乙女ゲームのR-18ルートに突入してしまった… 《もしかしたら あったかもしれない『はめふら』R-18ルート》 作:帆速やこぬ
https://hosokuyakonu.booth.pm/items/6517431
☆ extra story13話に書き下ろしを加えた文庫本を、BOOTHにて販売中です♪
https://hosokuyakonu.booth.pm/items/6121168
☆ 本編13話に書き下ろしを加えた文庫本を、BOOTHにて販売中♪
https://hosokuyakonu.booth.pm/items/5929552
「――わあ、凄い! 宝石みたい…!」
「ええ、本当に! カタリナ様の瞳のような水色がとても美しいですわ」
思わず馬車の窓から頭を出してメアリと二人で感嘆していると、苦笑したキースが声を掛ける。
「そんなに身を乗り出したら危ないよ、義姉さん、メアリ」
夏の休暇を利用して、メアリとキースと、山の上にある湖に遊びに来た。
もちろんいつものみんなも誘ったけれど、それぞれ外せない用事があるとかで、今回のメンバーはこの三人だ。
美しい水色の水を湛えた大きな湖はいわゆるカルデラ湖で、キラキラと光る湖面を眺めているだけでウキウキが止まらない。
――着いたらまず、湖の水に足をつけて、それからボートに乗って――あ、釣りもできるらしいから、誰が一番大きい魚を釣れるか競争してもいいな――湖の周りをぐるっとお散歩するのも気持ちよさそうだし――湖や山が題材のロマンス小説も持ってきたからのんびり読書もして――夜は冷えるって聞いたから、暖炉の火を囲んでみんなでおしゃべりして――
楽しい予定を思い浮かべてわくわくしていると、メアリが前方に目を向けた。
「この道をずっと進んで、一番奥が予約した貸別荘ですわ」
この旅行を計画したのはメアリで、別荘は貸し切りで予約したそうだ。
知らない人とワイワイできるのも宿での楽しみだと思うけれど、せっかくメアリが手配してくれたので、今回はのんびり楽しむ事にしよう。
小さな山小屋に到着すると、管理人さんが出てきた。
「ようこそ、白霧荘へ! 管理人のローレンです」
「三日間、お世話になります!」
挨拶すると、ローレンさんは「では早速向かいましょう」と、馬車から降ろされた荷物をてきぱきとボートに積み始める。
「あ、え?」
てっきり目の前の山小屋に泊まるのだと思っていたので、キースと二人でポカンとしていると、メアリが得意気に湖を指差した。
「実は今回泊まるのは、湖の中の島にある別荘なんです!」
「――素敵!」
よく手入れされたコテージはそれほど広くはないが清潔で居心地がよく、凝った織物の敷物やタペストリーがどこか異国情緒を感じさせる。
2階の窓から外を望めば、ぐるりと島を囲む湖と湖岸と空しか目に入らず、湖面に空が映る様子はまるで、自分が空に浮かんでいるかのよう。
島はのんびり歩いて20分くらいで一周できる大きさで、島丸ごと貸し切りなのだそうだ。
ローレンさんから説明や注意事項などを一通り聞いてから、それぞれ割り振られた部屋で荷物を解く。アンの詰めてくれた荷物を広げながら、帰りにまた詰め直せるだろうかと不安になっていると、ノックの音がした。
「カタリナ様ー、いかがですか? わたくしでよろしければ、お手伝いしましょうか?」
「あ、うん、入っていいよー」
メアリが扉から顔を覗かせ、ベッドの上に乱雑に並べられたドレスや下着や雑貨を見て“やっぱり”という顔をした。
「……やはり使用人なしで、というのは無理がありましたか?」
「あ、ううん。アンにも久しぶりに長い休暇を取らせてあげられたし、ちょうどよかったよ」
――まあ、かなり心配はしていたけれど……
「本当にわたくしが一緒に行かなくても大丈夫ですか」と何十回聞かれた事か。
せっかくの旅行なので身の回りの事も自分たちでやってみようという話になり、今回の旅行は使用人の同行はなしという事になった。
その代わり、宿は信用できる所で取るという条件で、親の承諾を得ている。
「それにしてもこのシーズンに、よく予約が取れたね」
「ええ、ちょっと知り合いの伝手で……ですがさすがに希望の五日間は取れず、三日になってしまいましたわ」
「そんな、三日でも充分だよ。こんな素敵な別荘を手配してくれて、ありがとう、メアリ」
「はい…!」
嬉しそうにメアリが微笑む。
しっかり者のメアリが手伝ってくれたおかげで、何とか気持ちよく過ごせる感じに部屋が整った。
山歩き用の軽装に着替えて階下に下りていくと、居間ではキースが手持ち無沙汰に待っていて、私の姿を見るなりお小言が始まる。
「義姉さん、ようやく終わったの? まったく、荷物を開けるだけでどうしてこんなに時間がかかるの―――メアリ、手伝ってくれてありがとう」
「いいえ、わたくしもできるだけお手伝いすると、アンと約束しましたから」
「女性の荷物の整理に、僕が手を出す訳にもいかないから……さ、これからローレンさんが外輪山の散策のガイドをしてくれるから、桟橋へ行こう」
約2時間のんびりとトレッキングしてから、湖岸にある露天風呂で旅の疲れを癒す。
「高山植物のお花がたくさん咲いていて、綺麗だったね」
「ええ、可憐でいて過酷な環境にも負けない力強さと凛々しさが、まるでカタリナ様のようでしたわ」
「もうメアリったら、褒め過ぎだよ~」
「ここにしかいない鳥や小動物もとても愛らしかったですね」
「すっごく癒されたね。しかもこんな露天風呂まであるなんて、最高過ぎでしょ!」
「その代わりにコテージには浴室がありませんので、そこは少し残念ですが、こちらは食事の評判もいいので、御夕食も期待していてください」
「本当に? 楽しみ~!」
男湯から出てきたキースと合流し、ボートで小島に戻る。
ボートには大きな箱が積まれていて、なんだか美味しそうな匂いがするので、きっとあらかじめ仕込みのされた夕食だろう。
ボートを漕ぎながら、ローレンさんが笑う。
「こんなにいいお天気で、お客様たちは運がいいです。この辺りは1年の半分は霧がかかりますから」
「えー、そうなんですね」
「急に濃い霧がかかって、目の前にある木も見えなくなる事も多いんです。先程注意しました通り、霧が出ている時は方向を見失うので決してボートには乗らないでください。それと外に出ている時に濃い霧に飲まれてしまった時は、むやみに歩かず、霧が晴れるまでその場を動かないでくださいね。滑落や遭難、湖に落ちる可能性がありますから」
「分かりました」
