※この作品はR-18です。

乙女ゲームのR-18ルートに突入してしまった… 《もしかしたら あったかもしれない『はめふら』R-18ルート》   作:帆速やこぬ

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extra story 美形兄妹と温泉でしっぽりしてしまった… 《ニコルとソフィア編》

――自分の気持ちを抑えきれなくなったあの夜、カタリナ様はわたくしに言ってくださった。

 

“答えが出せるまでは今まで通り、一緒にいたい”と。

わたくしの気持ちを知った上で、これからの事を“真剣に考えてくださる”と。

その為に“時間が欲しい”、とも。

 

そうして気持ちを受け止めていただいてから、わたくし自身も改めて真剣に、自分と向き合った。

何度も何度も自問し、辿り着く答えはいつもひとつだった。

 

――わたくしにとって、一番の幸せは――…

 

 

 

 

「――このお部屋、露天風呂付きなんですよ、ニコル様!」

 

冬も深まり、雪の降り出す季節。

最近なんだかお疲れ気味のニコルが心配で、ソフィアと計画して、温泉で有名な街に泊まりがけで訪れた。

予約した部屋は離れになっていて温泉街の喧騒も遠く、静かに気兼ねなく過ごせるはずだ。

 

「ああ、雰囲気もいいし、とてもいい部屋だ。ありがとう、二人とも」

 

ふわりと微笑むニコルに、ソフィアと二人、手を合わせて喜ぶ。

「やりましたね、カタリナ様! お兄様に喜んでいただけましたわ!」

「そうだね、ソフィア」

 

旅装から街歩き用の軽装に着替え、さっそく古い街並みを散策しに出掛ける。

「あ! ソフィア、それ、この前一緒にお買い物に行った時に買ったケープ?」

「そうです! カタリナ様に選んでいただいたものです! とっても気に入っていますわ」

その場でくるりと回って見せるソフィアが可愛い。

「うん、深緑色のベルベットがソフィアの綺麗なルビー色の瞳を引き立てて、凄く似合ってるよ!」

にこにこしているソフィアの隣で、なぜかニコルがぴくりとしてから、目を逸らした。

「……?」

 

その後、街を歩いていてもニコルの態度はどこかよそよそしく、心ここにあらずという感じだ。

――どうしちゃったんだろう……?

「ニコル様、疲れてしまいましたか? もう宿に戻りましょうか?」

「あ、いや、すまない。大丈夫だ。少し考え事をしていただけだよ」

「お兄様?」

心配そうに見上げるソフィアの頭を撫でながら、ニコルが微笑む。

――ニコル……本当に、疲れた顔……

何か、悩み事かな? それとも仕事がハードなのかな?

どちらにしても、癒す為に来た旅行で疲れさせてしまうのは、望むところではない。

 

「あー! 大変! 私、お母様に手紙を出すように頼まれて預かっていたのを忘れていましたわ! 宿に取りに戻らないと!」

ややわざとらしかったけれど、空気を読んだソフィアが話を合わせてくれた。

「それでしたら、夜には街全体がライトアップされて、とても風情があって素敵だと聞きましたから、御夕食の後でまた街に出ませんか」

ニコルを振り返り、両手を合わせる。

「申し訳ありません、ニコル様。宿に戻ってもよいでしょうか?」

「そういう事なら……」

 

 

宿に戻ると、お腹も空いたので少し早いが夕食にしようという事になった。

宿の中にあるレストランへ移動する。

「わあ、美味しそう!」

「外が寒かったので、温かいお料理が嬉しいですわね」

 

焼き野菜とアンチョビのサラダに始まり、バターを使った濃厚なソースの川魚料理、温泉で蒸し焼きにしたステーキ、チーズをたっぷり絡めたパスタなど、温泉の熱を利用し、寒さを味方につけた濃厚な料理が多かった。

 

デザートのカラメルソースがたっぷりかかったカスタードプリンに舌鼓を打っていると、「少し、いいだろうか」と、ニコルが思い切ったように言い出す。

 

「あの離れ、主寝室にキングサイズ、もうひとつの寝室にクイーンサイズのベッドが1台ずつしかないようなのだが――」

「あ、部屋割りですか? もちろん、ニコル様には主寝室のベッドでゆっくりと休んでいただくつもりです!」

「いや、主寝室のベッドは俺ひとりではさすがに広過ぎるから、カタリナとソフィアで使ってもらって――」

「いいえ! 今回の旅行はお兄様を癒す為に計画したのですから、お兄様が主寝室を使ってください!」

「……そうか、分かった」

勢いに押されるように、ニコルが頷いた。なぜか、複雑そうな顔をしている。

――もしかして、ソフィアと寝たかったのかな?

そんな事を考えながら離れに戻る途中、ニコルの独り言が偶然耳に入った。

 

「やはり、二人は……」

 

 

 

――いくつものランタンが灯って辺りを照らし、粉砂糖を振りかけたのように雪の積もる庭を幻想的に浮かび上がらせている。

まずは大浴場に行ってみたいというソフィアとカタリナを見送り、部屋で服を脱いでタオルを巻きつけると、庭の露天風呂に出た。

掛け湯をしていると部屋の方の戸が開く音がしたので、何か忘れ物でもした二人が戻ってきたのかと振り返ると、髪を上げタオルを巻き付けたカタリナが少し恥ずかしそうにしながらこちらに近づいてきた。慌ててタオルを腰に巻く。

 

「カタリナ!? ソフィアと大浴場に行ったのでは…!?」

「大浴場へは、ソフィアひとりで行ってもらいました」

 

状況が分からないが、とりあえず肌を見てはいけないと思い、顔を逸らす。

音から察するに、掛け湯をし、タオルを巻き直したカタリナは、固まっているこちらの手を引いて露天風呂に誘う。

「ニコル様、早く入らないと凍ってしまいますよ?」

「え? ……ああ……」

思考が停止したまま、冗談めかすカタリナに強引に湯に引き込まれる。

 

「んんん~…いいお湯ですね~」

「………うん」

目のやり場と会話に困りながら、ふわりふわりと雪が落ちる様子をしばらく並んで眺めていたが、すぐに耐えきれなくなった。

 

