※この作品はR-18です。

淫魔の鎧   作:らんふぉりんくす

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第28話 夢・de・合体

 ルシアとクオムは、連れ立ってサリオ村周辺を歩いていた。

 周辺調査とはいえ、何もいきなりゴブリンが住み着いた洞窟の近くまで行く必要はない。

 村の周囲に何があり、防衛に役立つものはあるか調べておくのも必要だ。

 今のところ、洞窟に巣くっただけであり、村にちょっかいをかけてきているわけではない。

 村の女が攫われたわけでもない。

 そう聞くと、村の方が過剰反応を起こしているようにも見える。

 

 だが、何かが起こってからでは、何もかもが手遅れだ。

 村の人口は一〇〇人を超えているとはいっても、その中には戦力としてはカウントできない女子供や老人も含まれている。

 戦力としては、いいところ三〇といった辺りだろう。

 数に頼んだゴブリンが押し寄せてきたら、少なくない被害が出てしまうことは火を見るより明らかだ。

 仮に撃退できたとしても、働き手を失うことになれば、村は立ち行かなくなる。

 運良くゴブリンをある程度殺したとしても、全てを殺し尽くすことはできない。

 

 そして逃れたゴブリンは、人間の立ちまわりを学習し、次はさらに手強い相手となって現れることになる。

 つまり、群れを発見した時点で、ただの一匹も残さず殲滅する必要がある。

 これは対モンスター戦闘の訓練を積んでいない農夫や職人、商人にできることではない。

 探索者の存在意義は、そこにある。

 そして、探索者と一般人の間を取り持つギルドという存在は、そのためにあるといっても過言ではない。

 

「さて、ご主人にクオム嬢。防衛に当たって、この村の問題点はなんだと思う?」

 教師のような口調で、淫魔の鎧は二人に聞いた。

 何もかも先に教えてしまっては、二人の経験にならない。

 自分で考え、実践し、ときには痛い目に遭うことも必要だった。

 

「う~ん。まず……柵が貧弱ってこと? それから、戦力が圧倒的に足りない。あとは……柵の補強をするのに、材料も人手も足りないってことかな」

 村の周りを歩いてみて、気付いたことをルシアは挙げた。

 まず、これまでそれほど驚異となるモンスターの襲撃を受けていないことから、村を囲う柵は人の腰程度の高さしかない。

 その上、杭と杭の間隔も広く、横木も二段しかなかった。

 ゴブリンが持つ粗末な武器であっても、それほどの苦もなく破壊できそうな代物だった。

 そして、柵を補強するための材料を集めようにも、森までの往復に半日かかる上に、村に樵はひと家族しかいない。

 つまり、防御の増強は、絶望的ということだった。

 

「もし、攻め込まれたら、ゴブリンは集団戦ができない分、殲滅に手間がかかるです。クオムの魔力では、一匹ずつ殺すのでは、一〇匹くらいしかできないです。クオムたち三人と淫魔の鎧さんがどれほど走り回っても、全部殺す前に逃げられるです。それからクオムは、もし囲まれたらもうお手上げです」

 ゴブリンには、集団戦を行うほどの知能はない。

 ある程度の統率は可能だろうが、戦闘が始まってしまえばすぐ興奮に飲まれ、ててんでんばらばらに暴れることしかできない。

 だが、それが今回は問題だ。

 ゴブリンと村の防衛に当たる人数が、一対一なら何とかなる。

 しかし、生後一ヶ月もあれば成体と変わらない力を持ってしまうゴブリンの群れが、僅か三〇などという少数であるはずがない。

 実際、村人たちが決死の思いで偵察に出た結果、軽く見積もって一〇〇匹近いゴブリンが確認されている。

 つまり、戦力費は三対一。

 サリオ村の戦力で皆殺しにするには、寝込みを襲うとしても絶望的な差だ。

 そして、攻め込まれたら、村が守りを固めた上で白昼堂々であっても、防衛は絶望的だった。

 

