龍鶴「あ~。良い天気だなぁ。」
龍鶴はタウイタウイ泊地近海を航行する空母「瑞鶴」の艦橋で空を眺めながら呟いた。龍鶴の目線の先には編隊飛行する零戦の姿があった。また、甲板上には発艦をまつ艦爆隊の姿もある。現在、日本艦隊は訓練も真っ最中であり空母の航空隊も日々訓練に明け暮れていた。そんな中、龍鶴はここ最近、こうして訓練を眺める日々が続いていた。
瑞鶴「龍鶴さん、じじくさいわよ。」
龍鶴「だって、ここに来てからずっとこうだしなぁ。こうもなる。」
瑞鶴「だって、しょうが無いじゃない。龍鶴さんのことを話す訳にもいかないし。」
時は少し遡り、タウイタウイ泊地に到着した直後のことである。艦隊が泊地に停泊し各艦の艦娘達が上陸した。瑞鶴も当然、上陸したのだがそんな時である。
信濃「瑞鶴先輩ちょっといいですか?」
信濃が瑞鶴に話しかけてきた。
瑞鶴「うん?な~に?」
信濃「瑞鶴先輩って何で紫電を運用してるんですか?」
??「あ~。それ私も聞いたよ。」
瑞鶴と信濃の会話に一人の空母艦娘が入ってきた。
信濃「瑞鳳先輩も何も知らないんですか?」
割り込んできた艦娘は軽空母瑞鳳の艦娘であった。空母の絶対数が限られる日本艦隊では軽空母であっても貴重な航空戦力である。
瑞鳳「私の航空隊の子達もいってました。見慣れない機体がいるって。空母艦娘の間では噂になってますよ。」
瑞鶴は焦っていた。龍鶴さんのことが明るみになるのは避けなければならない。それなのにも関わらず事が大きくなってきていたのである。今、思えばやはり完全に隠し通すことに無理があったのかもしれない。しかし、もう後には引けないのである。
瑞鶴「、、、あれは、、、試作機よ。」
こう言うしかこの場を凌ぐ方法はない。
瑞鳳「へぇ、じゃあいずれ私達にも配備されのかなぁ?たのしみ~。」
瑞鶴「さぁ、どうかしら。それは私が決めることじゃないから。」
当然、いずれは配備されるなんて言えない。
瑞鳳「でも、すごい性能なんでしょう?うちの妖精さん達が速くて追いつけなかったっていってたもん。」
瑞鳳がやけに興味津々なのが怖い。ここで深く詮索されるとボロがでるかも知れない。早く話を逸らそうと話題を変えようと瑞鶴が話だそうとしたその時、信濃が聞いてきた。
信濃「なんで、瑞鶴先輩で運用試験をしてるんですか?先輩より自分の方が甲板も広いし史実でも運用したことあるのに。」
瑞鶴としては予想外の質問であった。信濃は普段、瑞鶴に対しては何も言わずついて行くような妹の様な存在であった。それ故、これまでほとんど瑞鶴に対して突っかかることなんてなかった。なので、瑞鶴は少し驚いていた。
瑞鳳「やっぱり、瑞鶴の方が経験あるからじゃない?」
そんなとき、瑞鳳が助け船を出してくれた。これに乗らない手はなかった。
瑞鶴「私も詳しくは聞いてないけどそうじゃない?後、この機体のことは極秘らしいから口外しないでね。」
瑞鶴はこのことがこれ以上広がることを防ぐために釘を打っておいた。
瑞鳳「りょ~か~い。」
瑞鳳はあっさり承諾してくれた用だが信濃は明らかに不服そうであった。
瑞鳳「そうだ、瑞鶴も信濃、折角上陸したんだし一緒にご飯でもどう?」
瑞鳳から食事の誘いを受けた。普段ならとてもうれしいが今日に関しては信濃と一緒に居ることに抵抗があった。そこで瑞鶴は適当な理由を付けて断ることにした。
瑞鶴「ごめん。今からすぐ報告があるから今日はパス。」
瑞鳳「えぇ、う~ん、でも報告があるならしょうがないか。」
信濃「私は大丈夫。」
瑞鳳「ホント!!ヤッター。」
瑞鶴「それじゃあ、楽しんできてね。」
そう言って瑞鶴はその場を後にした。
艦に戻った瑞鶴は事の顛末を龍鶴に話した。やはり、事が大きくなっていることに危機感を覚えた。このままのペースで注目を浴び続ければいずれバレることは明白であった。そこでこれからは出来るだけ龍鶴は飛行しないようにすることにしたのである。とりあえず艦隊内でのこの噂が落ち着くまでは待つことにした。だから、ここ数日、龍鶴は瑞鶴の艦内に留まっているのである。
龍鶴「はぁ、暇だ。」
瑞鶴「ため息やめて、幸運が逃げるじゃない。」