「ボクは……もうキミ無しじゃダメになっちゃったんだけど♥、いろいろとお願いもあるんだ。例えばさ、ゴハンの時とか、他に人がいるときは止めてほしいんだ。その代わりじゃないけどさ、いつでもってわけじゃないけど、部屋にいるときは……して……欲しい……んだけど……さ……ちゅぴっ♥……あむ♥……ひゃんと……きもひよく♥……しへほひいにゃぁ♥」
夜明け前、淫夢から目が覚めたルシアは、薄暗がりの中で淫魔の鎧に話しかけていた。
そして身体を包み込んだ触手のひとつを口元に引き寄せ、口に含んで舐めしゃぶり始める。
あれほどの淫夢を見てしまっては、無意識のうちに愛液を溢れさせていたはずだ。
下手をすれば、いや、間違いなく潮を噴くなりお漏らしなりもしていただろう。
素肌がこれっぽっちも濡れていないということは、淫魔の鎧がすべてを吸収してくれたからに違いない。
すくなくともぐっしょりと濡れたままよりは、快適な寝心地だった。
それだけではない。
このさき、淫魔の鎧がもたらす恩恵は、性の喜びだけには留まらないだろう。
魔力が充分であれば、いかなる打撃もスペルもルシアを傷つけることはない。
淫魔の鎧によるブーストがあれば、ドラゴンの鱗だって斬り裂ける。
事実上、最強の防御力を手に入れたと言っていい。
もちろん、ルシアの持つ技量までが向上するわけではない。
淫魔の鎧がいるからといって、実際にドラゴンを倒せる、ということではなかった。
それでも淫魔の鎧のおかげで、ルシアの未来は約束されていた。
せめてものお返しに、ルシアは触手を舐め始めている。
ぬるぬるする触手を手でしごき、舌の裏を押しつけるように舐め回した。
よだれが口元から零れ落ち、淫魔の鎧に吸収されていく。
ルシアは知らず知らずのうちに、淫魔の鎧が触手から分泌する催淫性の高い粘液を飲み下していた。
目の前の触手に焦点を合わせようと、寄り眼になりながら両手でしごきながら舐めあげる。
ひとしきり舐めあげたあとは、触手を口に含んで顔を振りたくり、甘噛みした歯と唇でしごきながら舌を絡ませていた。
ルシアは催淫剤が効いている自覚無しに、触手との口腔性交にのめり込んでいった。
触手を舐めしゃぶる快感に陶然としたルシアは、おまんこから濃い蜜のような愛液を垂れ流していることに気づいていない。
お口でするの気持ちいいよぉ……これ、キミは気持ちよくなってくれるのかなぁ?
「ん、まあ、ご主人様のご意向だし、その方向で鋭意努力はしよう。そう作られちまった本能には勝てないけどな。なんだ、ルシア、そんなに欲しいのか?」
インテリジェンスアーマーとしての自意識や思考はあるが、淫魔の鎧に快感という感覚はなかった。
もちろん戦闘に備えてあらゆる感覚を持っているが、自らが溺れてしまうような快感は付与されていない。
だが、それをいま言ってもルシアの気遣いを無碍にするだけであり、淫魔の鎧は話の方向を変えていた。
既にルシアのおまんことおしりの穴に入り込んだ触手が、小さく蠢き始める。
さすがに夢の中でとはいえ、散々に陵辱され体力を消耗したルシアをいきなり嬲り倒す気はなかった。
「……ん♥……ちゅぷっ……じゅるっ♥……ほし……い……よお♥……あんっ♥……あああっ♥……うそ……ボク……もう♥……これだけで……イっちゃいそうだよぉ♥……くぷっ……ちゅぴっちゅぴっ……イ……くぅ……♥」
優しい触手の蠢きに、ルシアはすぐにイかされていた。
初めて積極的なフェラをしているという、淫らな自分に陶酔していたこともイきやすくなった要因かもしれない。
ルシアは無心に触手を舐めしゃぶりながら、止まらない絶頂に溺れていた。
「しょうがないご主人様だな。寝不足はお肌の敵だぜ」
改めて触手がクリトリスと乳首に絡みつき、おまんことおしりの穴に抽送を繰り返す。
