※この作品はR-18です。

怪物ではなく女神として   作:若杉優太(テト/teto)

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 お待たせして本当に申し訳ない!


メイド姿の女神をご注文ですか?

「はむ……れる……れる、じゅるる……っ!」

  

 ゴルゴ―ンの部屋の中で響く何かをしゃぶるような音。

 その音と同時に、男の声が僅かながらに聞こえてくる。

 男の声をよく聞くと、少し上擦った声を出しているようにも思えた。

 

「くっ……!ゴルゴ―ン……ッ!や、止め……ひぅ……!」

「ふふ、情けないぞご主人様……これぐらいの快楽には耐えてもらわねば、私の夫としてやっていけないぞ?」

 

 自身の紫髪をツインテールにし、黒と白を基調にしたフリフリのメイド服姿で立香の肉棒へ奉仕をしていたのは、かつて怪物と呼ばれた英霊……ゴルゴ―ン。

 少ししゃがめば下着が見えてしまう短いスカートを着ているというのに、ゴルゴ―ンは男の股間部の辺りまで腰を落とし、熱心に肉棒へと奉仕をしていた。

 本来の彼女ならば間違ってもメイド服を着たり、他人を‘‘ご主人様”などと呼ぶことはなかったはず。

 だというのに彼女がメイド服を着て目の前の男に奉仕をしているのには、ちゃんと理由がある。

 それは一重に、目の前の男――というより黒髪の少年、人類最後のマスターである藤丸立香と結婚しているからだ。

 

「ぐちゅ、ぐちゅ……って、我慢汁が出てきた……よっぽど私に興奮してくれたんだな?ご主人様」

 

 一旦肉棒をしゃぶるのを中断し、片手で肉棒を上下にスライドさせながら立香へと語り掛けるゴルゴ―ン。

 ――どうして、こうなったんだろう……

 腰の辺りを支配し続ける快感を感じつつ、立香は心の中で大きな溜息をつく。

 

「(えっと、確か……ゴルゴ―ンの部屋に来て、それから……)」

 

 熱心に肉棒をしごくゴルゴ―ンを後目に、先程あった出来事を順々に思い出していく立香。

 それは、思い出せば思い出す程に頭が痛くなるようなことばかりであった。

 

 

**

 

 

「いやー、今日も疲れたな……」

 

 ある日のノウムカルデアにて、マスターである藤丸立香は背伸びをしつつ、廊下を一人歩いていた。

 つい先日まではレイシフトのし過ぎで精神的に思い詰められ、部屋で寝込むことを余儀なくされていたが、今の彼の表情はとても晴れやかである。

 その理由は、彼が一人の英霊と結ばれたからだ。

 

「(最近ゴルゴ―ンと一緒に居られる時間が少ないからなぁ……今日は、朝まで一緒に居よう……)」

 

 立香は左手の薬指に着けた銀の指輪を見つめ、にっこりと笑う。

 その指輪は数日前にゴルゴ―ンと結婚式を挙げた時、二人で互いに着け合った結婚指輪。

 ハベトロットに仕上げてもらった純白のウエディングドレスへ身を包み、手に百合や薔薇を挿したブーケを持った彼女は形容し難い程に美しく、思わず立ちくらみしてしまいそうになった。

 そんな彼女に着けてもらった指輪だからこそ、思い入れがある。

 

「僕も夫として、頑張らなきゃな……」

 

 まだ年齢的には成人もしていない子供ではあるけれど、それでも彼女に対しての想いだけは誰にも負けない。

 例え世界を敵に回しても彼女だけは守り抜く……大袈裟かもしれないが、そのぐらいの覚悟はしているつもりだ。

 

「(将来は、子供を作ったりするのかな……?)」

 

 まだ彼女と結婚して日は浅いが、それでもそんなことをぼんやりと考えてしまう。

 数人の子供に囲まれながら彼女とのんびりと暮らす……実に良い生活だ。

 しかし、その未来を実現させるには、まずは人類最後のマスターとしての責務を果たさなければならない。

 その責務を果たし、彼女……ゴルゴ―ンと元の地球で穏やかな生活を送る。

 今の立香を支えているのは、その一点だ。

 

「……大好きだよ、ゴルゴ―ン」

 

 一旦立ち止まって指輪にそう語り掛けると、立香は晴れやかな表情で前を向き、再び廊下を歩き始めた。

 

