まき散らしたおしっこの水溜まりの上に座り込こんだルシアは、意識こそ取り戻していたが完全に放心状態だった。
虚ろに開かれた瞳が宙をさまよい、だらしなく開かれた口元からは、銀糸がおっぱいへと繋がっている。
よだれとともに呻きとも喘ぎともつかない小さな声も、口元からはこぼれていた。
両腕は力なくだらりと垂れ下がり、指一本ぴくりとも動くことはない。
だが、ルシアの身体は騎乗しているかのように、突き上げるような上下動を繰り返していた。
「……んぁ♥……はひ♥……ん♥……ぁぁ♥……ぁ゛ぁ゛♥……ぃぁ♥……♥」
おしりの割れ目からおまんこの秘裂、そして淫核まで食い込んでいた触手は消えている。
今は、単調なピストンを繰り返す触手が、おまんこだけを塞いでいた。
放心状態のルシアは自身の身体を支えることすらできなくなっていたが、ステルス化した触手が何本も絡み付いて上体を起こしている。
小さく鋭いピストンの他に、柔らかな愛撫が全身に施されていた。
固く芯を持ったままのピンク色の突起が、快感を得ていることを主張している。
触手を飲み込んだおまんこも、淫猥なよだれを垂らしながら貪欲に快感を求め続けていた。
時折襲い来る絶頂に、ルシアは無意識のうちに潮とおしっこを小さく噴き出している。
ルシアのおしりの下にできていた水溜まりは、シーツが吸いきれないまま広がっていった。
「……ん♥……ぅぁ♥……ぃぃ♥……ぁん♥……っ!?♥ イくっ!♥ イくイくぅっ!♥ あああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!♥ また飛んぢゃうっ!♥ やぁっ!♥ あ゛お゛っ!♥ イくイくイくイくイくぅぅうう!♥ イっぢゃぅぅぅうううっ!♥」
ゆるゆると撫で上げるだけだったクリトリスへの愛撫から、包み込んだ触手に咀嚼されるような刺激にいきなり切り替わる。
包皮を剥かれた淫核から、脳天まで突き抜ける快感にルシアは仰け反り、絶頂に絶叫した。
触手の下で見開かれた両目がぐるんと裏返り、白目を剥いて天井にとろけた顔を向けながら舌を突き出している。
そのまま倒れ込みそうな身体を触手に支えられたまま、徐々に激しくなるピストンにルシアは貫かれていた。
「あぎっ!♥ はひゅっ!♥ あひっ!♥ あっ!♥ あっ!♥ あっ!♥ 溶けちゃう!♥ 溶けちゃう!♥ ボクのおまんこっ!♥ あああああああああああっ!♥ キミの触手で溶かされぢゃうっ!♥ 気持ちよすぎてっ!♥ 溶けちゃぅぅぅうううっ!♥ あああああああああああっ!♥」
再び襲ってきた絶頂の波高に突き上げられたルシアが、恥も外聞もなく絶叫した。
緩みきった尿道口からおしっこが垂れ流しになり、次いで潮が宙にアーチをかけていく。
毛布にくるまれ、意識を失ったまま床に転がされたリリムに降り注いだ潮は、その直前で見えない壁に吸い込まれていった。
潮の雫がシーツに垂れ落ち、ルシアが絶頂の余韻に浸り始めたとき、絡み付いた触手に腰が引き上げられる。
身体を支えられないルシアは、つま先立ちで両手をシーツに着いていた。
「あんっ!♥ ひゅごっ!♥ 判るっ!♥ ボクにっ!♥ キミの触手♥突き刺さってりゅっ!♥ あひっ!?♥ おしりの穴っ!♥ きたぁっ!♥ きてくれたよぉっ!♥ あ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛っ!♥ しゅきっ!♥ おしりずぼずぼぉっ!♥ ボクおまんこふたちゅっ!♥ あ゛お゛っ!♥ お゛お゛お゛ああ゛あ゛あ゛あ゛っ!♥ イぐっ!♥ おしりでイっぢゃうっ!♥ お漏らしでイっぢゃうっ!♥ イくぅぅぅうううっ!♥ ……ああああああああああああああっ!♥」
膝をがくがくと震わせながら、どこにそんな残っていたかと思うほどおしっこをまき散らし、ルシアはイった。
