャルだからって、いきなり突っ込んじゃ、痔に、なっちまう、からな……それにっ」
「ふあぁっ!?」
右手を腰からチャイの前に移し、ぷるぷると勃起しながら揺れる彼の肉茎を柔らかく握る。サイズこそ少年のそれで陰毛も生えていないがそれでも海綿体を健気に充血させて固くなっており、俺が尻を擦る度に脈動を速めさせている。
「ま、待って! そこ、今、敏感だからっ……」
堪らずチャイが制止の声を漏らす。声を無視してこのまま進めても良いが──
「……おいおい」
──俺はあえて動きを止め、苦笑交じりにチャイに言った。
「なあチャイ。最初に言ってたけどアンタ潜入捜査やるんだろ? 男相手にはまだ素人の俺にそんな言わされてちゃ、本物のホモのおっさん相手じゃトロトロにメス堕ちされちまうぞ?」
「ッ!?」
露骨な挑発。
俺の言葉にチャイはハッと表情を変え、大きく息を吐くと身体の緊張を解いた。
「ハァァ……」
「………」
「………」
何も言わず、彼の言葉を待つ。
チャイは瞳を潤ませたまま俺の方を向き、少年らしい負けん気を浮かべた顔で言った。
「だ……」
「……だ?」
「だ、だったら、このまま、してよ。俺を、メスにする……くらい」
か細くそう言うとチャイはプイと顔を背けた。それは拒絶でなく「何をしてもいいよ」という恭順のサインだ。
普段の屈強な姿で睨みつけられれば俺も少なからず萎縮したろうが、少年の今の姿ではその所作には可愛さしか感じない。俺は口元に笑みを浮かべ、再びチャイへの責めを再開する。小さな窄まりを先走りと汗で濡らし、同時に肉茎を一定のストロークで扱く。
「あ、あうっ、うぅっ!」
「アンタがそう言うなら遠慮なくいかせて貰うぜ。途中で泣くなよ? くっ……」
「ああぁっ!」
緑メッシュ混じりの黒髪が揺れ、汗を散らす。
自身の腰の動きを大きいものに変え、少年の尻をより強く肉棒で擦る。それに合わせて俺の手の中の肉茎はビクビクとより激しく反応を示し、射精感の強まりを俺に教えてくれる。
「そろそろ、イキそう、だなっ……一回、出しとく、かっ!」
「うっうんっ! 俺、俺、イク、かもっ! ヤバ、これ、ヤバっ!」
そう言っている合間に軽く達したのかチャイの亀頭からぴゅっと精液が漏れる。それを扱き出すように俺は手の動きを速めた。
「んあ、あ、ひっ、いいぃっ!」
悲鳴にも似た声と共にチャイは大きく跳ね、同時に精を迸らせた。俺の手に新鮮な精子が降りかかり、青臭い匂いが立ち昇る。
「ふぁ、はっ、あぁ……」
「力も良い感じに抜けてるな……んじゃ、挿れるぞ」
「へっ? い、いや、ちょっと、俺、まだ、イって……んぎっ!?」
絶頂の余韻が抜けきる前に俺は肉茎から手を離し、精液に濡れた指をチャイの孔に差し込んだ。亀頭で十分に解されていたその奥に指先を送り、彼自身の精液を擦り込む。これならば俺の肉棒も受け止められそうだ。指を抜き、肉棒を宛がう。
「やっ、ほんと、待っ……せめて、あと、少っ、しぃぃっ!」
「ぐ、ううぅっ!」
チャイの言葉を待たずに俺は容赦なく肉棒を突き入れた。少年らしいピンク色の窄まりはミチミチと痛々しく広がり、限界まで勃起した肉棒を何とか排出させようと孔を蠢かせて抵抗を見せる。しかしそれは逆に俺に強烈な締め付けと快感を与えるばかりで、俺は快感の呻きと共に更にチャイの奥まで怒張を挿入させてゆく。
「あ、ふ、あ、はぁっ……!」
過呼吸に陥ったようにぱくぱくとチャイが口を開閉させる。身長150㎝にも満たない小柄な身体はそれでも壊れることなく俺の肉棒を受け入れていた。再び彼の前に手を回すと、射精したばかりの肉茎は再び勃起を取り戻してぴんと屹立している。
「すっ、凄、凄い、よ、お兄さんの、ちんぽっ……俺のおなか、いっぱいっ……!」
「まだ挿入したばっかりだぜ? ここからが本番……ってなっ!」
「ひっ、ぎっ!」
チャイの軽い身体を持ち上げ、再びずんと突く。まるで等身大のオナホールを扱うかのようにあえて乱雑に、乱暴に。それを繰り返す。
「あぐっ! あっ、あうっ! いっあぁっ!」
