※この作品はR-18です。

男娼少年イヴ -亜人っ娘だらけの異世界で穢され嫐られ毎日-   作:ノーティー・ナイト・ザ・リーアム・クラブ

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※BL要素あり
※アナル責め描写あり
※アナルセックス描写あり


カーリオにもう一つの初めてを散らされた

 これまでの前戯によって発情してしまい、イヴニンスも歯止めが効かなくなったようだ。

 

 

「じゃあ、うつ向けに寝てから……お尻だけ上げて?」

 

「……うん……」

 

 カーリオの指示通り、枕に顔を埋めるように寝てから腰だけ浮かせる。

 期待と劣情、好奇心が快楽を求めさせていた。

 

 

「ふふっ……♡ すっかり従順になっちゃって……生意気さんなイヴも好きだけど、今のエッチに興味津々な君も可愛いよ……♡」

 

「う……っ……う、うるさいなぁ……! やっぱやめるぞ……」

 

「あははっ!……もう……本当に可愛いなぁ君は……♡」

 

 照れ隠しのように顔を隠すイヴニンスの様子を楽しみながら、カーリオはオイル塗れの手で目の前の柔っこい尻肉を開く。

 

 

「ん……っ……!」

 

「わぁ♡ 初々しいお尻の穴ですね♡」

 

「黙れ……!」

 

「えへへ……♡」

 

 次にカーリオは、彼の肛門を浸すように、上からオイルを垂らす。

 冷たい感触に驚き、イヴニンスの身体が跳ねた。

 

 

「あぅ……っ!」

 

「冷たかったですか? ごめんなさいね?」

 

 謝ってはいるが、口調に悪怯れた様子はない。

 心底楽しそうな顔でオイルを垂らし、また自身の指先にも追加で浸す。

 すっかりリネンは染みと皺だらけだが、全く気にしていない。

 

 

 瓶の蓋を閉めて傍らに置き、右手の人差し指をイヴニンスの肛門へと差し向けた。

 

 

「……っ」

 

「力入れちゃ駄目だよ? 深呼吸して、ほら……リラックス……」

 

「ふ……っ……くっ……!……ふぅーっ……ふ、ふぅーっ……」

 

「うん、そうそう。そのまま身体の力を抜いて……」

 

 イヴニンスの緊張が解れるのを待つように、まずは肛門周りを指先で撫でる。

 ムズムズとした感覚が走り、それに耐えようと深呼吸を繰り返す。

 

 

「ん……っ!……ふぅー……っ……! ふぅー……っ!」

 

「あ、少し解れて来たかな……よしっ」

 

 窄まった穴の前にぴとり、オイル滴る細い人差し指の先を当てた。

 

 

「今から本格的に解すよ♡」

 

「や、やっぱ待っ──うっ!?」

 

 イヴニンスの制止を聞かない振りをし、ずぶりと指を挿す。

 窄んでいた尻穴は指を飲み込み、体内への侵入を許した。

 

 

「んぐぅ……っ!?」

 

「おー、入った入った♡」

 

 ゆっくりと指の根元まで挿入してから止めて、イヴニンスの反応を伺う。

 挿れた際に大きく身体を跳ねさせ、後は肛門の異物感に耐えようとびくびく間隔的に震えている。

 

 

「大丈夫?」

 

「ひっ……ぐ……っ……ま、待ってって言ったのに……っ!」

 

「聞こえなかった、ごめんね♡」

 

 謝りながらカーリオは、挿し込んだ指を大きく動かし、腸壁を押し込む。

 まだ前立腺まで押していないものの、体内から走るむず痒い感触がイヴニンスを脅かす。

 

 

「ひっ……ぎっ……!……う、動かすな……っ!」

 

「だってイヴのナカ、とってもエッチですから……うわぁ……凄いキュウキュウ締まってて、あったかい……♡」

 

「一々言うなぁ……!……ぁうっ……」

 

 少し引き、尻穴の口付近を丹念に拡げるように、或いは滴るオイルを腸内へ流し込むかのように指を操る。

 

 

「自分で言うのも何ですけど、僕のって大きいですからね。じっくり解さないと……」

 

「く……ふっ……!」

 

 くちくちと湿っぽい音を鳴らしながら、この作業をひたすら続ける。

 間髪与えられずに湧き立つ何とも言えない快感に、イヴニンスは既に気が狂いそうだ。

 

 

「ま……まだ終わらないの……!?」

 

「まぁ〜だですよ♡ ヴァージンな上に、指さえ一度しか挿れた事のない穴なんですから♡」

 

 口調こそ余裕そうではあるが、その実カーリオのペニスはこれでもかと言うほど勃起している。

 丹念に丹念に準備をしているものの、内心では今すぐにでもナカに突っ込みたかった。

 

 

「そろそろもう一本イケますかね?」

 

 人差し指の出し挿れがスムーズになって来た頃合いで、カーリオは中指も追加しようと伸ばす。

 そしてそのまま興奮の余りか、イヴニンスに確認を取る前に挿入してしまった。

 

 

「ぉう……っ!?」

 

 不意打ちのように挿れられた為か、イヴニンスから潰れた喘ぎが漏れる。

 

 

「……っ……お、お前! 突然はやめろよ……!」

 

「うわ、凄い締め付け……コレ、僕の挿れたらどうなるんだろ……♡」

 

「聞いてないし……」

 

 二本指を咥えたイヴニンスのアナル。

 異物を押し出すべく窄まろうとするが、指と指が開かれてぱくりと穴をこじ開けられてしまう。

 

 

「ほら♡ ぱくぱ〜く♡」

 

「ひ……っ!? あ、遊ぶなっ!!」

 

「へへへ……うん。だいぶ柔らかくなって来たかな?」

 

「んあっ!?」

 