「カタリナ――どうして、こんな……」

「たまにはニコル様と二人だけでお話しがしたいなあって思って」

「こんな事をしなくても、言ってもらえればきちんと時間を作ったが――」

「でも、ここなら――逃げられないでしょ?」

思わず顔を上げ、目に入ってしまったカタリナの悪戯っぽく微笑む上気した頬や、首筋から胸元の柔らかな曲線へ伝う水滴に、ドキリとする。

 

「……それで、話というのは?」

動悸と昂りがばれない事を祈りつつ、話の先を促す。

少し言いづらそうにしていたカタリナは、意を決したように話し出した。

「あの……ニコル様、最近ソフィアと、何かありました?」

「最近――いや、特に何もないが……」

嘘だ。

だけど、本当の事は言えない。相手がカタリナだからこそ、言えない。

「ソフィアが、“お兄様が最近、よそよそしい気がする”って、落ち込んでいて……」

「っ!」

迂闊にも軽く反応してしまう。これでは肯定しているようなものだ。

考えないようにしていたあの日の光景が鮮明に思い出される。

 

――馬車の中、ウトウトとまどろんでいた俺の前でこっそりと口づけをしていたソフィアとカタリナ――内気なはずの妹の方がむしろ積極的にカタリナに迫って、友人以上の口づけを――恋人のような濃厚な口づけを交わして――これは夢だと自分に言い聞かせながら、俺は眠っているふりを続けて――…

 

思い出す度に湧き上がる感情――悲しみ、寂しさ、悔しさ、嫉妬が複雑に混じり合い、今は虚無感と孤独感に陥っていた。

 

正直に言うと、あれから夜もよく眠れていない。

目を閉じればあの日の光景が蘇り、焼けつくような胸の痛みを感じながら自問する。

 

大切な妹が自分に隠れて、最愛の女性と付き合っていた? 二人は愛し合っていた?

ずっと俺に嘘を吐き、それを隠していた? 一体いつから?

ソフィアは俺のカタリナに対する気持ちだけでなく、カタリナがジオルドの婚約者である事に葛藤している事も知っているはずだ。

それでもいつも、俺たちの仲を望むような事を言ったり、背中を押してくれていた。

あれは全て嘘だったのだろうか?

出し抜く為に応援していると見せかけ、怪しまれない為に気を緩ませていただけだった?

“お兄様”と信頼を込めて呼んでくれていると思っていたのも、大切な家族だと思っていたのも俺だけだった?

信じていたものが硝子のように砕け、もう元には戻らないという喪失感。

妹の幸せを祝福したいのに、素直に喜んでやれない罪悪感。

裏切られたと同時に感じる、ソフィアの気持ちに気付いてやれなかったという後悔と後ろめたさ。

 

受け入れる事も突き放す事もできずに気持ちをひた隠して、演技などできない自分が、必死に今まで通りのニコル・アスカルトを演じている。

 

心も身体も疲弊しきっていた。

 

 

「もし何かあったのなら、話していただけませんか? 私にできる事ならなんでも協力しますから――…」

真正面から両手を取り、真剣な顔でカタリナが身体を寄せる。

ランタンの明かりとちらちらと降る雪を背景に、濡れて火照った肌のカタリナは今まで見た事がないほど綺麗だった。

「カタリナ――本当に綺麗だ」

手を伸ばし、頬に触れる。

 

「君が欲しい」

 

言葉が勝手に口から出ていた。

疲れ過ぎた心が、今まで押し殺してきた気持ちを止める事ができなかった。

無意識に言ってしまってから、急に取り返しのつかない言葉を発した事に気付く。

「俺は今、何を――!? 違うんだ! 今のは忘れてくれ!」

だが驚いた表情のカタリナは、なぜか微笑んだ。

「いやです。絶対に忘れません」

次の瞬間、カタリナに抱き締められていた。

「え?」

「ニコル様が初めて私を“欲しい”と言ってくれたのに、忘れたくなんてありません」

「カタリナ? だって君は――」

――その続きを言ってもいいのか? それは知っているとバラす事だぞ

胸の内とは裏腹に、口が止められなかった。

「――ソフィアと、付き合っているのだろう?」

「もちろん、ソフィアは一生付き合っていきたい友人です」

言葉の選択が悪かったのか違った解釈をしたカタリナに、これ以上はいけないと頭では分かっているのに一歩踏み込んでしまう。

「この前、街に買い物に行った帰りの馬車の中で見てしまったんだ。二人が、その……口づけを……」

カタリナはキョトンとしてから、“ああ!”と全てを理解したような顔になった。

「ニコル様は、私がソフィアと“恋人として”付き合っていると、勘違いされているのですね?」

「勘違い? だがあれは、確かに恋人の口づけで――」

 

「……それは、こういうのですか?」

 

――カタリナの綺麗な水色の瞳に、自分が映っているのが見える……

そう思う間に瞳は閉じられ、その代わりに温かいものが唇に押し付けられた。

気付くと俺は、カタリナと唇を重ねていた。

一生触れる事は許されないと諦めていたその唇に触れているのだと思った瞬間、理性が飛ぶ。

我を忘れてその肩を掴み、腰を引き寄せて、カタリナの柔らかな唇をついばんでいた。

「っ――ふっ………んぅ」

勢いに押されたように軽く息を吐いたカタリナの唇の隙間に舌を挿し入れ、貪る。

しばらくそうして愛しい人の唇と舌を味わっていると、力が抜けたようにカタリナが身体をくたりと預けた。

「ニコル、様……」

小さく呼ばれて、急に我に返る。

「す、すまない、カタリナ――」

耳元で聞こえる甘く乱れた吐息と、胸に押し付けられた柔らかな乳房の感触をタオル越しに感じていると、カタリナが囁いた。

 

「……恋人のキス、しちゃいましたね」

 

「っ~~~!」

カタリナの微笑みは、一転して真顔になる。

「ニコル様は誤解しています。私とソフィアは恋人ではありませんわ」

「だが――」

言いかけた口を指で押さえると、カタリナは入り口の方に向けて声を上げた。

 

「私が話してしまっていい? それとも自分で伝える?」

 

振り返ると、ソフィアがおずおずと部屋から出てきた。

「お兄様……」

「ソフィア……」

なんと声を掛けていいのか迷っていると、ソフィアが身体を折った。

「お兄様、申し訳ありません! そんな誤解をさせてお兄様を苦しめていたなんて……!」

涙を溜めた目で、ソフィアは真っ直ぐに俺を見た。

「全てお話しいたしますので、聞いていただけますか?」

頷く以外の選択肢はなかった。

 

