龍鶴「え?」
龍鶴「すみません。どなたですか?」
???「そっか。この姿で会うのは初めてだもんね。初めまして翔鶴型航空母艦瑞鶴よ。よろしくね。あと、お帰りなさい!!」
龍鶴は状況を整理できてなかった。目の前の少女は航空母艦である瑞鶴を名乗っており、理解し難い状況が続いていた。一方で、話が出来そうな人と出会えて安心できた面もあった。とりあえずいつまでもコックピットにいる訳にもいかないのでそこから出ることにした。瑞鶴を名乗る少女と共に翼から降りると龍鶴から口を開いた。
龍鶴「あの、、、先ほど瑞鶴と名乗っておられましたがどういうことですか?後、この周りにいる生命体達はいったい。。。」
瑞鶴「そんな畏まらなくて大丈夫よ。私は艦娘と呼ばれてて過去の軍艦の生まれ変わりみたいな存在。周りにいるのは妖精さんよ」
龍鶴「艦娘?妖精さん?」
龍鶴は初めて聞く単語が続きキョトンとするしか無かった。そんな時、瑞鶴が持つ受信機から声が聞こえてきた。
???「瑞鶴さん、こちら秋月です。大丈夫ですか?何やら甲板上に妖精さんが集まってるようですが?」
瑞鶴「秋月。こっちは大丈夫よ。心配させてごめん。」
秋月「大丈夫ならいいのですが。ところで、先ほど最後に着艦した機に見覚えがなかったのですが新型機ですか?」
瑞鶴「そんなところよ。」
などと会話が聞こえてきてその会話が一通り終わると再び龍鶴に話掛けてきた。
瑞鶴「ところで龍鶴さんはなんでこんなところに?それにあの機体何よ?あんなの見たこと無いわよ」
龍鶴「あれは紫電改四っていう新型機です。自分がなんでここにいるのかは正直分かりません。」
瑞鶴「あーもー。だから敬語やめってっば。私と龍鶴さんの仲なんだからタメ口にして」
正直、瑞鶴とはここであったのが初めてでそんなに私と龍鶴さんの仲と言われても困ると思いつつ、話を続けた。
龍鶴「分かりまし、、、分かった。ところで、瑞鶴はなんで俺のことを知ってるんだ?」
瑞鶴「うーーん。私達艦娘は過去の大戦の記憶を引き継いでるのよ。だから、うちの戦闘機隊で活躍してた龍鶴さんのことは知ってるは当然。」
何となくなくだが彼女の存在について分かったきた。彼女は空母瑞鶴の生まれ変わりであり自分のことを知っている。後、先ほどの会話から艦娘と呼ばれる存在は彼女だけではなく他にもいるのだろう、、、などと考えていると、
瑞鶴「、、、なんで、レイテの時にいなかったの?」
先ほどより少し低い声で瑞鶴は聞いてきた。龍鶴はマリアナ沖海戦の後内地で新人パイロットを教育する教育隊に転属になっていたのである。この紫電改四のテストパイロットになったのもそのついでである。龍鶴はレイテ沖海戦で瑞鶴が囮として沈んだことを内地で聞いた。当然、ショックも大きかった。龍鶴は真珠湾からマリアナまでずっと瑞鶴一筋の空母搭乗員であった。
瑞鶴「ううん。ごめん。忘れて。こんなところで立話もなんだし中にはいろ。」
龍鶴「ああ。」
そんなことで龍鶴達は瑞鶴の船内に入っていった。龍鶴が初めから気になっていた事だが瑞鶴以外に人間がいない。
龍鶴「なあ、瑞鶴。ここには人はいないのか?」
瑞鶴「うん?いないわよ。普通、人間は艦娘に乗れないのよ。乗ったら死んじゃうんだって。」
龍鶴「じゃあ、何で俺は何とのないんだ?」
瑞鶴「偶にいるのよ。艦娘に乗れる人が。数年に1人いるかどうかで今は龍鶴さんだけ。」
そんな会話をしているとある一室に着き、そこに通された。
瑞鶴「ここの部屋、自由に使って。」
龍鶴は拍子抜けした。龍鶴はてっきり軟禁でもされるものだと思っていたがそうではないようだ。普通の軍隊なら完全な部外者がいきなりきたら秘密を守るために行動を制限する。まあ、制限されてもこの艦内の構造はだいたい分かる。
龍鶴「そういえば、この艦隊はどこに向かってるんだ?」
瑞鶴「佐世保、この艦隊は横須賀に残っていた最後の艦隊なの。」
龍鶴「横須賀にはもう艦はいないのか?」
瑞鶴「うん。放棄するんだって。」
俺は驚いた横須賀と言えば呉に次ぐ軍港でそこが放棄されるなんて信じられなかった。その後、瑞鶴から現状について聞いた。現在、日本は深海棲艦と呼ばれる敵と交戦中で本土の多くはマリアナからの空襲で大きな被害を受けているとのこと。横須賀放棄もマリアナからの空襲でなけなしの艦隊を失うのを避けるための処置とのことだ。呉も近々放棄され残存艦隊は佐世保に集め、そこに防衛資源を集中投入するころで艦隊を守ろうというのだ。何か、自分がもといた世界に似た状況だと感じたのと同時に自分は元の世界から完全に別の世界に来てしまったことを自覚した。