「ああああああああんっ!♥ いきなり両方の穴はしゅごしゅぎいっ!♥ じゃ、じゃぁ……早く……ボクが気絶するまでイかせてよぉっ!♥ あひいっ!♥ おまんこぉっ!♥ おひりのあにゃっ!♥ あ゛ーっ!♥ あ゛ーっ!♥ にゃあ゛ーっ!♥ にゃぁぁぁぁっ!♥ イぐっにゃぁっ!♥ イくイくイくイくイくぅっ!♥ れれりゅぅ♥……ボク……おひっこ垂れ流ひにゃぁ♥……にゃっ!♥ にゃあああああひにゃああああっ!♥」
ルシアは実感できる触手の責めに歓喜の悲鳴を上げ、絶頂失神に追い込まれ、おしっこを垂れ流したまま朝を迎えた。
「……ふにゃ……あふ……おはよ……あんっ♥」
朝の光が窓から射し込み、心地よい気怠さの中でルシアは目覚めた。
昨日までは嫌悪に近い対象だった触手の感触も、受け入れてしまえば心地よいものに昇華している。
淫魔の鎧がステルス化し、端から見れば全裸で顔を洗う。
改めて鏡を見ると、ピンクに色づいた乳首はぴんと勃起し、クリトリスも小指の先ほどまで膨らんで天を指していた。
おまんこは透明な触手を飲み込んだ形でぽっかりと口を開け、おそらくはおしりの穴も同じようなものと思われる。
ルシアはいいようのない興奮に包まれ、クリトリスを指で弄くり、小さな悲鳴を上げてしまった。
「……ん♥……ぁ♥……もう……♥」
クリトリスを弄くり始めた途端、淫魔の鎧が呼応し、ルシアはまた失神するまでイかされていた。
シャワールームで放心するまで犯されたあと、虚ろなままベッドに連れて行かれ、そこでさんざんに潮を噴き、お漏らしを垂れ流し、愛液を溢れさせ、腸液を噴き散らした挙げ句、深い失神に追い込まれていまに至る。
太陽が沖天高く昇りつめたころ、窓の外からひとびとの喧噪が失神したルシアの耳に届き、やっと目が覚めてきた。
そのときルシアに電流が走る。
それは淫魔の鎧の電撃ではなく、ルシアがあることに気づいてしまったからだった。
街のざわめきが聞こえる、ということは……
「ボクの声、外に聞こえちゃってるぅ!」
ルシアの顔が真っ赤に染まった。
秘め事の声が外に漏れるなど、そう珍しいことではない。
防音断熱材が発達した現代日本とは異なり、この世界でルシアが起居できるような安普請ではせいぜい板張りか漆喰、よくて土壁だ。
防音効果の高い石造りの館など、貴族か王族の居城や豪商の本宅でもなければありえない。
そんな環境の中では、誰もそれほど気にはしていなかった。
だが、それも相手あってのことだ。
隣室に起居するレミルがちょくちょく男を連れ込んでいたが、恋人なり男漁りの成果であるなら、それは不自然なことではない。
レミル自身が性に奔放な女性であり、周囲に迷惑をかけていないのであれば、誰も咎め立てようとはしなかった。
しかし、ルシアのように独り身の女の子が、夜毎性の嬌声をあげるなど決して誉められたことではない。
もちろんルシアがオナニーに耽っているわけではなく、淫魔の鎧とのセックスを楽しんでいるだけだが、世間はそう見てはくれない。
反対側の部屋に住むクオムが男を引っ張り込むこともなく、独りで嬌声をあげることもなかった。
クオムがオナニーをしていないとは言い切れないが、少なくとも独りでの嬌声を周囲に漏らさないようにはしているはずだった。
別段、現代日本の女子寮のように男子禁制でもないギルド斡旋の宿舎で、風紀委員のような制度はないにしても、はしたないとは思われたくなかった。
「安心していただこう、ご主人様。一切音も声も、ルシアがぶっ倒れた振動もプロテクトしてるぜ。もちろん、いま話してる声もだ」
超高性能セックスマシンとして造り上げられた淫魔の鎧に、死角はない。
ルシアを陵辱するにあたって、外界と部屋を遮断することを忘れていなかった。
