「うん、今日も兄さんのご飯おいしー!」
金曜日の夕方。優香は僕の作ったハンバーグを口にして、満面の笑みとともにそう言った。
相変わらず両親はおらず、僕と優香二人だけの食卓。それでも、優香がこうして笑ってくれるだけで僕は幸せだった。
「はは、そっか。優香がおいしそうに食べてくれるから僕も嬉しいよ」
僕も笑い返しながら口にする。
変わらない光景。変わらない優香の笑顔。幸せなはずなのに、それらがどうしようもなく僕の胸を締め付ける。
何度も優香に酷いことをした。処女を奪って、その後も僕の身勝手で彼女を犯した。
なのに、優香は僕に恨み言の一つも言わないのだった。
「……兄さん? どうしたの?」
「え?」
優香に声をかけられて顔をあげる。優香は心配そうな顔で僕を見ていた。
「なんだか辛そうな顔してる。今日なにかあったの?」
「ああ……いや、なんでもないよ。授業でマラソンしたから疲れてるのかな」
適当にごまかす。
「そっかぁ。じゃあ今日は洗い物は私がやるから兄さんは先に休んでいいよ」
「いや、平気だよ。このくらい」
「無理しちゃダメだよ、兄さん。それに、家のことはいつも兄さんに任せてるんだから、たまには楽してほしいの」
切実な表情で優香は言った。こういう時優香はなかなか折れない。
「じゃあ頼もうかな。ありがとう、優香」
「いいのいいの」
えへへ、と嬉しそうに笑う。僕は精一杯の作り笑いを優香に返した。
そのあとは洗い物から風呂の準備まで、なにから何まで優香がやってくれた。僕が口を挟む間もなく、彼女はてきぱきと仕事をこなした。
普段はほとんど彼女に家事はやらせていないが、要領がいいのだろう。
「じゃあ、僕そろそろ寝るよ」
諸々が終わってリビングでくつろいでいたが、時計を見るともうすぐ日付が変わる時間になっていた。
「うん、わかったー」
優香は僕には目をくれず、スマホをいじっていた。友達とメッセージのやり取りでもしてるのだろう。
「明日休みだけど優香も早めに寝るんだぞ。夜更かしは体に悪いんだからな」
「うん、すぐ寝るー。おやすみ、兄さん」
ちょっと心配だが、まあ優香なら大丈夫だろう。そう思って腰をあげた。
そのまま優香の座っているソファの後ろを通り過ぎる。その時、ちらりと優香が見ているスマホの画面が見えた。
そこには、優香と、この前デートしていた神崎のツーショット写真が映っていた。
「優香。なんだそれ」
反射的に口にする。つい強い口調で言ってしまったせいか、振り向いた優香は驚いた顔をしていた。
「な、なに? 兄さん」
「その写真。どうしたんだ」
それでようやく気づいたようで、優香はスマホの画面を見た。
「これは、その、この前一緒にデパート行った時の写真だよ。神崎くんが撮ろうって……」
優香が気まずそうに目をそらす。
ぶわ、とあの黒い感情が蘇る。前はこの程度じゃなんとも思わなかったはずなのに、僕の独占欲は知らない間に強くなっていた。
「優香──っ!」
そのままソファに優香を押し倒した。
またこれだ。ただ優香を自分のものだって証明するためだけの汚らわしい行為に及ぼうとする。
不安な感情に支配されて、自分じゃもう制御できない。
「にい、さん……」
覆いかぶさった僕を優香が見つめる。
また怯えた顔をさせてしまう。と、僕はそう思ったが、優香は僅かに頬を染めて顔を背けた。
「いい、よ……兄さん──」
「え……」
前と違う反応。優香は嫌がって抵抗する素振りはおろか、「だめ」とさえ口にしない。
自らの体を差し出すように、僕に「いいよ」と言った。
だけど僕はその言葉に、かえって冷静になってしまった。