「正解。つまり、だ。最初から防衛なんぞ、考える必要はない。俺たちの持てる力全てを、攻撃に振り向けるしかない。今はこの辺りにして、今夜にでも洞窟の辺りを見に行こう。一〇〇匹近いゴブリンが巣くってるなら、出入り口はひとつであるはずがない。村人が見つけていない出入り口が、必ずあるはずだ。それを見つけて、どう攻めるか、それを早急に決めなきゃならん」

 実のところ、淫魔の鎧とルシアがいれば、一〇〇匹程度のゴブリンなど物の数ではない。

 触手をステルスかした上で展開し、一気にくびり殺してしまえばそれで終わりだ。

 だが、それではルシアとクオムの経験にならない。

 ルシアは立っているだけで、クオムは見ているだけで討伐が完了してしまうのであれば、淫魔の鎧の移動に必要なルシアはともかく、クオムの存在価値などなくなってしまう。

 そして、自身で動き、判断し、やはりときには痛い目に遭わなければ、探索者として成長することができない。

 ルシアと常に行動を共にしているわけではないクオムは、他のパーティとの協力や自力で依頼をこなさなければならないときもある。

 そんなとき、的確に動けず、判断もできないのであれば、誰も組みはしないし生きてもいられない。

 淫魔の鎧は今回の依頼に関して、三人の命に危険がおよばない限り、直接手を下すつもりはなかった。

 もっとも、自分から提案する気はないが、ルシアが淫魔の鎧を道具と認識し、その性能を利用するというのであればその限りではない。

 道具の性能を正しく理解し、正しく使うことは、探索者として何も間違っていないからだ。

 

「うん、解った。じゃ、とりあえず帰って仮眠だね。途中でレミ姉探しながら行こう」

 淫魔の鎧が言った意味を理解したルシアは、クオムにそう言って村の方向へと歩き始める。

 そうと決まればさっさと帰えり、軽く食事をして早く寝るに限る。

 

「あ、ルシア待つですっ。今日は何作ってくれるですか、淫魔の鎧さん」

 クオムは慌ててルシアの後を追う。

 以前振る舞われたジャーマンポテトもどき以来、クオムはすっかり淫魔の鎧が作る料理のファンになっていた。

 そしてカルパッチョで、完全に心と胃袋を掴まれている。

 今回の遠征でも、泊まっている宿がいわゆる木賃宿だったことで、朝晩は淫魔の鎧が食事を作っていた。

 勿論、アレイバーグのような地方都市と違い、様々な食材が手に入るわけではないが、それでも新鮮な野菜と鶏肉はありがたい。

 その上、モンスター討伐に来た探索者たちを少しでもバックアップしようとしてか、村人たちは鶏の卵まで快く分けてくれていた。

 

 昨日の昼に到着してから、淫魔の鎧が作った中でもクオムが気に入ったメニューは、今朝食べたトマトと卵の炒め物だ。

 薪を使った竈を、淫魔の鎧の魔力で中華コンロ並みに火力を上げ、鉄鍋を触手で強引なまでに振るい、一気に仕上げたものだった。

 それを別な竈をタンドリーのように使って焼いた、ナンのようなパンに乗せて食べたときには、あまりの旨さにとろけるかと思ったほどだった。

 

 昨夜に食べた触手を串代わりにして竈でじっくり焼いた鶏モモのローストに、野菜たっぷりのスープも絶品だった。

 ローストは適度に脂が落ち、味付けは塩だけだというのに、いくら食べても飽きがこない。

 その鶏ガラで取った出汁に野菜をたっぷり入れ、村特産のワインと塩で味を調えたスープも、ワインを少し入れるだけであれほど旨味が増すなど、クオムには信じられなかった。

 さっき昼に食べたトウモロコシの粉でできたトルティーヤのような薄いパンで、鶏ガラからむしった肉と朝のトマトと卵炒めの残りを巻いた弁当も、アレイバーグで店に出せば充分売れるものだ。

 夜間調査のために早めの夕食になるだろうが、どんなメニューが出るか、クオムは今から楽しみだった。

 