「よかったぁ~。レミ姉ならともかく、クオムに聞かれてたら軽蔑されちゃうよ。それに窓の外まで聞こえてたらと思ったときは、どうしようかと……っ!? だからって、いまはダメだからねっ! ダメだってばぁっ! お腹減ったし、ゴハン食べに行くんだからっ! だからっ!♥ ……今、ボク敏感なんだからぁっ!♥ あああああああああああっ!♥ イくっ!♥ イってるっ!♥ イってるからあっ!♥ もっとぉ♥……イかへてぇ♥……♥」
油断したルシアのクリトリスに、触手が包皮をわざと被せてしごきあげる。
失神していた間もアイドリング状態だったクリトリスは、柔らかい刺激に呆気なく絶頂を脳に伝えてしまう。
歯を食いしばって快感を堪えていたルシアは、一瞬でとろけ顔を晒し触手の責めをねだり始めた。
「なぁ、ルシア。ちょいと値が張るかもしれないけど、保冷庫をひとつ買わないか? 全部外食だと高くつくし、栄養も偏るぞ。まぁ、こう言っちゃなんだけど、過去のご主人で料理できるひとがいたから、たいがいのことはルシアの身体を使ってできるぜ。味付けはその都度調整すればいいだろ。もちろん外食は情報収集のためにも必要だって解ってるけどな。でも節約できるところはしといた方がいいと俺は思うよ」
ようやく絶頂失神から目覚めたルシアに、淫魔の鎧が話しかける。
意外すぎるほど意外な提案だった。
自身の身体を犯し、貪ることしか考えていないのかと思っていた淫魔の鎧から、真っ当すぎることを言われ、ルシアは戸惑っている。
居室には、簡易なキッチンが備え付けられていた。
コンロがふた口に水を流せるシンクと作業台だ。
現代日本でも、独り暮らしには充分すぎる設備だった。
「うん。それは買うよ。キミが教えてくれるなら、ボクに嫌はないさ。せっかくキッチンがある部屋に入ったんだから、使わないのはもったいないと思っていたんだ。でも、意外だな。キミはエッチなことと闘うことしか考えていないって思ってたよ、ボクは」
実のところ、ルシアの料理はひとが食べるものではなかった。
実家にいた頃に母親から仕込まれていてもおかしくないはずだが、探索者を目指した時点でその機会を放棄していた。
この世界では岩塩の鉱脈が豊富であり、塩不足とは縁遠い。
さらにダンジョンからの戦利品に各種のスパイスも多数あり、安価ではないもののそれなりに流通していた。
そのおかげでこの世界では、中世レベルの文明度に釣り合わないほど、料理だけは発展している。
だが、ルシアの作る料理は残念どころか、軍で出そうものなら暴動レベルのものだった。
それを当人が自覚しているから、ルシアの部屋のキッチンは埃をかぶっている。
「おいおい、ルシアはどんな目で俺を見てたんだよ。ご主人の健康が第一だぜ、俺は。だいたい、不健康な身体で極上の愛液ができるわけないじゃないか。よし。じゃあ、今日はキッチンの掃除からだな」
淫魔の鎧の宣言に、ルシアの悲鳴が重なった。
「もう、ボク、ダメだよぅ……お願い……もう……許して……」
ルシアの弱々しい声が、夕暮れ間近の部屋に漏れた。
「ダメっ! これじゃぁ、何もできないだろ。錆と油汚れは落とさないとな」
五徳を触手で磨きながら、淫魔の鎧が言い捨てた。
やっと人並みのキッチンが見えてきたところだ。
ルシアは必死に金属部分以外を拭き上げている。
いい加減な使い方のうえに、手入れなど一切していなかったせいで油がこびりつき、錆がそこかしこに浮いたキッチンを、ふたりはひたすら磨いていた。
「何とか使えるようになってきたな。とりあえず、ひと息入れようや」
どことなく疲れたような声で、淫魔の鎧がルシアに言った。
既に陽は沈み、窓の外は夜の帳に包まれている。
「うん。疲れたぁ~! でも、なんか良い気分だね」
全身に疲労感をにじませ、ルシアが答える。