 

**

 

 

 とある日、私は普段着る衣服の選び方に困り、妖精ハベトロットの部屋を訪れていた。

 以前ドレスを制作してもらったこともあってか、彼女と良好な関係になっていた私は、度々彼女の部屋を訪ね、夫である立香の喜びそうな服についてアドバイスをもらっている。

 

「ハベトロット……こんなのはどうだ?」

「うーん、ちょっと派手な気がするなぁ。君だったら、もっと清楚な色でも似合うよ!」

 

 決して嘘は言わず、似合わなかったらハッキリと口にし、すぐに私に似合いそうな服をどこからともなく持ってきてくれるハベトロットは、立香や姉上達の次に頼もしい‘‘友人”だ。

 

「はい、これ!白のカーディガンだよ!」

「ああ。ありがとう、ハベトロット」

 

 彼女からカーディガンを受け取ると、すぐさま私は着ていた紅色のカーディガンを脱ぎ、純白のカーディガンへと着替えた。

 そして、部屋にあった鏡台の前へ立つと、ハベトロットはパッと瞳を輝かせる。

 

「うん、うん……!やっぱり、君は白の服が似合ってるよ!」

「そ、そうか……?」

「そうだとも!マスターと結ばれて花嫁になった君には、清楚な白が似合ってる!数日前に君が着たドレスみたいな純白の服がさ!」

 

 興奮した様子で私を褒めてくれるハベトロットの言葉に感化され、思わず私は頬を赤らめてしまう。

 ――相変わらず、こそばゆくなってくるな……

 いつも、いつもそうだ。ハベトロットに素直な褒め言葉を掛けられると、ついつい気恥ずかしくなる。

 もちろん嬉しいという気持ちもあるが、やっぱり……恥ずかしい。

 

「(ふぅ……だが、こんなことで動揺していてはいけないな。私は、立香の妻なのだから)」

 

 そうして私が心の整理をしていると、突然ハベトロットが何かを思い出したようにして手を叩いた。

 

「思い出した!そういえばゴルゴ―ンに着てもらいたい服があったんだ……!!」

 

 ハベトロットは急ぐように鏡台の近くにあった小さなロッカーを開け、そこに畳んで丁寧に置いてあった一着の服を手に取る。

 その服は、白と黒の入り混じったドレスに見えた。

 

「いやー、すっかり忘れてたよ。モルガンに着てもらおうと思ってずっと置いてたんだけど、最近モルガンも忙しいみたいで、僕の部屋に来る機会が少ないんだよね……だから、君に着てもらいたいんだよ」

 

 感慨深げに語るハベトロットの様子からして、余程誰かに着てもらいたかった服らしいが、一体どんな服なのだろうか?

 若干期待をしつつ、私はハベトロットからその服を受け取ると、とりあえず広げてみることにした。

 

「(これは……ドレス?)」

 

 先程見ていた時から違和感は感じていたが、ドレスにしてはスカートの丈が短く、首元や肩の露出がやけに多い。

 胸の部分は白の布と黒いリボンで覆われているものの、肩に関しては白のレースが少し掛かっているだけで、ほとんど隠せていない状態だ。 

 問題のスカートの丈も姿勢を低くすればすぐに下着が見えてしまいそうである。

 装飾に関してもスカートにフリルが着いていたり、腹部の辺りにエプロンが着けてあることを見ていくと、この服が普通の服でないことは容易に察することができた。

 

「ハベトロット……これは、何の服なんだ……?」

「うーん、僕もよく分からないんだけど、この服を持ってきた黒髭は特に説明してくれなかったんだよね。まぁ、見た目からして使用人の服っぽいけど……」

 

 そう言って首を傾げるハベトロットの言葉を聞き、改めて渡された服を見ると、確かに給仕を行うような恰好ではある気がした。

 だが、それにしては肌の露出が多い……

 

「(どこかで、見た事があるような……ないような……)」

 

 思い出せそうで思い出せず、しばらく頭の中の記憶を探ってみたが、いつまで経っても思い浮かびそうにない。 

 なら、とりあえず着てみた方が早いだろう。

 私はそう思い立つと、早速着ていた白のカーディガンを脱ぎ、黒のワンピース一枚だけになった。

 