 薬指が挿入され、合計で三本指が突っ込まれた。

 じんじんとした酷い圧迫感が尻穴に広がり、一層イヴニンスの身体が強張る。

 

 

「うーん……まだ三本はキツキツだね〜……えへへ、エッチ♡」

 

「あ……っ……ぐぅ……っ!……い、痛い……!」

 

「とりあえず根元まで行けるかな?」

 

「うぁ……!?……く……ぅ……っ!!」

 

 腸壁を掻き分けるように指三本を押し進める。

 イヴニンスの穴はもうギチギチに拡がり切っていた。

 

 

「ん〜……もう良いかな?」

 

 頃合いだと判断したカーリオは、尻穴と腸壁を弄っていた指をゆっくりと引き抜く。

 

 

「んぐっ♡!?」

 

 抜かれた際に鋭い快感が走り、嬌声をあげてしまうイヴニンス。

 その声を聞き取れたカーリオは嬉しそうに忍び笑いを浮かべる。

 

 

「抜かれるのが気持ち良かったですか?」

 

「ち、ちょっと驚いただけ……!」

 

「イヴって……もしかしてお尻弱い?」

 

「そんなトコに強いも弱いもあるか……!」

 

「素直じゃないなぁ……」

 

「本心だってば!」

 

 口から強がりは出るものの、羞恥に耐えられないようで、耳まで赤くなった顔を枕で隠している。

 まるで生娘のような態度。その癖して、先ほどまで指三本を突っ込まれていた彼の尻穴はパックリと開き、ひくひくと引き攣っていた。

 

 

「……はぁ……♡ エッロい……♡」

 

 あまりにも淫らなイヴニンスの姿に、カーリオのペニスはずくずくと脈打ち、限界まで勃起。

 触らずともこのまま放置していれば暴発してしまいかねないほど、彼は興奮し切っていた。

 

 

「……イヴ。こっち向いて」

 

「え……? い、いや、今は……」

 

「良いから向けっての」

 

「っ!?」

 

 顔を晒すのを嫌がるイヴニンスを、肩を掴んで無理やり転がした。

 強靭な力で強制的に仰向けに寝かされ、露わになったイヴニンスの表情は、蕩けたものだった。

 

 

「な、なに見てんだよ……」

 

 すっかり垂れた目元、瞼と瞼の隙間から覗く瞳は潤み、元から色白の肌には上気した様が目立ち、喘ぎ声を出すまいと歯は食い縛られていた。

 快楽に屈服寸前ながら、まだ強情さの伺える口調と表情。それがカーリオを一層高揚させた。

 

 

「……やっぱり、君は完璧で、魔性の人……だね……」

 

 爛々とした瞳で見下ろし、震えた声で息巻くカーリオ。

 目の当たりにしてしまった彼の股座を見てイヴニンスは息を呑む。明らかに自分のモノより大きなソレが、その自分のモノの上にぴとりと乗せられていたからだ。

 

 

 

 

「……イヴ……」

 

 彼の名を呼びながら、オイルを自身のペニスに垂らすカーリオ。

 溢れた分が、イヴニンスのペニスと下腹部を濡らした。

 

 

「今から君の処女を奪うよ。分かる? コレが君のお腹の中に入るんだよ?」

 

「……っ……」

 

 ペニスを扱き、オイルを馴染ませて行く。

「本番」がすぐそこまで来ている事実に、イヴニンスは胸を高鳴らせた。

 

 

「ナカにいっぱい出すよ? 多分一回じゃ済まないよ? 何より……優しく出来ないかもしれないよ、僕」

 

「…………」

 

「……こんなに激しい初体験しちゃったら、もう僕以外じゃ満足出来なくなるかもしれないよ?」

 

 熱に浮かれたカーリオの表情には、不安が滲んでいるように見えた。

 

 

 

 

「……今更確認取るのもおかしいよね」

 

 自嘲気味に笑い、彼はイヴニンスの両足を持ち上げ、腰を上げさせる。

 

 

「……僕は君の傷痕になるんだ」

 

 ぴとり、イヴニンスの肛門に、カーリオのペニスの先が付く。

 緊張と期待、恐れと興奮が、イヴニンスの呼吸を荒く短く乱す。

 

 ただ自然と後悔はなかった。

 ギュウと耳元のシーツを両手で掴み、これから訪れるであろう衝撃に備える。

 

 

 お腹の中が疼いて仕方がない。

 カーリオはイヴニンスの前立腺を指で刺激してくれやしなかった。だから疼いて仕方がない。

 無意識ながら自分は彼を求めていると、イヴニンスは気付けなかった。

 

 

 

 

「イヴ」

 

 カーリオが前のめりとなる。

 

 

「挿れるね」

 

 思いっきり腰を、押し込んだ。

 

 

 

 

 

 

「────っ!?!?」

 

 亀頭が尻穴を押し拡げ、ずぶりと茎まで飲む。

 腸壁があり得ない箇所まで拡がり、その壁の向こうにある前立腺を歪に大きく抉るほど。

 

 

「──かっ……ハッ……っ!?」

 

 一瞬だけ思考が真っ白になり、気絶だけは堪えたものの目の焦点は曖昧で、チカチカ瞬かせている。

 尻穴の異物感、お腹の中の圧迫感、触っていないのにびくびくと跳ねて透明な液を吐き出すペニス、そして鋭い快感。

 

 止まりかけた呼吸を整える最中に見えたカーリオの顔は、恍惚に蕩けていた。

 

 

「うわ……♡ ヤッバぁ……♡」

 

 ぶるりと震え、そのまま動かずイヴニンスのナカを堪能する。

 だらしなく開いた口から涎が垂れていた。

 

 

「締め付け凄いぃ……♡ ぺ、ペニス押し潰されそう……♡!」

 

「ひ……っ……ぎ……っ……!」

 

 一方のイヴニンスも気が気ではない。

 カーリオが前立腺を押し潰している状態で止まっているからだ。

 

 

(お、お腹の中が……じ、じんじんする……!)

