リリルカ・アーデにTS転生した男がふたなりチ○ポで無双する 作:季式-キシキ-
私が
苦手意識を克服し、戦いにも慣れてきた私は二階層まで降りていた。
周りに
それはギルドで市販されている冒険者ブック。
各階層に出没するモンスターの種類やその特徴、ドロップアイテム、階層に対応した簡易マップまで記されている。
もっと高価なものであれば詳細に記されているが、今の私にはこれで十分だろう。
ページをめくり目的の情報を探す。
目当ての項目を見つけると、情報に目を通していく。
ダンジョン・リザード。
二階層から四階層までに出現するゴブリンやコボルトと同じ低級とされるモンスターの一匹。
一階層のゴブリンはダンジョン外のゴブリンよりは強いらしいが、そのままの常識で二階層に進んでしまうと、痛い目を見る。
二階層ではさらに強くなったゴブリンやコボルトが徒党を組み、同じ低級でも単体では彼らよりずっと強いダンジョン・リザードが現れる。
これがダンジョンの一階層と二階層の大まかな違いだ。
いや、いきなり難易度上がりすぎだろ。
と思ったが、ダンジョンもこちらの命を狙っていると考えるとこれでも生易しいほうか。
「…………!」
『ギィイ!』
『ウキャァアアッ』
『グギャッ!?』
ゴブリン一匹とコボルト二匹の集団がやってきた。
本を懐にしまうと戦闘態勢に入る。
二階層では短刀ではなく、別の得物を使う。
バベルの塔で買ったもうひとつの武器、
本来、
【縁下力持】は重量に比例して補正が入るというものだ。
これだけ聞くと、どんな装備にも通用するように見えるがそんなことはない。
補正の基準はあくまでもLv.1の私に依存している。
多少の重りであれば持ち上げられるが、第一級冒険者が扱っているような装備はいくらスキルの補正があったとしても持ち上げることはできない。
それに重量過多でなければ、補正が入らないので常に「重い」という状態にさらされる。
それは手かせ足かせをつけて戦っているようなものなので間違いなく無謀だ。
なので、《ツヴァイヘンダー》だけを装備しても得られる補正はそこまで高くない。
良く言えば、ないよりマシ。
悪く言えば、気休めのようなものだ。
まずは先頭にいたゴブリンに向かって駆ける。
コボルト達は私の動きに反応して臨戦態勢に入ったようだが、ゴブリンだけがワンテンポ遅れる。
ゴブリンは後ろに下がって距離を取ろうとしたが、背後にはコボルト二匹が控えているためそこまで距離は開けなかった。
致命傷を避けるために防御の体勢に入ろうとしていたが、私の得物は短刀と違って、リーチが長く、重量もある。
私が両手剣で横に薙ぎ払うと、避けられない一撃を前に、ゴブリンは血飛沫を上げて吹き飛んだ。
次にゴブリンの後ろにいたコボルトの一匹が、即座に反撃に出た。
狙いは私の首筋。
距離を取るために下がりたいが、飛びかかるコボルトがそれを許すことはない。
ゆえに、両手剣を
コボルトは勢いよく飛びかかったせいで、私の短刀を避けることができなかった。
私は何度か一階層でコボルトと戦ったが、奴らの犬のような牙や鉤爪は脅威だが、だからこそ武器を持つことができない欠点に気づき、仮に武器を手放したとしても奪われる危険性がないことを知った。
最後のコボルトが行動に移る前に、短刀の突き刺さったコボルトを壁にしてツヴァイヘンダーを拾おうとする。
コボルトは私が武器を拾う前に、邪魔となった同族を蹴飛ばし、私の動きを阻害しようとした。
蹴飛ばされたコボルトが倒れかかってくる前に、なんとか両手剣を拾うと、心臓めがけて両手剣を突き刺した。
パキッ、という音とともにコボルトは灰となり、突き刺さっていた短刀が地面に転がる。
そしてすぐ後ろにいたもう一匹のコボルトにも意表を突く形で、ツヴァイヘンダーを突き立てる。
「グギャッ!?」
コボルトの悲鳴が聞こえたが、油断はできない。
意表こそ突けたが、相手が見えないのはこちらも同じこと。
私の突き刺した攻撃は、狙いとは大きく
お互いに距離を取る。
一階層にいた頃の私ならそうしていただろう。
だが、今の私はやつよりステイタス面で優れていることを知っている。
一対一の状況なら多少の傷さえ覚悟すればゴリ押せる。
案の定、コボルトは距離を取ろうとしたが、私はそのままの勢いに乗る形で接近して猛攻撃を加えていく。
相手に反撃させない勢いで攻撃すれば、相手は防御の姿勢を取るか、後ろに下がりながら攻撃を回避していくしかない。
かすり傷を増やしていったコボルトの動きは鈍っていき、攻撃を避けることに失敗して足を滑らせた。
倒れたコボルトの首を横に薙ぎって切り飛ばす。
「……ふぅ」
戦いを終えて息を整える。
先ほどまで感じていた戦いの緊迫感が消えた代わりに、疲労感がドッと押し寄せてくる。
苦手意識を克服する前は、コボルト一匹に苦戦していたが、今なら一人で複数匹を相手取れるようになった。
その事実が、私に成長を実感させてくれる。
だが、戦闘が終わるたびに息切れしていたらとっさの事態に反応できない。
今度は連戦に備えて体力を温存しつつ、戦うことを意識したほうがいいかもしれない。