島の桟橋に着くと、ローレンさんが手慣れた手つきでロープを結びつける。
「おお~」
くるくるっと手早く結ぶ手さばきに感心して見惚れていると、それが嬉しかったのかローレンさんは簡単に結べて簡単にほどける結び方を教えてくれた。
別荘に戻ってホッと一息吐くと、もう夕食の時間だ。
「山歩きで皆さんお疲れでしょうから、塩は少し強めに利かせてありますよ」
今夜のメニューは羊肉と豆の煮込みに、きのことチーズのピザとトマトスープ、デザートは焼きたてチーズケーキで、キースの制止を振り切り、お腹がはち切れそうになるまで美味しく平らげた。
「もう、食べ過ぎだよ、義姉さん」
「だって全部美味しくて、いくらでも入っちゃうんだもん」
「そうですね。わたくしもつい、いつもよりたくさん食べてしまいましたわ」
「まあ、気持ちは分かるけれど……後でお腹が痛くなっても知らないよ?」
「大丈夫、大丈夫! 後で腹ごなしに夜のお散歩するから」
答えながら、最後のチーズケーキを頬張る。
「幸せ~」
満足の溜め息と共にパンパンのお腹をさすると、ローレンさんはクスクスと笑う。
「作り甲斐のあるお客様で、わたしも嬉しいです」
横ではいつものように、キースが少し恥ずかしそうにしていて、メアリはにこにこしていた。
標高が高い上に湖に囲まれているので、夏でも気温は低めで、日が落ちたタイミングで暖炉には火が入っている。
食後は暖炉の前のソファに移動してくつろいでいると、後片付けを終えたローレンさんが鍋などを抱えて挨拶に来た。
「それでは、わたしはこれで失礼します。明日は朝食を持ってこちらに参りますが、明日のご予定は? 朝早くに出発する予定などがあれば早めにご用意しますが」
「特に予定はないので、8時頃にお願いします」
「分かりました。では、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
口々に挨拶を返すと、ローレンさんは湖岸の山小屋へ戻っていった。
なんとなく、気だるい空気になる。
「……どうする?」
「わたくし、実はもう眠くなってしまって……カタリナ様とたくさんおしゃべりして、夜更かしするつもりでしたのに……」
「僕も……今日は移動も長かったし、結構歩いたから……」
二人とも、とても眠そうだ。
「そっか、じゃあ二人はもう休んで。私はちょっと、島をお散歩してから寝るね」
「義姉さん、一人で大丈夫?」
「大丈夫よ。霧も出ていないし、小さな島だし、私たち以外誰もいないのだから」
「分かりましたわ。お言葉に甘えて、おやすみなさい、カタリナ様」
「おやすみ、義姉さん」
「二人とも、おやすみ」
それぞれの部屋に入っていくのを見送ってから、私も厚い上着を羽織った。
二人の眠りを邪魔しないよう静かに扉を開けて、外に出る。
「寒……」
夏でも、山の夜は冬のように寒い。
月明りに照らされた道をゆっくりと下りていくと桟橋のあるところに出た。なんとなく気分で左に曲がる。
湖面を右手に見ながらぶらぶら歩くと、あっという間に一周してしまい、物足りないなと思いながら湖を振り返って思いついた。
――そうだ!
桟橋にはボートが一艘、繋いである。
ちょっと肩慣らしに、ボートで島の周りを回ってみるのも楽しそう。夜にボートに乗るなんて、みんながいたら止められて絶対できないし。
夕方にローレンさんから教わった通りに係留ロープを解いて乗り込むと、オールをしっかり握る。
――実はローレンさんが漕ぐのを見ていて、私も漕ぎたくてうずうずしちゃってたんだよね~
スイ、と水面を滑るように進む感覚は、何度経験しても気持ちがいい。
ボートと湖と、一体になる感覚。
さすがに調子に乗って夜の湖に落ちたりしたら目も当てられないので、島から離れないよう慎重に漕いでいく。
と、急に視界に白いものが映った。
「わあ…!?」
一瞬、シーツか何かが風で飛ばされてきたのかと思ったが、音もなく近づいてきたそれは、瞬く間に私を飲み込んだ。
――霧……いや、雲……?
真っ白い闇が辺りを覆う。
――これは、ボートを進めるのは危険かも……
オールを漕ぐ手を止め、できるだけ身を低く小さく縮める。
さっきまで明るい月が見えていたので、たぶん流れてきた雲の中に入ってしまったのだと思う。だとすれば、できるだけ体温を奪われないようにしないと。
――ひゃあぁぁ! 冷たっ!!
浮遊する細かくて冷たい雨粒に全身を覆われ、服も上着もあっという間にびしょ濡れになってしまう。髪からぽたぽたと雫が落ちた。
――雲が通り過ぎるまでの辛抱…!
自分に言い聞かせ、永遠とも思えるような時間――実際は30分も経っていないと思うけれど――を真冬の雨のような冷たさに耐えていると、不意に霧が途切れた。
完全に視界が回復した訳ではなかったけれど、このチャンスを逃す手はない。運のいい事にそれほど島から離されていなかった。一生懸命オールを漕いで、なんとか桟橋に辿り着く。
かじかむ手で係留ロープを結びつけ、歯の根が合わない身体を抱くようにコテージへの道を歩き、やっとの思いで玄関前まで来た時、再び周囲に白い闇が満ち始めた。
慌てて玄関の扉を開けて中に入ったところで力尽き、私は扉に背中を預けてズルズルと座り込んでしまった――…。
――物音……?
階下で何か聞こえた気がして、耳を澄ます。
あんなに疲れていてベッドに入った瞬間に眠りに落ちたのに、どうして急に目が覚めたのだろう?
窓を見ると霧がかかっているのか、何も見えなかった。
なぜか虫の知らせめいた胸騒ぎを感じて、上着を羽織り、階段を下りる。
暖炉の熾火がちらつく居間から、玄関の扉の前に何か黒い塊が見えて、目をすがめた。
「……義姉さん!?」
驚いて駆け寄り、上半身を抱き起こす。
「冷たっ! 何!? どうしたの、義姉さん!?」
薄目を開けた義姉さんが、へへ、と笑った。
「ちょっと……雲の中を散歩しちゃった」
全身ぐっしょりと濡れて冷え切った義姉さんを抱え上げ、暖炉の前に移動する。
「寒い……」
――こんなに震えて……唇も紫色になって……
一刻も早く温めないと、風邪を引いてしまうどころか命の危険もあるかもしれない。
少しでも部屋を暖かくする為、暖炉に薪をくべる。
「濡れた服、脱がないと……義姉さん、脱がせるよ? いいね?」
「ん……」
微かに頷いたので、上着を脱がせてパジャマのボタンに手をかけ、二つほど外したところで柔らかそうな膨らみが目に入り、思わず唾を飲み込んだ。
――やましい気持ちはない、やましい気持ちはない、やましい気持ちはない…!