 

 身体の中から握られているような感覚と快感が持続的に発生しており、歯をがちがち鳴らして震える。

 

 

「ぐぅう……っ……! い"た……一旦抜いでぇ……っ!!」

 

「……え? な、なんてぇ……♡?」

 

「つ、潰れでる"がら……んぎぃっ♡!?」

 

 びくりと動いたカーリオのペニスが前立腺を刺激する。

 一際大きな快感に驚いたイヴニンスは弓なりに跳ねた。彼のペニスからはとろとろと、我慢汁が滴り落ちる。

 どうやら軽く絶頂したようだ。

 

 

「……は、ははは……♡ イヴ凄いね……♡ 処女なのにこんな感じるんですか……♡ すっごい締め付け……」

 

「ん……っ!……ん、ぐ……っ……!」

 

「あっ♡ あっ♡……ま、また締め付けてる♡! 持って行かれそう♡」

 

 あまりにも心地良いイヴニンスのナカに、カーリオも余裕がなくなっている。

 事実彼のナカを構成するとろりと柔い肉壁が、ペニス全体を包み込みきゅうきゅう締め付けつつ、奥へ奥へと引っ張り込もうもする強い蠕動運動を繰り返していた。

 

 こんな事、初体験を迎えたばかりのイヴニンスが意識的に出来るものではない。

 彼のナカの感触を味わって確信し、カーリオは嬉しそうに笑った。

 

 

 

 

「……とんでもない『名器』じゃないですか、イヴ……♡!」

 

「め、めい……?──んぉっ♡!?」

 

 ずるりとペニスが引き抜かれ、声をあげるイヴニンス。

 

 

「ぉ"……っ♡!……ば、馬鹿っ……! いっ、いきなりはやめ──ああ"っ♡!?」

 

 そしてまたズプンと、突き挿れた。

 

 

「ひぃっ……♡ 凄いよぉ……♡ こんなのズルい……♡!!」

 

「あ"っ!? ま……うぐっ♡!? あう"っ♡!?」

 

 淫靡な水音を鳴らしながら、何度も何度も引いては突く。

 抜かれる度に鈍い快感が走り、突かれると腹の中を強く搾られるような快感が脳を貫く。

 

 

「はぁっ♡ はぁっ♡ あ、ヤッバ……♡! バカみたいに吸い付いて来るから……抜くのも気持ち良い……♡!」

 

「も……ぉ"っ♡……もう……少、しぃ……っ♡ ゆっぐり"ぃ……っ♡♡」

 

「何言ってんですか♡ そんな甘い声で言ったって、説得力ないって♡」

 

 亀頭が抜け切る寸前まで引き、そして根元まで一気にまた突き挿れる、を繰り返す。

 何度も繰り返す内にイヴニンスのナカは解れ、この前後運動がよりスムーズになって行く。

 

 

 

 

「い"っ♡……ぎっ……♡ んぉ……っ……♡」

 

 抜かれて、尻穴が捲れる度、イヴニンスの口から濁った喘ぎ声が漏れる。

 突かれて、腸壁が抉られ前立腺が潰れる度、イヴニンスの目が一瞬白目を剥く。

 カーリオのペニスは、的確に気持ち良い箇所を擦って、抉ってくれる。

 

 

「うあ"……っ♡!? んっ♡!? ぐぅ……う"っ♡……!?」

 

 ペニスから止め処なく透明な液が垂れ落ち、身体はびくびくと震えっ放し。

 彼の綺麗な白肌はすっかり、艶やかな赤みが差していた。

 

 

 

 

「うっ……♡ んぐっ……♡ はぁっ♡ はぁっ♡!」

 

 対するカーリオは、無我夢中で腰を振るだけ。

 初見時の生真面目な口調、態度、姿勢の全てが剥がれ落ち、今イヴニンスを犯している彼の姿は快楽に溺れた雄そのものの姿。

 

 

「あぁ♡ イヴ♡ イヴ♡!」

 

 ウサギ耳をピンと立て、髪と共に揺らしながら、彼の名を呼び何度も突く。

 肉と肉、粘液と粘液がぶつかり合う音を響かせ、何度も突く。

 抜いてはまた窄まった腸内を押し拡げ、イヴニンスのナカをひたすらに蹂躙する。

 

 

 

 

 双方共に余裕がない。

 経験のないイヴニンスは勿論だが、元男娼として経験豊富なハズのカーリオも「名器」に屈服しそうだ。

 あまりにも二人、身体の相性が合い過ぎるのだ。

 

 

「はぁ♡ はぁ♡ あ……ヤバい♡ 出そう♡」

 

「あ……はぁ……っ♡……う"ぐっ♡……で、出る……って……!?」

 

「決まってるじゃないですか♡ 僕の精子ですよ♡」

 

 スパートを掛けるかのように、ピストン運動を早める。

 潰されかねないほどに激しくされて、イヴニンスは悲鳴に似た声をあげた。

 

 

「あ"う"っ♡!? かはッ……♡!? んぉ"っ♡!? んぅっ……♡!」

 

「イヴのナカに、全部♡! 全部注ぎ込んでやるんだから……っ♡!」

 

「ちょ……ちょっと……お"っ♡……お……落ち着けっでぇ……っ♡!」

 

「無理♡! あ、ヤバい無理♡ 出る♡ 出る♡!!」

 

 最奥にまでペニスを突き挿れ、カーリオは一際大きく身体を跳ねさせた。

 

 

「イ……くぅ……♡……っっ……あぁっ♡!!」

 

 ペニスが膨れ、イヴニンスの腸内でカーリオは射精した。

 