 

 

「レミ姉の聞き込みはどうだった?」

 早めの夕食を食べながら、ルシアはレミルに聞く。

 もしかしたら、まだ聞いていないだけで、洞窟の出入り口が別にあることを聞き出しているかもしれなかった。

 

「そうねぇ……あなたたちから、まず聞かせてくれるかしら? 私の方は、そこそこ情報は集まったわ」

 小麦粉をはたき、卵を絡めてソテーした鶏胸肉のピカタをかじりながら、レミルは勿体ぶって聞き返した。

 周辺調査の際に、淫魔の鎧が摘んできたバジルの強い香りが食欲をそそっている。

 

「うん。村の防衛は絶望的。やられる前にやる。だから、今夜洞窟周辺の調査と、洞窟に別の出入り口があるかの調査をやろう、と」

 淫魔の鎧の助けはあったが、きちんと自分で考えたことをルシアは答えた。

 レミルの反応を待ちながら、細かい網目状に編んだ触手でカボチャを裏漉しし、鶏ガラの出汁と牛乳で仕上げたポタージュをひと口飲み下す。

 濃厚な風味が、あっさりとした鶏胸のピカタバジル風味と、互いを引き立て合っていた。

 

「何で、出入り口がひとつではないと思ったの? 淫魔の鎧さんに言われたから、じゃないでしょうね?」

 ちょっとだけ意地悪く、レミルは問い詰める。

 ある程度の示唆があったことはお見通しだ。

 勿論、それを咎め立てする気はない。

 ルシアとクオムの二人では、見落とすこともまだ多い。

 淫魔の鎧ならそれに気付かせ、考えさせるだろうと、レミルは期待していた。

 

「はいですぅ……淫魔の鎧さんに教えてもらったです。でも、そこからは考えたです。行き止まりの洞窟にゴブリンが一〇〇匹もいたら、息ができなくなるです。充分風が通る洞窟じゃなきゃだめです。だから、出入り口にしてるかどうかは解らないですけど、あの洞窟はどこかに繋がっているはずって考えたです」

 タマネギとピーマン、鶏ガラからむしった肉を炒め、卵でまとめたチャンプルーを食べながら、クオムが答えた。

 ピーマンの苦みが卵の甘さと引き立て合い、絶妙なバランスを醸し出している。

 これも塩味だけではなく、ワインの旨味が効いていた。

 ここまでの遣り取りを、淫魔の鎧は口を挟むことなく聞いている。

 よけいなフォローを入れて、ルシアとクオムの勉強の機会を奪いたくはなかった。

 

「はい、正解。で、私の方だけど、あの洞窟はいくつかに枝分かれしてるけど、人が通れる穴はないそうよ。ただ、いくつか地中から風か吹き出す穴が、あの森の中にあるわ。確かに、森の外れの崖下にあの洞窟はあるわね。それを塞げば、ゴブリンは窒息するでしょう。で、逃げ出してくるところを叩けば、私たちだけでも潰しきれるかしら? これなら、見逃す確率の高い夜に、仕掛ける必要はなくてよ?」

 満足そうに頷いたレミルは、作戦案を提示した。

 この案であれば、夜間調査は必要なく、取り逃がさないため白昼堂々と仕掛けられる。

 いいこと尽くめに見えるが、レミルはあえて穴のある作戦案を提示していた。

 当然それに気付いた淫魔の鎧は、ルシアの左のおっぱいの上で目を細めている。

 淫魔の鎧が解らないはずがないと信じているレミルは、それに気付かない振りをしていた。

 ここでアイコンタクトなどしていては、二人にネタバレしてしまう。

 

「それもいいんだけど……気を悪くしないで欲しいんだけど、レミ姉にしては穴がある作戦だと、ボクは思うな」

 ルシアが即答した。

 だが、淫魔の鎧から知恵を授けられているようには見えない。

 

「クオムも、その案にはちょっと無理があると思うですぅ……」

 クオムは、気弱そうに答える。

 こちらも、自身の考えから言っているようだった。

 