「嫌じゃ、ないのか……優香」
「だって兄さん、シたいんでしょ……? だったら私、いいよ」
悲しげな笑みとともに優香は口にした。
「やめてくれ、優香……そんなこと言われたら僕、本当に止められなくなる」
ぽた、と優香の頬に僕の涙が零れ落ちる。
優香を犯すことでしか不安を消せない自分。そんな僕にこうして言葉をかけてくれる優香は、残酷なほど優しい。
「優香が他の誰かと笑ってるの、耐えられないんだ……。優香がどこか行っちゃいそうで、誰かのものになっちゃいそうで……不安なんだ。だから、こうやって優香に酷いことを──」
涙と一緒に、抑えていたものがあふれ出る。兄なのに、妹にこんな情けない姿を見せて、僕は何をやっているんだろう。
「もう自分じゃ抑えられないんだ……。なあ、優香。本当はイヤなんだろ? だったら父さんや母さん、学校の先生でもいい。誰かに助けを求めてくれよ……お願いだから──」
ぼたぼたと優香のきれいな顔に涙がいくつもこぼれ落ちていく。僕はそれを拭いてやることすらできない。
ただ、こうしてみっともなく懇願することしかできなかった。
「兄さん」
さす、と僕の頬に何かが触れる。涙を拭って見てみると、それは優香の手だった。
暖かくて、柔らかい、安心する感触。優香は僕に優しく微笑みながら、あやすように頬をなでてくれていた。
「だったらさ──」
優香はそう一言つぶやくと、すう、と軽く息を吸って続けた。
「だったら、毎日私のこと──犯していいよ」
「なっ──」
一瞬、優香が何を言ったのかわからなかった。僅かな微笑みをたたえながら、その小さな口が紡いだ言葉。
少しの時間をかけて、その意味を咀嚼する。でも、意味がわかってもなぜ優香がそんなことを言うのかわからなかった。
「優香、何言って──」
「そうすれば、不安じゃなくなるでしょ? ならいいよ、兄さんだったら」
純粋な微笑みを崩さずに言い放つ優香が、僕はどこか恐ろしかった。だけれど、囁くような声が、わずかな誘惑を含んでいる。それにどくん、と心臓が跳ねる。
「優香……そんな、いいんだ。僕のことなんか──」
残った自制心が、かろうじてそう口にさせる。だけれど、優香はそんなことどうでもいいとばかりに制した。
「兄さん」
まっすぐに見つめられる。その透き通るような綺麗な瞳と、しっとりと濡れた黒髪にどきりとする。
優香はおもむろに片手を自らの寝間着のボタンに持って行った。それをぷち、ぷち、とゆっくりひとつずつ外していく。
「いいんだよ……私のカラダ、好きにして──兄さんがしたいように、めちゃくちゃにして、いいよ──」
その言葉は、蠟燭の炎のような僕の理性をかき消すにはあまりに十分すぎるものだった。
飲み込まれるように、はだけられた優香の首元にしゃぶりついた。それと同時に、下着に包まれた乳房も両手で包む。
「あっ……ん──兄さんっ、ぁ、んあっ……!」
僕の乱暴な愛撫に、優香はびくん、びくん、と体を反応させた。嫌がるそぶりなんて見せず、ただ気持ちよさそうに感じてくれるその反応。
僕も我慢なんてできず、胸を隠しているその下着を強引に剥ぎ取った。その下の白く、控えめに膨らんだ乳房がさらされる。
「もう乳首勃ってる……興奮してるんだ」
「あっ……だって、ぁ、あっ、エッチなこと、してるんだもん──あっ、んっ、やぁ……っ、つねっちゃ、ダメっ……あっ、んぁ、あっ!」
ぴん、と天井を向く桃色を、指でつまんでこりこりと刺激してやる。すると面白いくらいに優香の体が跳ねた。
それを、つねる強さを変えたりしながら続ける。すると、それと同時に優香の反応も違うものに変わる。
