「兄さん、ちょっといい?」
よく晴れた休日の午前中。リビングのソファでくつろいでいた僕に優香が話しかけてきた。
「ん。どうした?」
「今日これから出かけてきてもいい? 友達とテスト終わったら遊びに行こうって約束してたんだ」
優香の服装に目をやると、可愛らしい私服に着替えていた。肩にはお気に入りのバッグを下げている。ちょっとだけスカートが短いのが気になったが。
「ああ、いいよ。テスト頑張ったもんな。いってらっしゃい」
テスト勉強期間中、優香は毎日真面目に勉強をしていたのを僕は一番知っている。それと、一度だけ僕が酷いことをしてしまった。そのお詫びに──なんてならないが、目一杯楽しんでほしいと思った。
「うん! ありがとう、兄さん!」
屈託のない笑みを向けて優香は言った。その様子に僕も思わず頬が緩む。
「あ、ちなみに誰と行くんだ?」
何気なくそう尋ねる。すると、優香は「えっ」と驚いたような反応を見せた。
「えっと……そう! さつきちゃんだよ、ほら、小学校のころから友達の!」
「ああ、あの子ね。覚えてるよ」
以前からよくウチに遊びに来ていた子だ。落ち着いた雰囲気のいい子だった覚えがある。
「一緒に駅前のデパートに行ってくるから、それじゃ!」
優香は慌てた様子でそう言い残すと、颯爽と玄関に走って行ってしまった。
「気を付けていくんだぞー!」
僕の声に「はーい」と答える声が聞こえた後、優香はドアを開けてそのまま出かけて行った。
その後、僕はやることもないので引き続きリビングでテレビを見ていた。僕もテスト明けでちょっと疲れていた。
ただ、家を出る前の優香の様子が気がかりだった。「誰と行くのか」と聞いたときに焦っていたのは何だったのだろうか。
『──市に新規店舗オープン! 記念セール中!』
ふと、テレビに流れていたCMが目に入った。それは、最近駅前にできたデパートの開店告知CMだった。
そういえば優香が今日行くと言っていたところだったか。
そう考えたのと同時に、以前家に来ていた神崎という優香のクラスメイトのことを思い出した。
『──じゃあさ、今度俺と一緒に新しくできた駅前のデパート行かない?』
そんなことを優香と話していた気がする。
「……まさか」
胸がざわつく。確証なんてないが、心配になった僕はデパートに向かうことにした。
駅前のデパートは休日であることに加えて、開店したばかりということもあって混雑していた。家族連れや、デート中のカップルなんかで溢れている。
その中に優香の姿を探す。広大なデパートのなかで彼女を探すのは至難の業だが、とりあえず一回りしてみよう。
「はぁ……」
結局、三十分ほど探し回っても優香も、一緒にいるというさつきちゃんの姿も見当たらなかった。
いい加減足も疲れたので、柱に据え付けられているベンチに座った。
あたりを見渡すと、手をつないで歩いているカップルが目に入る。自然と、優香があの神崎と一緒に歩いている姿を想像してしまう。
そう思うと不安で、再び探そうと立ち上がろうとした時だった。
「そうそう! そのシーン私もすっごくキュンときた!」
突然、背後から優香の声が聞こえてきた。
後ろは柱だが、この柱の周りにはベンチが一周している。僕の反対側に座っているのだろうか。
「あそこで抱きしめてキスされるのは反則だよー!」
そういえばすぐ近くは映画館があるんだっけ。その感想を話しているんだろうか。
「やっぱり女の子としてはああいうの憧れる?」
「うん、同じことされてみたいかもって思うなぁ」
嫌な予感は的中した。優香の話し相手は女の子なんかでなく、神崎だった。
ぐわん、と視界が歪む。そのまま立ち上がって二人の前に歩いていきそうになったが、何とかこらえた。
「あ……ごめんね、私お手洗い行ってきていい?」
「うん。いいよ、俺ここで待ってるね」
優香はそう言うと、僕の真横を通ってトイレに向かっていった。僕のことを見向きもせず、気づきもせず、行ってしまった。
ざくざくとナイフで胸を何度も刺されたような感覚。それに耐えられなくなって、僕も腰を上げた。
そのまま優香の後をつけていく。都合よく、あまり人気のない場所のトイレに向かっていった。
そして、周りに誰もいなくなったタイミングで優香に声をかけた。
「優香」
「え? ──に、兄さん、どうしてここにいるの?」
僕に肩を掴まれて振り向いた優香は、驚いた表情でそう言った。