 

 

お兄様に全てをお話しした。

 

子供の頃からお慕いしているカタリナ様への気持ちが、いつしか欲望を伴っていた事。

想いが抱えきれなくなったある夜、一度きりのつもりで眠っているカタリナ様に一方的に肌を重ねた事。

途中で目を覚ましたカタリナ様が、優しく抱き締めて想いを聞いてくれた事。

カタリナ様がわたくしの事を“真剣に考える”と約束してくださった事。

 

「伝えた想いをしっかりと受け止めていただいて初めて、わたくしは冷静に自分の気持ちに向き合う事ができました。そして気付く事ができたのです。結局のところ、わたくしの一番の望みは――」

小さく深呼吸する。

 

「――お兄様とカタリナ様が結ばれる事だと」

 

「ソフィア……」

「わたくしの視野と世界が狭かった為に、カタリナ様を好きだと思う気持ちを無理矢理型にはめ込んで、思い詰めてしまっていただけだったのです。だから――」

言葉の続きを、カタリナ様が引き取った。

 

「――だから、要するに私は、ソフィアに振られてしまったんです」

 

 

 

さすがに冬の夜空の下で長話はつらいので、ソフィアには一緒に温泉に入る為に部屋で服を脱いできてもらう。

 

ソフィアを待つ間、ニコルが身体を洗い始めたので、ちょっと悪戯心が湧いてしまった。

そっと後ろに忍び寄って、声を掛ける。

「――ニコル様っ」

「わあ!? ――頼むよ、カタリナ。本当に心臓に悪い」

パッと前髪を後ろに掻き上げたニコルは、とてつもなくかっこよかった。

「すみません、そんなにびっくりすると思わなくて。お詫びに――背中を流しますね!」

ワシワシと海綿を泡立ててみせると、ニコルは複雑な表情をしたが、強引に押し切って背中を洗い始める。

――わあ、陶器みたいにスベスベで綺麗な肌……それに引き締まっていて肩甲骨のラインとかすっごくセクシー……

思わず見惚れ、ずっと見てきたはずなのに見慣れない、その背中の大きさに改めて気付く。

――私たち、もう子供じゃないんだな……

寂しさを感じて手を止めてしまうと、ニコルが振り返ってそっと海綿を取った。

「ありがとう、カタリナ。ところで……さっきの話だけれど」

「あ、はい」

「なんとなく話は理解したつもりなんだが……君とソフィアが口づけをしていたのはどういう理由なのだろう? 二人は恋人未満というか、候補という感じに聞こえたのだが……」

「えーと……」

 

最初から全部説明したら、眠り薬を使った事とかソフィアが怒られてしまう気がする……それに私から言い出した事だし……あの場でそう言わないとソフィアがまた思い詰めてしまいそうだったから……

 

なんて説明したらいいのか分からず言い淀んでいると、タオルを巻いたソフィアが来て、助け舟を出してくれた。

「それは女の子の秘密ですわ! お兄様たちだって一緒にお風呂に入ったら、ご自分たちの“持ち物”のご立派具合を確認したり、飛距離を比べたりされるでしょう?」

きっぱりと言い切ったソフィアに、ニコルが真っ赤になる。

「しないよ!? というか何の飛距離!?」

ソフィアはにっこりと笑う。

「――お待たせいたしました。使用人たちには下がってもらったので、もう何も気兼ねする事はありませんわ」

 

 

改めて三人で温泉に浸かる。

「ふう……いいお湯ですわね」

「あー、私も同じ事、言った~」

「……いつの間にか、雪、止んでいたんだな」

ちらちらと降っていた雪は止み、途切れた雲の隙間から星が見え始めていた。

三人で夜空を見上げる。

 

「……どこまでお話ししたのでしたっけ?」

「俺とカタリナが結ばれる事が、ソフィアの一番の望みだ、というところまでかな」

「あ、そうでしたね」

「ソフィアにそう告げられてから、私も凄く考えました。愛するという事も、ニコル様の事も」

「俺の事も?」

 

「きっかけはソフィアの言葉でしたけど、でもニコル様の事を考えるうち、いつも穏やかな瞳で見守っていてくれるところも、目が合った時に優しく微笑んでくれるところも、静かに話を聞きながら楽しそうにしてくれるところも、一緒にいると穏やかで優しい時間がゆっくり流れる感じが、凄く凄く好きだなあって気付いて――」

 

顔を赤くしているニコルの手を両手で取って、握る。

 

「私、ニコル様が好きです」

 

「―――…」

驚いた顔のニコルがふわっと微笑み、「夢みたいだ……」と呟いてから真っ直ぐに私を見つめた。

 

「俺もだ、カタリナ。君を愛している」

 

 

「……まさか半裸で愛の告白をする事になろうとは思わなかったな」

ニコルが苦笑する。

「いいではありませんか。お兄様のお気持ちがようやくカタリナ様に届いたのですから。あ、でも本当の意味ではまだ結ばれていませんわね」

「本当の意味? 口づけなら、むしろ告白よりも先に済ませてしまったが――」

「すみません、勢いというか流れで――」

気恥ずかしさでお互い俯いてしまうと、ソフィアだけが首を傾げている。

「? ……結ばれるって言ったら、それは―――あ!」

パッと顔を輝かせたソフィアが、両手を合わせた。

「そうですわ、お兄様! わたくしたちで、カタリナ様を洗って差し上げませんか?」

――え~~~!?

「きゅ、急に何を言っているの、ソフィア!? ニコル様も、ソフィアを止めてください!」

「いや……さっきカタリナに背中を流してもらったのだし、お返しをしないといけない気がする……」

「ニコル様まで!?」

 

 

――なんでこんな事に……

ニコルとソフィア、二人がかりで身体を洗われ、海綿のくすぐったさをこらえる。

「今回は私がニコル様を、いっぱい甘やかして癒してあげるつもりだったんですよ…?」

「ありがとう。その気持ちだけで充分癒されたよ」

「カタリナ様、タオル、外しますね」

「ええ!?」

前を隠していたタオルを容赦なく取り上げられ、大切な部分を腕で覆うとニコルがごくりと唾を飲む。

「ソフィア……恥ずかしいよぉ……」

「恥ずかしがるカタリナ様も愛らしいですわね、お兄様!」

「う、うん」

ニコルが照れくさそうにこちらを見ながら頷いた。

「さっきも言ったけれど――本当に、とても綺麗だよ、カタリナ」

「~~~~~~っ」

――恥ずかしい! けど、嬉しい!!