主に油汚れを担当したせいか、手がぱさぱさになったような気がする。
ギトついては念入りに手を洗い、繰り返し油汚れと格闘したからだろう。
「さすがにこれから何か作るのも酷だな。買い出しもしなきゃいかんし。今夜は手っ取り早く外で食っちまえ。かなり魔力を使っちまったけど、今夜は補充を控えておくよ」
抜き差しならないレベルの錆を魔力で破壊し続けたせいで、淫魔の鎧は魔力を消耗していた。
とはいえ、ここまで疲れたルシアから淫汁を搾り取るのも、何となく気が引ける。
ダンジョン等での探索中とは違い、町中で大魔力を放出するような事態がそうそう起きるとは思えなかった。
「うん……そうしようか。じゃあ出かけるから、適当な服になってくれるかな」
どことなく不満げにルシアは答え、 愛用のポーチを肩から下げた。
「あ、レミ姉。こんばんは~。ここいいですか?」
部屋からほど近い酒場に行ったルシアは、隣室のレミルを見つけた。
今年で二三歳になるレミルはキャリア七年を数え、それなりの修羅場をくぐり抜けてきた中堅どころの探索者だ。
この町に住み始めて以来、何くれとなく気にかけ、並びで暮らしているクオム共々に的確なアドバイスをしてくれている。
良き先輩であり、教師役であるが、男をとっかえひっかえ部屋に引っ張りむ悪癖があった。
もちろん、その男たちがルシアやクオムにちょっかいをかけるようなことがあれば叩きのめしていたが、性に奔放な性格は相変わらずだ。
ルシアは、そんなレミルに眉をひそめながらも、頼りになる先輩としては尊敬していた。
「あら、ルシア。良いわよ、空いてるわ。こんばんは、淫魔の鎧さん。今はアーマーじゃないのね。私はレミル。レミル・ツゥブロッサ・カザン・レ・ルドウイジアって長ったらしい名前はあるけど、レミルって呼んで。妹分をよろしくね」
レミルは漆黒の長い髪を掻き揚げ、淫靡な笑みを浮かべて挨拶した。
身長はルシアと同じくらいだが、明らかに胸の主張が違っている。
現代日本の基準であれば、ルシアがBならレミルはFだろう。
探索に出ているならがっちり固めて目立たないであろうその胸は、余暇の時間ということもあるのか、しっかりとした主張をしている。
抜けるように白い細面には、高くすっきりとした鼻梁が通り、切れ長の眼窩には漆黒の瞳が妖しく光っていた。
黒髪からのぞく両耳の先端が、わずかに尖り気味であり、薄れてはいるがいくつかの種族の血が混合していることを伺わせる。
何かしらの加護を受けているのだろうか、眩い光沢を放つクリスタルの腕輪が右の二の腕に装着されていた。
「ああ、レミル、こちらこそよろしく。ご主人様がいろいろと世話になっているようだな。付き合いは俺の方が短いが、礼を言っておこう。いままでありがとう。そしてこれからもよろしくお願いする。なんたって、鑑定もせずに俺を装着しちゃうようなご主人様だ。まだまだ、危なっかしくてな」
気さくに返事をした淫魔の鎧は、レミルの名に入る称号から貴族の出であることを察していた。
貴族が探索者などに身をやつすなど、あり得ないことだと承知している。
おそらくは没落貴族か、家を飛び出したじゃじゃ馬だろうとあたりをつけていた。
もちろん相手の出自を詮索したり、根掘り葉掘り尋ねるような無粋な真似をする気はない。
「あら、私もあなたに礼を言わなければならないわ。その前に席を移さない? ひとがいるところでは、しないほうが良いと思うの」
淫魔の鎧の言葉に子供っぽく膨れたルシアに優しい視線を投げながら、そう言うなりレミルは席を立つ。
カウンターの中で紫煙をくゆらしながらも、隙のない視線で店内を見渡しているマスターに声をかけた。
たいていの酒場には、密談用の個室が用意されている。
その他にも店付きの吟遊詩人がもうひとつの客を取るための部屋も、上階に用意しているのが普通だった。