自分に言い聞かせて迷いを振り切り、ボタンを外す。
濡れてぺったりと肌についたパジャマと下着を引き剝がすように脱がせると、できるだけ義姉さんの裸を見ないようにしながら自分の上着を掛けて、暖炉前に横たえた。
「ごめんね、義姉さん。ちょっとだけ待っていて」
「う……ん………」
急いで自分の部屋に戻り、乾いたタオルと毛布、シャツを持って下りる。
タオルで濡れた肌と髪を拭き、おでこに手を当てて熱はないか確認してみると、どうやら身体が冷えているだけで熱はなさそうだ。だけど低体温症の可能性もあるから、油断はできない。
シャツを着せ、毛布で身体を包み込み、背中から抱き締めるように身体をくっつけて暖炉に向ける。
「義姉さん……少しは身体、温まった?」
「ん……ありがと、キース……ごめんね、迷惑かけて……」
「今はそんな事いいから」
震える手を握ると、まだかなり冷たい。そっと手を伸ばして足先にも触れてみると、やはり冷たいままだ。なかなか温まらない手と足を交互にさすりながら、懸命に対処を考える。
何か、効果的に身体を温める方法は――風呂はこのコテージにはないし――露天風呂は湖岸に渡らないといけないけれど、今は霧が深くてボートが出せない――そうだ、外側からでなく身体の内側からも温めて――例えば温かな飲み物を飲ませるとか――…
毛布で義姉さんを包み直してから、暖炉の火に水を入れた鍋をかける。
確か、いつでも温かい飲み物が飲めるようにお茶などが用意されていたはずだ。簡易的な厨房を覗くとココアがあったので、カップに入れて湧いたお湯を注ぐ。
「……義姉さん、ココアだよ。飲めそう?」
「…………」
返事がない。眠ってしまったのか、或いは――…。
悪い想像が駆け巡り、頭が真っ白になる。
「義姉さん! 義姉さん!?」
呼びかけていると、頭上から声が降ってきた。
「……一体なんの騒ぎですの?」
眠そうに目を擦りながらメアリが2階の手すりから顔を覗かせ、カッと目を見開いた。
「!!?」
僕の腕の中にいる半裸の義姉さんと脱ぎ散らかされたパジャマを見て、顔を引き攣らせる。
「キキキキキース様!? 一体何を!? バカンスの開放的な気分に付け込んでカタリナ様に手を出すなんて、見損ないましたわ!」
「ち、違う、メアリ! 落ち着いて! 義姉さんが大変なんだ!!」
「カタリナ様が?」
顔色を変えたメアリが、急いで階段を下りてきた。
「冷たい身体を温めるなんて、そんなの――」
話を聞くと、メアリはなんの躊躇もなく自分のパジャマの前を開けた。
「ちょっ? メアリ!?」
慌てて視線を逸らす。
「――人の肌が一番に決まっているではないですか!」
メアリが言い放ちながら、豊かな乳房の間に義姉さんの手を挟んで包み込む。
「冷たっ――くなんてありませんわ。カタリナ様の手ですもの」
奥歯を噛んでから、キッとこちらを見る。
「キース様もボサッとしていないで! 早くパジャマの前を開けて、カタリナ様を背中から直に温めてください!」
「え、あ、うん」
完全にメアリの勢いに気圧されて、義姉さんに着せたシャツを一旦脱がせて前から肩に掛け、背中から抱き締めた。
肌の冷たさに一瞬声を上げそうになったが、グッとこらえてお腹に両腕を回す。
自分の体温を伝える為に身体をできるだけぴったりとくっつけていると、次第に義姉さんの身体が温まってきたのが分かった。手応えにホッと息を吐く。
――凄いな、メアリは
肌で温めるという知識はあったけれど、正直、男の僕ではここまで思い切れなかった。
愛する人を前に一瞬でも躊躇していた自分が情けない。
「手はよさそうですわ……次は足を……」
義姉さんの脚側に移動してから、ふと気付いたように自分を見下して、ガバッと前を隠した。
「キース様、何を見ているのですか! わたくしの身体はカタリナ様だけのものですのよ!」
「待って、変な目で見てないし、なんか理不尽!」
意味も不明だけど、今は突っ込んでいる時ではない。
「背中が温まったようなら今度はカタリナ様の背中に毛布を掛けて、身体の前側を温めて差し上げてください! 脚は暖炉に向けて!」
「はい!」
素直に従い、「義姉さん、ごめん」と囁いてから、正面から抱え上げて抱き締める。冷たいけれど柔らかく張りのある感触が二つ、胸に押し付けられて頭に血が上った。
「~~~~~~~っ」
――これは義姉さんの為、これは義姉さんの為、これは義姉さんの為…!
呪文のように言い聞かせても、肌で直接感じる愛しい人の身体の柔らかさに、どうしても欲望と想像が頭をよぎってしまう。
そっと深呼吸をして気持ちを落ち着かせる傍らで、メアリが乳房に義姉さんの足を挟みながら一生懸命に脚をマッサージしていた。
――カタリナ様……どうか、深刻な状態ではありませんよう――
唇を噛み、祈るようにカタリナ様の身体を温める。
大切な人が大変な目に遭っている時に、気持ちよく眠っていた自分が許せない。
キース様が異変にすぐに気が付き、カタリナ様の為に尽力していたというのに、気付くのが遅れた事が悔しい。
キース様へ強い言葉をかけてしまったのは、後ろめたさと八つ当たり以外の何物でもなかった。
ふっと深く息を吐いてから、キース様に話しかける。
「……カタリナ様の様子はいかがですか?」
「うん、息遣いも安定しているし、眠っているみたい」
「そうですか……あの、キース様」
「ん? 何?」
「先程は失礼な事を言ってしまい、申し訳ありませんでした。キース様がいち早く気付いてくださらなければ、もっと大変な事態になっていたかもしれませんのに」
「いや、気にしないで! あの状態を見たら、誰だって誤解するよ。それに僕もメアリがいてくれて感謝している。僕だけでは、こんなにしっかり義姉さんを温めてあげられなかったと思う」
いつもは幼馴染みである以上に恋のライバルだけれど、今は同じ大切な人を守る存在が何より心強い。
「……身体も手足も温まったし、髪も乾いたようなので、もう大丈夫なのではないでしょうか?」
「そう……だね。部屋のベッドに運ぼうか」
「準備しますね」
2階に上がってカタリナ様の部屋の扉を開け、ベッドの布団を寄せる。
「キース様、お願いいたします」
毛布で包んだカタリナ様をキース様が抱えて階段を慎重に上がり、部屋に入るとそっとベッドに横たえ、布団を掛け直す。
スウスウと穏やかな寝息を立てるカタリナ様の様子に安心しつつ、ベッドの傍らに立ち、互いに相手が動くのを待つ。
「キース様、もうお部屋に戻られても結構ですよ? カタリナ様にはわたくしが一晩、添い寝して様子を見ますから」
「いやいや、僕が家族として責任を持って義姉さんに付いているから、メアリこそ、今夜はもう休んでもらって大丈夫だよ」
二人の間に火花が散った。
「わたくしが」「僕が」と一歩も譲らずにいると、カタリナ様が眉根を寄せた。
「う……んん?」
起こしてしまったかとビクリと固まって言葉を切り、カタリナ様を見守っていると、そのままくるんと寝返りを打って背中が布団から出てしまう。
キース様と顔を見合わせ、やがてふっと肩の力を抜く。
「今夜は仕方がありませんわね。最大の功労者と、お目付け役という事で」
「そうだね、義姉さんをこのまま寝かせておいたら、布団を剥いで、結局朝には風邪を引いていそうだし」
――温かい……
さっきまであんなに寒かったのに。
そういえば夢の中で、キースとメアリが一生懸命、温めてくれていたな……。
夢見心地で手を動かそうとすると、両手とも誰かに握られていて動かせない。
「? ……?」
そっと目を開くと、ベッドの真ん中で、キースとメアリに挟まれ手を繋いで仰向けになっていた。
「!!?」
――これは夢……かな? 二人が裸で私を抱き締めてる、なんて――…
「えーっと……」
もう一度左右を確認し、確信する。
――夢じゃない!