「お、着てみるかい?じゃあ、それまで僕は後ろを向いとくよ」

「ああ、ありがとう」

 

 ワクワクとした気持ちを隠せない様子で顔を後ろへと向けるハベトロットに微笑み、私はその”給仕服”へと袖を通すのだった――

 

 

 

 数分後、給仕服を苦戦しながらも何とか着ることのできた私であったが、やはり何と言うか……私には似合ってないような気がしてならない。

 元々肌を見られることを何とも思っていなかったけれど、流石にこの服はあからさまだ。

 そもそも、こんな服が似合う英霊は私以外に居るはずで……

 

「そろそろ着替え終わったかな……って、え!?」

 

 気になってしまったのだろう。私が良いと言う前に、ハベトロットは私の着替え終わった姿を直視していた。

 当然……いきなりの出来事に私は耳と顔を真っ赤にするしかない。

 

「(こ、心の準備も出来ていないというのに……見られるとは……っ!)」

 

 顔を手で覆い、必死に赤くなった顔を隠す私であったが、そんなことを全く気にしない様子で、ハベトロットは私の姿をじっと見つめていた。

 幸いにも彼女の瞳がキラキラと輝いているのを見ると、”似合ってないよ”と言われることはなさそうではあるが、あまりジロジロと観察されるのも気恥ずかしい。

 

「うーむ、これはモルガンにも着てほしかったかもな……」

 

 考え事をしながらじっくりと私の頭から足までを見て、ぶつぶつと言葉を漏らすハベトロット。

 これを他の英霊にされていたら、問答無用で石化させるところだが、彼女は下心無しで私を観察している以上、何も言う事ができなかった。

 

「――あ、ごめん……!ついつい、君に見惚れちゃってさ!ごめんね?ゴルゴ―ン……」

「……っ、ああ。き、気にしてないぞ……それより、どうだ?この服を着た私は」

 

 未だに朱の差す頬を隠す様にハベトロットへと問いかけると、彼女は屈託の無い笑みを私へと向けた。

 

「似合ってるに決まってるじゃないか!最初は、君に似合うかどうか不安だったけど、やっぱり君はどんな服でも映えるね!僕が思うに、このスカートの部分は可愛くて良いと思うよ!!」

「か、可愛い……?」

「そうさ!君はドレス以外にも、こういう若い娘が着る服も似合うってこと。自信持ちなよ、ゴルゴ―ン!」

 

 励ますように私へ言葉を掛けたハベトロットは、鏡の前まで私の背中を押すと、鏡を見ながら嬉しそうに言葉を紡ぐ。

 

「ほら、ちゃんと自分を見てゴルゴ―ン。こんなに君は、魅力のある女性なんだよ?」

「……だが、私よりもきっと似合う英霊が居る」

「そんなことないさ!この服は、君が着るからこそいいんだよ!きっとマスターも、似合うって言ってくれる!」

 

 私に力強く笑い”大丈夫”と言ってくれる彼女の姿。

 ――駄目だな……私も、しっかりと自信を持たねば……

 いつも彼女に世話になりっぱなしの自分に喝を入れ、私はしっかりと自分の姿を見つめた。

 

「(ぅ……やはり、私には似合わない気が……そもそも、立香はこんな服を好むのだろうか?)」

 

 結婚する前も後も、ずっと彼を見続けていた私であったが、立香はあまり自分の趣味や嗜好を口に出すことが少なく、シミュレーションルームでの一件以来、性的なことを私へ求めていないことから、性欲もあまり無いのかもしれない。

 私が彼について知っている情報と言えば、黒髭と日本の娯楽や”メイド”について話していたことぐらいで――

 

「(なるほど。……あれか!)」

 

 その時に持っていた黒髭の雑誌をうっすらと思い出し、ようやくこの服に対する違和感が晴れた。

 となれば、することは一つだ。

 

「なぁ、ハベトロット。この服、良ければ私に貸してくれないか?」

「ん?ああ、もちろんいいけど……何に使うつもりなの?」

「ふふ、お前なら分かるだろう?私が誰の前なら、この服を着るのかぐらい」

 

 そう言って言葉に含みを持たせると、ハベトロットは不思議そうにしていた表情をにやけさせた。

 