 

「さあ、お兄様。女性の身体を――特に敏感な部分を洗う時は、手に石鹸をつけてよく泡立て、指先や手の平で優しく洗ってくださいませ」

「なるほど。分かった」

「カタリナ様、両腕を上げていただいてもよろしいですか?」

「うう……はい……」

真後ろに移動したニコルが泡の手を鎖骨、わきの下、乳房を優しく洗っていく。

ぬるぬると肌を滑り、感触を確かめるような手つきに、きゅんきゅんと身体が熱くなってしまう。

――これだけで、イッちゃいそう!

ピク、ピク、と腰が浮いてしまう様子を見て、ソフィアの手が足を洗い始めた。ソフィアの細い指に指の間をぬるぬると擦られる度に、ゾクッとしてしまう。

「ソフィア、そこは自分で洗うから……!」

「いいえ、全て、わたくしたちに任せてください」

ソフィアの手がどんどん上がってきて、すぐに太ももまできた一方、ニコルの手は念入りに乳房を洗って――いや愛撫している。

「ニコル様……胸ばかり、そんなに――」

「すまない、カタリナ――手が吸い付いて離れないんだ――」

「仕方がありませんわ。お兄様はカタリナ様の美乳を初めて見て、触れるのですもの」

「び、美乳!?」

「そうですわ! 形、大きさ、触り心地――どれをとってもカタリナ様のお胸は素晴らしいですわ!」

自分では分からないけれど、二人に褒められ、身体中を愛撫されて、昂りが止まらない。

「――お兄様、そろそろ先っぽも洗って差し上げては?」

「こう、かな?」

ニコルが乳首を指先で弾くように擦る。

「んぁっ!」

石鹸のぬるぬるとした感触が、期待で敏感になり過ぎた乳首に触れるだけで、はしたない声を抑えられないほど気持ちいい。

「…っと……」

「ん?」

「もっとして……強くしてください、ニコル様……♡」

完全にスイッチが入ってしまい、自分を止められない。

少し遠慮がちに触れていたニコルの指が、クニクニと乳首を潰すようにつまみ上げる。

「あああぁぁ♡ いいっ! それ好きっ!」

「そうか、そんなに乱れてくれると嬉しいな。もっともっと乱れさせたくなる」

「――こちらも、お兄様に触れられるのを心待ちにしていらっしゃるようですよ?」

いつの間にか両脚を広げられ、太ももの付け根までを焦らすように手の平を滑らせていたソフィアが、脚を閉じないように膝を押さえた。

「そ、そこは―――あぁっ♡」

ニコルの手が身体の中で一番柔らかく敏感な部分に滑り込む。

「カタリナ……このぬるぬるは、石鹼ではないね?」

石鹸とは明らかに違う透明のトロトロが、泡に混じって糸を引く。

「はあっ――はっ♡ ――あっ♡―――っ♡」

――身体、熱い……洗ってもらうだけのはずなのに……おかしくなりそう!

ぬちゅぬちゅと音を立てて秘部を擦られ、お尻がビクビクと浮いてしまう。

「……凄いな、どんどん溢れてくるよ……ねえ、カタリナ」

「は、い……」

「もう身体を流して、続きは部屋でしようか。ここを、全部俺が舐め取って綺麗にしてあげる」

 

 

 

キングサイズのベッドに、カタリナと二人、もつれ込んだ。

「あっ――ぁんっ♡……やぁ――♡」

カタリナの脚の間に顔をうずめて、たっぷりと濡れた秘部を舐め回し、啜ると、彼女は聞いた事のないほど甘い声を上げた。

石鹸の香りよりも強く香る甘酸っぱい濃い匂いに酔いながら、目の前で愛しい人が脚を広げている光景に、眩暈がしそうになる。

――常に一歩下がり、眺める事しか許されなかったはずの自分が、愛しい人の綺麗な身体を――何も身に着けていない姿を見て、触れて、狂わせている――…

幸福感と興奮で、もう何も考えられなかった。

 

身体を洗っていなかったソフィアは、まだ露天風呂にいる。

出る時にこちらにこっそり「初めてはお二人で」と耳打ちされたので、上がってくるのはもう少し後だろう。

 

「ああ、ここ――こんなに硬くして……」

「んんっ!」

舌先が陰核を軽くかすっただけで、身体がビクリと跳ね上がる。

――可愛い……

瞳を潤ませ顔を赤らめてよがるカタリナが可愛くて、見た事のない表情をもっと見たくなる。

「――どうされるのが好き? 俺に教えて?」

「ニコル様が求めてくれていると思うだけで、触れる何もかもが気持ちいいです……」

そう言いながらも恥ずかしそうにしていたカタリナは、思い切ったようにねだってきた。

「あの……陰核を舐めながら吸われるの、一番好き、です♡」

思わずくすりと笑ってしまう。

「いいよ、たくさんしてあげる」

ベッドヘッドにいくつも並んでいる枕をひとつ取り、カタリナの腰の下に入れる。

「あっ」

秘部が目の前にくると、反射的にカタリナが隠そうと手を伸ばす。

「駄目だよ、カタリナ。君がねだったのだから。それとも広げてくれるのかな?」

「うう……は、はい……」

「――――…」

――あのカタリナが、恥ずかしそうに震える指で、恋人にしか見せない部分を広げて、俺を求めている――

理性が、飛んだ。

「あぁ!? ニコル様!? 急にそんな、強く吸ったら――っ!」

気付けば太ももを両腕で抱え、音を立ててむしゃぶりついていた。

「ふっ、んんーっ……んっ! …んぅっ♡ ――あっ♡ あぁっ♡ ニコル様っ、クる! クる!

キちゃうぅ…!」

――来る? 何が?