「あら、ふたりとも、どの辺りがそう思ったか、聞かせてくれるかしら? 淫魔の鎧さんの入れ知恵でもあったの?」

 さらに意地悪く、レミルは問いかける。

 淫魔の鎧は、今にも声を上げて笑いそうな目をレミルに向けていた。

 

「穴がいくつあるか判らないけど、全部塞ぐのにどれくらい時間かかるのかなぁ。下手すると、ゴブリンが息苦しくなるのが、夜になっちゃうかもしれないでしょ? それなら、夜のうちに塞ぎに行った方が、昼間に討伐できるんじゃないかなぁ。どうかな、レミ姉」

 ルシアの回答に答えず、レミルはクオムに発言を促した。

 

「森の中に風が吹き出す穴があるですね? きっと、全部見つけるのは無理だと、クオムは思うです。だったら、朝一番に洞窟の入り口で、生木を燃やしてやるです。煙でいぶり出してやれば、穴を塞ぐ手間もいらないです。それに、煙で目をやられていれば、叩くのも楽なはずです」

 パーフェクトに近い回答だ。

 欲を言うなら、催眠のスペルであるスリープクラウドを流し込んでやれば、より反撃の危険を防ぐことができる。

 残念ながらクオムの力量では、一〇〇匹近いゴブリンを全て眠らせることができないため、その案にはたどり着けなかったようだ。

 だが、安易に淫魔の鎧の力を頼らなかったことは、評価できることだった。

 レミルにしろ淫魔の鎧にしろ、夜のうちに洞窟に忍び寄り、効ききれなくてもいいからクオムのスリープクラウドを流し込んだ上で、淫魔の鎧の触手を洞窟内に展開し、片っ端からくびり殺せばいいと考えていた。

 これなら、もし捕らわれた女がいても、無傷で救出できる。

 穴を塞いだり煙を使うとなると、運が悪いと窒息しかねない。

 今回は、この村に攫らわれた女がいないことから、それを考慮する必要はない。

 ゴブリンが新たな巣を構える際に、苗床にしていた女を連れてくることはないからだ。

 

 いずれにせよ、淫魔の鎧が反対せず、ルシアが賛意を示したことで、作戦の方向性は決定した。

 後は細部を積めるだけだ。

 そうなれば、今夜はもうやることはない。

 明日、生木を集めたり、洞窟を偵察するために、今夜は早く寝てしまうべきだ。

 

 

 

「明日は早いんだから、今夜はさっさと寝ておけよ、ご主人」

 ゆったりとした寝間着に姿を変え、淫魔の鎧はベッドに寝転がったルシアに言う。

 二日間にわたる野宿を経て到着後、触手セックスに失神から覚めないほどのめり込んで、翌朝その疲れも取れないうちから周辺調査に突入していた。

 さすがのルシアも、もう両目を開けている気力はない。

 休めるときにしっかり休んでおくことも、探索者であれば必要なことだった。

 そして、探索に出ているときは、予定など未定でしかない。

 いつでも、どこでも睡眠を取れることは、優秀な探索者に必要な能力だった。

 

「……うん……今夜、は……もう……寝るよ……ごめんね、君の期待に応え……られにゃくて……ボクらって……」

 眠気で呂律さえ怪しくなったルシアが、触手セックスに応じられないことを謝った。

 ルシアにしても残念で仕方ないが、もう限界はとうに越えていた。

 ルシアにとって、今回のような大規模掃討戦は、初めての経験だ。

 淫魔の鎧のサポートがあるとはいえ、知らず知らずのうちに極度の緊張状態を持続していた。

 気付けば、小さな寝息が聞こえている。

 淫魔の鎧の答えを聞く前に、ルシアは夢の世界へと旅立っていた。

 