 

「う……っ!?」

 

 お腹の中で熱いモノが注ぎ込まれたような感覚がして、反射的に片手で腹部を押さえる。

 途端に脳裏に、ララの子宮に自らの精子を注いだ時の情景が浮かぶ。

 

 

(あ……アレが……僕の、お腹で……)

 

 そう考えると臍の下辺りがまたキュンキュンと疼く。

 その疼きに合わせ、イヴニンスの腸壁は射精中のカーリオのペニスをぎゅうぎゅう握った。

 

 

「んぉ……っ♡!? ひ、ひぃ……♡ し、搾り、取られる……♡ ヤッバぁ……♡!」

 

 屋敷の時から今日まで溜め込んでいたのか、やけに射精が長い。

 身体とペニスをびくっびくっと震わせ、半眼で精液を流し込み続けた。

 

 

 一方のイヴニンスも押さえた手の下、お腹の中でごぽごぽと精液が注がれ、奥へと流し込む様が感じ取られる。

 初めてかつ、不思議な感覚に呆然となっていると、何かじんわりしたような快感が突き刺すように現れた。

 

 

「ぁ……っ! い"……なにこれ……いい"っ♡!?」

 

 蓄積し雪崩れ打つような快感が脳を貫き、イヴニンスはカーリオの絶頂から一歩遅れて、射精を伴わない絶頂を迎えた。

 

 

「あ"ぐっ♡♡!?!?」

 

 身体が跳ねた。

 目をチカチカさせ、「今のは何だ?」と混乱している。

 

 

「……ふぅ……はぁ♡……あー……すっごい出た……♡ あふっ♡!? また締め付け……っ♡!?」

 

「ぉ……ぅっ……♡」

 

「ふぅ♡ ふぅ♡ ふぅーっ…………あー……余韻でメスイキしちゃったのかぁ。可愛い……♡」

 

 火照った顔でカーリオは、腕を投げ出して余韻に震えるイヴニンスを見遣る。

 呼吸を荒げ、体内に出されたカーリオの精液を感じながら、虚ろな目で天井を眺めていた。

 

 

「ゼェ……ゼェ……♡……んっ……ぁ……っ……」

 

「えへへ……気持ち良かった、ですか♡?」

 

「んふ……んっ……変な感じ……」

 

「……ふふ……処女喪失おめでと♡」

 

「…………」

 

 何だか恥ずかしくなり、真っ赤な顔で顔を背ける。

 ともあれコレで終わりかと安堵の息を吐いたイヴニンスだったが、体内の圧迫感が消えない事に気付く。

 

 

「……え? 何やって……?」

 

「……んー?」

 

「ぬ、抜いてよ……?」

 

 カーリオは細まった目で微笑みながら、小首を傾げた。

 

 

 

 

「……一回じゃ済まないって、言わなかったかなぁ僕?」

 

 ぞくりと戦慄するより先に、少し引き抜かれていたペニスがまた奥まで突かれる。

 前立腺が潰され、また溺れるような快感が身体の芯を穿つ。

 

 

「んぎっ♡!?……も、もう、げんか……!」

 

「バカ言っちゃ駄目、イヴ……君のお腹の中を僕の精液でいっぱいにするまでヤるから♡」

 

「絶対無──りい"っ♡♡!?!?」

 

 腰をくねらせ、挿入したままイヴニンスの前立腺を責め立てる。

 そして低まった声で、囁いた。

 

 

「うるさい黙れ」

 

「……え?」

 

 黙らせた後、カーリオはイヴニンスを抱き起こした。

 

 

「!?」

 

 そのまま押し出し、ベッドのヘッドボードに背中をぶつけられる。

 何が起きたのかを把握するより前に、すっかり雄のものなったカーリオの顔が眼前に現れた。

 

 

 

 

「好きですよ、イヴ」

 

「は……っ!?」

 

 頬に右手を添えられ、唖然としている内にカーリオは顔を近付けた。

 

 

「……愛してる」

 

 

 

 開かれたままだったイヴニンスの口に、己の口を重ねてまたキスをする。

 

 

「ちゅ……ちゅるっ……」

 

「んっ……!? んふっ……!」

 

 キスしたままカーリオは腰を引く。

 

 

「じゅる……ちゅっ……はぅ……っ」

 

「んぉお……♡ う……ちゅっ……」

 

 そしてまた最奥目掛けて突き挿れる。

 

 

「んぐっ♡ ぅあ……っ♡!?」

 

 快感に驚き口を離すが、逃すまいとカーリオはまた顔を追いかけさせてキスをする。

 

 

「逃げるな……ちゅるっ……ちゅ……」

 

「んんっ♡!? ふっ……ちゅ……ぅふっ……♡」

 

 抜かれては突かれ、前立腺が抉られた。

 口と尻穴、お腹の中を同時に責め立てられ、イヴニンスは大涙を流しながら悶えて感じる。

 

 

「ぷはっ……イヴも、僕の事好きでしょ……♡? ほら……ずっと僕のペニス捕まえて離そうとしないし……♡」

 

 キスを施す度、声を掛ける度、面白いようにイヴニンスのナカはキュンと締まる。

 先に出して腸内に詰まった精液がカーリオのペニスと絡み、滑りが良くなってピストンが細やかで早くなる。

 

 

「ねぇ……♡ 好きでしょ……♡? 身体の相性だってバッチリだ……♡」

 

「ひっ……♡ ぎ……っ……んぅ……あうっ♡!?」

 

「君を……フレデリカ様にも渡したくない……あのパニアって人にも、誰にも……」

 

 腰を振り、腸壁を拡げて前立腺を潰しながら、カーリオは甘い言葉を囁いた。

 

 

「僕って独占欲強いみたい……君の何もかもを独り占めしたいな……♡」

 

 願いを込めるように、一際強く、ごりっと前立腺を押し潰す。

 

 

「かは……ッ……♡!」

 

「僕と溺れよう……ね♡? ほら♡ イヴ♡」

 

「ん……あぅッ……♡♡……!」

 

 それを何度も何度も繰り返す。

 快楽に歪んで閉じかけた瞳の先に、蕩け切った、何とも楽しそうなカーリオの顔があった。

 

 

 反面、不安を宿らせた瞳をしていた。

 

 

「い"っ……♡!!」

 

「あは♡ またイッたね♡ やっぱり僕のおちんちん大好きじゃんか♡」

 

 また絶頂してしまい、身体が跳ねる。

 

 

(い、言わせておけばぁ……!)