触手の下では焦点の合わない寄り目になり、イきながらイき果てたルシアは、止めどなくよだれを垂らしている。
いつもであれば触手に貫かれたおまんこを見せつけられ、その恥辱が快感のエッセンスにもなっていた。
だが、視界を塞がれた今のルシアはそれを想像することで、それ以上の快感に包まれている。
泡だった愛液と腸液が触手に掻き出され、おしっこの後を追ってシーツへと糸を引いていた。
シーツに着いた両手に身体を支える力など既になく、腰を引き上げる触手だけがルシアを支えている。
おまんことおしりの穴に叩き込まれる暴虐のようなピストンに、ルシアはその身を任せながら快楽に酔い浸っていた。
「ふえ? ひゃっ!?♥ ひにゃぁぁぁあああっ!♥ 深っ!♥ 深いよぉっ!♥ 気持ちーのっ!♥ ボクのお腹突き抜けちゃうっ!♥ あぎっ!♥ ひぎぃぃぃいいいっ!♥ にゃっ!♥ あにゃっ!♥ らめにゃっ!♥ イくにゃっ!♥ なんろもイっひゃうにゃぁっ!♥ にゃあああああ!♥ に゛ゃあっ!♥」
ルシアの両腕が触手に引かれ、上体が強制的に仰け反らされる。
突き出されたおっぱいがピストンに揺れ、乳首がピンク色の軌跡を描き出していた。
視界を塞がれたまま後ろから犯し抜かれる被虐感で、ルシアはにゃん娘モードに突入している。
おしりの穴の入り口に集中する敏感な神経叢を掻き回す快感に、ルシアは酔いしれていた。
交互に突き込まれる触手におまんことおしりの穴の薄い肉壁をとろかされながら、ルシアは無意識のうちにお漏らしを垂れ流している。
つま先立ちで内股になり、がくがくと震える両脚を、おしっこと泡だった愛液、そして腸液がまぜこぜになって流れていた。
「んにゃあ゛あ゛あ゛っ!♥ イきゅっ!♥ イっでるにゃあっ!♥ いぐのとばんにゃいいっ!♥ ひぎっ!♥ に゛ゃあ゛っ!♥ おまんことおひりの壁っ!♥ あにゃああああああ゛あ゛あ゛あ゛っ!♥ にゃあああ゛あ゛あ゛お゛お゛お゛っ!♥ ……ひうっ!♥ ごりごりぃ……削れひゃうにゃぁ……溶けひゃうにゃぁぁぁ♥……おまんこ♥とおひり♥、ひとつになっひゃうにゃあっ♥……っ!♥ ひにゅっ!♥ ひんひゃうのにゃあっ!♥ イきゅイきゅイきゅイきゅイきゅイきゅいきゅにゃぁぁぁあああっ!♥ あにゃっ!♥ ……」
逃げようにも逃げられない快感の中で、ルシアの表情がくるくると変わる。
喘ぎ声を上げながら、とろけたように目尻を下げていたかと思えば、眉根を寄せて目を強く閉じ、膝を震わせながらよだれをこぼし、歯を食いしばっていた。
そして短い絶頂の余韻の中では、放心しながらだらしない寄り目を晒し、譫言のように自身が犯される様を実況している。
絶頂に次ぐ絶頂はルシアを休ませることなく連続し、短い放心もすぐに快感で塗りつぶされていた。
甲高い絶叫ののち、ルシアの首ががくんとうなだれる。
失神したルシアの顔を、触手が優しく引き上げた。
そして、宙空に何本もの触手が顕在化し、ルシアに向かって白濁した粘液をぶっかける。
「はぶっ!?♥ うにゃっ!?♥ ぅにゃあああああああああっ!♥ しゅきぃっ!♥ これしゅきにゃあっ!♥ いっぱいっ!♥ いっぱあ~い♥……ボクにぶっかけてぇ♥……おかしくなるにゃあ♥……キミの白いどろどろぉ♥……匂いでボク♥……いやらしくなるのにゃあ♥……飲、ませ、へ……♥」
失神しながらも触手のピストンでイかされているルシアに、催淫効果の高い白濁した粘液が、ところ構わず大量にぶっかけられている。
髪から耳元、額から鼻筋、背中からおしりの双丘、おっぱいからクリトリスと、上半身を粘ついた白い粘液が染め上げていく。
容赦のないピストンに突き動かされ、顎や乳首から垂れ下がる白濁粘液が幾筋も揺れていた。
