「今日はご飯どうする?親が帰ってくるの遅くて一人だとご飯が余っちゃうと思うんだ。」
「ご飯…今日はお母さん仕事で遅いから迷惑じゃなければ一緒に食べたいな」
もともと山本さんのお母さんと僕の母親は友達だったうえ、近所だということで昔からよく一緒にご飯を食べたり遊んだりしていた。山本さんのお母さんと僕の両親が忙しくて家に居ない日は二人でご飯を作って食べている。
「…とりあえずカレーとかでいいかな?山本さんのお母さんが帰ってきたら温めて食べられるだろうし」
「うん。タッパーに詰めて帰りやすいし、私もそっちの方がいいかも」
材料を家から持ってくると言って山本さんは家に一度帰っていった。山本さんが帰っている間に料理の準備をしていく。
始めて山本さんに会ったのは幼稚園の時だった。母親の友人だった山本さんのお母さんと会ったときに紹介されたのが出会いで、その際は大人しいけどどこか大人びた雰囲気のある子だと思った。幼稚園ではいつも一人で寂しそうに絵本を読んでいて、小学校でも休み時間には図書室の本を一人で本を読んでいた。
そういうことをずっと続ければクラスの中でも浮いてくる。彼女が地味であれば何もなかっただろうが、そうはならなかった。一際目を引く彼女の容姿は幼い頃からあり、クラスの男子は、気になるのかよく山本さんをからかっていた。初めの頃はクラスの女子も庇っていたが、山本さんの大人しい性格が災いしたのか徐々にクラスの女子も加わっていった。
からかわれるのが怖かった僕は皆の見てないときにこっそり山本さんに話しかける。僕から話しかけられた山本さんはクラスで見せない笑顔を見せてくれる。その事実に暗い喜びを感じていた。この笑顔を学校で知っているのは僕だけだと。
小学校でそこまで大したいたずらはされていなかったみたいだが、中学に入ってからはよりいたずらが酷くなったようで、日に日に暗くなっていく山本さんを僕はずっと見ていた。僕は日々、笑顔の減っていく彼女がどこかに消えてしまうのが怖くていじめを先生に告発した。
始めはいじめがなくなったようだがすぐに再開したようだ。より影に潜んで陰湿に。それを知ったのは半年も過ぎてからだった。大人に頼ってもいじめはなくならない、そう感じた僕は主犯格の女子に直接詰めよった。怖かった。もともと引っ込み思案だった僕が初めて人に怒った経験だった。矛先が自分にも向かうかもしれない、そう思うと情けないが体が震えていたと思う。
テレビから流れるバラエティー番組の乾いた笑い声を聞きながら二人でご飯を食べる。僕も彼女も口数が多い方ではないから自然と無言で食べることになる。最近は彼女も僕の前でよく笑ってくれるようになった。彼女から高校進学後にいたずらはされなくなったと聞いているので本当に良かったと思う。クラスが違うため学校でなかなか会うことはないので、こうやって家で一緒に過ごせる時間は僕にとって非常に貴重なもので、ずっとこの時間が続けばいいと思った。
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お風呂から上がったらお母さんが帰ってきていたのかリビングに明かりがついている。髪の水気をタオルで拭き取りながら部屋にはいる。
「愛?ただいまー」
「おかえり、お母さん。今、帰ったところ?」
「そうなのよ!本当、仕事が終わらなくてさ。さっさと帰って愛の顔見たかったのに~」
そう言ってお母さんは私のほっぺたをむにむに触ってくる。お母さんのことは好きだけど、この妙に近い距離感はどう反応すればいいか毎回困ってしまう。
前世では両親と今の母親のように仲良く話したことはなかった。そもそも誰とも上手に付き合うことができなかった。不細工な顔をしていた僕は今ほどじゃないけれどからかわれたりしていた。人と話すのが怖かった僕はいつも教室の隅で本を読んで人と話すこともなかった。
家に帰ったら、教育熱心な両親からなぜ勉強ができないのかと詰め寄られていた。僕には弟がいたが、弟は僕と比べ物にならないくらい優秀だった。勉強も運動もできない自分と違い弟はどちらもできた。弟は社交的で友人もたくさんいて家に友達をよく呼んでいた。そんな弟に嫉妬していた時期もあったが、弟は僕を馬鹿にすることもなく誠実に接してくれていた。顔だけではなく性格まで醜いことを見せつけられた気がしてより惨めだった。成績もよくなかった僕は工業高校を出てそのまま工場で就職した。
居心地の悪かった僕は家を出て、一人暮らしを始めた。工場では人とほとんど話すことなく、黙々と作業ができた。要領が悪くて怒られることもたくさんあったけれど、どうにか必死に仕事を覚えて、なんとか仕事任せてもらえるようになった。その矢先のことだった。