 

 だが持ち前の負けん気を発揮し、何とか自身を奮い立たせ、キッとカーリオを見据えた。

 相も変わらないその強情な目付きは、余計にカーリオを興奮させるだけだが。

 

 

「……えへへ♡ そう、そうなんです……僕が恋焦がれたのは、その目ですよ……♡」

 

 カーリオは一度動きを止め、すっかり乱れ落ちた前髪を掻き上げた。

 不敵で情欲に満ちた笑みを浮かべ、同じく乱れていたイヴニンスの髪を撫で付ける。

 

 

「決して誰にも屈しようとしないその目……♡ 支配したいって言う獣人の欲望を良く分かってるじゃないですか……♡」

 

 腰を引いた。

 

 

「……あぁ、塗り潰してやる……僕だけしか見れないようにしてやる……♡」

 

 そしてまた突いた。

 快楽に歪むイヴニンスを見つめた後、そのまま彼を両腕で抱き締める。

 

 

「ひ……ぃ……っ……♡」

 

「んう♡ はぁ……♡ もう一回、出すからね、イヴ……♡……んっ♡!」

 

 ぱちゅんと突いた後、カーリオの身体がびくびくと跳ねて、また体内に大量の精液を吐き出された。

 イヴニンスを強く抱き締め、射精が終わるまで腰を押し出したまま静止する。

 

 

「……ふぅ……♡ お腹いっぱいになった?」

 

「はぁ……はぁ……♡……ま、まだ……腹八分にもなってないって……!」

 

 自身のお腹に手を置きながら、またあの「屈しようとしない目」で睨むイヴニンス。

 その仕草、その目がカーリオを滾らせる。

 

 

 

 

「……そっか♡ 安心した♡……僕もまだ、半分も本気になってないからね♡」

 

「うわ……っ!?」

 

 イヴニンスを再びベッドに寝かせた。

 そのまま横向きにし、ベッドに面していない方の右足だけを、カーリオが直角に抱え上げて股を開かせる。

 そして寝かせたままの左足に跨り、イヴニンスが動かないよう固定。

 

 妙に既視感のある体勢。

 咄嗟にイヴニンスは、『溺れた魚』の挿絵と同じ体勢だと気付く。

 

 

 

 

「交差位*1って奴ですよ♡ これ、すっごく当たるんで……覚悟してね♡」

 

 イヴニンスが唖然としている内に、目一杯引いたペニスを突き挿れる。

 

 

「──っっっ!?!?」

 

 先程の体位よりも、前立腺側の腸壁を大きく酷く抉る。

 しかもこの強烈な快楽が連続的に、高速ピストンによって与えられた。

 

 

「がはっ♡!? ぁぎっ♡!? あ"っ♡!? ヤダまっでぇッ♡♡!?!?」

 

「あーあー……♡ イヴのナカから僕の精液、溢れて来ちゃってる……♡」

 

 腰を引く度、ぬちゃぬちゃりとイヴニンスの腸内に詰まっていた精液が掻き出された。

 

 

「また注ぎ直さないとね……♡ んっ♡ んふっ♡」

 

「ひっ♡!? い"っ♡ あ"うッ♡♡!?」

 

「あは♡ すっごい締まってる♡ こんなの……また……イッ♡」

 

 三発目の精液が解き放たれる。

 かなり絶倫なのか、射精量が殆ど落ちていない。

 

 

「……ふぃー♡……強がっちゃっても、そろそろお腹張ってる頃じゃないですか♡?」

 

 確かに腹部が重い気がする。突かれる度にお腹の中で「ごぽごぽ」と音が鳴っているような。

 もしかしたら口から溢れるんじゃないかと心配になるほどだ(そんな事はないだろうが)。

 

 

「うぐ……っ♡……!」

 

「はぁ♡ はぁ♡……ホントに、お腹パンパンになるまで注ぐから……♡」

 

「はっ……あ……っ♡……お、おまえ……旺盛過ぎるってぇ……♡」

 

「僕をこんなに興奮させるイヴが悪いんだよ♡」

 

「横暴だ……あ"っ♡!? いっ♡ や、やめ……またクる……っっ♡♡」

 

「またイッた? あ♡ 僕もまた出る♡」

 

 二人身体が跳ねて、同時に絶頂。

 イヴニンスは我慢汁を壊れた蛇口のように鈴口から垂れ流し、カーリオは四度目となる射精を行う。

 

 一度身体を止め、射精が止まったらまたピストンを開始。

 

 狂ったように喘ぐイヴニンスと、まるで勃起と腰が止まらないカーリオ。

 それから五度、六度、七度……と、変わらず精子を吐き出し、吐き出された。

 

 

 

 

 昼下がりに始まった情事だが、気付けば外は暗くなり始め、入相(いりあい)の鐘が聖堂から鳴らされている。

 

 

「はぁ……♡ はぁ……♡ うっ……♡……っハァ♡」

 

 さすがのカーリオも限界なのか、やや身体を前倒しにし、速度の落ちた腰使いで抽送を続ける。

 

 

