兄さんが私に特別な感情を抱いていることに気づいたのは、私が小学六年生の冬だった。
お父さんとお母さんはほとんど家にいなかったから、何があれば頼るのはいつも兄さんだった。その日の夜も、学校の授業でわからないことがあったから、兄さんに教えてもらおうとしていた。
兄さんの部屋の前まで行くと、ドアが少しだけ空いていることに気づいた。その隙間からは兄さんの声が少しだけ漏れていて、そっと中の様子を覗いてみることにした。
「優香……っ、優香、はぁっ、ゆうかぁ……っ!」
ベッドの上。私の名前を何度も呼びながら、兄さんは自分のおちんちんを激しく擦っていた。息を荒くしながら夢中になる兄さんを見て、私はとてもドキドキしたのを覚えている。
当時の私はそれがどんな行為なのかは知らなかった。ただ、いつも優しい兄さんが熱い声で私の名前を呼んでいる様子を見て、家族とは違う目で私を見ているのだと、なんとなく理解した。
その後、中学生になりお父さんからスマホを買い与えられた私は、兄さんがあの時していたのがオナニーというものだと知った。それと同時に、兄さんが私を性的な目で見ていることにも気が付いた。
そのことに不快感はなかった。私自身、兄さんが大好きだったし、性的な意味であろうと私を求めてくれるのが嬉しかったから。
そしてある時、興味本位で私も同じことをしてみた。家に誰もいない時、ネットで見つけたエッチな動画を見ながら。
「んっ、ぁ、あっ……ふぁ、アっ……!」
その快楽に、私はすぐに虜になった。アソコに自分の中指で抜き差しを繰り返して、何度もイった。
そして、兄さんのことを思い浮かべながらすると何倍も気持ちが良かった。
そうして、兄さんとセックスをしてみたいと思うようになるのに、そう時間はかからなかった。その時に抱いた感情が、恋や愛というものだったのかは今でもわからない。
ただ、当時の私は、兄さんとのセックスを妄想して自分を慰めることに夢中になった。後ろから激しく犯されたり、頭を掴まれて強引に口で気持ちよくさせられたり、そんな過激な妄想が好きだった。
だけど、そうするうちに劣情はどんどん昂っていくばかりだった。
でも、誘惑するほどの勇気はなかった。兄さんの真面目な性格上、簡単に私とそういう関係になってはくれないだろうとわかっていたから。
そして思いついた。兄さんの独占欲を利用すればいい、と。
兄さんは昔から過保護なところがあった。特に、私が男の子と関わるのをよく思っていないようだった。
そんな時ちょうどよく、クラスの仲が良い男子から告白された。だから、ちょっと遊び半分でやってみたのだ。
「あのね、兄さん……その、男の子から告白、されたんだけど……」
あくまで相談をする体で。でも兄さんの反応は私が想像した以上だった。まさかキスまでしてくれるなんて思わなかった。
とても嬉しかったのと同時に、私はもっと先に進める、と確信した。
クラスメイトからの告白はすぐに断ったが、兄さんには嘘をついた。直接告白された、と。
そして、少しの恐れと一緒に口にした。
「──その、エッチなこと、とか」
兄さんは期待通り、そのまま私を犯してくれた。いつも優しい兄さんが、男の人の欲望を露わにして私を貪る様子に、私はひどく興奮した。
だけど、あくまで「犯される妹」を演じた。それ以上の関係にはまだ進めないと思ったから。
一線を超えてしまえば、あとは簡単だった。兄さんの独占欲を煽って、私を犯させた。
男の子を家に上げて仲良くしてみせたり、兄さんにわざとオナニーを目撃させたり。
デートの時もそうだ。
「誰と出かけるのか」と聞かれたときに、わざと動揺してみせた。そしてわざわざ行き先を教えてあげた。
本当に秘密でデートしたいなら、嘘の目的地を教えるのがいい。だけど、そうしなかったのは、兄さんに私を追いかけて見つけて欲しかったから。
そして望み通り兄さんは私を追ってきてくれた。そのまま人気のないお手洗いに誘導して、最後はちょっと怒らせて背中を押した。
あの時のセックスは本当に興奮した。ほんの数メートル先ではたくさんの人がいる場所で、兄さんに立ちバックで犯される。刺激的過ぎておかしくなりそうだったのを今でも覚えている。