店に対して場所代を払わなければならない吟遊詩人たちの収入は、客からの心付けしかない。
もともとは差別から定住を拒まれ、町から町へと移動しながら物語のネタを拾い歩き、先々でそれを披露して日銭を稼ぐしか彼女らに生きる術はなかった。
町のひとびとも彼女らの定住は望まないが、娯楽に乏しいこの世界この時代では一定の需要はある。
かと言って、町に定住するひとびとも、同じ物語や歌を何度も聴きたいわけでもない。
いつかは飽きられ、心付けも減り、日々の食事も事欠いていく。
もちろん、彼女たちも同じ町にいつまでも留まっていては、新しい物語を拾えない。
その日の食費や酒場への場所代のため、吟遊詩人が身体を売っていることは、当たり前のことだった。
そして彼女たちにしても、そうすることに大きな利益がある。
英雄譚を初めて歌う栄誉は、後々のギャラに大きな影響があった。
寝物語に誰も知らない英雄譚を聞かせてもらうようなことがあれば、それこそしばらくは喰うに事欠かない。
酒場としては人気の吟遊詩人を抱え込めれば集客に直結するし、落ち目であっても身体で稼いでくれるなら場所代の取りっぱぐれもない。
持ちつ持たれつの関係だった。
そして、それ用の部屋は、常に満室であるわけではない。
しばらくマスターと話し合っていたレミルが、嬉しそうな表情で戻ってくる。
それはやっと肩の荷を降ろせる、といった表情だった。
そして戸惑いがちな視線を送るウェイトレスに促され、レミルとルシアは階段を上がっていった。
当然、酒場の上階がどういったものか、ルシアはレミルを含む他の探索者たちから聞いて知っている。
ウェイトレスと同じように、怪訝な表情を強ばらせながらルシアは階段を上がっていった。
「改めて礼を言うわ、淫魔の鎧さん。ありがとう、この娘を女にしてくれて。あなたの言うとおり、この娘素直過ぎるでしょう? たちの悪い男に騙されたらどうしようって、みんな心配してたのよ。あなたが付いていてくれるなら、悪い虫も追い払えそうだしね。ただ、いいひとがいたら、譲ってあげてね?」
個室に通されたレミルはそう言って、妖艶な笑みを浮かべた。
「ああ、任せてもらおう。俺の使命はご主人様の幸福だ。いいひとが現れたなら、俺は夜の生活のスパイスになるだけだ。もちろん、そのひとが嫌がるなら、存在を透明化するさ、その最中は」
レミルと淫魔の鎧は、意識の中でがっちりと握手した。
その瞬間、レミルの言葉の意味を理解したルシアの顔が、真っ赤に染まる。
「キ、キ、キミは聞こえてないって言ってたじゃないかぁっ! レミ姉に筒抜けだなんて! ボクっ! うぁああぁぁあぁっ!」
あられもない喘ぎ声や、陥落宣言を聞かれたかと思うと、ルシアは顔から火を噴きそうなくらい恥ずかしかった。
「私は何も聞いてないわよ、ルシア。その代わり、ぜ~んぶ見ちゃった。ぶった斬ったトロルの横で、あなたがとろけた顔晒して気絶して、それだけじゃ飽きたらず町に帰るまでに何回も気絶するところまで、ね。それにしてもルシアはいい声で鳴くのね。お姉さん、ちょっと我慢できなかったわ」
あれを見られていた。
ルシアの眼から涙がこぼれる。
声を聞かれたどころではなかった。
妖艶な笑みにいたずらっ子のような含み笑いを混ぜてルシアをからかったレミルは、そこまで言うと席を立って威儀を正す。
「どうもありがとうございました、淫魔の鎧殿。そして、ルシア・カットタイラス殿。おかげで私は命拾いをしました」
ルシアに向かい、レミルは深々と腰を折って最敬礼した。
生まれて以来叩き込まれてきた、洗練された身のこなしだ。
卑屈になることなく、優雅で瀟洒で堂々とした振る舞いだった。
あの日、ルシアとは別のルートでアバナホールに潜っていたレミルは、意図せず新しく繋がったダンジョンに迷い込んでいた。