「ぁう……♡ は……あ……♡」

 

 対するイヴニンスも反応が落ちて来ていた。

 胎児姿勢のように背中を丸め、シーツに顔を埋めて震えている。

 

 

「はぁ……♡ はぁ……♡ どうします♡ 降参、ですか……♡」

 

「……んな……訳ぇ……♡」

 

「強情なんだから……♡ そろそろ……締まりも……緩くなって来ちゃったし……♡ 最後に……してあげます……♡」

 

「そう言って……おまえが……限界、なんだろぉ……♡」

 

「ホント生意気……♡ 好き……♡」

 

 抱えていたイヴニンスの足を下ろさせ、横向きの身体を倒し、最初のような正常位に戻る。

 互いに見えた相手の顔は何とも笑えるもので、蕩けて疲れ果て、汗だくで余裕もない、情けないものとなっていた。

 

 

「はぁ……ひっどい顔ですね……♡」

 

「……お前の方が酷い……」

 

「……ならお互い様……かな? 僕たち、似た者同士かも……♡」

 

「……気持ち悪い」

 

「さすがに酷いよ、それは……好き……♡」

 

「……♡」

 

 暫し虚ろな目で見つめ合い、カーリオは腰を突き出しながらふらふらと、顔を近付ける。

 

 イヴニンスもまた彼を受け入れるように、その首に両腕を回して抱き締める。

 

 

「やっぱり僕の事、好きじゃないですか……♡」

 

「……自意識過剰なんだよ、カーリオ……」

 

「……やっと名前、呼んでくれた……♡」

 

「……ただの……気まぐれだし……」

 

 そのまま二人は最後のキスをする。

 同時にカーリオは八度目となる射精を。そしてイヴニンスもまた、どぷどぷと弱々しく射精をした。

 

 

 オーガズムが思考を真っ白に染めて、戻らなくなる。

 そのホワイトアウトに委ねるかのように二人、気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……う……うぅ……んん……?」

 

 次にイヴニンスが全裸のまま目を覚ましたのは、すっかり深まった夜の中だった。

 身体を起こし、立ち上がろうとするものの、下半身が全く動かなかった。

 

 

「……こ、腰が痛い……!」

 

 ズキズキと痛む腰に、ガクガクと震える足。お尻もヒリヒリして火傷しているかのようだ。

 立ち上がるのは困難どころか無理な事を察し、何とかベッドの上で膝立ちになれるよう励んだ。

 

 

「んぐっ……!?」

 

 尻穴から何か漏れ出たような感触。

 股下を覗くと、ぽっかり開いた尻穴から大量の白濁液が延々トロリと、シーツへ溢れ落ちていた。

 

 

「……う、うぅ……!」

 

 恥ずかしくなり、尻穴を両手で塞いでペタンと座り込む。

 暗い部屋の中で「どうしたものかと」困り果てるイヴニンスの元へ、リビングからランタンを持って、ネグリジェ姿のカーリオが現れた。

 

 

「あ……お目覚めですか?」

 

「……目覚めただけなら良かったけど」

 

「アレだけヤったんですから、腰ガクガクですよね」

 

「……お前は元気そうだけど」

 

「いや、僕ももう……あはは。ちょっともう勃たないですね〜」

 

 そう笑った後、小脇に抱えていたブランケットと、タオルを手渡した。

 タオルは温水で湿らされている。

 

 

「イヴの服、ぐしゃぐしゃになっていましたんで……とりあえず皺を伸ばして、干しておきました」

 

「ありが……いや。元を辿ればお前のせいだし」

 

 受け取ったタオルで身体を拭き、ブランケットで裸体を巻いた。

 身体を拭き終えたタオルは尻の下に置き、溢れる精液の受け皿代わりにする。

 

 

 ベッドの隣に置かれた椅子に、カーリオは腰を下ろす。

 まだ疲れているようで、「ふぅ」と息を吐いて背凭れに身体を埋めさせていた。

 それからイヴニンスを眺め、感慨深そうに微笑んだ。

 

 

「……最高でしたよ、イヴ。間違いなく……最高の時間でした」

 

「…………死ぬかと思った」

 

「ふふっ……ごめんなさい。昔からこう……昂ると自分が抑えられない性格なんです」

 

 困ったようにクスクス笑うカーリオの手前、呆れたようにイヴニンスは首を振る。

 

 

「……慣れた感じだったけど……その……男相手も何度かシた事あるの……?」

 

 イヴニンスの質問に、カーリオは一瞬悲しげな表情を見せた。

 

 

「……基本的に男娼時代のお客様は、お姉様方ばかりでしたけど……男娼同士でシたりはしょっちゅうでしたね」

 

「それも仕事で?」

 

「いいえ? どちらかと言えば挨拶だとか、コミュニケーションの一種と言うか……まぁ、そう言う風習みたいなのがあるって思って貰えれば」

 

「ふーん……」

 

 耳を澄ますと微か、外から楽しげな声が聞こえた。

 窓の外、階下からは煌びやかな光が漏れている。

 

 

「下の酒場さんですよ。この建物のオーナーさんが経営されているんです」

 

「じゃあ、大家でもあるのか」

 

「そうですね……もう結構、お年召した方ですけど」

 

 聞こえる楽しげな飲み客たちの声を聞きながら、カーリオは物思いに暫し耽る。

 落ち着いたような息を吐いてから、独白のように語り出した。

 

 

「……この建物。近々、取り壊されるんです」

 

「……え?」

 

「法規が変わりましてね。古い建物で、耐震性を満たしていないとかで……だからこの部屋以外、空き部屋だったんです。前の住民さんは大分前に出て行かれまして」

 

「……お前が引っ越さない理由は?」

 

 瞳を閉じ、当時を懐かしみながら話す。

 

 