まるで優香の体をおもちゃにしているみたいで、興奮がぞくぞくと昇り詰めていく。
「あっ、んぁ、アっ、ぁ……やめ、ちゃうの……?」
我慢ができなくなった僕は、一度手を離した。すると優香が名残惜しそうな瞳で僕を見つめてそう言った。
「優香はもっとしてほしかった?」
「い、いや、そういうわけ、じゃ……」
可愛らしい言い訳をする優香をまたいじめたくなるが、今は僕も気持ちよくなりたくて仕方なかった。
自分のズボンを下着ごとおろして、固くなったものを晒す。そのまま優香にまたがって、その肉棒を優香の顔の前に持って行った。
「優香、舐めて」
優香は僕の言葉に、一瞬物怖じするように躊躇した。だけど、すぐにその小さな口を開けてくれた。
咥えろ、とは言ってないんだけどな、と思いつつもその誘惑には逆らえない。ごくりと唾をのんで、濡れた口内へ肉棒を突き入れた。
「ん、ふ──っ、んン……っ」
まずは亀頭だけ。優香の柔らかな唇を擦りながら、熱い口に飲み込まれる。
初めて知る優香の口内の感触。唾液でぬめり、優香の体温よりずっと強い熱を持っている。
それは、ただ入れているだけでも背筋に電流が走るほど気持ちがよかった。
「ん、れろ……ぁ、ん……っ、んぢゅ、っン……」
そのまま、ぺろ、と控えめに優香の舌で舐められる。ほんのわずかな刺激なのに、全身にしびれるような快感が走った。
初めてだから不慣れな舌使いだが、それがかえって興奮する。まるで、優香を調教しているみたいで。
「優香……きもち、いいっ……」
僕がそう漏らすと、優香は嬉しそうに目を細めた。
もっと大きな快楽が欲しくなってさらに肉棒を奥に突き入れる。ずぶぶ、と湿った唇をこすりながら、竿の部分までも飲み込まれる。
「ん、んっ、ぐ──っ、む……っ」
さすがに少し苦しいのか、僅かにうめき声が混じる。だけど、その様子すら僕の興奮材料になってしまう。
そのまま挿入し、亀頭が喉奥までたどり着いた。さすがに奥はきついが、その締め付けが心地いい。
「ん、っぢゅ、ぅ……っぐ、ん、ふ……っ、んぁ、ん……」
僕が挿入し終わると、また優香が舌を動かし始めた。さっきは先端だったが、今度は竿の部分を舐められる。
ちょうど裏筋の部分がぞり、と擦れて射精欲が刺激される。それでさらに興奮が高まってしまって、僕はゆっくりと腰を動かし始めた。
「んっ──! んぐっ、ん、ぁ、んぶ……っ!」
まるでセックスをするみたいに、ずぶ、ずぶ、と抜き差しを繰り返す。奥へ入れるたびに狭い喉奥に迎え入れられて、そこで射精してしまいたくなる。
さすがにきついのか優香の顔に苦痛が混じるが、それすらも愛おしい。小さな口に勃起したものが何度も出たり入ったりと、その光景は犯罪的なほどに淫靡だった。
「ん、ぷは……っ、ぁ……は、ぁ……」
そのままそこに射精したくなったが、我慢して引き抜く。僕のものは優香の唾液でどろどろになっていた。
「優香──もう、入れるから」
その言葉に、優香は荒くなった息を整えながら頷いた。
そうして、優香の下にはいているものを脱がす。寝巻と、その下のパンツ。
下着の股の部分にはじんわりと染みができていた。そのまま脱がしてみると、糸が引くほど愛液で濡れていた。
それを片足にひっかけて、脚を開かせる。
「ん……にい、さん──」
ぐちゅ、と僕と優香の生殖器が触れ合う。部屋の明かりでてらつくほどお互いのものは濡れている。
それらを軽く擦るだけでも気持ちがいい。挿入したらもっとだろう。
その誘惑に我慢できるはずもなく、僕はそのまま腰を突き入れた。
「あっ……! ん、ぁ、あっ、おちんちん、すご……っ!」
