龍鶴が操る紫電改四を含む第一次攻撃隊は順調に帰還の途についていた。その途中、第二次攻撃隊とすれ違った。すでに敵艦隊は空母を全て失っており艦隊に対しての脅威は無いに等しかった。一方で、輸送船団に対しては駆逐艦1隻でも脅威になる。この海域に展開している敵艦隊のボスはマリアナ諸島周辺に展開している艦もしくはマリアナに存在する航空基地とみられておりこれを倒さない限り敵艦隊の自然消滅はない。従って、輸送船団の安全確保のためには全艦の撃沈が必要なのである。とは言っても、先ほども述べたが敵艦隊はすでに空母を失っており第一次攻撃の際の迎撃機が上がってくることがないと考えると全艦撃沈もそう難しくはないだろう。少なくとも自分達戦闘機ができることはもう無かった。龍鶴達はそのまま順調に飛行を続け眼下には味方の艦隊が見えてきた。当然だが欠けている艦は1隻もいなかった。第一次攻撃隊は被弾している機を優先して着艦作業を始めた。龍鶴は被弾しておらず燃料にもまだ余裕があったので上空警戒をしつつ待機していた。
龍鶴「やっぱり、何度見ても大きいな。」
龍鶴がそう言いながら上空から見ていたのは信濃である。排水量で見ると瑞鶴の倍以上あるわけだから当然である。龍鶴は信濃をもっと近くで見たい気持ちをぐっと抑え遠目で眺めることにした。近づくと人間が乗っていることに気づかれる恐れがあるからだ。そんな信濃艦上から艦娘信濃が上空を旋回する紫電を眺めていた。
信濃「やっぱり、紫電だ。なんで瑞鶴先輩に?先輩は史実で紫電を乗せたことないはずなのに。」
そう言うと信濃は少し不服そうな顔をした。あの戦闘機は試験機であると信濃は認識していたがその運用先がなぜ自分ではないのかと感じていたのである。紫電の艦載機型は史実において信濃でしか運用されていない。そこで信濃は瑞鶴よりも自分方が適正があるのではないかと感じていたのである。実際、信濃は飛行甲板の幅が瑞鶴よりも長いためゼロ戦よりも大型な紫電を運用するには向いていた。さらに、信濃は史実では航空部隊が配属されたことがないためか信濃にパイロット妖精が転生してこないのである。従って、現在信濃に所属する航空隊は他の空母用の妖精を間借りしている状況である。つまり信濃は自前の航空部隊を持っていないのだ。信濃は史実の関係からして自分用のパイロット妖精となり得る候補は数機の着艦試験のパイロットであり上空を飛ぶ紫電を操る妖精もその一機と考えていた。いつか、自分用のパイロット妖精も持つことを夢見ている信濃からしてみればその数少ない候補の一機を運用しているかもしれないと思うと嫉妬するのは当然である。信濃は双眼鏡を持つ手に力を入れた。
そんなこととは知らずに龍鶴は他の機が着艦し終わったことを確認すると瑞鶴に着艦した。すると瑞鶴は龍鶴のことを笑顔で出迎えた。
瑞鶴「龍鶴さん、おかえり。」
龍鶴「ああ、ただいま。」
瑞鶴「龍鶴さん凄かったんだって。6機も撃墜なんてさすが龍鶴さん!!」
瑞鶴は異様にハイテンションなご様子だった。瑞鶴にとっては久しぶりの龍鶴との共闘でありそれも勝った訳だから無理も無いことだった。そんな中、虎徹が割って入ってきた。
虎徹「龍鶴さん、今回のところは引き分けだ。決着は模擬空戦で付けるとしよう。」
瑞鶴「虎徹、なんの話?」
ガジ「また、虎徹さんが勝負ふっかけたんですよ。」
瑞鶴「ああ、またあ。あんたも懲りないわねえ。でも、龍鶴さんはこれまでの妖精さん達と違って強いわよお。」
ガジ「はい。戦闘見ていましたが龍鶴さんは良い腕してますよ。今日は助けられましたしこれからも頼りしてます。」
虎徹「あの程度の戦闘では何もわからんよ。」
龍鶴「ええ、模擬空戦で決着をつけましょう。」
瑞鶴「えぇ!!龍鶴さんも乗り気なのぉ、いがーい。でも、その模擬空戦、私も楽しみ!!」
カジ「私も楽しみです。きっと良い勝負になりますよ。」
そんなことを話していると第二次攻撃隊からの戦果が伝えられてきた。敵の艦隊は駆逐艦2隻を残して全滅とのこと。その報を受けるとそれらの残った駆逐艦を狩るために戦艦大和を含む数隻が艦隊から離脱していった。大和がいる艦隊に対して駆逐艦2隻ではどうしようもないだろう。これで日本本土に向けた輸送路は守られたのである。そして、龍鶴にとってこの世界での初勝利でもある。艦隊はその後、一度離脱した大和を含む艦隊と合流しタウイタウイ泊地へと向かった。
瑞鶴「どうだった、久しぶりに私から出撃してみて??」
龍鶴「ああ、懐かしい感じだ。やっぱり、瑞鶴の方がしっくりくる。それに勝ち戦というのも久しぶりだったしな。」
瑞鶴「あぁ。確かに、前世では南太平洋海戦以来負けっぱなしだったからね。。。ところで、龍鶴さん、、、私が沈んだ後って日本はどうなったの?」
龍鶴「、、、他の艦娘から聞いてないのか?」
瑞鶴「うん。。。なんか、トラウマを抱えてる娘もいるからその手の話はしないようにしてたから。。。」
龍鶴「そうなのか。。。でもスマンな。実は俺がこっちの世界に転生したのは瑞鶴が沈んだ1ヶ月後だったからあんまり変わりはないと思うぞ。」
瑞鶴「そうなんだ。」
龍鶴「あぁ。でも、神風攻撃隊っていうのが組織されったていう話は聞いたなぁ。」
瑞鶴「なにそれ?」
龍鶴「、、、敵艦に、、、体当たり攻撃するためだけの部隊のことだ。」
瑞鶴は絶句していた。当然のことだろう、普通では考えられない戦法である。実際には瑞鶴が参加していたレイテ沖海戦で実際に行われた攻撃方法ではあったが瑞鶴達機動部隊には伝わっていなかったのである。
瑞鶴「日本は負けたのかなぁ?」
龍鶴「ああ、間違いなく負けただろうな。」
瑞鶴「そうだよね。こっちの世界でも、、、」
龍鶴「おい!!お前が弱気になってどうする。機動部隊の中心だろ。」
瑞鶴はビクッとした。龍鶴は普段、大人しめな性格で大声など滅多にださない。その龍鶴が声を張って怒鳴ったのである。
瑞鶴「ごめんごめん。うん、、、もう大丈夫。それに、今は龍鶴さんもいるし負ける気がしない!!」
龍鶴「ああ、その意気だ。」
瑞鶴「でも、お願い。もう、どこかいに行かないでね。」
龍鶴「ああ、約束だ。」
そう言うと瑞鶴は一気に表情が明るくなった。龍鶴としても史実で自分がどうすることもできないところで瑞鶴が沈められてしまったことが心残りだったので今度こそは瑞鶴を守りたいと思っていた。
瑞鶴「その言葉忘れないでね!!」
そう言うと瑞鶴は操艦のために艦橋へと向かっていった。その後、艦隊は何事も無くタウイタウイ泊地へ入港するのであった。
これからも少しずつ進めて行きたいと思います。よろしくお願いします。