「家族に楽させてやろうとアーニマに来たのに……都市の汚れた空気に、僕の身体は向かなかったんです。喘息になって、風邪気味にもなって……その内普通の仕事に就けなくなって、だからって家に戻るのも格好悪いじゃないですか……」

 

「…………」

 

「……だから男娼になりましてね。男娼ですと、一週間で四回ぐらい身を売れば、仕送り出来るくらい稼げましたから」

 

 再び瞼を開き、足元に置いたランタンの灯火が照らす室内を見渡した。

 

 

「……その間、家賃も払えない日もありました。けど大家さんは支払いを待ってくださった上、滞納を免除してくださったり、料理も振る舞ってくださって……大恩人なんです」

 

「…………」

 

「取り壊しが決まり、住民さんが出て行って……そしたら大家さんの収入が減るじゃないですか。酒場も赤字みたいですし……」

 

「……取り壊しの直前まで済んで、家賃として大家の収入の足しにしてやる……って、事か」

 

「平たく言えばそうですね。向こうあと、二ヶ月まではここに居る予定です」

 

「それからは?」

 

「……イヴの言った通り、フレデリカ様のお屋敷の近くに引っ越しますよ」

 

「大家はどこに行くの?」

 

「都会は疲れたから田舎に帰るって言ってました。だから二ヶ月後にはお互いお別れ……ですね」

 

 寂しそうに微笑み、目を伏せた。

 どう言葉を掛けたら良いのか分からず、イヴニンスは小さく「そっか」と呟き、窓から外を眺めた。

 

 

 夜だと言うのに、街灯とその他の明かりによって、外は宝石のように煌めいている。

 穏やかな灯りだ。この夜景もまた、イヴニンスの世界では見られない光景でもある。

 

 

 ふと、カーリオがまた声をかけた。

 

 

「……イヴ。あなたが好きです」

 

「……何度も聞いたよ」

 

「何度でも言いますよ……好きです、愛しています……まだ出会って間もないのに、性急ですか?」

 

 その問い掛けに、イヴニンスは答えなかった。

 カーリオは傍らにあったテーブルの上から、置いていた『溺れた魚』を手に取る。

 

 

「……僕、この本の二人を……僕とイヴに見立てたって、言ったじゃないですか」

 

「……うん」

 

「……この本の結末はこう言うのです」

 

 本を開きながら、寂しそうな声音で語った。

 

 

「二人は愛し合い、一晩溺れるように身体を重ねた……それから二人は再会を約束し、自分たちの国に帰るのですが……」

 

「…………」

 

「……主人公も愛人も貴族の女の人に見初められ、結婚。子どもにも恵まれ、やがてあの時の約束を忘れてしまうんです」

 

「…………!」

 

「……最後は街中ですれ違い、約束を思い出して振り返るものの……人混みが二人を遮り、そこで物語は終わり。『一夜、幸せな快楽の海に溺れた二人。だがいつしか行き違う海流に飲まれ、二人溺れたまま互いを見失う』……」

 

 カーリオは悩ましく溜め息を吐いた。

 

 

「……男娼時代、好きだった同業者がいたんです。何度も身体を重ね、精を何度も解き放ったのに……彼は僕の倍も身体を重ねた貴族の方にプロポーズされて、結婚しちゃいましてね……だからどうにも、感情移入しちゃうんですよ」

 

「……その話……」

 

「ふふっ……分かりますよ。フレデリカ様のお話とも似てますよね?」

 

 あの時の暗く落ち込んだ彼女の瞳を思い出し、押し黙ってしまうイヴニンス。

 その間カーリオは、フレデリカとの馴れ初めを話してくれた。

 

 

「……フレデリカ様は僕のお客様でした。でも変わった人で、決して本番はやらず、女装させて手で扱いたりとか、愛撫だとかばかり……ある時にフレデリカ様は、『メイドを探しているんだけど、君どう?』って誘って来たんですよ」

 

「誘い方が胡散臭いな……」

 

「今思えば僕もそう思いますけどね」

 

 困ったように笑う。

 

 

「……でも当時は、何となく感じていたんですよ。フレデリカ様から溢れる、深い絶望だとか孤独だとか……」

 

「……それは、話をされて?」

 

「幼馴染様のお話はかなり後になって聞かされました。当時はその……抱かれた時に感じていたんです」

 

「…………ホントに?」

 

「前戯であれ本番であれ、何だか感じ取れちゃうんです……やっぱり気が緩んで、本心が出ちゃうんでしょうね……イヴはどうですか?」

 

 そう聞かされて思わずハッとしてしまう。

 これまで身体を重ねた人物……リムバケット姉妹は別だが……時折弱音が出たり、感情が出たりしていた。

 

 カーリオもまた、情事の際に何度か不安そうな目で見つめていた時があった。

 恐らくそう言った感情の噴出を機微に悟り、フレデリカの闇にカーリオも触れられたのだろう。

 

 

「多分、フレデリカ様も僕からシンパシーを感じ取ったんでしょうね……だから声を掛けたのかと」

 

「それでメイドに転身したのか……」

 

「お給料も安定しますし、社会保障も何とかしてくださりましたからね!……その代わり、私を抱いてはくれなくなりましたけど」

 

「……てっきりメイドに手を出しているのかと思ったけど」

 

「だったらイヴを買いませんよ」

 

「……言われてみれば」

 

「まぁでも、メイドの性欲処理は請け負ってくれていましたね。『これも雇い主の責任だから』とか何とか!」

 

「じゃあ、お前も……」

 

「……ふふ。恩と尊敬を感じ過ぎちゃって、性の対象に見れなくなっちゃったんです」

 

 何だそりゃと、イヴニンスは顔を顰めた。

 カーリオはまた困ったように笑う。

 

 