「なんだ、そういうことね……君も素直じゃないなぁ!」

「これでもだいぶ素直になった方だ。お前にこんなことを頼むぐらいなんだからな」

「確かに、前よりも確実に花嫁力が上がってる。……うんうん。その調子だぜ、ゴルゴ―ン!」

 

 グッと親指を立てて力強く笑うハベトロットを見つめつつ、私は今後のことをぼんやりと思考する。

 ――まずは、黒髭からメイドについて詳しい話を聞かねばな。

 奴ならば私が聞けばすんなりと教えてくれるだろう、もし教えないとしても力ずくで聞けば済むので問題はないはず……となれば考えなければいけないのは。

 

「(どうやって奴を驚かせてやるか、だな)」

 

 この服を着た姿を見た夫の反応を楽しみにし、私はどんどんと妄想を膨らませていくのだった。

 

 

**

 

 

「ふぅ、ゴルゴ―ン居るかな?」

 

 普段ならば特に緊張することもなくゴルゴ―ンの部屋に立つ僕だが、こうして久し振りに彼女の部屋へ訪れることになると、妙に浮付いた気持ちになってしまう、

 多分こんなに気持ちが高揚してしまうのも、彼女と結婚したからだ。

 正式に彼女が僕の妻になったからこそ、余計に特別な感情を持って接してしまうのかもしれない。

 

「(落ち着け……落ち着け……!いつも通りに話をすればいいんだ……)」

 

 深呼吸をし、何とか高まる心臓の鼓動を抑えつつ部屋の開閉ボタンへ手を添える……が、中々踏ん切りが付かずにその場に立ち往生したままになる。

 そうして、かれこれ数分間はゴルゴ―ンの部屋の前に居ようかという時だ。

 突然、部屋の扉が横へとスライドした――

 

「なんだ、部屋の前に居たのか。りつ……じゃない、ご主人様」

「へ?」

 

 扉が開き、当然ながら出てきたのは僕の妻であるゴルゴ―ン。

 普段ならば数日振りにこうして顔を見れたことを喜び、ハグかキスでもするところなのだろうが、僕は喜びの感情よりも先に驚きの感情を抱いた。

 

「お前の帰りを待っていたぞ。まったく、たまには休めと言っているのに……」

 

 そう言ってぶつぶつと文句を呟く彼女の服装は、コスプレや日本の漫画・アニメで見かけたことのあるメイドそのもの。

 白いカチューシャにエプロンをし、更には髪を結んでツインテールにしたゴルゴ―ンの姿は、まるで二次元の世界から飛び出してきたような恰好であり、普段のギャップも相まってか、とても可愛らしく見える。

 だが、どうしてそんな恰好を彼女がしているのだろうか?

 思わず動揺した様子を表情に出してしまうと、ゴルゴ―ンは僕を見て意地悪気に笑う。

 

「ふふ、面白いものだな。普段は何事にも動じないあのマスターが、この服を見た途端真っ先に顔を赤くするとは……マシュや他の英霊が知れば驚くな」

 

 気付かぬうちに赤くなっていた僕の頬と耳を撫でつつ、何故か吐息を荒くするゴルゴ―ン。

 その顔は、数日前に身体を重ねた時と同じ顔をしていた。

 

「ご、ゴルゴ―ン……今日の君は変だよ……」

「変?どこがだ?私はいつもと変わらないぞ、ご・しゅ・じ・ん・さ・ま」

 

 わざとらしく耳に息が吹きかかるように喋り、更に赤くなっていく僕の顔を心の底から楽しそうに笑うゴルゴ―ンは、やっぱり普段の彼女では考えられない行動を取っている。

 そもそも日本のメイドのことについて、一体どこで知って……

 

「さぁ、とりあえず部屋に入れご主人様」

「え?あ、うん……でも……」

「いいから入れと言っているんだ。今日はたっぷりともてなしてやるからな」

 

 不意に掴んだ僕の手をがっちり離さないまま、半ば無理矢理僕を部屋へと連行していく彼女に逆らえず、そのまま部屋の中へと誘われた僕。

 今思えば、ここで部屋に入ってしまったのが運の尽きだったような気がする。

 

 

 

「ほら、ここに座れ。すぐに馳走を食べさせてやる」

 

 部屋にあった備え付けの机へ僕を座らせ、一時的に部屋から去るゴルゴ―ン。

 その間に、僕はぼんやりと部屋の中を観察した。

 

「(数日の間に随分内装が変わったな……)」

 