自分の状況が飲み込めず、ぐるぐるしていると、キースが気付いて囁いた。
「……あれ、義姉さん、起こしちゃった?」
メアリも嬉しそうに声を上げる。
「カタリナ様! ご気分はいかがですか?」
「気分? 気分っていうか――どうして私、二人と寝ているの? なんで二人とも裸?」
「記憶が混乱していらっしゃるようですね」
「義姉さんは夜の散歩に行って、びしょ濡れになって帰ってきたんだよ」
言われて一気に思い出す。
「そ、そういえば……」
「キース様が物音に気付いて、カタリナ様を見つけてくれたのですよ」
「あ……」
なんとなくキースと話した事までは覚えている。
「身体が氷のように冷たくて、とても心配したんだよ」
「キース様が暖炉の前で、タオルで拭いたり毛布で包んだりして温めて――」
「メアリも途中で気付いて、義姉さんの手足を必死に温めてくれたんだ」
「そうだったの! 二人とも、ありがとう! 命の恩人ね」
二人の献身に感激しつつ、質問の答えになっていない。
「それでその、どうして裸で、三人で同じベッドに入っているの?」
「肌を重ねるのが、身体を温めるのに一番効率がいいからですわ!」
言い切るメアリに、反論の余地はなかった。
「いや……うん、百歩譲って裸の理由は分かった。なんで二人とも私のベッドに?」
「僕は家族として、義姉さんを守る責任があるから――」
「女の子同士の方が、カタリナ様も安心してお休みになれると――」
キースとメアリが同時に言って、睨み合う。
「いや、全然安心できないでしょ! 一緒なのがメアリじゃ!」
「キース様こそ“身体を温める”という口実で、どんなふしだらな行為をするつもりやら?」
「メ、メアリこそ! 女性同士と安心させておいて、いやらしい事をするつもりだよね!?」
「まあ! とんだ言いがかりですわ! ――カタリナ様、女の子同士ならこのくらい当然ですわよね?」
メアリが背中に抱きついて、豊かな乳房を押し付けた。柔らかくたっぷりとした肉感にドキリとしていると、後ろから伸びてきた手が乳房を優しく包み込み、キースに見せつけるように愛撫し始める。
「ちょっ! メアリ!?」
――確かに、ふざけて胸に触り合ったりした事もあったけれど!
「な……っ」
愛撫する手と手の中で形を変える乳房に視線を釘付けにされたキースは、真っ赤になって口ごもった。
「も、もう! メアリ、冗談はやめて! くすぐったいからぁ!」
キースの手前、変に感じているような様子は見せられないのに、メアリの熱っぽい手つきにきゅんと乳首が硬くなってしまう。
「カタリナ様、可愛い……女の子同士なのですから、恥ずかしがる事はありませんわ」
熱っぽく、メアリが耳元で囁いた。
見せつけるように義姉さんを愛撫するメアリが、ちらりとこちらを見て、勝ち誇ったように微笑む。
「カタリナ様も、わたくしに触れてください――いつも一緒にお風呂に入った時にするみたいに」
「え? あ、うん……」
とろんとした表情の義姉さんが、言われるがままにメアリに向き直り、両手でメアリの乳房に触れた。
たぷ、たぷ、と手の平から余る柔らかな肉が揺れ、たわみ、義姉さんの指がやすやすと飲み込まれ、沈み込んでいく。
「あ…ぁん……カタリナ様……!」
甘い吐息を漏らすメアリの目から、急にポロッと涙がこぼれた。
「カタリナ様! わたくし、本当に心配したのですよ!」
メアリが涙を流しながら義姉さんに抱きつく。
「うん……うん……心配かけてごめんね、メアリ。もう大丈夫だから……」
「では、ご褒美をくださいませ……」
メアリはそう言うと、自分の乳房を両手で持ち上げて義姉さんの胸に押し付ける。
「う、うん……」
二人は乳房と乳首を擦り付け合い始めた。
「んっ――ふっ……ぅん………」
「っ!!? 二人とも何を!?」
女性同士が柔らかそうな乳房を重ねる淫靡な光景に、下半身にズクンと痛みが走る。
「女の子同士にしかできない事、ですわ」
メアリは僕を見ると、そのまま視線を落として眉をひそめた。
「まあ……見てください、カタリナ様。あんなに欲望を露わにして――男性って本当に汚らわしいですわね」
下半身に掛かった毛布を押しのけるように、勃ちかけた陰茎が存在を主張していた。
「そりゃ、こんなに見せつけられたら、男なら誰だってこうなるよ!」
「キー…ス?」
義姉さんも僕の股間を見て、顔を赤くしている。
「これは生理現象だから! そんなに見ないで!」
慌てる僕に、義姉さんはいつものように笑いかけた。
「ごめんね、除け者にしちゃって……キースにもたくさん心配かけちゃったよね。それに凄く一生懸命温めてくれたの、ちゃんと覚えてるよ」
「義姉さん……」
義姉さんが、少しもじもじしながら視線を下半身へ向ける。
「ね、それ、苦しい?」
「え? あ、うん……」
「私が、すっきりするの、手伝ってあげようか…?」
「へ!?」
つい素っ頓狂な声を上げてしまうと、義姉さんは首を傾げた。
「助けてくれたお礼とご褒美……いらない?」
眩しいほど綺麗な裸をさらした最愛の人が、僕を愛してくれると言っている――。
「いる! 欲しい! 義姉さんにして欲しい!」
頭で考えるより先に、口が勝手に答えていた。
「よかった」
にっこりと笑う義姉さんの隣で、メアリがぷうっと頬を膨らませている。
「じゃあ、キース……見せて?」
「う、うん」
ドキドキしながら毛布を剥ぐと、すでに期待で怒張した陰茎が空気に触れてビクリと震えた。
「わ、わあ……キースの、凄いね……」
興味津々に顔を近づけた義姉さんの息がかかり、くすぐったい。
「ビクンビクンしてる……緊張してるの?」
「それはそうだよ、義姉さんにそんなに見つめられたら――」
「えっと――どうしたらいい?」
自分の陰茎を前に上目遣いで聞く義姉さんが可愛過ぎて、触れられる前からどうにかなってしまいそうだ。
「まず、優しく握ってくれる?」
「うん……」
恐る恐る伸ばした手できゅっと握られ、ただそれだけなのにゾクゾクと悦びで震えてしまう。
――義姉さんが、僕のものを握ってる!