そこでトロルの群れに遭遇し、必死に逃げ回った。
なんとかトロルが入れない岩の亀裂に身を潜り込ませ、トロルが伸ばしてくる腕を剣で撃退するしかない状況に陥っていた。
まず間違いなく助けは来ない。
トロルたちが諦めてくれるのを待つしかない。
絶望と恐怖に、レミルは失禁していた。
唐突にトロルたちが去っていった。
レミルはしばらくの間動けなかったが、それでも帰らなければならない。
恐る恐る岩の亀裂から身体を這い出し、帰路を求めて歩き始めた。
そして、ルシアがトロルを斬殺したあと、淫魔の鎧に犯されて失神したところに行き合っていた。
レミルは失神したルシアを助けなければと思ったが、驚愕に固まった身体は思うように動かなかった。
そうこうしているうちに、ルシアが意識を取り戻した。
さすがに、普段は性の欠片さえ見せない妹分があられもないとろけ顔で喘ぎ声を放ち、絶頂失神までしてしまってはかける言葉がなかった。
町への帰路に就いたところでレミルの緊張も切れてしまった。
あとは余計なモンスターや、寄生するような低レベルの屑から守ればいい。
そっとあとをつける間に見たものは、町にたどり着くまでに幾度となくイかされ、だらしないアヘ顔を晒して失神する妹分だった。
間違いなく淫魔の鎧がついているなら、ルシアに危険はない。
その安心感に、レミルは屋外でのオナニーを我慢できなかった。
悪意を持たない者に対して、淫魔の鎧が持つパッシブエネミーソナーは反応しない。
当然アクティブエネミーソナーにも、レミルが引っかかるはずもない。
近くに濃厚な女の匂いを放つ存在は知覚していたが、敵意を持たないと判断した淫魔の鎧は放置することにしていたのだった。
ドアがノックされ、ウェイトレスたちが料理と酒を運び込む。
普段の消費カロリーが異常に多い探索者たちは、女性であっても例外なく健啖家だ。
少なくとも町住まいの女性が普通に食す量の倍とまではいかないが、それに近い量を軽く平らげてしまう。
運ばれてきた料理は、ハーブやスパイスをふんだんに使い熾火でじっくりと火を通した取りのローストに、大釜で朝から長時間煮込まれた牛の臓物と、これも長時間かけて煮込んだ根菜と取りのシチュー、そしてカゴに山盛りのパンだ。
どれもルシアの財布に大ダメージを与えるような、この店の看板メニューだった。
呆気にとられるルシアの前に木彫りの杯が置かれ、その横にアルコール度が低い果実酒が満たされた陶器の小さな壷が並べられる。
「レミ姉……、ボクこんなに払いきれないよ……?」
ロースト、煮込み、シチューに続いて、まだ皿が並べられていく。
川魚のカルパッチョに山盛りのサラダ、煮潰した豆の絞り汁を塩から滲み出した液体と煮て固めた豆腐のようなものに、薬味と付けダレと思しき小鉢が数種。
テーブルが料理と酒に埋め尽くされる様を呆然と眺めていたルシアが、我に返ってレミルに言った。
今なら払えないこともないが、間違いなく素寒貧になる。
おそらくはレミルの奢りなのだろうが、そこまでしてもらえる謂われが思いつかなかった。
間接的に命を救ったことにはなるのだろうが、能動的に動いたわけではなかった。
そこまで感謝されては、かえって心苦しい。
……気持ちよかったし……
「何言ってんのよ。お祝いよ、お祝い。あなたが女になった、ね。ほら、もうお酒だって飲んでいい歳なんだから、乾杯しましょ」
どうやってルシアに礼をするか、レミルは悩んでいた。
ダイレクトに言っても、ルシアの性格から固辞されるのは解っている。
そこヘルシアが同席を求めてきた。
ならば、礼ではなくお祝いに形を変えて奢ってしまえと、レミルは即決した。
目を白黒させるルシアの杯に果実酒を注ぎ、自身の杯を大麦から作られた強い蒸留酒で満たす。