 前はインテリアや家具は一切なく、ただただ殺風景な部屋という印象だったのだが、今となっては観葉植物や洒落た照明・本棚が置かれており、以前とは部屋の印象がだいぶ違う。

 ――きっと、他の英霊からもアドバイスをもらったのだろう。

 そうして微笑ましい気持ちで部屋をじっくり見ていると、ふと自分の座る机の上にあった写真立てが目に入った。

 

「(これは……確か、結婚式で撮った写真だったかな……?)」

 

 おもむろに写真立てを手に取って見つめると、そこには笑顔で笑う四人が写っていた。

 ウエディングドレス姿のゴルゴ―ンにスーツ姿の僕が隣り合い、ステンノとエウリュアレの二人が僕達の横にそれぞれ立って微笑んでいる……結婚式前の試着室で撮ったものだが、何回見直しても良い写真だ。

 

「いい笑顔だな、本当に……」

 

 ゴルゴ―ンにステンノ、エウリュアレの三人に襲った悲劇を薄っすらと思い出しつつ、写真に映る彼女達を感慨深く見つめていると、不意に部屋のロックが解除される音が聞こえた。

 

「待たせてしまったな、ご主人様。早速、馳走を持ってきてやったぞ」

「うん、ありがとうゴルゴ―ン」

 

 ゴルゴ―ンに返事を返しつつも、僕はさりげなく写真立てを元の位置に戻し、何事もなかったようにして姿勢を正して椅子へと座る。

 

「ところで、ゴルゴ―ン。君はどこで日本のメイドについて知ったんだ?」

「ん?覚えてないのか?自分が黒髭と話したことについて」

「くろひーと話したこと?ああ……まさかあの時の……」

 

 確か数日前にカルデアの廊下で少しだけ彼と日本の文化について話した気がするが、内容自体はあまりよく覚えていない。

 しかし、こうしてゴルゴ―ンがメイド姿になり、丁寧に僕の呼び方も変えているところを見れば、よっぽど彼女に影響を与えてしまったのだろう。

 

「お前が普段自分の趣味を話さないからな、中々良いことを聞かせてもらったぞ」

「それで、メイドの恰好をしていると……」

「そういうことだ。全てはお前を労う為、疲れを癒してやろうと思ってやっている……藤丸立香の妻として、サーヴァントとしてな?」

 

 僕の質問に対してゴルゴ―ンは穏やかに笑いつつ、手に持っていた料理皿をテーブルへと置く。

 その皿に載っていたのは、ラグビーボールのような楕円状に形作られた黄色輝く卵料理オムライス。

 料理自体は日本で何度も見たことがあるために物珍しさは無かったが、ここまで綺麗な形で作られたオムライスは初めて見た気がする。

  

「どうだ?上手くできているだろう?中々大変だったんだぞ、この料理を作るのは」

「……!これ、ゴルゴ―ンが作ったの……!?」

「当然だ。お前には私の手料理を食べさせてやりたかったからな、それに……‘‘メイド喫茶”なるものでは定番料理だとも聞いている」

「う、うん……確かに定番、だね……」

 

 自信満々な様子のゴルゴ―ンに曖昧な答えを返し、僕は改めて目の前のオムライスを見つめた。

 どこを見ても形が崩れておらず、食品サンプルと間違ってしまいそうな程に美しいオムライス。

 その表面には黄色以外の余計な色は一切なく……

 

「ん?あれ?ゴルゴ―ン、このオムライス……ケチャップが掛かってない気がするんだけど?」

「ああ、安心しろ。ちゃんと“メイド喫茶風”に、ケチャップを掛けてやろう」

 

 そう言って、ゴルゴ―ンは懐から一本のケチャップボトルを取り出したかと思うと、慣れた手付きでオムライスの上にケチャップを掛け始める。

 掛ける、と言ってもただ無造作にケチャップを垂らしているわけではなく、何やらイラストを描いているようだ。

 

「ここをこうして……後は名前を入れて、だ!よし……できたぞ」

 

 ケチャップで描かれたハートの中に”りつか”とひらがなで書き終え、満足そうに微笑むゴルゴ―ン。

 そして、仕上げとばかりにおもむろに手でハートを作り――

 

「えっと、確かこう言うんだったか?おいしくな~れ!萌え萌えキュン♡ご主人様、美味しく召し上がってくれ♡」

 

