瑞鶴が佐世保に着いてしばらくすると瑞鶴は上陸も命じられたらしく艦を離れることになった。その際、外には出ないように釘を刺された。仕方がないので龍鶴は娯楽の少ない艦の中でどうやって時間を潰すかを考えていた。特にやることも思いつかなかったので格納庫にある自分機体のところに行くことにした。龍鶴が乗る紫電改四は他のゼロ戦や九九式艦爆などと比べると大型でずんぐりしているので直ぐに見つける事が出来る。そしてその機体のそばに一人の妖精が機体を眺めながら立っていた。
???「あんたが瑞鶴さんが言っとった龍鶴さんか?」
龍鶴「そうですが、あなたは?」
???「瑞鶴の戦闘機隊を率いてる妖精や。瑞鶴さんからは虎徹って呼ばれとる。」
龍鶴「(虎徹と言えば岩本徹三さんの二つ名。)」
虎徹「前の戦闘では助かった。戦闘機隊の隊長として礼を言わせてくれ。ありがとう。」
龍鶴「いや、礼を言われる程のことでは、、、こっちも拾ってもらった身ですから。むしろ感謝するのはこっちの方ですよ。」
虎徹「うむ。それにしても君の腕はなかなかのものだった。是非、機会があれば手合わせ願いたい。」
龍鶴「構いませんよ。でも、人間って妖精用のゼロ戦に乗れるんですか?」
虎徹「君はこの機体で構わんよ。」
龍鶴「流石にそれは性能差がありすぎると思うのですが。」
虎徹「それくらいのハンデがないとつまらんだろ。」
龍鶴は少しむっとした。これでも真珠湾から大戦末期まで前線で生き残り続けてきた身で操縦の腕には自信があった。それなのにハンデを相手に与えた上での勝負は気にくわなかった。それとも虎徹はこの機体の性能を甘く見ているのか。
龍鶴「腕には多少自信がありますよ。」
虎徹「そういって俺に勝てた奴なんてほとんどいないんだよ。」
龍鶴「いいでしょう。やりましょう。」
虎徹「うむ。ではその時を楽しみしている。」
そういって虎徹はその場を去って行った。すると、それと入れ替わるように別の妖精がよって来た。
???「すみません。うちの戦闘機隊の隊長が、、、あの人はすぐ相手の力量を測るために勝負ふっかけるんですよ。」
龍鶴「いえいえ。自分も気になりますし、、、ここのパイロットに技量が。ところで、あなたも戦闘機隊の?」
???「いえいえ。私は攻撃隊の隊長を努める妖精です。瑞鶴さんからはガジって呼ばれてます。よろしくお願いします。」
龍鶴「こちらこそ、お世話になります。」
ガジ「それにしてもこれが噂の機体ですか。なるほど、これは確かに速そうですね。」
龍鶴「ええ、最高700km/h弱ほど出せますよ。」
ガジ「おお。それは頼もしい限りです。最近、経験の浅いパイロットではなかなか敵の戦闘機と戦えませんから。」
龍鶴「やはり、パイロットの練度が、、、」
ガジ「はい。開戦時と比べると大分落ちてます。新しく補充は来るのですが十分な経験を積む前に落とされてしまい、、、なかなか厳しいです。」
龍鶴「そうですか。」
ガジ「まあ、何はともあれ実践であなたと飛べることを楽しみにしてます。ではこれで」
そう言ってその妖精はその場から離れていった。やはり戦局が芳しくないことから想像は出来ていたがパイロットの練度にも重大な問題があることが分かった。この点も大戦末期に日本と似た状況で現状の厳しさが突きつけられて。この様に龍鶴がパイロットの妖精との交流をしている時、上陸した瑞鶴はというと佐世保の基地の一室に入っていった。
瑞鶴「お疲れー。着いたわよー。」
???「お久しぶりです。瑞鶴先輩お疲れ様です。」
瑞鶴「信濃じゃない久しぶり。他のみんなは?」
信濃「お偉い方とお話ちゅう。」
瑞鶴「なるほど。で、じゃあなんで信濃はここに?」
信濃「お堅い雰囲気が苦手で出てきちゃいました。」
瑞鶴「あんたねえ。」
信濃「どうせ後で大和姉さんに聞けばいいですし。」
この信濃は大和型戦艦三番艦を改装した装甲空母である。大和型戦艦を元にしているだけあって空母としては十分すぎる防御力をもつ。その高い防御力のおかげで今の今まで生き残れていた。現状、生き残っている正規空母は3隻であるがそのうち2隻は装甲空母である。一方で、戦艦の設計を途中で無理矢理空母に変更したため排水量の割に艦載機数は多くない。史実では実践に参加したことはなかったのだがこの世界では数少ない装甲空母ということもあって活躍の機会も多く欠かせない戦力となっていた。そんな信濃は瑞鶴のことを先輩として慕っていた。
信濃「そういえば先輩、途中に攻撃を受けたって、、、大丈夫でしたか?大和姉さんが心配してましたよ。」
瑞鶴「ああ。大丈夫よ、あれぐらい。伊達にここまで生き残ってないわ。」
信濃「流石先輩です!!そいうえば先輩聞いてますか?近々大きな作戦があるって。」
瑞鶴「マリアナ奪回のこと?」
信濃「はい。今も大和姉さん達がそれについて話してるはずです。」
瑞鶴「そう。ならそれが終わるまでここで待つとしますか。」
日本は存亡の危機にあった。マリアナの失陥以降本土の多くは焼け野原になりシーレーンの維持も危うくなっていた。そこで艦娘内では近々マリアナを奪還するための作戦が発動されるのではないかという噂が広がっていた。実際に日本の現状を考えると早期に奪回しなければいずれ限界がきて滅亡してしまうだろう。そのことからもいずれは行わなければならない作戦ではある。ちなみに限有戦力から考えるとこの作戦に失敗すると日本は滅亡することになるため、失敗は許されない作戦である。
しばらくすると大和が瑞鶴と信濃が待つ部屋に入ってきた。
大和「信濃はまた途中で抜け出して、いい加減我慢できるようになりなさい。」
信濃「だって苦手なんだもん。」
大和「はあ。あら、瑞鶴さんここにいたんですね。横須賀からの移動お疲れ様でした。」
瑞鶴「いえいえ。大和さんこそ会議お疲れ様です。」
信濃「会議どうなった?」
大和「はい。いよいよ、作戦に時期が決まりました。」
その後、大和はその作戦の内容について語り出した。まず、作戦を実施する前に艦隊はタウイタウイ泊地に移動しその近海において決戦に向けて訓練が行われることになった。実は先にフィリピン防衛戦からすでに1年ほど経過しており全艦隊がまとまって行動することがほとんどなくなっていた。そのため、練度に大きな不安があった。従って、作戦前に訓練を実施することでその不安を解消しようというのである。その訓練には当然大量に燃料を消費する。しかし、もう日本本土には艦隊が十分に訓練をするだけの燃料がなかった。そこで、石油の産出地の近くで訓練する手はずになったのである。その訓練のために割り当てられた期間は3ヶ月である。その間に潜水艦を用いた偵察を行いマリアナ周辺の敵の布陣を把握し有利に戦いを進めるための具体的な作戦を決めるという流れである。そして、タウイタウイへの移動は来週に行われることとなりそれに向けた準備を進めるということになった。日本は滅亡回避のための作戦に向けて動き出したのである。
信濃の性格、軽くしすぎたかな?