仕事から帰って突然胸が痛くなり倒れて、そのまま誰に連絡を取ることができないまま意識を失ったところで記憶が終わっている。
この体の記憶は5歳くらいまで全くない。母親からの話では3歳まで他の子より成長が遅かったみたいで、言葉を全く話さなかったみたいだ。僕の記憶も全部を一気に思い出したわけではなく断片的に徐々に思い出していき、前世の全部の記憶を思い出したのは5歳くらいだった。
前世で人と接することを避けてきた僕に、対人スキルなどなく結局この世界でも一人のままだった。こんなでき損ないの記憶を引き継がなければ、この子もお母さんのように明るい性格で今ごろ友達をたくさん作って遊んでいたかもしれない。
「カレー食べたよ。いつも遅いときは作ってくれてありがとね、愛」
「私一人で作ったんじゃなくて天音くんと一緒に作ったんだよ。だからそんなに誉められることじゃないよ」
お母さんは柔らかく笑うと私の髪をくしゃくしゃと撫でてくる。ちょっといたい。
「感謝は素直に受け取っとくもんだぞー。お母さんは嬉しかったんだよ。じゃあ言う言葉は?」
「…どういたしまして」
「うん、よろしい!」
そう言ってさらに髪をくしゃくしゃにされた。お母さんと話してると暖かくて、そして優しいお母さんをこんな僕がこの子から奪ってしまった罪悪感を感じてしまう。記憶は消せない。だから、一人で僕を養ってくれているお母さんに心配をかけたくない、お母さんを幸せにしたい。
「というか天音くんて昔は遥くんてしたの名前で呼んでたのに、もしかして青春!?青春かな?」
「青春てなんなの… 呼び方変えたのは変な意味じゃないから!ただ男子を下の名前で呼んでる子いないし…」
「は~そんなもんかねー。そんなことばかり言ってたら遥くん取られちゃうよ?あんなに優しい子なかなかいないんだから、行ける時に、ばっといかなきゃ」
「っ! そんなのじゃないって」
「愛は可愛いんだから色仕掛けすればイチコロよ!あっ、でもちゃんと避妊はしてね」
「~~!?そういうの良いから!可愛いって、身内の贔屓目だよ…」
「そんなことないんだけどなー。かわいい、かわいい」
そう言ってお母さんは私のほっぺたを揉んでそのまま部屋を出ていった。
今日はもうすることもないので、部屋の電気を消して布団に入った。布団の中でさっきお母さんとの会話で出てきた天音くんを思い出す。
付き合うってどういう感じなんだろう?今日みたいにゲームをして終わり?どこかに遊びに出かけるのかな?手を繋いだり… キスを…
二人で歩いて手を繋いで、笑いながら歩くそんな場面を思い浮かべる。部屋で二人きりになっていて天音くんが僕に顔を近づけてくる。妄想だけど天音くんのかわいい顔が迫ってきて、ドキドキしてる。
布団の中で興奮して息が荒くなってきた。無意識に手がズボンの中に向かって、ショーツに手が触れる。もう湿り始めてることにビックリしたけど、濡れるのが嫌だったのでショーツごとズボンをずらす。
腟の周りをゆっくり触っていると、徐々に露が溢れてくる。それを潤滑油にして小陰唇を優しく触っていく。妄想の中の天音くんが僕に覆い被さってゆっくりと僕の控えめな胸に手を添えるさわさわと胸を触っていく。触れられただけなのに僕の胸の先はどんどんと固くなっていく。胸の先に触れないように優しく胸を撫でていく手を妄想する。もう片方の手がショーツの中に入っていき…
「ぁ…天音くん、あまねくん…」
彼の名前を呼び始めてから、腟から溢れてくる露の量がどんどん増えていく。もっと刺激が欲しくなって、痛いくらいに固くなった乳首を少し摘んだ。背筋から頭まで痺れるような快感がかけ上り、一瞬意識が飛びそうになる。声が漏れそうになったので、枕に顔を押し付けて声が漏れないようにする。部屋の中には僕のこもった声が響いている。
これ以上やるのが少し怖かった僕は手を顔の前に持ってくる。自分の腟から出たもので手がベタベタだ。気持ち悪かったのでティッシュで手と腟の周りを拭う。
これを始めたのはいつからだろうか、多分彼にいじめを庇ってもらってからかもしれない。彼に助けられるまで自慰は女である自分を自覚するようで怖くてできなかった。でも、あの日から彼を思う度に切なくなって、耐えきれずに手を出してしまった。毎日ではないけど布団の中から彼を考えるだけでむずむずしてきてしまう。
今日はお母さんの話で妙に意識してしまったのでしてしまった。彼が私を好きで付き合ってキスをするそういう妄想をしてしまった上に、自慰に使ってしまったことに罪悪感を覚えつつも、その日は疲れてしまったのでそのまま寝てしまった。