瑞鶴side
瑞鶴は龍鶴を部屋に案内した後、自室に籠もり考え事をしていた。瑞鶴は迷っていた。それは龍鶴の処遇につてである。今回の時案を軍の上層部に報告するべきか否かである。普通に考えれば迷うこと無く報告するべきである。しかし、瑞鶴としては龍鶴をこの艦の飛行体の一員として留めておけないかと考えていた。あの新型機の性能はずば抜けていた。スピードも火力も上昇力もゼロ戦とは比較にならないように見えた。そんな新型機があるなんて上層部が知れば、間違いなく龍鶴さんはあの機体ごと接収されてしまう。そうなれば龍鶴さんとまた離ればなれになってしまう。太平洋戦争末期、マリアナ沖海戦の後、壊滅した航空部隊を再編するため一度本土に航空隊を移した。その後、フィリピン防衛のための出撃のために再び航空部隊が戻ってきた時、その中に龍鶴さんがいなかった。今まで龍鶴さんがいたから安心して戦えた。自分は幸運艦と呼ばれているけど実際は一生懸命やってたのもあるけど龍鶴さんがいたからこそだと思ってる。龍鶴さんとまた一緒に戦えるチャンスが幸運にも巡ってきた。これを逃せば次はないことも分かっていた。
瑞鶴「うーーーん。翔鶴ねえ。どうしよーーー。」
瑞鶴の姉に当たる翔鶴の名を叫びながら天井、、、いやそのもっと上を見上げた。正直なところ龍鶴さんを留めておきたい気持ちの方が圧倒的に強い。しかし、何処まで隠し通せるものか。少なくとも一緒に航空隊を運用する空母のみんなにはすぐにばれてしまう。パイロットの妖精さん伝いですぐに伝わってしまうだろう。どうしたものか?
約2年前
加賀「五航戦、発艦が遅いわよ。編隊を組んで攻撃する時は遅いのに合わせないといけないの。分かるでしょ?皆が迷惑してるのよ。」
瑞鶴「うっさいわね。分かってるわよ。そんなことぐらい。」
加賀「どうだか。」
赤城「まあまあ、加賀さん。瑞鶴さんも頑張ってますし。そもそも、初期の航空隊の練度も違いますから、多少は大目に見てもいいんじゃない?」
加賀「赤城さんは甘すぎます。言うべきことは言わないと。」
まあ、これにつてはいつもの光景である。加賀が瑞鶴にきつく当たって言い合いになるパターン、この2人のお家芸のようなものである。そして、このような言い合いの後瑞鶴が翔鶴に慰められるのもいつものことである。
瑞鶴「なんなのよ、あいつ。いつもいつも、突っかかってきて。」
翔鶴「まあまあ、瑞鶴。加賀先輩も瑞鶴のためを思って言ってくれてるんだから。」
瑞鶴「あいつにそんな考え、ぜーーったいにない。あーー、龍鶴さんがいてくれたらあいつにギャフンって言わせてやれるのにーー。」
翔鶴「瑞鶴には岩本さんがいるじゃない。」
瑞鶴「虎徹も勿論いいパイロットだけど、、、うーーん。龍鶴さんと比べると。」
ここで補足しておくとここで出てきた岩本とは岩本徹三もことである。「岩本がいる」と言っているが龍鶴のように人間の姿で存在している訳では無い。空母艦娘のパイロット妖精はそれぞれ個性があり当然技量にも差がある。それが過去の大戦でのパイロットに酷似している妖精が何人かいるのである。それに該当するパイロットのことを艦娘達はネームドパイロットと呼び岩本徹三もその1人である。しかし、当の妖精達にはその自覚がないため妖精側からすると勝手に名前を付けられているという状況である。その他にも村田、友永、江草、岩井などのネームドパイロット達がいる。
翔鶴「ふふ。瑞鶴は本当に龍鶴さんのことが好きなのね。」
瑞鶴「え?ないないない!!好きとかじゃなくて信頼できるっていう意味!!」
翔鶴「はいはい。うふふ。」
瑞鶴「翔鶴姉―。」
翔鶴「でも、いつか龍鶴さんも帰ってきてくれるわよ。」
瑞鶴「うん。今度会ったらとっ捕まえてやるんだから!!」
そんな過去のことを瑞鶴は思い出しながらある決心を固め立ち上がった。
瑞鶴「よし、決めた。」
そう呟きながら自室を飛び出し龍鶴のいる部屋に向かって歩き出した。
前回よりも会話多めになりました。こっちの方がいいのかな?