だけれど、そうやって私を犯させることで、兄さんのことを傷つけてしまうのも私はわかっていた。でも私にはそうする以外の方法が思いつかなかった。
そしてついに、罪悪感が限界を迎えてしまったのか、兄さんは私の前で涙を流してしまった。
今思えば、そこで自分の気持ちを告白してもよかったのかもしれない。「本当はずっと好きだった」と。
でも、そこで怯えが出てしまったのだろう。拒絶されるかもしれないと。
「──だったら、毎日私のこと犯していいよ」
私は、体だけの関係を続けることを選んだ。少しの後悔はあったが、その晩の濃密な性行為で消し飛んだ。
それからは、夢のような日々だった。毎日兄さんに求められて、何度も精液を受け止めた。
口や手での奉仕も教え込まれて、兄さんの気持ちいいやり方も覚えた。そうやって、どんどん兄さんに染まっていくのがたまらなく嬉しかった。
特に、冬休みの間は極上の時間を過ごした。
家には大抵兄さんと二人きり。好きなだけヤり放題だった。
朝から晩まで、兄さんのおちんちんが勃起したらすぐセックス。中学生の冬休みとはかけ離れた、爛れた生活を送った。
そんな具合だから、私も浮かれていたのだろう。私は段々、兄さんに教えられていないことをし始めた。
兄さんもしばらくは喜んでくれたから、私もますますエスカレートしていった。
だから、拒絶されるなんて思ってもみなかった。
「もう終わりにしよう」
そう言われたとき、私は頭が真っ白になった。今まで築いてきたものが、音もたてずに崩壊していくのがわかった。
そうして私が気づいた時には兄さんの姿はなかった。
それから兄さんは、私との接触を徹底的に絶った。それだけ、兄さんの覚悟が揺るぎのないものなのだろうと理解した。
しかしだからといって、納得なんてできなかった。兄さんに何度も連絡を取ろうとしたけど、すべて無視された。
そしてそのうち無駄だと気付いて諦めた。
でも、私の中の兄さんへの気持ちは落ち着いてなどくれなかった。むしろ、前より強くなった。
毎日毎日兄さんのことを考えながらオナニーをした。中にびゅくびゅくと精液を出される感覚、喉奥に遠慮なく白濁を注ぎ込まれる瞬間、今まで兄さんとシたことを思い出しながら。こっそり撮ったハメ撮りなんかも使った。
でも満足なんかできなくて、もやもやとした感情がたまっていくばかりだった。
切なくて、悲しくて、寂しくて。このままじゃおかしくなると思った。
だから、行動を起こすことにした。
お母さんが付き合っている人。あの人が前から私のことをそういう目で見ていることは知っていた。
兄さんと関係を持つようになってから、そういう視線には敏感になったのだ。
ちょうど、夜にあの人が来た日。
「兄さんは合宿で帰らない」と嘘をついた。そして、兄さんが帰ってくる時間に、あの人を誘惑した。
あからさまなことなんて何一つしてない。ギリギリ見えるくらいにパンツを見せたり、服の隙間から胸を覗かせたり。
たったそれだけのことで、あの人は私を押し倒した。
そして、思惑通り兄さんが助けてくれた。
あとは、「忘れさせて」と迫るだけで簡単に兄さんは受け入れてくれた。「自分が離れていたせいで事件が起こった」と思っているだろうから。
そして、生理が来たことを黙って、中出しをさせた。
そこまですれば、兄さんはきっと私を拒めない。だから、やっと私は自分の気持ちを告白することができた。
「大好きだよ、兄さん」
そうやって、私たちは結ばれた。
ちゃんとピルを飲んでいたから、兄さんとの赤ちゃんはできなかった。デキちゃったらさすがに大変だから。
あの日から、私たちは恋人同士になった。誰にも知られちゃいけない秘密の関係だけど、私たちは幸せだ。
知り合いに見られないように、遠くの町でデートをして、夜には深く愛を確かめ合う。
そうして今夜も、私は兄さんの部屋に行く。
がちゃり、とドアを開ける。兄さんはベッドの上に座っていた。もう私を待っていてくれたみたいだ。
「兄さん──今日も、犯して?」