ぬるりとした感触。二人ともどろどろだから、挿入にはほとんど抵抗がない。
僕はそのまま一気に奥まで乱暴に突き入れた。
「あうっ!」
びくびくと雷に打たれたように痙攣する優香の体。それを押さえつけるように両脚を鷲掴みにする。
そのまま激しく腰を振り始めた。
「ぁンっ、あっ、待って、兄さんっ! あっ、だめっ、私、まだイって──ん、オっ!」
いやらしく絡みついてくるひだを生殖器全体で感じながら激しく抜き差しを繰り返す。優香の口で敏感になっているから余計気持ちがいい。
優香は僕の動きに、壊れたように体を跳ねさせながら感じてくれる。その淫らな姿がぞくぞくする。
「っあうっ、あっ、ァ、んはっ、あっ、にいさんっ、そんな、あっ! 乱暴に、あっ、あうっ……おっ、ん、だめ、あっ、わたし──っ!」
ソファに優香の体を押さえつけながら、自分が好きなように腰を振る。妹の体をまるで性処理用のオナホールにしているみたいな行為。
そんな身勝手な行為なのに、優香はあんあんと甘い声を漏らして乱れている。歯止めなんてきかなくて、ただ快楽を求めるケダモノになり果ててしまう。
「優香っ、優香、っぐ──出るっ、もう出るから──!」
「あっ、んぁ、あっ、あうっ、うんっ──! いい、よ……っ、にい、さんっ、あっ、あんっ、出してっ、ぁ、んおっ、あっ!」
優香がとろけた顔で答えてくれる。その優香の体に自分の体重を押し付けながらさらに激しく犯す。
ばん、ばん、と乱暴な音が響いて、それと一緒に精液が陰嚢から汲み上げられる。優香も絶頂が近いようで、精液をねだるようにきつく絡みついてくる。
「イク、優香、出る……っ、優香、ゆうかっ!」
「あっ、ア、あっ、わたしもイっちゃう──! あっ、ん、ンあっ、イク、イクっ、イっく、うぅうっ……!!」
そうして二人でびくびくと体を震わせながら果てた。
びゅく、びゅくん、と凝縮された子種が優香の膣内に注がれる。狭い尿道をかきわけながらどぶどぶと射精するのが、飛びそうなほど気持ちいい。
「ぁ、……っ、おっ、ん、オっ──あ、あっ、兄さん……っ、ぁ、おなか、どくどく、そそがれ、て……っ」
苦痛と快楽の間のような表情をしながら優香が絶頂している。たまらず、その唇を奪った。
柔らかいその感触に押し出されるように、また奥から精液が昇ってきた。それを抑えることなく吐き出す。
「んっ……! ん、ちゅ、んっ、ぁん……にい、さん……っ」
妹と唇を合わせながらする射精は、極上の快楽だった。気絶しそうなその感覚を限界まで堪能する。
「ぁ……んは……っ、ぁ……にい、さん……」
そうして絶頂が終わった後、ゆっくりと優香の唇を離す。
まだ余韻が残っているのか、優香は小刻みに震えながら惚けた顔をしていた。
「優香──まだ、したい」
いつもなら一度出せば落ち着くのに、今日は違った。優香の中に突き入れたものは一度の射精じゃ全然萎えていなかった。
「ん、いい、よ……兄さんが、気が済むまで、犯して──」
息も絶え絶えになりがらも、優香はそう言って微笑んでくれた。僕は妹の髪をさら、と撫でて、また腰を動かし始めた。
その日は、一晩中優香と交わり続けた。ソファでもう一回して、次は優香の部屋に行って何回も。
優香の膣内に、口に、顔に、何度も射精した。それでも、優香は嫌がりもせずに僕に付き合ってくれた。
「ん……ごめん、兄さん──私、もう……」
そして、もう少しで日が顔を出そうとする頃、優香はそう口にして目を閉じてしまった。僕も十分すぎるほどしたから、それでやめた。
そのまま僕も優香の隣に寝転がって目を閉じる。充足感と罪悪感。それらがごちゃまぜになったまま、僕は眠りに落ちていった。