触覚は言うに及ばず、暗闇に視覚を、淫猥な性器を貫く水音に聴覚も犯され続け、ついには鼻を突く栗の花のようなすえた匂いに、ルシアは嗅覚まで陵辱されている。
五感のうち四つを犯されているルシアは、最後に残る味覚までも犯されることを望んでいた。
「っはにゃっ!?♥ っん~~っ!♥うびゅっ!♥ ごぴゅっ!♥ うにゃっ!♥ あああああああああああああ!♥ ぁちゅいにゃあっ!♥ ボク、もっとおかしくにゃりゅっ!♥ キミに犯されへおかしくにゃりゅのにゃあっ!♥ イきゅにゃっ!♥ イっていいのにゃ!?♥ イっていいって言ってにゃあっ!♥」
ルシアの口に、おねだりしたままに触手が突っ込まれる。
その触手を舌で舐り回すルシアの口腔内に、また大量の白濁がぶちまかれた。
飲み下しきれない白濁粘液を、鼻の穴からも逆流させたルシアが催淫効果で酔い狂う。
全身をローションまみれで撫で回されながら、おまんことおしりの穴を貫かれる絶頂の繰り返しに、ルシアの表情が弛緩していく。
舌を突き出し、よだれを止めどなく垂らしながら、ルシアに被虐の快感が炸裂していた。 誰も止めていないのに、ルシアはイくことの許可を求める。
必死に絶頂を拒否しながら、許された瞬間の暴発を想像し、全身を撫で回す触手と、おまんことおしりの穴を犯す触手の暴虐に耐えていた。
「……そうか……道具たる俺が許可していいものか……そこを許可してくれ、俺の大切な、大事な、愛おしいご主人よ……俺は、ご主人の望むままにある。ルシア、主従転倒のなどあり得ない。望むままに、命じてくれ」
淫魔の鎧に快感でルシアを支配しようなどという気は、欠片もない。
ただただ、主人が望むまま、望んだ快感を作り出すだけだ。
主人が被虐趣味なら、それに付き合うことも当然だがやってきた。
だが、そこに淫魔の鎧の主観は介在しない。
主人の望みを叶え、主人と共にある。
主人を支配し、淫魔の鎧が持つこの世界を支配できるような力を、無節操に振るわせる気などあるはずない。
絶対的な一線を引きながら、淫魔の鎧はルシアに答えた。
そうは言いながらもルシアの全身を白濁まみれにした触手が這い回り、ピンク色に染まった乳首とクリトリスを舐り倒しながら、おまんことおしりの穴を貫き突き上げていたが。
「ひにゃっ!♥ 許可すりゅにゃあっ!♥ らから、ボクのこと、もっと壊してっ!♥ いやらしいこといっぱいして♥、ボクが気絶するまでっ!♥ もう我慢れきにゃいっ!♥ 許ひれくらひゃい♥、♥ごひゅじんひゃまっ!♥ ボク、イっひゃいましゅにゃあっ!♥ んんんんんんっ!♥ イかへてくらひゃいっ!♥ らめれしゅにゃあっ!♥ おゆるひなくイっひゃう♥、らめなメスにゃん娘♥になっひゃうにゃあっ!♥ いやにゃあっ!♥ ♥ごひゅじんひゃま♥のお許ひれ♥、ボク、イきたいにゃあっ!♥」
どこかで何かが、狂って折れた。
触手セックスのエッセンスのはずが、ルシアはすっかり屈服している。
これでは、主従の転倒すらありそうだ。
淫魔の鎧は、危険を感じていた。
だが、それを今指摘しても無理な話だ。
ご主人たるルシア自身が、快感に飲み込まれている。
今、主従の話をしたら、ルシアが服従しかねない。
それは、淫魔の鎧が望むことではなかった。
いや、忌避していることだ。
しかし、今のルシアにいきなり言っても逆効果でしかない。
とりあえず主人役を演じきり、イかせて失神させ、そのあとになかったことにするしかないと、淫魔の鎧は考えていた。
「……しまったなぁ……許可するよ、ルシア。イっていい。イき狂え。あとのことなど、どうでもいい。どうにかなるだろ。……ルシア。愛おしいご主人。もう好きなだけ、イっちまえ」
触手の動きが、一段と活発になる。
ルシアのおまんことおしりの穴から、おびただしい量の愛液と腸液が掻き出され、垂れ流しになっているおしっこと混ぜられていく。