カタリナが、ビクンッと大きく身体を震わせた。

真っ赤な陰核がヒク、ヒク、と痙攣し、オーガズムを迎えた事を物語っている。

枕を外すとクタリと脱力し、荒い息を吐きながら微笑んだ。

「ニコル様……とっても気持ちよかったです……♡」

「それはよかった」

 

 

 

――ニコルが可愛い……

嬉しそうに微笑むニコルに、きゅんきゅんきてしまう。

露天風呂でもベッドでも、愛おしい、大切にしたい、という気持ちが伝わってくる愛撫に心も身体も昂って、応えてあげたくて仕方がない。

――こんなに気持ちよくしてもらったのだから、次は私がしてあげたい!

「ニコル様、何か私にして欲しい事、ありませんか?」

「え?」

「なんでも言ってください。私もニコル様を気持ちよくしたいです♡」

「なんでも? それはとても魅力的な提案だね」

ニコルは微笑んでから少し困ったように視線を泳がす。

「急に言われても……いや、ない事はないのだが……むしろたくさんあり過ぎるというか――…あ」

「なんですか!? 今、“あ”って言いましたよね!? なんでも仰ってください、ニコル様!」

「いや、でも……」

「私にできる事なら、どんな事でもしますから!」

「さすがに引かれてしまうかも……」

こんなに言い淀むなんて、なんだろう? 口でシて欲しいとかかな? それとも胸とか?

「私がニコル様に惹かれる事はあっても、引く事なんて絶対にないです!」

「そう? そこまで言ってくれるのなら――」

恥ずかしそうにニコルが言う。

「では、その……カタリナがいつも着けている長手袋……」

「手袋?」

「あれを着けた手で、その――手淫、を……」

「!!?」

――ニコルがなんかマニアックな事、言ってる…!

そんなマニアックなプレイをおねだりされて嬉しいと感じてしまっている私は、もう充分ニコルに溺れてしまっているのだろう。

 

 

「――じゃあ、しますね」

裸に長手袋だけを着けている格好が少し恥ずかしいけれど、ニコルのいつもの静かな瞳に期待と欲望が燃えているのが分かって、少し嬉しい。

ベッドに腰かけたニコルの陰茎は、すでに硬く勃起していた。

手袋の生地を滑らせるように陰茎を握ると、声にならない喘ぎを漏らす。

「――ッ! ぅ……う……」

手袋越しなのに凄く熱いのが伝わってくる。

サリ、サリ、と擦り上げていると、あっという間に反り返って先走りが溢れ始めた。

――男の人も、こんなに濡れるんだ……

「ニコル様、どんな感じですか? ちゃんと気持ちよくできています?」

「……サラサラの布地が擦れて、凄くいいよ――くっ」

「生地が擦れるの、痛くはないですか?」

「むしろ繊細な布地の感触が、気持ち、いい」

フッ、フッ、と詰めた息を漏らしながら答えるニコルの反応に気をよくして、私も俄然やる気になってくる。

両手の指を組んだ状態で、竿を包み込むように握って、擦ってみた。

「っうあ……ぁうう………」

「わあ、どんどん硬くなりますね、ニコル様」

「……嬉しそうだね、カタリナ」

「嬉しいですよ。ニコル様が気持ちよさそうにしてくれているんですから」

「そうか、俺と同じだな」

「同じ?」

「カタリナが――愛する人が悦んでくれると、限界以上に頑張りたくなるし、頑張れる」

二人、顔を見合わせて笑う。

「痛くないなら――こういうのはどうですか?」

亀頭を手の平でシュルシュルと撫で回すと、ニコルは声を上げて仰け反った。

「あぐっ! ――う、ぅっ!」

――喘ぐニコル、可愛い! もっともっと気持ちよくしてあげたい!

もう片方の手で竿も擦り、両手でニコルを責める。

「ニコル様、これは? これはどうですか?」

「うあ! ああ! 駄目、カタリナ! 待ってそれ、よ過ぎるっ! もう! ―――ぐッ!!」

ビクンッと大きく震えた陰茎が精液を噴き出しながら、ガクガクとニコルが絶頂した。

長手袋にたっぷり染み込み、伝い、ドロドロと絡みつく。

「すっごい、出ましたね――ふふ、余裕のないニコル様、初めて見ました」

「……そう…か?」

ハッ、ハッ、と息を切らせながら、ニコルが苦笑する。

「――俺はいつだって余裕ないよ。精一杯、そう見えるよう振る舞っているだけだ。特にカタリナの前では、情けないところは見せられない、年上らしく落ち着いてみせないと、って気負っていたよ」

ニコルは言葉を切り、目を伏せた。

「――がっかりさせてしまったか?」

「いいえ、もっと大好きになりました」

「え……」

「ニコル様がずっと私を意識してくれていたんだって分かって、もっと大好きになりましたわ」

「―――…」

いつの間にか抱き寄せられ、私はニコルの腕の中にいた。

石鹸と、ニコルの匂いに包まれて、胸がドキドキと鳴る。

「――カタリナ、今夜は俺の全てを君に注がせてほしい」

耳元に甘い声で囁かれ、背筋がゾクリと震えた。

「はい。ニコル様の全部、私にください」

答えると、どこからか声がした。

 

「……わたくしの事も忘れないでください……」

 

ひょこりとベッドの縁から、少し情けない顔でソフィアが顔を出していた。

「忘れてない! 忘れてないから!」

慌ててソフィアの手を取り、ベッドに上げると、キョロキョロとシーツを確かめたソフィアの顔が青ざめる。

「え? え? まさかとは思いますが――お二人はまだ、結ばれていらっしゃらない?」

「えっと……はい」

「ええ!? あんなに時間を空けたのに!? お風呂で前戯もしたのに!?」

驚いたソフィアに、ニコルと二人でお説教される。

 

「お兄様! 確かに今まで障害が多かったので、なかなか踏み出せないのは分かります! ですがお気持ちが通じた今、何を躊躇する必要があるのです? こういう事は勢いも大切なのです! お互いに昂ったお気持ちのまま、ドーンと押し倒してしまえばよいのです!」

「いや、勢いって……」

言いかけたニコルがギッとソフィアに睨みつけられて、黙る。

「うん……はい」

 

「カタリナ様も! カタリナ様はもちろんとても素敵で魅力的ですが、お兄様のお気持ちを常に惹きつける為には、お二人だけの時間を重ね、絆を深める事が大切なのです! 絆を深めるのに最適な方法こそ、身体を許し、他の人には見せない部分を見せ合う事ですわ! いわば“既成事実”です!!」