【挿絵表示】

 

 今まで見た事が無い程の屈託の無い笑顔を見せ、オムライスに向かっていかにも“メイド喫茶”で言いそうなセリフを言い切ったゴルゴ―ンは、一瞬だがランサーの彼女と見間違ってしまいそうなぐらいに可憐な姿を僕に見せてくれた。

 だが。

 

「え……あ、その……」

 

 あまりの可愛さに言葉が出てこず、しどろもどろになってしまう僕。

 その様子が困惑しているように見えたのだろう……みるみるうちに彼女の顔が真っ赤に染まっていくのが分かる。

 

「……っ!さ、さぁ!早く、食べろ……!ご主人、……さま」

 

 顔を背けて投げやりに言い放つ彼女の姿に再度愛らしさを覚えつつ、僕は頭の中を真っ白に染めた。

 

「(やっぱり、僕の妻は可愛い……世界一、いや宇宙一かもしれない。くっ、しまった!カメラでも持ってくれば数千枚は写真撮ってたのにな……!仕方ない、この際取って来るか?これを逃したら、二度とゴルゴ―ンのこんな姿見れないかもしれないし、どうせなら動画にも残して永久に保存したい。ああ、でもどうしよう?万が一こんな姿のゴルゴ―ンの写真や動画が漏れたら、その時は――)」

 

 落ち着いて思考を整理し、目をぐるぐると回しながらゴルゴ―ンの可愛さを考え続ける僕は至って冷静だ。

 不思議と身体から力が抜け、目の前が真っ暗になっていくような気がするが……うん、多分気のせい。

 それにしても僕の妻は本当に可愛い、やっぱり一番可愛い、いや言葉で表現するのがそもそも間違いで――

 

「ぶくぶく……」

「……ん?お、おい!立香!?泡吹いてるぞ……!しっかりしろ!」

 

「ぅ……ん。がくり……」

 

 頭のCPUをオーバーヒートさせた僕は、ゴルゴ―ンに揺さぶられながら静かに気絶するのだった。

 

……

…

 

「まったく……いきなり気絶するとはな。心配したんだぞ?」

「あはは、ごめんごめん……気絶しちゃうぐらい君が綺麗だったからさ」

 

 気絶した際にひっくり返した椅子を元に戻しつつ、僕は彼女へとささやかな誉め言葉を投げるが、それと同時に彼女からは溜息が返ってくる。

 

「はぁ……それはそうと、どうするんだオムライスは?」

「ん?あ――」

 

 彼女の言葉で我に返った僕が目の前のテーブルを見つめると、湯気の立っていたオムライスはすっかり冷めきり、常温にまで戻ってしまっていた。

 

「私がせっかく冷めないように持ってきたというのに、まさか一口も手を付けないとは思いもしなかったぞ?それに、あんなことまで言わせておいて……」

「ぅ……ごめんなさい。今度、何かで埋め合わせするから許してくれないかな……?」

 

 ゴルゴ―ンに向かって両手を合わせて必死に頭を下げるものの、彼女は余計に表情を不機嫌なものにしていく。

 それもそうだ。自分が一生懸命作り、温かいうちに食べてほしいと思っていた料理を、理由はともあれ一口も手を付けずに冷ましてしまったのだから弁解のしようがない。

 自身がやってしまったことの大きさを自覚し、僕がしばらく頭を下げていると、ゴルゴ―ンは再び溜息をつきつつ口を開いた。

 

「……埋め合わせをする、と言ったな?」

「う、うん。できることなら、何でもするよ」

「何でもか?何でも……するんだな?」

 

「いや、限度はあるけど、可能ならゴルゴ―ンの望み通りにする……」

 

 妙に慎重な様子で僕に答えを求める彼女に対し、恐る恐るそう言って言葉を返すと、彼女は納得した様子で顔を頷かせる。

 ――ほっ、とりあえずは良かったのかな……?