クリトリスと乳首にも電気刺激が走り、ルシアの視界は暗闇の中で火花に埋め尽くされていった。
「あにゃあああああああっ!♥ も、らめにゃあ゛っ!♥ ♥ごひゅひんしゃまあっ!♥ イくにゃっ!♥ に゛ゃあ゛っ!♥ イっひゃいまひゅにゃっ!♥ ♥ごひゅひんしゃま♥の触手に犯ひゃれてりゅ♥淫りゃんにゃん娘のボク♥、イっぢゃいまひゅにゃああああっ!♥ あ ゛ーっ!♥ あ ゛ーっ!♥ あ ゛ーっ!♥ あ ゛ーっ!♥ あ ゛ーっ!♥ あ゛ひっ!♥」
限界を超えた快感に、ルシアは絶叫しなが何度も絶頂する。
絶叫のトーンが上がっていくのは、絶頂の度合いが高まっているからだった。
やがて、声も出なくなったルシアを、触手が解放する。
もう身体を自力で支えられないルシアは、その場に膝を突くと淫汁カクテルの中に倒れ込んだ。
それでも、淫魔の鎧の責めは終わらない。
ルシアが失神して満足しきり、全てを忘れ果てるまで、手を緩める気はなかった。
中途半端に失神したまま今夜の触手セックスを終わらせてしまえば、次からルシアが快感を求めるため淫魔の鎧に服従しかねない。
あくまでも、ルシアが主で淫魔の鎧は従だ。
そうでなければ、ならない。
そうでなければ、淫魔の鎧は快感で女を従える、悪魔の鎧に成り下がってしまう。
それは造物主であるインキュバスキング・アダムが望むことではない。
そして何より、淫魔の鎧が望むことではなかった。
ベッドにうつ伏せで長々と延びたルシアの脚を触手が開き、別の触手がおまんことおしりの穴を蹂躙し続ける。
シーツとルシアの間に入り込んだ触手が、ぴんと存在を主張するピンクの乳首をこね回し、勃起したクリトリスに粘着タッチを繰り返す。
失神しているルシアの身体が何度も跳ね、意識のないままでも絶頂していることを伝えていた。
「……ふにゃっ!?♥ も、らめ♥……らめなのにゃぁ♥……ボク♥……イきっぱなしにゃぁぁ♥……あぁぁぁぁ♥……ボク淫りゃんにゃん娘れひゅ♥……ぁん♥……ボクは♥ごひゅひんしゃま♥の触手にイかひゃれて♥喜んひゃう♥淫りゃんにゃん娘♥れしゅにゃぁ♥……ひにゃぁ♥……イきまひゅにゃぁ♥……♥ごひゅひんしゃま♥の触手れイきゅのも♥……無理矢理イかひゃれりゅのも♥……おもらひも♥……らいしゅきれひゅにゃぁ♥……とまんにゃいのにゃぁぁ♥……ひにゃ♥……淫りゃんにゃん娘のボク♥をもっとイかへてくらはいにゃ♥……イっへりゅにゃぁ♥……♥ごひゅひんしゃまぁ♥……♥らいしゅき♥れひゅ、にゃぁ♥……ボクらけ♥……ボクらけをかわいがってくらはい♥……にゃぁぁぁ♥……♥」
意識を取り戻したルシアは、譫言のように呟きながらイき続けていた。
下から突き上げるおまんこへの触手と、上から潰すように突き込まれるおしりの穴への触手でサンドイッチにされながら、ルシアは絶頂を繰り返し、痙攣が止まらなくなっている。
快感に快楽が上書きされ、靄がかかった意識の中で激しい絶頂に襲われているが、自力では指一本動かせなくなっていた。
やがて、ルシアの譫言が消えるように止まる。
失神に追い込まれたルシアは、白目を剥いたまま痙攣に跳ねていた。
それでも淫魔の鎧は、責めを止めない。
ルシアがぴくりとも動かなくなるまで、快感の渦に引き込むつもりだった。
「……ボクを♥……犯して♥……いいのは♥……♥キミらけにゃぁ♥……ボクが♥……犯されて♥……いい♥……のも♥……♥キミらけ♥……にゃあ♥……♥」
小さく痙攣を繰り返すルシアの下に、おしっこの水溜まりがまた面積を広げている。
お漏らしの快感に緩やかな絶頂を感じながら、ルシアは意識を手放した。
完全失神と判断した淫魔の鎧は、安堵したように淫汁カクテルを吸収していく。
ベッドがみるみる乾燥し、ルシアの身体を柔らかな寝間着が包み込む。
左のおっぱいの上で困惑したままの目を隠すように、シーツかかぶせられた。