「……おう、ゆっくり寝ろ、ルシア。いい夢、見ろよ」

 真夏でもなければ、寝間着一枚で寝ていては風邪を引く可能性が高い。

 淫魔の鎧はシーツを引き寄せ、ルシアに掛けた。

 淫魔の鎧自体が衣服内の温度調節能力を持っているにもかかわらずシーツを掛けたのは、やはりただ転がっているよりその方が安眠できるからだ。

 特に寒い時期の毛布が持つ魔力に、坑える者など存在しない。

 ルシアが絶頂失神から覚めないときも、淫魔の鎧はシーツを掛けることを忘れなかった。

 

 

 

 深夜。

 ルシアが泊まっている部屋のドアが、遠慮がちに叩かれた。

 宵の口に眠気に負けて轟沈していたルシアは、すぐに反応することができなかった。

 それでも淫魔の鎧に揺り起こされ、目を覚ましたルシアは、一瞬ゴブリンの襲撃かと身構える。

 だが、淫魔の鎧からも、ドアを叩くノックの音からも、緊迫した様子は感じ取ることはなかった。

 

「……誰? クオム?」

 かぶった覚えのないシーツをどかし、心の中で淫魔の鎧に礼を言いながら、ルシアはドアに向かって誰何する。

 遠慮がちなドアの叩き方から、ルシアはクオムだろうと当たりをつけていた。

 

「……はい、クオム、ですぅ……ルシア、開けてください、ですぅ……」

 戸惑っているような、困り切っているような、か細い声が答える。

 そのときルシアは、クオムが寝付けなかったのか、夜更けに目が覚めてしまったのかと思っていた。

 明日は森の中と、ゴブリンが巣くった洞窟の現地調査だ。

 不安を抱いたとしても、不思議はない。

 このパーティにおける絶対強者である淫魔の鎧に、安心させて欲しいのかもしれなかった。

 そしてこのときルシアは、自身の喘ぎ声でクオムがオナニーしていたことを、すっかり忘れていた。

 

「ちょっと待ってて、クオム。今、開ける」

 ドアに向かって答えたルシアは、一度自身の装いを確認してからクオムを迎え入れる。

 全裸でクオムを部屋に入れてしまった過去を、忘れるはずはなかった。

 

「……ありがとうです……それから、ごめんなさいです……寝なきゃいけないのに……でも……」

 入ってきたクオムは、少し前屈みになって股間を押さえている。

 心なしか、年齢より少し幼く見える顔が、上気しているように感じられた。

 そして、理由は解らないが、息も荒いとルシアには思える。

 

「……どうしたの、クオム?」

 果てしなく嫌な予感を抱きながら、ルシアはクオムに問いかけた。

 淫魔の鎧が何か仕掛けたものだと、勝手に決めつけている。

 その証拠に、淫魔の鎧は一切口を出していない。

 ルシアは、そう決めつけていた。

 

「……はい、ですぅ……ルシア、驚かないで欲しいです……。クオム……クオムは……男の子になっちゃったですぅっ! クオム、どぉすればいいですかぁっ!?」

 ベッドに腰掛けたルシアの前に立ったクオムは、意を決すると一気にまくし立てた。

 そして、ワンピース型の寝間着の裾をたくし上げる。

 クオムの股間に、ルシアの目が釘付けになった。

 

「……ク、ク、クオム……何、それぇぇぇ!?」

 ルシアの視線はクオムのクリトリスがあるはずの場所にそそり立つ、青筋を浮かせた隆々たる肉棒から離れなくなっている。

 ひくひくと小さく震える剛直は、先端の鈴口からねっとりした液を垂らしていた。

 以前口にして喉奥まで犯されたレミルの肉棒より、間違いなくひとまわり大きい。

 ルシアは無意識のうちに喉を鳴らし、おまんこが熱くなるのを感じている。

 栗の花のような匂いが、遅れてルシアの鼻腔をくすぐっていた。

 