何か違う気がするけれど、とても口を挟める雰囲気ではない。

 

「カタリナ様がお兄様を一番に選んでいただけた事は本当に嬉しいですし、それがわたくしにとっても一番の幸せですので、“お兄様の次”だからこそ、わたくしは二番目でよいのです。ですから、わたくしの最愛の方と最愛のお兄様が結ばれる為のお手伝いを、させてください!」

 

 

 

「ちょっ――待て! ソフィア!? 兄妹でそれ以上は――!」

制止の声を無視して、カタリナ様と二人、お兄様の陰茎にぺろぺろと舌を這わせる。

――あ……カタリナ様の舌に当たる……

時折カタリナ様の唇と舌が触れるのが嬉しくて、わざと激しく口を動かす。

カタリナ様と合わせて竿を舐め上げたり、亀頭や裏筋のところをねろねろと舌を擦り付けるように舐めたり、チュッチュッと吸ったりするうち、お兄様の陰茎はすぐに元気になった。

「ニコル様……もうこんなに硬く……」

「カタリナ様、先っぽをどうぞ」

はむ、とカタリナ様が亀頭を咥え、そのまま深くまで飲み込む。

「カ、カタリナ!? そんな奥まで――!?」

「ひもひひい、れふは?」

「ああ! 凄いっ! 気持ちいいよ! もっと――もっと吸って!!」

ジュボッジュボッと卑猥な音を立て、唾液と先走りでお顔をべとべとにしながらカタリナ様がお兄様を一生懸命悦ばせようとしている姿に満足し、邪魔にならないようにわたくしは睾丸に舌を這わせ、口に含むと、その感触に思わず驚いてしまう。

「わ……カタリナ様、ここ凄いです。硬くて、重くて――精子がたくさん詰まっているのが分かりますわ!」

好奇心旺盛なカタリナ様が、一緒に睾丸のもう片方をそっと揉んだ。

「あ、本当……ずっしりしてる……」

お兄様が真っ赤になった。

「頼むから、そういうのは口に出さないで……」

睾丸をころころと口の中で転がしていると、ぎゅん、と引っ張り上がってきたのが分かる。

「お兄様、もう出そうですね……カタリナ様、どうぞ、ご準備を」

「ん」

カタリナ様が再び亀頭を咥え、二人で吸い絞ると、一際膨らんだ陰茎がビクビクッと震えた。

「うッ…! ああぁッ――!!」

お兄様が聞いた事のないゾクゾクしてしまうような声を上げて絶頂し、カタリナ様のお口にじっくりと精液を流し込む。ちゅぽんと外れた唇と亀頭にドロリと糸を引いた。

「見せて……いただいてもよろしいですか?」

「うん」

あーんと開けたお口の中には、ドロドロとした白い液体でたっぷりと満たされていた。

「カタリナ様……わたくしにも……」

カタリナ様とキスをし、口で受け止めた精液を二人で味わうように舌を絡ませ合ってから、んく、と飲み込む。

 

「ん……お兄様……こんなに濃いものが出るのですね……」

「凄い――濃くって飲み込めない……それにもう2回も出したのに、まだこんなに硬い……」

 

「二人で精飲なんて――」

言葉とは裏腹に、お兄様の陰茎は射精したばかりとは思えないほどそそり勃っている。

 

「……そろそろメインディッシュと参りましょう。お兄様、初めての体位はどうされますか?」

「え? えっと、そうだな……やはり顔を見ながらしたい、かな……どうだろう、カタリナ?」

「はい。私もニコル様に見つめられて、したいです」

お兄様がカタリナ様にキスをしながら、ベッドに押し倒して脚を広げた。

「では――いくよ」

ゆっくりと、お兄様の陰茎がカタリナ様の中へ吸い込まれていく。

「っ――――っ!」

「痛みはないか? 痛いようなら一旦抜いて――」

「大丈夫、です。痛みよりも嬉しい気持ちの方が強いです」

「凄いですわ! お兄様のものが根元までカタリナ様の中に飲み込まれて! お兄様、いかがですか? 愛する方の中は」

「……火傷しそうなほど熱くて、ぎゅっと包み込まれて――こうしているだけで果ててしまいそうに気持ちいいよ」

「カタリナ様はお兄様とひとつになってみて、いかがですか?」

「……身体の奥までニコル様でいっぱいで……幸せ」

「ああ、カタリナ。俺もとても幸せだ」

お兄様は嬉しそうに微笑むと、ゆっくりと動き始めた。

パチュッ、パチュッと愛液を含んで肉が打ち付けられる音が響く。

――あ、だんだんと激しく――…

荒い息遣い、甘く漏れる喘ぎ、お互いの名前を呼び合い、求め合う声――

きゅん、と身体の奥が疼く。

 

ずっと、こうなる事を願ってきた。

お兄様の恋が成就する事。カタリナ様が、家族になる事。

ようやく叶った願いを前に、なぜか立ちすくむ自分がいる。

 

――晴れて恋人となったお二人に、もうわたくしは必要ない?

 

「ニコル様が奥に――気持ちいいところに当たっちゃうぅ!」

「凄いよ、カタリナ。奥からどんどん、熱いのが溢れてくる――」

 

次第に盛り上がっていく二人を見て疎外感を感じながらも、身体は熱く火照り、疼いていく。

 

「もっと――もっと奥に♡ ニコル様ぁ!」

「可愛いよ、カタリナ! 搾り取ろうと絡みついて――そんなに俺が欲しい?」

 

気が付くと、手が自分の秘部へと滑り込んでいた。

クチュリと指が音を立てる。知らぬ間に愛液が太ももまで垂れてしまっていた。

「っん……」

――お兄様とカタリナ様を見ながら、こんな事――…

気付かれてしまう前にやめなくてはと思うのに、指を止められない。

 

「あっ――あっニコル様! も、もう――♡」

「ああ、俺も――ッ」

 

ブルルッと震えながら同時に果てるお二人を見つめながら指を膣へと挿入して、カタリナ様に見つけてもらった気持ちいいところを弄る。

――いつもなら、ここ、カタリナ様がしてくださるのに……

声を押し殺し、嫉妬とも寂しさともつかない気持ちで自慰をしている自分がなんだかとても惨めに思えた時、オーガズムで弛緩していたカタリナ様が不意にこちらを見た。

 

「――ソフィアも、おいで」

 

「え、あ………どうして――」

「“三人でする”って約束だったものね」

その言葉に、空っぽになりかけていた心が温かいもので満たされる。

 

――やっぱり好き! 大好き!!