魔照明の明かりを消したときには、ルシアは安らかな寝息を立てている。
淫魔の鎧はルシアのバイタルサインが安定したことを確認すると、パッシブエネミーソナーだけを残して意識のスイッチを落とした。
「……えっと、昨夜のことは、なかったことにというか……忘れてもらえると嬉しい、かな……きゃっ♥」
ベッドの上でなぜか正座したルシアが、淫魔の鎧に話しかける。
快感には服従したいが、淫魔の鎧に自分を服従させることは、その存在意義を蔑ろにすると気付いていた。
まだ、陽は昇っていない。
闇の中でルシアはベッドにダイブして、枕に顔を埋めて脚をじたばたさせていた。
また、なってしまうかも知れないと思いながらも、ルシアはけじめだけは付けなければならないと考えている。
やろうと思えば快感で支配できる淫魔の鎧の戸惑いは、昨夜の触手セックスの中でも伝わっていた。
それを無視して強要したのは、他ならぬルシア自身だ。
道具と自覚している淫魔の鎧に謝るのが違うなら、なかったことにするしかない。
「まぁ、昔にもたまにはそんなこともあった。気にするな、ご主人。そういう遊びだと割り切れるなら、その役割に徹することも吝かではないが……まだやめておいたほうがいいだろうな。俺はご主人を支配したいわけではない。それだけは覚えておいてくれ」
さらりと流すことに、淫魔の鎧は決めていた。
変にほじくり返して、ルシアがまたにゃん娘モードにでも入ったら、宥めるのが大変だ。
もう数刻後には、ゴブリン掃討が待っている。
睡眠不足は咄嗟の判断力を低下させ、思わぬ危機を招きかねない。
ここは、さっさとルシアを寝かせるべきだった。
「……ふぅん。さんざんボクのこと犯しちゃってさ。処女を合意もなに、し奪ってくれちゃってさ。なんにも知らなかったボクに、イくことこんなに覚えさせちゃってさ。キミを引っ剥がして捨てたかったボクが、もうキミを離したくないってなっちゃってさ。それでどの口がそんなこと言うのさ。だめだよ、ご主人様。これからもボクのことだけ、いっぱい可愛がってくれなくちゃ。これは、ご主人としての命令だね」
眠っておかなければならないことを、ルシアは理解している。
淫魔の鎧が流していれば、今頃はシーツにくるまってジタバタしていたはずだ。
だが、淫魔の鎧の応えに気が変わったルシアは、これだけは言っておかなければ気が済まなかった。
だいたい無機物であろうと、意志を持ち、思索する相手であれば、それと人とはどこが違うのか。
主従なのかもしれないが、教え導くのは淫魔の鎧だ。
道具としての主従はそれでいいが、生き抜くことを教え導いてくれる師弟の関係は、蔑ろにはしたくない。
たった十六年しか生きていないルシアと、有史以来存在している淫魔の鎧とでは、経験してきた年月が違いすぎる。
そうであれば、尊重するべきだ。
当然、性技も。
数刻前、快感に屈服し、服従したかったことに間違いはない。
そのことを棚に上げて、ルシアは淫魔の鎧と対等でありたかった。
甘えたい。
そんな意識も、ルシアにはある。
出会ってしばらくは敵対意識も持っていたが、やっていたことは陵辱でも、結果的にはルシアの命を救っていた。
それを理解するにつけ、緊急避難だったことも解っている。
男性経験皆無のルシアにとって、いつのまにか淫魔の鎧が理想の男性にすり替わっていた。
確かに、普段生活する上では、料理も完璧。戦闘能力は現世第一。周囲に対する配慮も、申し分ない。
そしてなにより、セックスパートナーとしては、この世で最高だ。
何があっても、ルシアの最善しか考えていない。
これ以上の相手はいるのだろうか。
いるはずがない。
忘れてくれと言ったくせに、遊びと言われてカチンと来たルシアは、つい言ってしまった。