 そうして安堵しつつ胸を撫で下ろす僕を後目に、ゴルゴ―ンがおもむろにその場へしゃがみこんだ。

 

「ご、ゴルゴ―ン?何を……?」

「ん?埋め合わせをしてくれるのだろう?どうせなら、今埋め合わせをしてもらおうと思ってな」

 

 そう言って不敵な笑いを浮かべたゴルゴ―ンは、あっという間に僕のズボンを下ろし、中にしまっていた男性器を取り出す。

 

「ちょ、ちょっと!ゴルゴ……うっ!?」

 

 彼女を咎める間もなく、僕は下半身に走った快感に言葉を失ってしまう。

 

「れる、んちゅ……ふふっ。やはりお前の性器は大きい、私があの夜に絶頂させられたのも納得だ。爽やかな顔をしているというのに、ここは随分逞しいんだな?」

「うう……それより君の言う埋め合わせって、まさか……」

「そのまさか、だ……たっぷり搾り取ってやる。ご主人様」

 

 涙目になる僕を楽しそうに見つめ、再び僕の性器を舐め始めるゴルゴ―ン。

 これから、どんなことが僕に待っているのだろうか?

 想像するまでもがないが、きっと大変な目に遭うことは間違いなかった――

 

 

**

 

 

 一通り今まで起こった事を整理し、思わず頭を抱えそうになる立香。

 そんな立香を現実に引き戻すかのように、突然――下半身に先程とは違った刺激がもたらされた。

 

「(……っ!?何か、柔らかい物が当たってる……?)」

 

 自身の肉棒に走った感覚に驚き、ふとゴルゴ―ンの方を見ると、そこには少しばかり膨れっ面になりながら胸の谷間で立香の肉棒を挟む彼女の姿があった。

 

「今、他のことを考えていたな?ご主人様。私がせっかく奉仕をしているというのに……」

「いや……その……」

「言い訳は聞かん。こうなったら……お前が他の事を考えられないぐらいに搾り取ってやる、覚悟しろご主人様」

 

 一瞬だけ本来の姿である”怪物”としての側面を表情から覗かせたゴルゴ―ンは、舌なめずりをして立香の顔を見つめる。

 ――久し振りだ、こんなゴルゴ―ンを見るのは……

 蛇に睨まれた蛙の如く若干身体を怯ませつつも、不思議と立香の気持ちは昂っていた。

 

「ふふっ、こんなにも性器を勃起させて……んっ、節操が無いご主人様だな?」

 

 ゴルゴ―ンが男性器へと口付けをし、胸を僅かに動かすだけで快感に身を震わせる立香。

 そんな様子を見たゴルゴ―ンは、ここぞとばかりに乳房で肉棒をもみくちゃにしていく。

 

「ぅ……っ!くっ……!それ、気持ち良過ぎだよ……!」

「情けないぞご主人様。これぐらいの快楽、平然と耐えてもらわねば困る……」

「そんなこと、言われたって……っ!」

 

 立香が出した我慢汁を潤滑油のように使い、手際よく肉棒をしごいていくゴルゴ―ンに対し、立香はただ快感に悶えるしかない。

 

「ぅ……っ!あ、っ……!」

「さっきよりも反応がいいな?もしや、胸で挟まれるのが嬉しいのか?」

 

 ゴルゴ―ンの質問に答える気力も余裕も無く、下半身に走り続ける快感を享受し続ける立香だったが、彼の肉棒は限界を訴えるが如く赤くなっており、肉棒の先に熱が集まり始めていた。

 ――ヤバい、出る……っ!

 透明な汁を流し射精する寸前にまでなった時、不意に立香の肉棒は温かい感覚に包まれる。

 

「ご、ごるごーん……!?駄目だ……っ!」

「んっ、んん!らにが、らめなんら……?」

「もう、出るから……ッ!口を離し――……ッ!?」

 

 肉棒を咥え込むゴルゴ―ンを咎めた途端に、ますます強まる快感。

 何とか出すまいと踏ん張っている立香に対し、ゴルゴ―ンは射精をせがむように音を立てて亀頭の先を吸う。

 

「じゅるる……っ!んっ、ちゅ……我慢などするな。さっさと欲望を吐き出せ、いいな?」

 

 そう言い放ち、乳房と口を器用に使って立香を射精へと導こうとするゴルゴ―ン。

 まだ性的なことに関しては初心な立香にとって、そのような責めをされて長く持つはずが無かった。

 

「出る……っ!もう、限界……だ!」

「ふふっ!いいぞ、らせ……!わらひのくちに!」

「くっ……!ぅ……!!」

 

 亀頭の先に溜まった物に耐え切れなくなり、立香はついに精一杯閉めていた蛇口を捻ってしまう。

 