 

「カタリナ様、わたくし、カタリナ様を愛しております。本当はお兄様にだって譲りたくないのですわ――…」

「ソフィア……」

「ですから、今夜は二人きりにはしてあげません」

そう言い放って、カタリナ様の唇を奪う。

お兄様に見せつけるように舌を絡ませ、顎に唾液が伝うのにも構わずに舐め合う。

 

「ソフィア……こんなに激しいキス、初めて……」

「お二人があまりにお熱くて、触発されてしまったのですわ」

「ソフィア、カタリナは俺のものだ」

 

「いいえ! お兄様だけのものではありません! カタリナ様はわたくしたちのものですわ!」

 

 

 

高らかに宣言したソフィアは、私を四つん這いにした。

「ソフィア!? この格好、恥ずかしい……」

「ええ、お尻の穴までまる見えです。お兄様、カタリナ様はアナルも可愛いでしょう?」

「う、うん……」

戸惑いながらも興奮を隠せないニコルが、覗き込む気配がする。

「わたくしは何度も舌と指で絶頂させた事がありますから、お兄様にも教えて差し上げますわね♡」

「ちょっ、ソフィア!? ―――ふぐっ!?」

ソフィアの小さな舌がお尻の穴に捻じ込まれ、思わず変な声が出た。

「だめ、ソフィア! そんなところっ、舌入れちゃっ……!」

「――ん……ほぐれてきましたね。さあ、お兄様も」

「あ、ああ……」

完全に気圧されて、ニコルが大人しく言う通りにする。

「ひうぅっ!? ニコル様まで!?」

お尻の穴に舌先が触れたと思った次の瞬間には、ツププッと尖らせた舌が差し込まれてくる。

「しっかりと奥まで舌を入れて――中を舌で掻き回されるのが、カタリナ様は大好きなんですよ♡」

ソフィアよりも長い舌がいつもよりも奥まで差し込まれ、ニッチュ、ニッチュと音を立てて蠢く。

「んあっ!! んっ♡――ふ♡ んうぅっ♡」

「ふふ……これでカタリナ様のアナルは、わたくしとお兄様、両方をお知りになりましたわね」

にっこりと笑うと、ソフィアはキスをした。

「カタリナ様、もっと……舌を絡めてくださいませ。アナルを舐め回しているお兄様の舌と絡めているつもりで――♡」

そんな風に言われて、目を閉じ舌を絡ませていると、それがソフィアのものなのかニコルのものなのか、分からなくなってくる。

「まあ♡ お兄様ったらこんなに激しい舌遣いを?」

ソフィアは嬉しそうに言ってから、タオルを持ってきてベッドに敷くと、指を膣に滑り込ませて、抽送を始めた。

何度も肌を重ね、私の身体の気持ちのいいところを知り尽くしているソフィアは、浅いところをクニクニとこねる。チカチカと目に星が飛んだ。

「ま!? 待って! 知ってるでしょ、ソフィア! そこはだめ! だめなの!」

「何、ソフィア?」

ニコルが舌を抜いて、ソフィアと覗き込む。

「お兄様も見ていてくださいね。カタリナ様の乱れる可愛いお姿を」

ブルブルと身体の奥から震えがくる。

「それ以上したら、私っ―――はっ♡ ぁっ♡ ――んっうっ♡ クぅ…!!」

ビクンッと腰が跳ね、込み上げたものが噴き出す感覚。

「わ、潮!?」

「浅いところ弄られるの、大好きですものね、カタリナ様」

ハー、ハーと荒い息を吐きながら、枕に顔をうずめて突っ伏してしまう。

「……ごめんなさい、シーツ汚して――」

「大丈夫ですわ。ちゃんとタオルを敷いておきましたから」

――いつの間に……

私の弱いところを見つけてからは、ソフィアは毎回私に潮を吹かせていた。

どこがスイッチなのかだけでなく、どのくらいの量がどれだけ飛び散るのかまで知り尽くされていて、なんだか恥ずかしい。

「お兄様、ここから先は、どうぞお兄様がたくさん愛して差し上げてください。奥のいいところは、わたくしにはできませんもの」

 

 

 

「……本当に、この体位でするのか?」

「お兄様とカタリナ様が愛し合っているところを、どうしても間近で見たいのです♡」

 

可愛い妹の頼みであれば断る理由はないのだが、さすがに少し度を越している。

カタリナを見ると、“仕方がない”という顔で苦笑いしているので、これはもう諦めるしかないのだろう。

 

カタリナの体位自体はさっきと変わらない――四つん這いになった彼女を後ろから責める、いわゆる後背位なのだが、決定的に違うのは、カタリナの下にソフィアが頭を逆向きにして横たわっている事だ。

つまり俺とカタリナの繋がっているところが、ソフィアの目の前にくる。

それもソフィアの顔のすぐ上にくるので、見られてしまうだけでなく、体液も顔にかかってしまう。

――いや、もう何も考えるまい

愛する人に想いが通じ、身体を重ねる事ができた。それだけで、今夜は充分だ。

 

「――いくよ、カタリナ」

とろとろと愛液が溢れる秘部に陰茎を擦り付け、たっぷりと纏わせてから、ゆっくりと愛する人を貫く。

「ひんっ♡」

カタリナが可愛い声で喘いで、ブルッと震えた。

今日二度目なのでそれほど抵抗なく受け入れてくれた彼女の膣内は、やはりトロトロなのにみっちりと包み込んで、下半身が溶けてしまいそうに気持ちがいい。

グッと根元までしっかりと挿入すると、さっき出した精液がドロリと溢れてソフィアに落ちる。

「凄…い……お兄様のものでいっぱいに広がってミチミチになったカタリナ様の中から、こんなに溢れて――…」

ソフィアが口の近くに落ちた体液を舐め取った。

「カタリナ様の愛液とお兄様の精液が混ざって、とってもいやらしい味がしますわ」

愛する人と繋がりながら、実の妹が兄の精液を浴びて悦んでいる姿にまでゾクゾクとしてしまっているなんて、自分は実は変態なのだろうか。

――いやいや、今はカタリナを悦ばせる事が最優先だ

頭を振り、余計な事は考えるなと言い聞かせる。

 

「……少し激しくしても大丈夫か?」

綺麗な背中越しに振り返るカタリナが、初めて見る角度で新鮮だ。

「ニコル様の思う存分、して、ください♡」

こんな可愛い事を言われて、応えないでいられる男がいるだろうか?