「そうか、命令か。そう言われてしまったら、俺は全力で応えよう。何度も言うが、俺はご主人を支配したいわけじゃない。ご主人のご期待には、全力を持って応じよう。だが、最後の一線を踏み越えるかどうかは、ご主人、ルシア次第だ。そうなれば、俺は女を快感で服従させる悪魔の鎧に成って堕ちる。そして、ご主人は悪魔の性奴隷に成り果てる。それだけは理解してくれ。まあ、もしそうなったら、共に堕ちる覚悟ではあるがな」
涼やかな目が、ルシアを見上げている。
やはり、ルシアの意志を第一に、淫魔の鎧は考えていた。
過去において、そういったことがなかったわけではない。
性にのめり込み、触手にのめり込み、生活の全てを注ぎ込んだ挙げ句、喰うや食わずの人生を送った女もいた。
最低限の仕事もせず、食うに困ろうが身体を売るはずもなく、ただひたすら触手だけを望んだ女もいた。
当然淫魔の鎧が良質な淫汁カクテルを得ることもなく、魔力は枯渇する一方だった。
そんな女が死んだあと、淫魔の鎧は路傍に打ち捨てられる末路を迎えていた。
誰かに拾われ、所有されたこともあったが、大概は二束三文で売り払われ、場末の道具屋で数年店晒しにされることもあった。
それでも淫魔の鎧は、心残りや反省はあっても後悔はしていない。
よりよい暮らしをさせることもできたかもしれないが、主人の望みは叶えきっていた。
それであれば、たとえ何年も魔力が枯渇したまま、誰にも見向きもされないがらくたに堕ちようと、後悔することはなかった。
新しい主人が現れるまで、夢うつつの中で過ごすことも一興だった。
主人の望みを叶えることこそ、思索する無機物である淫魔の鎧の幸せであり、願いだ。
淫魔の鎧は、気負いも衒いもなく、そうルシアに告げた。
「……や、やだなあ、ボクがそうなっちゃうって? 脅かしっこ、なしだよ。でも、このままじゃボクはそうなっちゃうって、キミは思うんだ?」
思い切り頬をひきつらせながら、ルシアは聞いた。
あまりにも簡単に話された内容に、空恐ろしくなっていた。
確かに触手セックスにはのめり込んでいるが、仕事を投げ出そうなどとは思わない。
だが、過去に野垂れ死にしたような女たちも、始めからのめり込んではいないはずだ。
何年か、何ヶ月か、それとも何日かの、ただれた生活の果てだと、ルシアは思う。
当然、淫魔の鎧も諫めるなり、なんなりはしていただろう。
一番初めに野垂れ死にした者はともかく、それ以降の者であれば、今こうやっているように言って聞かせもしたはずだ。
それでも野垂れ死にを後悔しないほど、のめり込んだということだ。
つまり、触手セックスの魅力には、あらがい切れなかったということだと、ルシアは気付いていた。
「う~ん、今のところだと、半々? だから、それを決めるのは、ご主人、ルシア自身だ。俺は危ないと思えば忠告はする。その上で尚、快楽にのめり込みたい、のめり込むというならば、止めはしない。俺の全力を以て応え、共に堕ちよう。……最後まで、聞いてくれ」
途中で口を挟もうとしたルシアを黙らせ、淫魔の鎧は続ける。
ルシアにとってはくどく、耳に痛い話だと充分理解している。
それでも言っておかなければならないと、淫魔の鎧は考えていた。
「俺への魔力供給と自身の楽しみを並立させ、何かを成そうというのであれば、それも俺の全力を以て応え、何かを掴み取らせよう。俺は道具だ。道具をどう使うかは、持ち主たるご主人が決めることだ。俺は助言ならできるが、決めることはできない。決めてはいけない。それは、道具の領分を超えているからな」
見上げてみれば、ルシアが目に涙をいっぱいに溜め何度も頷いていた。
どうやら、言いたいことは伝わったらしい。
淫魔の鎧は、もし身体があるならば、困ったように指で頬を掻いているような雰囲気で、そんなルシアを見上げていた。
「……ぐすっ……うん……」
別に触手セックスを、禁じられたわけでもない。