「ぁ……!ぁ……!」

 

 下半身から力が抜けていく感覚と共に、ドクドクと吐き出される精液。

 今まで立香が自慰の類をしてこなかったせいか、濃厚な白濁汁が亀頭から溢れ出し、ゴルゴ―ンの口内を白く染めていく。

 

「んん……っ!んっ!」

 

 とめどなく射精を続ける肉棒へと刺激を与え、更に精液を搾り取っていくゴルゴ―ンの行動に抗う術はなく、立香もそれにつられるようにして濃い白濁汁を勢いよく放出してしまう。

 

「(出しちゃってる……ゴルゴ―ンの口に……)」

 

 妻の口を自身の精液で汚してしまった。

 興奮よりも先に罪悪感を抱いた立香が彼女の表情を伺ってみると、その顔は淫らに笑っている。

 

「あー……いっぱい、れたな?こい、しぇいえきら……」

 

 口の中で精液を弄びつつ、舌に乗った白濁汁を見せつけるゴルゴ―ンの姿に、立香は思わず肉棒を固くしてしまう。

 ――なんだろ……この気持ちは……

 このカルデアに来て性欲など、ゴルゴ―ンと交わった時の一回しか湧いたことがない。

 だというのに、今はあの時と同じかそれ以上に性欲が湧き上がってきている。

 

「ん……く。ふぅ……中々濃い種汁だったな、流石ご主人様だ」

「……」

「どうした?まだ物足りなかったのか……?だが、今日はここまでとしよう、借り物の服を汚して返すわけにはいかないからな」

 

 精液を見せつける様にして飲み込み、口周りに散った残り汁も綺麗に指ですくって舐めとっていくゴルゴ―ンの姿が、不思議と立香には艶やかに見える。

 決して誘惑しているわけではないというのに、立香の瞳には誘っているようにしか映らなかった。

 

「さて、着替えるとしよう。この服もそろそろ窮屈になってきたところだ……」

 

 そう言って立香の前で立ち上がると、頭に着けていたカチューシャを外し、ツインテールに結んでいた髪を解くゴルゴ―ン。

 立香の瞳が鋭くなっていることに気付く様子もなく、ゴルゴ―ンは部屋のクローゼットへと向かう。

 

「どれどれ、今日は何を着るとしようか?」

 

 ゴルゴ―ンがクローゼットの中を開けると、今までハベトロットや二人の姉にプレゼントされた服が一式綺麗に収納されていた。

 ワンピースにカーディガン、ドレス、ブラウス等など、着る服を選ぶのに一日は掛かってしまいそうだが、ゴルゴ―ンは一着ずつ自身の身体に合わせていく。

 

「これは……駄目だな、少々派手過ぎる。これも……駄目で……」

 

 独り言を呟き、集中した様子で服選びをするゴルゴ―ン……だったが。

 

「お?この服は中々――……んっ!?」

 

 不意に背後から走った衝撃と共に、胸に感じる手の感触。

 驚きつつも視線を自身の乳房に落とすと、ゴルゴ―ンは呆れながらも若干嬉しそうな笑みを浮かべた。

 

「やはり、あれしきの快楽では物足りなかったようだな……立香?」

「……うん」

 

 自身の背中にしがみつき、挙句胸を鷲掴みにする立香はきっと切なそうな顔をしているだろう。

 これまで自分に見せたことのない“男”の顔をし、荒い息を吐く立香の姿が振り返らずとも想像できる。

 か細い立香の返事を聞いたゴルゴ―ンは期待からか思わず舌なめずりをし、一瞬で表情を妖艶なものへと変えていった。

 

「いいぞ、立香。私をお前の好きなようにしろ……好きなように、な」

「ほ、本当に……いいの?」

 

「ああ、構わん。ただし、今日は絶対に寝かせんぞ……あ・な・た?」

 

 立香の方へと振り返り、限界まで勃起した彼の肉棒を軽くさすりながら耳元でささやくゴルゴ―ン。

 その瞳はどこまでも喜びと嬉しさに溢れていた。




 閲覧いただきありがとうございます!今後もゴルゴ―ンの小説はアイデアが浮かべば書いていきますのでよろしくお願いします!
 pixivにも投稿しているので、良ければどうぞ……
 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19592008
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