「わ、熱い……それに凄く硬い……」
「義姉さんっ――そのまま上下に動かして、扱いて――はああっ」
自分でするのとでは比べ物にならない気持ちよさに、恥ずかしい声を抑えられない。
あっという間にガチガチに勃起し、先走りが義姉さんの手を濡らしていやらしい音を立て始める。
「あぁぁ――義姉さん……ッ!」
「ね、気持ちいい? キース、気持ちいい?」
「うん! 義姉さんがしてくれていると思うだけで、果ててしまいそう!」
見栄など張る余裕もなく、最愛の人の温かな手で導かれ、熱いものがせり上がってくる快感に抗えずに大きく喘いだ。
「うあっ――ま、待って! 速いよ、義姉さん! そんなにされたら、もう――出ちゃう!」
「え!? あっ、どうしよう? 出る時って飛び散るんだよね!?」
義姉さんが慌てていると、メアリが手を被せる形にして見せる。
「カタリナ様、こうすればよろしいのでは?」
「あ、そっか」
義姉さんの手が亀頭を包み込んだ瞬間、ビュルルルッ、と勢いよく精液が噴き出した。
「ああぁっ! くっ……あっ……あ………」
――義姉さんに絞られて――義姉さんの目の前で絶頂してしまった――…
恥ずかしさが快感を増幅し、指の間から溢れ出すほど大量に射精したのに、全然萎えない。
「……義姉さん、それ、タオルで拭いて――」
手の平の精液を見て、“どうしよう”という顔をしている義姉さんに言いかけると、義姉さんは精液をぺろっと舐めた。
「カタリナ様!?」
「義姉さん!? 何で舐めたの!? 汚いから――」
「キースのなんだから、汚くなんてないよ」
手から腕にまで伝った精液を舐め取る義姉さんの姿に、ゾクゾクッと悦びが身体を駆け巡る。
「カタリナ様はお優し過ぎるのですわ……」
ふくれっ面で見守っていたメアリが、引き寄せられるように義姉さんの手に絡まる精液を、一緒に舐め始めた。
――なんだ、これ……
義姉と幼馴染みが自分の精液を舐めている光景に、眩暈に似た恍惚に飲み込まれる。
先程の一件で活躍したキース様に、“今夜くらいは顔を立て、譲ってあげようか”などという気になってしまったのが間違いだった。
キース様の精液を愛おしそうに舐めるカタリナ様の姿に、除け者にされているような寂しさと嫉妬を感じ、つい張り合うように一緒になってカタリナ様の手を舐め回す。
「苦くて……変な匂い……こんなものでカタリナ様を汚す訳にはいきませんわ」
口ではそう言いながらも、美味しいとは言い難いそれを口にするうち妙に高揚し、変な気分になってしまう。
カタリナ様の指を一本一本丁寧に吸っていると、くすぐったそうにカタリナ様が笑った。
「メ、メアリ、もう大丈夫。もう綺麗になったから!」
「はい……」
愛しい人の指をもっと吸っていたかったと思うのと同時に、カタリナ様と同じもので汚された、という歪んだ満足感もあった。
「凄い、キース……まだガッチガチ……」
あんなにたくさん出したというのに、絶頂の余韻でビク、ビク、と震えるキース様の陰茎から未だ漏れる精液を見たカタリナ様が、亀頭にキスをして、チュッと吸い取った。
「ひグッ!」
変な声を漏らし、理性が吹き飛んだようにキース様がカタリナ様にねだる。
「ね、義姉さん! 咥えてっ! 義姉さんの口でして欲しい!」
「ん、いいよ。キースのして欲しい事、全部してあげる」
止める間もなく、あーん、と大きく口を開けたカタリナ様が、キース様の陰茎を頬張った。
「ああっ! 口の中、ぬるぬるっ! ――義姉さんの舌、気持ちいい!」
咥えたまま、カタリナ様が微笑む。
「ひもひ、ひい?」
「うんっ気持ちいいよ! もっと吸って――ああっ! もっといやらしく舐め回して!!」
ちゅぼっ、ちゅぼっ、と水っぽい音が部屋に響く。
――あんな汚らしいものを、カタリナ様のお口に突っ込むだなんて――
嫉妬と嫌悪で、身体が燃えてしまいそうだ。
――やめて……いや……これ以上カタリナ様を汚さないで……!
無理矢理にでも二人を引き剥がしたい。これ以上汚されてしまう前に、カタリナ様を連れ去ってしまいたい。けれど。
――どうして――カタリナ様はあんな愛おしそうにしゃぶっていらっしゃるのだろう……
その可能性に思い当たり、思わずハッと息を飲む。
カタリナ様は、もしかしてキース様の事を――?
長い事変わらないように見えた幼馴染みたちの関係が、いつの間にか変わってしまっていたのだとしたら。
――いいえ。旅の間、そんな素振りは全くなかった
けれど今この行為によって、二人の関係が特別なものになってしまう可能性は高い。
カタリナ様を独り占めするなんて、絶対に許せない。
――このまま奪われてしまうなんて絶対にイヤ!