「目が覚めたら、おちんちんが生えてたです……こんな、おっきくなって……痛くて、きもちぃ……ですぅ……」

 クオムが悶えるように言う。

 それがどういうことかは、クオムも熟知している。

 反り返った肉棒が幼馴染みのおまんこを貫いていた光景は、忘れることなどできなかった。

 普段は排泄器官であることも知っている。

 だが、怒張し反り返っている今は、セックスのためだけの器官になり果てていることも、クオムはよく知っていた。

 

「……クオム……何やらかしたんだぁっ!? キミはぁっ!」

 クオムの惨状に、ルシアは胸元に向かって叫んでいた。

 防音シールドがあること前提だが、次の瞬間ぎくりとする。

 

「……えっ? キミ、どこ行っちゃったのっ!? クオムになにしたんだってばっ!?」

 不安になったルシアは、左の胸元に向かって叫んだ。

 ワンピース型の寝間着がそのままである以上、淫魔の鎧が消え去ったわけではないと思っている。

 だが、いつも薄笑いしていたような目が、いない。

 そういえば、おまんことおしりの穴に感じていた快感と、質量が失われていた。

 

「……あ、ああ、ご主人、心配するな。俺はいつでもご主人とともにある。どうやら、完全に身も心も一体化したようだ。俺の視界はご主人と共有されている。クオム嬢がどうなっているかも、見えているぞ。それから、これは俺ではない。魔力の暴走だな。そうだろう、クオム嬢?」

 今までは聴覚が捕らえていた淫魔の鎧の声が、まるで自分の声のように脳裏に聞こえてきた。

 念話ではないと、聞こえ方が違うことで理解できる。

 クオムには今まで通りに聞こえているらしく、違和感などないように頷いていた。

 

「……はい、ですぅ……ひとりで、してたら……急に、こうなっちゃった……です……」

 どうやらオナニーの最中に、クリトリスへ電流を流した結果、絶頂した拍子に魔力のコントロールを誤ったようだった。

 以前のように電撃で失神することのないように魔力のコントロールに励んだ結果、適切な絶頂を得られるようになったものの、慣れた頃に事故を引き起こしたらしい。

 

「……はぁ……ボクの周り、なんでみんな、こうなのさ……キミのせいだよね、きっと……」

 呆れ返ったようにルシアは呟き、クオムの剛直に視線を注いだ。

 あいかわらずびくんびくんしながら反り返った先っぽからは、ねばつく汁が糸を引いている。

 触手がいなくなったおまんことおしりの穴が、物欲しそうによだれを垂らし始めたことに、ルシアは気付いていた。

 今まで当たり前にいた存在が消えることが、こんなに寂しく不安だっとは思いもしなかった。

 

「クオムは、どうすれば治るです? 男の人みたいに、いっぱい出せば治るですかぁ?」

 反り返った剛直を右手でしごきながら、口元に運んだ左手の人差し指を舐めながらクオムが悶えるように言った。

 男の肉棒とは比較にならないほど、快感をもたらすクリトリスだ。

 肥大化したそれをしごくクオムの表情は、それだけで簡単にイってしまいそうだった。

 

「……ん。仕方ない。ご主人、手伝うしかないようだ」

 ルシアの肩の辺りがもぞもぞと動きだし、同時に寝間着が身体に吸い込まれるように消えていく。

 

「きゃっ!? いきなり、なにするのさっ!? ……そりゃぁ、構わないけど、ボクだって心の準備が……ええええっ!? なにこれぇぇぇえええっ!? ボク、もうわけわかんないぃぃいいっ!」

 肩の肌が伸びる感覚を感じたルシアは、一瞬ののちに背後から触手が翼のように広がるのを感じ、思わず絶叫する。

 天使のような純白の翼を、ルシアは視界の左右に捕らえていた。

 だが、醜怪な触手が縒り合わさったそれは、天使の翼とは明らかに雰囲気が違っている。

 もっともクオムから見れば、全裸の背中に翼を生やしたルシアは、天使に見えてもおかしくはない姿だった。

 