ルシアは、また呆気にとられたまま杯を手に取り、生まれて初めての酒を喉に流し込んだ。
「うわ、美味しいよ、レミ姉。ほんのり甘いけど、葡萄の絞り汁みたいなベタベタした甘さじゃないんだ。あれも大好きだけど、こんなすっきりしたのって、ボク初めてだよ」
口に含んだ瞬間に芳醇な芳香が鼻腔に突き抜け、舌を酸味と甘みが包み込み、渾然一体となった旨味に脳が痺れる。
得も言われぬ陶酔感に、もっと舌で味わいたいとルシアが思ったときには、反射的に果実酒を飲み下していた。
「そう。美味しかったならいいわ。まだまだ来るから、今夜はじゃんじゃん飲んで、いっぱい食べてね、ルシア。私の奢りだから、遠慮なんかしないでよ」
初めての酒に酔いを把握できないルシアを見ながら、レミルはゆったりと蒸留酒を舐めている。
一回豪勢な食事を奢ったくらいでは、命の恩を返せるとは思っていない。
ルシアに対する教育も、この食事には含まれていた。
この先、ルシアがこの町に定着するとは限らない。
レミルもいつかは、この町を離れることになるかも知れない。
そんなときに、先輩がどう振る舞うか、それを見せておこうともレミルは考えていた。
「で、淫魔の鎧さんって、上手なの?」
レミルはいきなり単刀直入に聞いた。
聞かなくても、レミルには解る。
処女だったルシアが、失神するほどの快感を叩き込まれていた。
我が身に振り返ってみれば、それがどれほど異常なことかよく解る。
いくらオナニーを知ってたとはいえ、初めて他者に性器を弄くられる緊張感と違和感で快感など得られるはずもない。
繰り返すうちに、快感に変わっていくものだった。
それが、いきなり絶頂失神だ。
どれほどの快感なのか、レミルは想像するだけで割れ目を濡らしていた。
「ん、えっとね……きゃっ!」
一瞬で顔を真っ赤に染めたルシアは、突然いきなり饒舌になる。
ルシアは淫魔の鎧との出会いから、レミルに望まれるまま話し始めた。
スライムを焼き尽くした情景と陵辱に、トロルとの戦闘とその最中の陵辱。
町までの陵辱と町に戻ってからの恥辱や、部屋での陵辱を嬉しそうな表情でルシアは話した。
昨日であれば、ルシアは経験豊富な先輩探索者に、淫魔の鎧の解除を相談しただろう。
だが、いまでは淫魔の鎧なしではいられないと自覚してしまったルシアは、陵辱を熱っぽく嬉しそうに話していた。
「ボク、おしりの穴があんなに気持ちいいなんて……あはっ」
おまんこから愛液が滴っていることに気づかないほど、ルシアは猥談に夢中だった。
淫魔の鎧にされたことを詳細に話すだけで、ルシアは快感と絶頂を思い出して愛液を溢れさせている。
淫魔の鎧がわざと愛液の吸収を止めると、ルシアの太ももに粘る液体が流れたままだ。
ルシアはいきなりそれに気づいてしまい、困ったような視線でレミルに助けを求めた。
「改めてお願いしたいんだけど、淫魔の鎧さん。私も、どう? あ、ルシアからあなたを奪おうなんて思っていないから安心してね。私もあなたに、してほしいかなって。どうかしら、ルシア?」
「レミ姉、何言ってんのさ!?」
「申し訳ないが、俺と一対一は契約があるから無理だ、レミル。だけど、ルシアがしたいなら、いくらでも協力するぞ、俺は」
「じゃあ、決まり~。ルシア、今夜は寝かさないからね」
「ちょっと待ってよ、レミ姉。ボクはいいなんてっ!?」
「私、女の子も好きなんだよ、ルシア♥」
「~!?」
「へぇ、あんたはそういうクチかい? 過去の主人にもいたなぁ、両刀は。同性のみとか、乱交好きの大英雄とか、いろいろいたぜ。ま、覚悟決めろや、ご主人様」
怒濤の展開だった。
この夜初めて酒を飲んだルシアは、レミルの前に置かれた強い蒸留酒を一気にあおる。
頭がふわふわとしてきた。
もう、どうにでもして……♥