カタリナ様の隣に並び、キース様を睨みつける。
「本当はイヤですが、カタリナ様がなさるのでしたら、わたくしもお手伝いしますわ」
“本当はイヤ”を強調し、キース様の陰茎の根元に舐めながら吸いつく。
ブルルッと震えたキース様が上ずった声を上げた。
「ぅあっ――え、なんでメアリまで!?」
「うるさいですわ! キース様は黙っていてください」
「キース……メアリが来たら、更に大きくなった」
カタリナ様と二人で一本の陰茎に舌を這わせていると、キース様は抑えきれずに恥ずかしい喘ぎ声を上げ始めた。
「あっ……そんなっ――二人でなんて――あぁっ…あっあっ……もうっ! ――ぅッ」
一層太さを増した陰茎がドクッと脈打ったと思った瞬間、熱い白濁液が飛び散って、顔にかかる。
「まったく、キース様ったら女の子みたいな声を上げて――情けないですわ」
カタリナ様のお顔にかかった精液を舐めて綺麗にすると、カタリナ様もわたくしに飛んだ精液を舐め取ってくれた。
「手でシたよりも早く出たね。興奮しちゃった?」
カタリナ様がからかうと、キース様は真っ赤になりながら言い訳する。
「それは、だって――仕方がないでしょ! 綺麗な女の子が二人で、僕のものをしゃぶってくれているんだよ!?」
「「綺麗……」」
二人でつい照れてしまっていると、カタリナ様が急に納得したように声を上げた。
「あ、ああ! お世辞ね! メアリは確かに美少女だけど、私は悪役顔だものね!」
「何言ってるの? 義姉さんは自分がどんなに綺麗で可愛いか、自覚がないの?」
「そうですわ! カタリナ様は誰よりも綺麗で、素敵で、素晴らしい方ですわ!」
キース様と真顔で返してしまうと、カタリナ様は耳まで赤くなった。
「え、あ、あー…、――ありがとう」
そして嬉しそうに笑う。
「二人とも、大好き」
わたくしは――いや、キース様も他の幼馴染みたちも、カタリナ様を大好きな人たちはこの笑顔にとても弱い。そしてこの笑顔だけは何があっても守りたいと願っている。
キース様と顔を見合わせ、ふっと肩の力を抜いて笑う。
「仕方がないね。一時休戦という事で」
「ええ、仕方がありませんわ。ここは共闘するといたしましょう」
カタリナ様がポカンとした。
「え? え? 何? 二人とも」
「――ま、待って、キース! メアリ! そんな――二人でなんて!」
左右にぴったりと寄り添った二人が、乳首を舐め回しながら秘部を弄る。
「あら、カタリナ様がお礼をしたいと仰ってくださったのではありませんか」
「頑張ったご褒美、くれるんでしょ?」
なんだかいやに、キースとメアリの息がぴったりだ。
「それは二人がして欲しい事ならするという意味で――あっ…ぁん……二人が私を気持ちよくしてくれるのは違う気が――んんっ」
「何も違いませんわ」
「これが僕たちのして欲しい事だよ」
「だからって――二人でこんないやらしい事――!」
キースとメアリは、完全に私の身体を左右でシェアしていた。それも、競い合っているかのように同じ場所を二人で責めてくる。
キースが優しく乳首を吸いながら、指を2本、膣へと滑り込ませて中を探る。
「どう? 義姉さん、ここ、感じる? ――ここは?」
メアリがいやらしく乳首を舐めながら、溢れる愛液で濡らした指先で陰核を撫でる。
「こんなに硬く尖らせて……カタリナ様ったら、なんて愛らしい――」
二人に身体中を愛撫され、舐め回され、貪られる。
「……キース様。先程の浅いところ、カタリナ様の反応がよかったですわ」
「ここかな……あ、ここ?」
「ッ――ん!」
ビクッと反応したのを、キースもメアリも見逃さなかった。
「そこですわ! そこを重点的に責めてくださいませ。わたくしも同時にこちらを――」
メアリにクニクニと優しく陰核を潰され、キースに気持ちのいいポイントをつつかれて、目の中がチカチカし始める。
「両方同時、だめぇ! すぐイッちゃう! だめっ! イク、イクッ! っクぅぅッ――!!」
ガクンと腰が浮き、熱いものが込み上げ、噴き出す感覚がした。パタタッと水が落ちる音がし、ゆっくりと弛緩した身体がベッドに沈む。
「義姉さん、潮……」
「わたくしたちの愛撫、そんなに気持ちよかったですか?」
「うん……ごめんね、ベッド…汚しちゃった……」
「あ、うん、僕が拭く」
ごくりと唾を飲んでいたキースが我に返って、タオルを持ってきて拭き始めた。
――義姉さんが可愛過ぎて、どうにかなりそう……
ぐっしょりと濡れたシーツを拭きながら、必死に平静を装う。
――義姉さん……絶頂する時、潮吹くんだ……
知ってしまった義姉の一面が、触れてしまった義姉の身体が、狂おしいほど愛おしい。
メアリがいなければ、とっくに理性を失って押し倒していただろう。
反り返った陰茎は治まるどころか更に怒張している。
タオルを置こうとし、手に絡まる愛液に気付いてそっと舐め取った。
――甘酸っぱい……これが――義姉さんの味……
鼓動が耳の奥で鳴り、酔ったようにクラクラと思考を停止させる。
――義姉さんが欲しい。義姉さんを抱きたい。義姉さんを僕だけのものにしたい――…
気が付くと僕は、突き上げる欲望のままに義姉さんの両肩を掴んで迫っていた。
「ね、義姉さんっ! 僕、もう我慢できない! 義姉さんの奥を知りたい――義姉さんが身体の芯からちゃんと温まったか、確認させてほしい!」
慌てたメアリが間に割り込んだ。
「ダメ! 絶対ダメです!!」
「僕は義姉さんにお願いしているんだ」
メアリは義姉さんを振り返った。
「カタリナ様! 絶対にいけません!」
「義姉さん、お願い――ご褒美をちょうだい?」
「え……えっと……」
困っている義姉さんを見て、噛みつきそうな勢いでメアリが僕に食ってかかる。
「卑怯ですわ、キース様! お優しいカタリナ様がこのタイミングでお願いされたら、断れるはずがないではありませんか! 例えカタリナ様がいいと仰ったとしても、わたくしが絶対に許しません!」
「メアリは関係ないでしょ!?」
「ありますわ! だってわたくしも――」
こちらを睨みつけていたメアリの目から、ボロボロと涙がこぼれた。
「――カタリナ様を愛していますもの…!」
その場の空気、というものがある。
分かっていた。
わたくしがどんなに反対しようと駄々をこねようと、カタリナ様はきっと、キース様を受け入れてしまう。
「イヤ――イヤです……カタリナ様が汚されてしまうなんて――」
泣きじゃくるわたくしに、カタリナ様は微笑みながら優しく頭を撫でてくれた。
「メアリ、落ち着いて。本気で私を心配してくれてありがとうね。汚される訳じゃないから安心して、ね?」
カタリナ様はそっと額にキスをすると、キース様に向き直る。
「キース、その……素股で、いいかな……?」
「う、うん……」
返事をしたキース様は仕方がないというように、小さく溜め息を吐いた。
「メアリ」
キース様が真剣な目でこちらを見る。
「僕だってちゃんと分かっているから。これは一夜限りの幸運な夢だって」
――幸運な、夢……
カタリナ様が大事に至らずに済んだ幸運。
その幸運を引き寄せたのは紛れもなくキース様だ。
わたくしがしたのは、最後の場面にのこのこ現れて、それらしく振舞った事だけ。
今夜は、カタリナ様とキース様の物語だったのだ。
なのにわたくしは自分の役どころを間違え、出しゃばり、口を出し、邪魔をして、それでもカタリナ様もキース様も、わたくしを除け者にしようとはしない。
わたくしだけが我儘で自分の事しか考えておらず、完全に道化で邪魔者だった。
キリ、と唇を噛み、深呼吸をひとつする。
「……余計な口を挟んで申し訳ありませんでした、カタリナ様、キース様。わたくし、部屋に戻りますわね」
――微笑んで言えたのは上出来だったと、後で自分を褒めてあげよう……
そう自分を励ましながらベッドを降りようとすると、両手を引かれた。
「……え?」
肩越しに振り返ると、カタリナ様とキース様が片手ずつ掴んでいた。
「あの……」
困惑していると、キース様がほんの少し怒っているように言った。
「急に何を言い出しているの? メアリらしくもない」
「ですが、今夜の功労者はキース様で――」
「僕だけでは、義姉さんは今こんなに元気じゃなかったと思うよ。僕がいるのに躊躇なく裸になって義姉さんの手足を温めたのはメアリでしょ。正直に言うと、あの時僕は“やっぱりメアリには敵わない”って思ったんだ。だから、今夜活躍したのは君も同じだよ」
カタリナ様も頷く。
「私は意識がなかったけど、でもキースとメアリが私の為に、一生懸命温めてくれたのは感じてたよ。私は二人にお礼がしたいな」
「……わたくしも――ここにいてもよろしいのですか?」
カタリナ様とキース様が、顔を見合わせてから笑う。
「「もちろん!」」
――あ、私、二人に食べられちゃう……
さっきまで互いに意識し、競い合い、奪い合うようだったキースとメアリの愛撫が、今はもう私の事しか見えてないように熱を増していく。
キースが乳首を弄ればメアリは秘部へと手を滑り込ませ、メアリが秘部に顔をうずめればキースは舌を絡めて深いキスをする。
「あぁっメアリ! ――そこっ、いい! ――ん、んんっ♡ ん♡――ぁあっ♡」
陰核を吸い絞られて絶頂すると、口の周りを愛液まみれにしたメアリが満足したように微笑んで唇を舐めた。
おもむろにメアリは、戸惑うキースをベッドに押し倒す。
「――え? 何? メアリ!?」
ビクビクと脈打つ陰茎を黙って眺め、改めて眉をひそめる。
「……今更ですが、キース様のって大き過ぎませんか? カタリナ様はどう思われます?」
「え!?」
――そんな事、聞かないでよぉ!