『ボコッ、グルルゥ……』
「……!?」
突然、背後から聞こえた異質な音に体が硬直する。
緩んでいた気が引き締まり、ゆっくりと後ろを振り返る。
すると、ダンジョンの壁が崩れて茶色い鱗をまとった四足のモンスターが姿を現していた。
ダンジョン・リザード。
二階層の初心者殺し。
『グオォォォ!!!』
ゴブリンやコボルトとは比べ物にならない怪物が産声を上げて襲いかかる。
慌てて両手剣を構えるが、その動作はダンジョン・リザードのものと比べて明らかに遅かった。
当然だ、油断しきったところからの奇襲を受けて平常心でいられるわけがない。
先ほどまで戦っていたゴブリンやコボルトも同じ想いだったはず。
それでも、ここで死ぬ訳にはいかない。
両手剣のリーチを活かして受けに回るが、ダンジョン・リザードの素早い動きに翻弄され、革の鎧に傷跡を残していく。
ダンジョン・リザードの動きは目で追えるが、ゴブリンやコボルトとの戦いに慣れきっているせいで初見のダンジョン・リザードの動きにうまく反応できない。
時間をかければやつの動きについていけるようになるかもしれないが、あまり時間をかけすぎると疲労が蓄積してやられるかもしれない。
全力を出した後の連戦はこれが初めてで、疲れも癒えていない。
敵の攻撃を受けながら、この場を切り抜ける方法を模索する。
コボルト同様、短期決戦に持ち込むか、この場は引いて体勢を立て直すか。
どちらもダメだ。
コボルトに勝てたのはステイタスによる優位性と意表を突いたことによる心理的優位が大きい。
ダンジョン・リザードより『敏捷』が優っていたとしても、この状況で痛み分けを狙うのは危険過ぎる。
それに私はまだ苦手意識を克服しただけで、ステイタスを使いこなせているわけではない。
力に振り回された状態で、ゴリ押しできるほど甘い相手じゃない。
逃走についても相手が素早いせいで猛威を抜ける隙きがない。
仮に抜けられても、両手剣を持っている状態では追いつかれる気がする……。
「仕方ないですね……。
ここでの出費は大赤字ですが、負けてしまうよりはマシです!」
意を決すると、相手の隙きを作るために受けに回ることをやめて、攻撃を避けながら、こちらも剣を振るって応戦する。
相手の攻撃は主に鉤爪による引っかきや噛みつき、一回り大きい尻尾を振るってくるなど。
このうち、噛みつきや尻尾による攻撃は素早い相手でもわずかに隙きが生まれる。
その隙きを狙って、一撃与えると、ダンジョン・リザードは怯んで後退る。
だが、私の狙いはそこにあった。
やつが下がって警戒しているすきに、片手で手早くポーションを取り出す。
蓋を開けると同時に飲み干す。
同時に体力が回復した感覚とともに体の疲労感が取れていく。
やはり、ポーションの効果は高いらしい。
「よし! これなら……」
気を取り直して構えるが、ダンジョン・リザードはこちらの様子が変わったことに気づいたのか、さらに距離を取ろうとする。
だが、逃がさない。
私は一気に駆け寄って間合いを詰める。
ダンジョン・リザードも素早いが、攻撃にだけ専念すれば『敏捷』は私が優る。
相手は慌てて反撃してくるが、意に介さず『相手より素早い』一撃を振り下ろした。
肉を切り裂く感触が手に伝わってくる。
ダンジョン・リザードの鱗は硬かったが、問題なく叩き斬ることができた。
「ギィッ!? ギャァアアッ!!」
ダンジョン・リザードは苦しそうに悶えて地面に倒れ伏し、そのまま動かなくなった。
「……勝った」
ゴブリンたちとの戦いと違って、緊迫感が抜けない。
何度もその言葉を自分に言い聞かせるように反芻させながら、自身を落ち着かせていく。
腰の鞘に剣を納めると、緊迫感が解けたのか、油断すれば意識まで持っていかれそうなほど疲労感が押し寄せてくる。
ここで倒れたらモンスターの餌だ。
なんとか疲労感に耐えながら、周りを見ると、迷宮はダンジョン・リザードの血しぶきによって赤く染め上げられていた。
これが一階層では感じなかった命のやり取り。
「はぁ……はぁ……っ」
呼吸を整えることさえままならない。
こんな調子でこれから先やっていけるんでしょうか?
そんな言葉が聞こえた気がした。
不安になる気持ちを抑えて、深呼吸を繰り返す。
「大丈夫です。やれます。やれるはずです。やるしかないんです」
自分を鼓舞しながら、体に鞭打って立ち上がる。
戦いは終わったが、ここはまだダンジョン。
油断はできない。
落とした短刀を回収すると、モンスターから魔石を剥ぎ取って、その場を後にした。
『リリルカ・アーデは戦いへの苦手意識を克服した』
《ツヴァイヘンダー》
バベルの塔で売られていた掘り出し物。
28000ヴァリス。
業物。両手を使わなければ扱えない剣。
おかしい……本当なら今回エロ入れるはずだったのに……。
AIのべりすくんが安易に敵を倒そうとするけど、これ無理じゃね?と思って作者と反発したせいで描写が長引くことに……。
こうして見ると、二階層から一気に五階層まで降りたベルくんかなり無謀なことしてるのでは……。
そりゃあ、エイナさんもビックリ怒るよ……。