「後輩のメイドたちも……確かに可愛い子ばかりですけど……僕、長男なんで、弟分はちょっと手を出すのが憚られるって言うか……」

 

「……で、僕って訳か」

 

「ふふ……最初は『何だこの失礼な子』ってムカっと来ましたけど……情事の時のウブさと強情さにやられてしまいましたね♡」

 

 フレデリカを「成金」と言った時の事を思い出す。確かカーリオに窘められたなと想起し、苦笑いをした。

 同時にフレデリカに対する恩義と尊敬の念も感じられたものだが。

 

 

 

 

「……ともあれ、僕はそう言う経緯もあり……好きな人が離れて行くかもしれないって、不安で仕方ないんです」

 

 カーリオは膝の上に置いた『溺れた魚』の上で両手を組み、物憂げな表情で話し出す。

 

 

「……イヴ。今日抱いた分のお金はキッチリ払います……その上で聞き入れて欲しいんですが……」

 

 次に何を言うのかは、不安そうに目を伏せる彼の様子を見て、イヴニンスは薄々察してはいた。

 

 

「……男娼をやめて、僕と暮らしませんか?」

 

「………………」

 

「二人で広い部屋を借りて、陽の光の下で働いて、休日は二人で遊びに行ったりして……そして夜になると、さっきのように愛し合うんです……」

 

「…………」

 

「……ど、どうでしょうか……?」

 

 薄闇の中でもハッキリと分かるほど、カーリオの顔は真っ赤だった。同時に伏し目がちな瞳には祈りが宿っていた。

 

 しかしイヴニンスの答えは決まっている。

 流されて「良いよ」と言ってしまいそうなところを、申し訳なさそうに下唇を噛んだ後、意を決したように返答をした。

 

 

 

 

 

「それは出来ない」

 

 イヴニンスの脳裏にはジャックドー家の存亡の事、何よりも元の世界にいる両親や大勢の人間の姿があった。

 全てを投げ出して逃げる事は、イヴニンスには出来ない選択肢だ。

 

 

「……僕だけの為じゃないんだ……深い訳は言えないけど……駄目なんだ」

 

「……っ」

 

 苦しそうな表情になる。

 一度絶望に染まった瞳になってから、悟った末に諦めたように俯いた。

 

 

「…………そう、ですよね……」

 

 夢から醒めた気分だ。

 蒼褪めた顔のまま、自嘲の笑みを浮かべた。

 

 

 

「……でも、さ……」

 

 夜風でも浴びに行こうかとする彼を、イヴニンスは声を掛けて止める。

 驚くカーリオの前で、恥ずかしそうに顔を背けながらイヴニンスは話した。

 

 

「……こうやって……会って、その……色んな事はしてやれる……趣味は一緒だから本を読んだり……か、身体の相性は良いんだし、こう言う事だって……」

 

「…………!」

 

「……僕は誰のモノになれない……けど、せめて……」

 

 再び顔を上げ、真っ直ぐとした瞳でカーリオと視線を絡ませた。

 

 

 

 

「……誰の事も忘れないし、誰からも離れないよ」

 

 

 

 

 丸い目で暫しイヴニンスを見つめ、次には目を泳がせながら顔を赤らめ、眉を寄せて笑う。

 表情と態度から、感極まった様子と安堵が見て取れた。

 

 

「……君って、凄いね……現代の『五聖者』だよ……」

 

「……? ごせ……?」

 

 カーリオもまたイヴニンスを真っ直ぐ見つめ、穏やかな口調で感謝を述べる。

 

 

 

 

「……ありがとう、イヴ」

 

 何だか気恥ずかしくなり、口を尖らせて目を逸らした。

 ブランケットの温もりと、まだお腹の奥に宿る熱さを感じながら、満更でもなさそうに笑みを浮かべた。

*1
足をVの字に開かせる様が松の葉に見立てられ、松葉崩しとも呼ばれる。




▼イヴちゃんエロエロ感度累加記録♡
●各部感度
・弱点:もう触れた所が弱点になってない!?
・口:蟲人のキスを知っちゃった!もう普通のキスじゃ満足出来ないんじゃない?
・乳首:もうほぼ女の子のビーチクだよ!ちゅうちゅう吸い付きたい……
・陰茎:童貞卒業おめでとう!!!!私が貰いたかった!!!!
・お尻:処女喪失おめでとう!!!!私が奪いたかった!!!!
・前立腺:もうすっかりメスイキ専用器官となっちゃったね〜♡

●精神状態
・好きな人:カーリオくんに傾いてる?他のヒロイン陣とのデッドヒートになるのかしら!?
・堕落具合:段々と男娼としての自分を受け入れているね!所謂、清純派ビッチ?エッロ!
・雌雄度数:オス寄りのメス?メス寄りのオス?大体ニュートラル?


▼ナイトマンダイアリー
●現状の見立て
・先日の高純度精気の正体は、カーリオ氏でしたか。イヴニンス氏、どうやら豹変した彼にドキドキしていたっぽいようで……ありゃ。もしかして、マゾヒストかつギャップ萌えに弱いのかしら?ともあれイヴニンス氏が男の娘相手も可能になった点は非常にありがたい。客層が増える……しかし、ド攻め巨根王子様系ウサギ獣人元男娼男の娘メイドって、属性盛り過ぎでは?

●今後の指標
・イヴニンス氏がカーリオ氏と駆け落ちた際は、二人から互いの記憶を抹消する措置を施さなきゃいけなかったが、そうならずに済んで良かった。面倒臭いのよね、概念操作ってのは。さて、お次の客だが、誰にしようかな……しかしこの本、面白いね。『亡骸の顎』ってタイトルがメチャクールだし、あたしの好きなロバート・ブレアの『墓』に感じが似てる。ファンになりそう……アレ?この作者名、予約リストになかったっけ?
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