「う、うん……よく分からないけど……大きい、気がする」
「こんな太いものが本当に女の子の中に入るのでしょうか?」
「うーん……」
二人で興味津々に観察してしまい、キースが真っ赤になる。
「ちょっ、義姉さん!? メアリ!? まじまじと見ないで!?」
慌てて隠そうとする手を押しのけ、メアリは私を見た。
「さ、カタリナ様。キース様に跨ってください」
「え!?」
さっきまで“絶対ダメ”って言ってたのに!?
「キース様にご褒美を差し上げるのでしょう?」
「メアリ!?急にどうしたの!?」
キースも啞然としている。
「わたくし、覚悟を決めたのです。先程キース様の仰っていた、“一夜限りの夢”――わたくしも一緒に、その夢に溺れさせてくださいませ」
――なんだろう……この状況……
親友に見守られながら、義弟とエッチしようとしている異様な状況に戸惑いつつも、“お礼とご褒美になんでもする”と言ってしまった手前、今さら引っ込みがつかない。
「わたくしが押さえていますので――」
先走りで濡れた陰茎の根元をメアリが支え、そこに恥ずかしさを押し殺して跨る。
「んっ―――」
膣の入り口にピタリと合わせられた肉棒に、ゆっくりと腰を下ろしていく。
チュポッ、と先っぽがなんとか滑り込んだけれど、その後、キースのものが太くてなかなか入っていかない。
「カタリナ様、どうぞ思い切って腰を――あ、もしかしてキース様を焦らして楽しんでいらっしゃいますか?」
「そういう訳では――」
「んー…それでしたら……」
私の後ろに回ったメアリが腰を掴み、グン、と腰を落とさせた。
「!? か……はっ…………」
「こういう時は、思い切りも大切ですわ」
メリメリと押し広げるように太い陰茎を一気に奥まで挿入され、息が上手くできない。
声も出せずにピクピクしていると、背中から私を抱き締めたメアリが、キースに声を掛ける。
「キース様、カタリナ様の奥はいかがですか?」
「う、ん……凄くキツくて、熱いよ――こんなに熱ければもう心配いらないね」
「カタリナ様はいかがですか? ――あ、それどころではなさそうですわね」
メアリが耳元に囁く。
「ですが、カタリナ様……キース様のお顔、見てください。あんなに期待して――見つめていらっしゃいますよ……ゆっくりでよいので、動いてみてくださいませ」
「うん……」
少しだけ腰を浮かせてから腰を落とすと、みっちりと包み込んだ肉が体液を含んで、ブポッ、ブププッ、と信じられないくらいいやらしい音を立てる。
「あーっ…あっ……ぁあっ」
たまらずに喘ぐキースを、メアリがからかう。
「キース様ったら、口の端から唾液までこぼして――余程カタリナ様の中が気持ちいいようですわね」
「凄いよっ! 義姉さんの中――ぬるぬるで、どんどん愛液が溢れてきて――僕のものをギュッと包み込んで――吸い付いてくる!!」
「カタリナ様……キース様、とても悦んでくださってますよ」
「本当? よかった……」
しばらくぎこちなく動いていると、フルフルと震えたキースが喘いだ。
「義姉さんっ、そんなゆっくりされると――甘やかされながら焦らされているみたいで、もどかしくって気が変になりそう!」
ガバッと起き上がると、そのまま私を押し倒す。
「今度は僕が動いてもいい?」
「……うん。優しく、ね」
キースが腰をしっかりと掴み、抜ける直前まで腰を引いて、一気に奥まで貫いた。
「――あぁっ! 下半身溶けそう! 最高に気持ちいい!」
「ま、待って! キースっ、急に激し過ぎ……!」
「義姉さん、嘘は駄目だよ。こんなに奥に誘うように痙攣させておいて――それに子宮口がね、突く度に亀頭に吸い付いてきて、キスしてくれてるんだよ」
キースが囁く。
「本当は義姉さんもいいでしょ?」
「!」
さっきまでとは違う、グポッグポッと激しく肉を擦る卑猥な音が響き、普段の優しいキースからは考えもつかないほど下品な動きで腰を振っている様子に、理性が飛ぶ。
「――いい! いいのっ、キース! 義姉弟なのに――気持ちいいのっ!」
下半身がゾクゾクと痺れるのを感じていると、メアリが涙目で傍に来た。
「カ、カタリナ様……」
「メアリ?」
「身体が切なくて、おかしくなってしまいそうです……わたくしも仲間に入れて――愛してくださいませ……」
「ん、ごめんね、メアリの事も忘れてないよ。私の顔、跨いで」
恥ずかしがりながらもメアリは私の顔に跨った。秘部からとろりと糸を引いて、愛液が顔にこぼれる。
「ふふ、可愛い。メアリもすっごく感じちゃってるね」
両腕で抱えるようにメアリの太ももを掴み、秘部に顔をうずめてキスをすると、メアリが「ひゃんっ」と可愛い声を上げた。
「あ♡――ふっ、う………カタリナ様が、わたくしを舐め回して――! あぅっ♡…あーっ♡……舌、入ってっ! 夢みたい! 夢みたいに気持ちいいです!」
メアリの濡れ方が激し過ぎて、溺れてしまいそうだ。
メアリが自分で陰核を剥き出す。
「お願いします、カタリナ様っ! ここに! ここにキスをください!」
ちろちろと舌を這わせ、チュッチュッと吸うと、メアリが仰け反って歓喜の声を上げる。
「ああぁっ♡ カタリナ様がわたくしの秘部を舐めて、吸ってる♡ 幸せ過ぎて、わたくし、もうっ……!」
カクカクと腰を震わせたメアリが絶頂し、くたりと脱力して隣に倒れ込んだ。
「――義姉さん、僕の事も忘れないでね」
メアリに気を遣ってペースを落としていたキースの抽送が、再び激しさを増す。
ぺろっと舐めた指先でプリプリと陰核を弄りながら、再び激しく腰を打ち付けられ、えぐられると、否が応でも身体の芯がきゅんきゅんと昂ってしまう。
「や、キース!? 奥えぐりながら、そこ弄るの、だめ!!」
「うぁっ――義姉さんの中っ、締まる! そ、そんなに締めたら、僕――」
ビクンッ、と力強く脈打ったと思った瞬間、お腹の奥に熱い精液がドク、ドク、と流し込まれる。
「――あ、れ? 義姉さん、今、絶頂できなかった?」
荒い息を吐きながら、キースが申し訳なさそうな顔をした。
「でも大丈夫だよ。僕、まだまだ頑張れるから」
キースは今まで見た事がない欲望に燃えた瞳で微笑む。
「……え?」
「義姉さん、ちょっと両手を頭の後ろで組んでみて」
「う、うん」
言われた通りにすると、そのままキースは両膝の裏に手を入れ、下半身を仰向けにした。
「!?」
――動けない!?