「なんであいつと一緒にいるんだ。友達と一緒に行くって言ってただろ」
優香の問いには答えずにそう言い放つ。優香は言いにくそうに目をそらして答えた。
「その、神崎君のほうから誘ってきて。この前勉強も教えてもらったし、断り切れなくて……」
「だったらなんで僕に嘘なんかついたんだよ」
ぎり、と奥歯を噛みしめながら口にする。
「……だって、兄さんが怒るって思ったから」
かっと頭に血が上る。そんなの、嘘つかれたほうが怒るに決まってる。
そうまでしてあいつとデートしたかったのか。それとも、僕を怒らせたかったのか。
もう冷静でいられず、優香の手を引っ張って多目的トイレに連れ込んだ。ドアを閉めて鍵をかける。
「あいつのこと好きなのか?」
優香の肩をつかんで問い詰める。
「そんな、違うよ……神崎君はただのクラスメイトだってば」
「あんなに楽しそうに笑ってたくせに?」
「それ、は……久しぶりに出かけるのが楽しかったから……」
気まずそうに僕の視線から逃げながら優香は言った。
吐き出しそうになるのをぐっとこらえる。それなら、僕と一緒に出かけてもよかったじゃないか。僕だって、優香を笑わせてやることぐらいできるのに。どうして僕じゃないんだ。
身勝手な黒い感情を抑えられず、僕はそのまま優香の体を壁に押し付けた。
「兄、さん……なに、するの?」
「そんなの、言われなくてもわかってるだろ」
僕の言葉に、優香はきゅっと目をつむった。本当はこんな怯えさせちゃいけないのに、どうしても抑えきれない。
こんな、嘘つくような真似をすればこうなるって、優香もわかってるだろうに。まさかわざとやってるのか、なんてことさえ考えてしまう。
「ほら、そこに手ついて」
強引に後ろを向かせて、壁に手をつくよう促す。興奮と怒りが綯交ぜになった僕に、優香は素直に従った。
水色の短いスカートに守られた臀部が僕に突き出される。さっきまで他の男と一緒にいた優香にそんな格好をさせているのが、どうしようもなく興奮した。
そんな最低な劣情をさらけ出すように、自分のズボンを下ろした。
「ぁ……にい、さん……その、外には出さないで──」
その言葉に、どくん、と鼓動が速くなる。もちろん意図はわかる。服を汚したくないからだ。
だけれど、中に出して欲しいという意味合いであることは確かだ。
「わかってる。全部、ここ──優香のナカに出すから」
さす、と優香の秘部を下着越しにさする。短いスカートの下、僕以外誰も触れない、優香の一番大事なところ。
そこはすでに優香の性欲で濡れていた。
「濡れてる……僕まだ何もしてないのに。いやらしいんだな、優香は」
その濡れた下着をするすると脱がしながらささやく。その言葉だけで興奮するのか、優香は僕がしゃべっている間、ふるふると体を震わせていた。
「だって──兄さんにされるの、気持ちいい、から……っ」
「な──」
驚きと一緒に、じわりとした悦びがこみ上げる。優香が僕にされることをどう思っているかは知らない。嫌だと思っているかもしれない。
だけれど、気持ちいいと感じて、今のように濡れるほどそう思ってくれていることが僕に優越感をもたらす。
「じゃあ今日も僕が気持ちよくしてあげるよ」
優香の腰を掴み、覆いかぶさりながら耳元で囁いた。返答の代わりに、ぶる、と彼女の体が震える。
それを合図に、僕は優香の濡れた場所に勃起した自らのものを押し当てた。そしてそのまま腰を突き出して挿入を始める。
「ぁ……っ、あ、ン、っあっ……おっき、い……っ」
僕のものに押し上げられるように優香の口から甘い声が漏れる。多目的トイレの個室とはいえ、デパートの中だから声は押さえていた。
だがそんな優香に構わず、力任せに奥まで押し入る。入り口も濡れていたが、中はもっとどろどろで、僕の動きへの妨げはほとんどない。
だけど、この前優香を縛ってした時のように、僕のものをぎちぎちと強く締め付けてくる。
「締め付けすご……外でするの興奮する?」
「や……そんな、こと……っ」
僕のものを受け入れるだけで気持ちがいいのか、その声に余裕がない。そんな優香の奥に、僕は一気にすべて挿入した。
「あンっ!」
ぶるぶると震える優香の体。それと同時に、優香の膣肉が小刻みに強弱を繰り返す。
「優香、イっちゃった?」
「んっ、ア、ぁん……う、ん……おちんちん、気持ちよくて──」
何度か交わったからわかる。僕だけが知っている優香の絶頂の感触。