制限されそうなことが、寂しくなったわけでもない。
そこまで思ってくれていることが、無性に嬉しくて涙がにじんでいた。
ひと筋頬を伝ったルシアの涙が、寝間着となった淫魔の鎧に落ちる。
慌ててルシアは、手の甲で残る涙を拭おうとした。
「ご主人、心配には及ばん。俺の大好物が、なんだか知っているだろう?」
取り乱しそうになっているルシアに、淫魔の鎧は柔らかく声をかける。
話が長くなってしまったが、そろそろ寝かせておかないと掃討戦が心配だ。
勿論、淫魔の鎧がついている以上、ルシアたちに危険が及ぶことなどあり得ない。
だが、まずは経験を積ませることを、淫魔の鎧は優先したかった。
「うん。判ってる。女の子のお汁全部、だよね?」
何ともいえない安心感に包まれ、ルシアは笑みを浮かべて応えた。
「ああ。だから、ご主人の涙くらい、いくらでも受け止めてやるさ。もう安心して寝るんだ、俺の大切なご主人様」
ひときわ優しく感じられる声に、ルシアはまた頷く。
こぼれる涙を、拭うことはしなかった。
「ありがとう。ボクの大事な♥ご主人様♥」
そう応えたルシアが、ゆっくりとベッドに身を横たえようとしたとき。
ドアが開いた。
「なぁ~にが、……なぁ~にが、ボクの大事なご主人様、ですぅっ!」
僅かな薄明かりの中、聞き耳をそばだてていたせいで安眠を妨げられたクオムが、肩を怒らせて立っていた。
宿全体に声を響かせないように、淫魔の鎧が咄嗟に防音バリアを展開する。
「……淫魔の鎧さんも、三文芝居じゃあるまいにです。ようやく終わったかと思えば、また寝られなくなっちゃったです。寂しい独り身に見せつけるじゃないですっ! なぁ~にが、ごひゅひんひゃま、れひゅかっ! この淫りゃんにゃん娘っ! もう淫魔の鎧さんの目には驚かないですっ!」
呆気にとられていたルシアが、クオムの言葉で羞恥に顔を赤く染めあげる。
そんなことお構いなしに、クオムは部屋に入ってきた。
今夜という今夜は、ひと言文句を付けるくらいでは気が済まない。
ルシアの嬌声を、オカズにしていたことは棚に上げて。
数歩進んだところで、クオムは何かに躓き、ベッドに突っ込んでしまった。
「きゃんっ! ……なにがあるです?」
このときクオムは、リリムがルシアの部屋に転がされていることを、すっかり失念していた。
まさかルシアたちがリリムを部屋に転がしたまま、触手セックスに興じるとは、当たり前の神経なら思いつくはずがない。
てっきり納戸かどこかに押し込んでいると、クオムは思い込んでいた。
「……なんです、これは?」
何も考えずに、躓いたものをくるんだ毛布を、クオムはめくってみた。
目があった。
目が合った。気がした。
クオムが躓いた衝撃は、被虐趣味のサッキュバスプリンセスに鋭い快感をもたらしていた。
無意識のうちに襲ってきた軽い絶頂に、僅かに意識を取り戻したリリムが薄く目を開けていた。
金色の瞳は焦点が合っていないが、廊下の照明を反射して、暗闇の中で妖しく輝いていた。
クオムが凝視する中、まだ魔力枯渇状態のリリムは、何が起きたかを理解する前に目を閉じ、再び意識を失った。
「……めええええええええええええっ!?♥ ……はふぅ……」
判っていれば、なんだこいつかで済んだはずだった。
だが、そんなこと予想だにしていなかったクオムは、それがリリムだと気付く前に卒倒する。
床に倒れ込む前に、淫魔の鎧の触手がクオムを優しく抱き留めた。
「……ご主人……この展開……あ……やっぱり……」
既視感いっぱいな上、次にどうなるか予測できる展開に、淫魔の鎧がルシアを見上げた瞬間、クオムの股間から液体が流れ始める。
「……うん。……吸収してあげて……そのあとはポイで……」
淫魔の鎧がクオムのおしっこを吸収している間、思いもよらない急展開に、ルシアは指を額に当てて俯いていた。