組んだ手は頭の下で解く事ができず、秘部を隠す事もできず押さえつけられ、脚を広げられる。
「やだやだ! この格好、恥ずかしい!」
「そうだね、恥ずかしい部分を丸出しにして、僕と繋がっているのも丸見えで――ゾクゾクしちゃうね、義姉さん」
言いながら、キースのものが膣内で更にむくむくと大きくなっていくのが分かる。
キースは圧し掛かると、ずるると陰茎を引き抜いて、完全に抜け切る手前でグリグリと亀頭とカリで浅いところを擦り始めた。
「ちゃんと覚えたよ、義姉さん気持ちいいところ」
「んっ――そこっ! だめ! すぐキちゃう! キちゃうの!」
充分に昂っている事を確認したキースは、グッと陰茎を奥に入れてから手で下腹部を押し、お腹の裏を削るようにゆっくりと引き抜いていく。
クン、と浅いところを強く擦りながらブルンと陰茎が抜ける瞬間、目の奥に星が飛んだ。
温かい水が自分に降り注ぐ。
「ふふ、やっぱり潮、吹いたね」
嬉しそうに微笑むキースを、メアリが嗜める。
「キース様、立て続けにしては、カタリナ様のお身体に負担が」
メアリがグラスの水を差し出した。
「カタリナ様、お水をどうぞ――あら、このままでは飲めませんわね」
水を口に含んだメアリが口移しで飲ませてくれると、ついでに浴びてしまった潮もタオルで拭き取ってくれる。
「思い通りに義姉さんを吹かせちゃうのも楽しいけれど――やっぱり深く繋がりたいよね」
キースは足首を掴むと、真上から激しく突き立て始めた。
ゴリゴリと膣壁を擦りながら、子宮を叩くように突く。
「――待って! 待って! こんな激しいのっ無理だよ、キース! 壊れちゃうよぉ!」
「ああ、いいね。一緒に壊れちゃおうよ。他に誰もいないこの島で誰の目も気にしないで、いやらしい声で思う存分喘いで、恥ずかしい部分をさらけ出し合って、気が変になるくらいいっぱい絶頂して――三人でずっと、気持ちいい事だけしていよう?」
「そんな――」
「無理だって思う? 無理じゃないよ―――義姉さんさえ望んでくれるなら、僕は全てを捨てたって構わないんだ――」
激しく突き立てられ、えぐられ、擦られて、お互い何度も絶頂しているのに、キースの抽送は止まらない。
「痙攣、凄っ――また絶頂したの、義姉さん? もう何度目?」
「分からないよぉ! もう、何もっ、分かんない!」
頭の中がチカチカするのが止まらなくて、もうずっとイッたまま降りてこられない。イッたまま後から後から絶頂の波が押し寄せてくる。
「それでいいよ。何も考えないで。義姉さんはただ気持ちよくなってくれれば、それでいいからね」
そう言うとキースはしっかりと奥まで挿入したまま腰を回して、子宮口を責め始めた。
「キ、キースっ! そんな奥で――グリグリしないでっ」
「だって僕の形、覚えさせなきゃ……こうしていっぱい掻き混ぜて、奥まで刻み付けて、染み込ませておかないと、義姉さんはすぐに夢だと思って忘れちゃうから」
「いけませんわ、キース様! これは“一夜限りの夢”なのですから――」
メアリに言われ、キースが我に返る。
「そう――そうだったね、メアリ」
キースは深く息を吐いた。
「義姉さん、今夜はこれが最後――僕の全部を出し切るから。奥の奥で受け止めて……!」
体力の全てを使い切るような抽送で、痣になってしまいそうなほど激しく腰を打ち付ける音が響き、愛液と精液が混ざり合う濃い匂いが充満する。
メアリが再び私の顔に跨り、秘部を押し付けた。
キースの激しさを見て興奮してしまったのか、少し舐め回しただけでプシャッと愛液が噴き出すように溢れ出す。昂った身体を持て余したメアリは、私の鼻にグリグリと陰核を当てて、自分で快楽を貪った。
「カ、カタリナ様! キース様っ! 一緒に♡ 一緒にっ…♡♡」
メアリとキースが、ブルルッと震えた。
「んあぁぁ♡ カタリナ様ぁ!」
「僕も、もう――!」
「私もっ――イックっ♡ くぅッ」
メアリが仰け反ると同時に、私もガクンッと身体が跳ね上がる。
キースの長くて熱い射精が奥で弾け、もういっぱいになっている子宮へと注がれ、溢れる。
三人同時に絶頂し、ベッドに倒れ込んだ。
静かな部屋に荒い息だけが響く。
「ご褒美……ありがとう、義姉さん」
「素敵な夢でしたわ、カタリナ様……」
気が付くと、窓の外はもう朝の光が満ち始めていた――…
”遭難して凍える身体を温め合う”の黄金(?)パターンです。:;(∩´﹏`∩);:
あまり深刻な遭難だとお話がシリアスになり過ぎるので、ちょっとぬるめです。
このカップリング、メアリがキモだなあと思いながら書き始めましたが、思った通りメアリがこのシチュをなかなか受け入れてくれず、思った以上に駄々をこねて、なかなかイチャイチャが進みませんでした。
(ノД`)・゜・。ゼッタイニ ユルサナインダカラネ!