「ん、ありがとう」

カタリナの腰をしっかりと押さえ、軽く抜いては突き入れる。

少しずつストロークを長くして抽送し加減を掴むと、深くえぐってみた。

「ああぁぁんっ♡」

コツッ、コツッと奥に当たる度、カタリナが甘い声を上げる。

突けば中のひだがうねって締め付け、引けば “離したくない”とでもいうように吸い付き纏わりついてくる。膣が痙攣する度にヒクヒクとするアナルもいやらしくて可愛い。

気付けば本能に従って一心不乱に腰を振っていた。

「まあ……お兄様ったら意外とケダモノでしたのね」

「う……カタリナ、強過ぎるだろうか?」

「いいえっ、気持ちいいです、ニコル様! 中がゴリゴリって擦れるのも、奥にトントンって当たるのも、ニコル様とひとつになれているって思うだけで、何もかもが気持ちいいです!!」

カタリナが喘ぎながら答えると、ソフィアも涙声でねだる。

「カタリナ様……わたくしにもしてください! 切なくって気が変になりそうです!」

「うん、ソフィア」

カタリナがソフィアの脚の間に顔をうずめた。

「ああっ、気持ちいいですっ! もっと舐めて! 吸って!」

突く振動が二人の邪魔をしてしまうだろうかと、一旦抽送を止めて、深く挿入したまま奥をグリグリと刺激してみる。

「ほあぁっ!?」

仰け反るカタリナの様子に気をよくして、奥のいいところを探っていく。

反応する場所をじっくりと擦り上げると、留めていた髪がほどけるほど頭を振り乱して甘い嬌声を上げた。

「無理っ! もう無理! ニコル様、もう我慢できない! もっと突いて! ニコル様のでえぐって!一番奥突いてぇっ…!」

「――すまない、ソフィア。少し、カタリナを独り占めさせてもらえるか?」

「もちろんですわ。カタリナ様も待ちきれないみたいですし」

グイッとカタリナの両腕を掴んで後ろに引き上げる。

「ああぁっ!! こ、これ、ニコル様に無理矢理されているみたいでゾクゾクしちゃう!」

ぐぽっぐぽっと卑猥な音を立てて腰を打ち付け、オーガズムへの高まりにただ身を委ねる。

「……お兄様、最後の一滴まで全部出し切ってしまいましょう♡ わたくしがお手伝いいたしますわ♡」

ソフィアが睾丸を掴んでフニフニと揉みしだいた。ゾゾゾッと背筋が震え、せり上がってくるのが分かる。

「!? ――なっ!?」

――これは本当にまずいっ! 出る! 奥から――出るッ!!

「こちらも弄って差し上げますね」

睾丸を弄りながら、ソフィアはカタリナの陰核にも手を伸ばす。

「や!? そこだめ! ソフィアぁ! だめだめだめ! すぐイッちゃう! イッちゃうよぉ!!」

「ッ――うグッ!」

勢いよく射精された精液が、ドク、ドク、とカタリナの奥へ注がれていく。

とろけそうな快感で全身が痺れ、幸福感で心まで満たされる。

 

――愛する人の奥を満たすと、自分まで満たされるのか……

 

あまりに快感が深すぎて、射精がなかなか治まらない。

「す…ごい……まだ、熱いの出てる……♡」

オーガズムの余韻で震えるカタリナの背中を抱き締め、ベッドに倒れ込んだ。

顔中に精液と愛液を浴びたソフィアが、顔を拭きながらからかうように微笑む。

「お兄様、いつもこんなに出るんですか? 自慰の時とか」

恥ずかしさを押し殺し、妹のおでこをコツン、とつつく。

「こら。調子に乗らない」

たしなめると、ソフィアはちょっと舌を出して笑った。

 

 

 

仲睦まじい兄妹を見てホッとしながら、ソフィアの指に触れる。

「……ソフィア、さっきイケなかったよね? 息が治まったらシてあげるね」

「いいえ、わたくしなんだかスッキリしましたわ! それにとっても満足しました! お兄様よりもわたくしの方がカタリナ様のお身体を知り尽くしていますし、お兄様の事はカタリナ様よりも詳しい。つまり、まだまだわたくしがお二人の為にできる事があるのですわ! ですから、カタリナ様――」

「ん?」

「またお兄様と三人で、気持ちいい事しましょうね」

――なんか、既視感…!

目が合ったニコルと苦笑して、ふと床に落ちた長手袋が目に入る。

 

――きっと、明日から毎朝手袋を着ける度に、ニコルの事、思い出しちゃうな……

 

恥ずかしいようなくすぐったいような気持ちを感じながらも、“今度買い物に行ったら、シルクとかレースとか色々な素材の手袋を買っておこうかな”などと考えていると、ニコルが手を取った。

「これまで控えてきたけれど、これからは恋人として贈り物をしてもいいだろうか? 花や装飾品やドレス、それから――」

ニコルが耳元に顔を寄せる。

 

「――駄目にしてしまった手袋の代わりもね」

 

 

 

 

 




今回、ニコルとソフィアをどこまで絡ませるかで凄く迷いました。実の兄妹だし。
一線を越えちゃうシーンも書いてはみたけれど、なんか違くて。
(男性ひとり×女性ふたりの3Pって言ったら、”女性ふたりが代わる代わるどうされちゃうか”が見せどころ、ですものね~)
キースとメアリ編もそうですが、描きたいのは、ニコ×ソフィではなくニコ+ソフィ×カタなので、このくらいの絡みでよしとする事にしました。

ちなみに、二人×カタリナ編は、extra storyのソフィア編で着地点に迷っていた時に、続編にすればいいのでは!?と思いついたのがきっかけでした。
どう考えてもニコルを出し抜いてまでソフィアがカタリナと結ばれたがると思えなかったので…
まあ、続編までの間に二人、大分やっちゃってるっぽいですが。
そして兄にちょいちょい元カノ風を吹かせるソフィア…(;゚Д゚)⁉
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