それと、手の指のように絡みついてくる膣ひだが、僕の興奮を強制的に引き上げる。たまらず、そのままピストン運動を始めた。
「あっ──! ぁ、あんっ、ア……っ、だ、めっ……にいさ──オっ、んっ、はげしい、ぁんっ……!」
ぱんぱん、と乾いた音を立てて腰を打ち付ける。波打つ尻肉とともに、優香の膣が絡みついてくる。
それを敏感な性器で擦りながら抜き差しするのがとても気持ちがいい。いつもと違う場所でしているから締め付けが強いのもそれに拍車をかける。
「外でヤってるのにそんなに乱れるなんて……っ、優香は変態なんだな」
「んっ、あ、や、そんなこと、言わないで、よ、ぉ……んぁ、アっ、おっ……! 恥ずかし、い……っ、ぁ、は、っんあ、あうっ!」
僕に言葉で責められるのが良いのか、優香の膣肉がまた締め付けを増した。ぎゅう、と僕の生殖器を逃がすまいと、入口から奥まで強く絡みついてくる。
そのぴたりとした密着感がぞくぞくする。優香の膣が僕のものの形を覚えてくれているみたいで。
それでさらに興奮が増してしまう。僕は、自分のを突き出すと同時に、優香の腰をぐい、と強く引き付けた。
「ンおっ──! ぁ、ん、んんっ……にい、さんっ……ぁ、あっ、アんっ、は、それ、あっ……! だめ、ぁん、ン、すぐ、トんじゃうっ……!」
声が抑えきれなくなってきたのか、優香は片手で自分の口で塞いだ。それでもこらえきれずに、甘い声が溢れてしまう。
その姿が背徳的な快楽を僕にもたらす。快感を必死にこらえながら声を抑えている優香と、それを好き放題に犯す僕。
一歩外に出れば人混みで賑わっている場所でそんなことをしている事実が、射精欲を引き上げてくる。
「優香──っ、ゆうか、もう、出すよ……っ、中に、出すからっ!」
「あっ、ん、ぁんっ、ん、は、うん……っ! あっ、おっ、ぅ、あんっ、んオ──っ、中に、全部出して……っ、あっ、にい、さんっ──!」
快楽で緩みきった表情を僕に見せながら、優香が懇願してくる。その光景で一気に精液が昇ってきた。
腰をがっしりつかんで、ばちゅんばちゅんと激しく自分のを叩きつける。そして快感がてっぺんにたどり着いた瞬間、一気に精液を放出させた。
「あっ──! ぁ、あうっ、ぁ、アっ、ん、あぁ……っ、すご……っ、オっ、あっついの、おくに、ぁ、ン──いっぱい、そそがれ、て……っ」
びくびくと脈打つ膣に絞られるように射精する。どぷん、どぷん、と精液の塊が何度も優香の中を打ち抜いていく。
僕の頭は快楽で染まりきって、気持ちよく射精することしか考えられない。優香の腰を逃げられないように捕まえて、そこへ好きなだけ白濁液を注ぎ入れる。
「ぁ、あっ、にいさん、ぁ、まだ、精液、出てる……っ、ぁ、あっ、きもち、いい……っ」
僕も外でするのに興奮してしまい、いつもより射精が長い。とろとろと垂れ流すように精液があふれ出ていく。
それを生温かい膣肉がすべて受け止めてくれて、どこまでも甘えてしまう。
「ん、あ……っ、射精、おわ、った……?」
「っ……ああ、全部、出た」
ぬるん、と優香の中から肉棒を引き抜く。全部出し切ったから、僕のものはすっかり萎えていた。
だけど僕と優香の生殖器は、激しい性交の名残で精液と愛液でどろどろになってしまっていた。
「あ……垂れちゃう……」
どろり、と優香の蜜穴から白く濁った雫が垂れる。その様子に、優香を僕のものにできたという優越感が湧き上がる。
だけどそれと同時に罪悪感で胸が締め付けられる。またやってしまった、と。
「ごめん……ちょっと出しすぎた」
近くにあったトイレットペーパーで、汚れてしまった優香の秘部をふき取る。
「んっ……ありがとう、兄さん」
それでも、優香はこんな僕に控えめな微笑みを見せてくれる。眩しすぎるそれに目を反らしながら、垂れてくる淫液を拭いた。
「兄さん、その……戻っても、いい? だいぶ時間経っちゃったから心配してるかも」
乱れた衣服を正しながら、優香はすまなそうな顔で聞いてきた。
それで一気に現実に引き戻された。
「……ああ、うん。いいよ。ごめんな、優香」
「いいの。私が嘘ついたのがいけなかったんだもん。ごめんね、兄さん」
謝った僕だったが、逆に謝られた。初めてした時の翌朝と同じだ。
どうしてそんなに優しいんだ。こんな酷いことしてるのに、どうして。
「いや……優香は悪くないよ」
だけどそれを聞く勇気なんてなくて、僕はそう答えるしかできなかった。