「言っただろう、ご主人? 俺たちは身も心も同一になったと。ほら、クオム嬢が置いてけぼりだ。早く治してやろうじゃないか」

 翼から触手が伸び、クオムの剛直に絡み付くと、ゆっくりとそれをしごき始める。

 熱に浮かされたようなクオムの瞳から光が失せ、のろのろとした動作でワンピース型の寝間着を脱ぎ捨てた。

 呆気にとられるルシアの前で、クオムのおっぱいに触手が這い回る。

 撫で回すように這う触手が乳首に集り、緩く締め上げながら先っぽを擦り始めた。

 

「ふあっ!?♥ ……だめ、ですぅっ!♥ そ、な、したら!♥ クオム、すぐイっちゃうですっ!♥ ……ぁ♥……ぁ♥……あひっ!♥ なんか……でちゃう、で、す♥……イく♥……出る、ですぅっ!♥」

 数秒と経たないうちにクオムの表情が上気し、指をくわえたまま腰が引けていく。

 触手と一緒に剛直をしごく右手は止まらす、あっという間にクオムはあり得ないほど大量の精液をぶちまけた。

 その場に腰を落としたクオムは、床にぶちまけられた精液と、まだ脈打ちながら白濁を吐き出す剛直を交互に見ている。

 ルシアは、無意識のうちに、自身のクリトリスを弄くっていた。

 

「……クオムだけ……ずるいよ……ボクも……」

 ふらふらとベッドから立ち上がったルシアは、クリトリスを弄くりながら床に腰を落としたクオムの前にうずくまる。

 触手の翼を揺らしながらクオムの手を白濁を吐き出し続ける剛直から引き剥がし、そのまま口に含むと舌を絡めていく。

 右手で自身のクリトリスを弄くったまま、左手でクオムの剛直をしごき、口からよだれと白濁を溢れさせながら、ルシアは夢中になってディープスロートに没入していた。

 

「あひっ!?♥ ルシ、アっ!? なに、するですっ! そんな、舐めたら、汚いですぅっ! ああんっ!♥ ひぃっ!♥ イくっ!♥ ……出ちゃうですっ!♥ ……イくぅっ!♥ クオム、またイっちゃうですぅぅぅっ!♥ あひっ!♥ ひぅっ!♥ ひあっ!♥ ~~っ!♥ ~~っ!♥」

 乳首を触手に責められたまま、勃起が収まらない剛直をルシアの口でしごかれたクオムは、仰け反るようにして絶頂する。

 目を見開いたまま天井を仰ぎ、口をぱくぱくさせながら声にならない叫びを上げていた。

 ルシアの喉にクオムの暴走魔力が作り出した大量の精液が注ぎ込まれ、飲み下せなかった白濁が鼻に逆流している。

 絶頂に酔いしれ、倒れ込みそうになったクオムの身体を、触手がそっと抱き留めた。

 

「……はひゅっ♥……あ゛ー♥……ひうっ♥……ぁ゛ー♥……」

 脱力したクオムは、半ば白目を剥きながら、まだ射精が持続している。

 ルシアは味覚と嗅覚を精液に犯されながら、ディープスロートを続けたまま、クリトリスを弄くっていた。

 

「……まだれれりゅよ、クオム♥。クオムのせーえき♥、いっぱいでおいひい♥、~~っ!♥ こくっこくっ♥……まらとまりゃないんらぁ♥……もっとらひていいかりゃね♥……れんぶ飲んれあげりゅ♥……ボクもイくぅ……んん~~っ!♥ ん~~っ!♥」

 クオムの精液の匂いに、ルシアは陶然とした表情で剛直を舐めしゃぶっている。

 左手でしごきながら白濁を溢れさせる鈴口を啜り、カリ首に歯を立て亀頭を舐め回し、喉奥まで飲み込んで裏筋を舌でもしごいていた。

 ルシアはクリトリスだけでは飽き足らず、おまんこにも指を入れて掻き回し、Gスポットを抉っている。

 クオムの剛直をくわえたまま、ルシアは数回大きく痙攣した。

 くぐもった喘ぎを漏らしたあと、ルシアのおしりの下に水溜まりが広がっていく。

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