「うっ、ふうっ、いい、ぜっ! チャイっ! アンタのケツ、ぎゅうぎゅう、締まってっ!」
「あひ? ひ、ひあぁっ!」
もはや俺の言葉は聞こえていないのかもしれない。そのくらいチャイは俺の肉棒に悶え、快感に溺れていた。舌をだらりと出し、潤んだ眼はどこを見ているのかも分かりはしない。しかしそんな状態でも限界まで広がった孔は引きちぎられそうな程の締め付けで肉棒を責めてくる。
俺は俺でここまでの責めで興奮が限界に近づいていた。ズボズボとチャイの中を荒々しく擦ると、堪らない射精感が腰の奥からこみ上げてくる。
「くうっ! お、俺も、出すぞ、チャイっ! 全部、受け、止めろ、よっ!?」
「ふぇ、え、えぇっ!? わか、わから、にゃいっ! おれ、なんも、わからっ!」
「ぐ、お、おおおぉっ!」
「ひっ、あ、熱っ! 熱っ、いいぃぃっ!」
どくん、とチャイの腸の奥に精液を注ぎ込む。どくどくと溢れる奔流に少年は再度の絶頂の叫びをあげ、同時に自身も射精した。
「うぉ、搾られ、るっ……!」
「あひ、ひっ、あ、あはっ……」
壊れた人形のようにぐったりと俺に身を任せるチャイ。快感に蕩けたその表情は「少年」と呼ぶには余りに淫蕩で、動物的で、可愛らしかった。
「……っ!」
「んあぁっ!?」
その表情だけで俺の中の衝動がまた呼び起され、チャイの尻穴に挿入されたままの肉棒がびくんと反応し、再度の充血を始める。窄まりから押し出されそうになっていた竿は固さと太さを取り戻し、更なる蹂躙を開始してゆく。
「ま、まだ、おっきぃ、まま、なのっ!?」
「ヘバるには早いぜ? せめて三回戦くらいまでは相手できるくらいでないと、お客さんの相手は務まらない、からなっ!」
「あうぅっ! 俺、おれぇっ!」
再度のピストンに悶絶するチャイ。
その反応をむしろ楽しみながら、俺は固い肉棒を彼の奥まで打ち込んだ。
。
──我に返ったのは、チャイの意識が完全に飛んでベッドの上で死んだ蛙のようになるまで射精した後の事だ。
「……しゃあッ、現行犯逮捕ぉ! 支配人、この人ヤッてた!」
事務所のドアが勢いよく開かれ、屈強な緑髪のエルフが客と思われる男性を小脇に抱えつつ入ってきた。後ろ手に縛られた男性を床に転がし、デスクで事務作業をしていたジョーに言う。
「結構ヤバい薬を俺に使おうとしてた。常習だと思うから、この人の紹介者を含めてチェックした方がいいかも」
「お疲れ様。あとは俺の方で処理しておくから休んでていーよ」
──あれからチャイカは本当に少年の姿で男娼としてデビューした。そして彼の言っていた「潜入捜査」は、予想以上の効果を上げている。
ガワだけならあどけないエルフの少年にしか見えないチャイカに客は油断し、不正ツールや電子ドラッグを利用する悪質客はそれを使って彼を篭絡しようとする。そこで元の筋肉質な巨漢の姿に戻り捕まえるのだ。突然の変貌に相手は逃げることも忘れて茫然とするらしい。
体を解しつつ接客用のソファに座ったチャイカは、そこで初めて向かいのソファで寛いでいた俺に気付いたようだった。
「ふう……あら、お疲れ様」
「そっちこそお疲れ様、チャイカ。ここの所、絶好調だな」
「あんまり絶好調でもねぇ……それだけヤバいのを持ち込んでる客が増えてるって事だし」
俺の労いにチャイカは苦笑を浮かべて返してくる。
「でもまあ、こんだけ成果を上げられてるのもお兄さんのお陰、感謝してるよ」
「……あー、まあ、それは」
どう答えて良いのか分からず、視線を逸らす。正直なところ、こうして話していてもあの時のチャイの姿が想起されて気まずくなってしまう。
「ただ、サ。最近は事の途中でお客さんを捕まえちゃうから俺もカンが鈍ってきてて」
「……?」
ふと、彼の声が高くなった。視線を戻すと、そこに立っているのは緑髪の無邪気そうな少年だ。
「だからさ……また、トレーニングしてくれない?」
「……考えさせてくれ」
何ともまた、妙な関係を作ってしまったものだ。
悪戯っぽく笑う「チャイ」に、俺はぐったりと答えた。
「チャイ」がどんなビジュアルか知らない人は「花畑チャイカ ショタ」で検索しよう! 脳が混乱するよ!