乙女ゲームのR-18ルートに突入してしまった… 《もしかしたら あったかもしれない『はめふら』R-18ルート》 作:帆速やこぬ
『はめふら』のカタリナ×『FORTUNE LOVER』のキースのお話です。
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――夢を見た
大嫌いなあの女――義姉のカタリナが涙を流して今までの事を謝罪し、これからは仲良くしていきたいと許しを請う、夢。
――いや、夢ではない
実際に謝罪され、しかも人を雇って調べたらしく、僕が“クラエス公爵の隠し子ではない”という調査結果を用意し、義母であるミリディアナの誤解までも解こうとした。
養子であり他家の愛人の子という出自の僕は、表面上でもその謝罪を受け入れなければならなかったが、クラエス家に引き取られてから7年もの間、常につらく当たられてきた境遇を思うと、とても簡単に許せるものではない。
それでも顔を合わせる度に謝罪する義姉の態度も表情もとても上辺だけの演技には見えず、僕の心をかき乱した。
人が変わったようなその様子に何を企んでいるのだと勘ぐらないではいられないが、今さら僕を騙す理由も思い当たらない。強いて言えば来年の春に魔法学園への入学が控えているが、世間体を気にするような殊勝さと繊細さを持ち合わせた人間ではない。
――そうだ、騙されるな。きっと何か、魂胆があるんだ
自分に言い聞かせながらも、床に額をつけて謝罪する義姉を立たせた時に取った手の温もりや、渋々謝罪を受け入れた僕にわんわん泣きながら抱きついて、何度もごめんなさいとありがとうを繰り返す義姉からした甘い香りを思い出すと、心穏やかではいられない。
――いいや、これはたぶん思春期特有の、何かそういうものだろう
そうに決まっている。そうでなければおかしい。
幼い頃からずっと虐げられてきた日々を、簡単に許せるはずがない。
ただ少し、今までとは違う様子に調子を狂わされているだけだ。
いつも眉をひそめ、こちらを見下したように見ていた目が、優しい形に微笑むようになった。
顔を合わせるのも嫌そうにしていたのが、こちらを見る度、嬉しそうにパッと顔を輝かせるようになった。
頻繫に僕を散歩や外出、お茶に誘い、楽しい時間を過ごせるよう、気を遣ってくれるようになった。
そんな突然の変化に、ほんの少し心が揺らいでいるだけだ。
使用人たちの間でも、“お嬢様が優しくなった”“家の中の雰囲気が明るくなった”“夫婦仲がよくなりつつある”と驚きを交えて囁かれている。
――騙されるな。こんなの、いつもの気まぐれに決まっているだろう……?
“義姉さんと呼んでほしい”とも言われているが、どうしてもそこまで信じきれずに、未だ“カタリナ様”と呼んでいる。
けれどその度に浮かべる少し寂しそうな表情に、最近では罪悪感まで覚えるようになっていた。
――いや。他人を信じるな。期待するな
どうせ裏切られるに決まっているのだ。
今までもずっと、淡い期待を抱く度に粉々に打ち砕かれてきた。
信じて、期待して、裏切られる度に冷たく硬くなっていく心を、これ以上傷つけられるのはたくさんだ。
――だから、これはささやかな復讐なんだ
表面上は謝罪を受け入れたように見せかけ、やり過ごす。
けれど、決して“義姉さん”などとは呼ばない。心は許さない。
向けられる屈託ない笑顔に、触れる手の優しい温かさに、傍に寄る度に包み込む甘い香りに、心を動かされたりしない。
「絶対に……騙されないぞ………」
呟き、目が覚める。覚えのある甘い香りが強くした。
カーテンの隙間から漏れる光は淡く、起きるにはまだ早いようだ。
秋も深まり、冷えるようになってきたので最近は毛布をかけているが、いやに身体が温かい。
心地よい温もりにまどろんでいると、不意にかすれた声がした。
「ん………」
「!!?」
恐る恐る毛布をめくる。
なぜか義姉が僕に抱きつくようにして眠っていた。
しかもパジャマの胸元が乱れ、扇情的な曲線がちらりと見えてしまっている。
「カ、カタリナ様!?」
「んぁ? ……あ、キース、おはよう……」
ふにゃ、と無防備に笑い、目元を擦る。
「カタリナ様、どうして、僕のベッドに……?」
「んんん? えっと確か……昨日の夜、結構冷え込んだからキースが寒い思いをしてないかなーと思って見に来て、そのまま一緒に寝ちゃった」
「な、何を考えていらっしゃるのですか。義理の姉弟とはいえ、年頃の男女がひとつのベッドで――」
「年頃……」
不意に義姉の視線がベッドを滑り、ある一点で止まった。
「あ………」
毛布を押し上げ存在を主張するそこを凝視して赤くなる義姉に、こちらまで赤くなって慌てて押さえつけて隠す。
「見ないでください! これは生理現象ですので!」
「あ! うん! 分かっているわ! 生理現象よね!」
そう言いながらも、義姉はその部分にちらちらと視線を送っている。
「あの……カタリナ様?」
赤かった顔を更に赤らめながら、彼女はごくりと唾を飲んだ。
「ね、キース……それ、苦しいものなのでしょう?」
「え? ええ、まあ……だから早く部屋を出ていただけると――…」
「私が、楽にしてあげようか?」
「はい!? 何を仰っているのですか!?」
焦る僕に顔を寄せ、義姉が囁く。目覚めた時からしていた濃い甘い香りの正体にようやく気付き、クラリと酔うような眩暈がした。
「私も初めてだけど、知識だけはあるから――キースを気持ちよくしてあげられるよう、頑張るね♡」
そう言うと毛布を剥がして、下半身の方へ身体を寄せる。
「んしょ」
パジャマと下着を下ろされ、露わにされた男性器が空気に触れる感覚で、急にハッと我に返った。
「んな!? 何をしているのですか!? こんな――」
「わぁ、おっきい……キースって綺麗な顔に似合わず、こっちは凄く男らしいのね……♡」
ビクリと震えながらそそり勃つ陰茎をまじまじと見つめる。
「カタリナ様! 本当に、これ以上は……!」
「うん、我慢できないよね。すぐ楽にしてあげるから、任せて!」
「い、いえ、そうではなくて!」
――話が通じない!!
彼女は胸を叩いてみせると、そっと陰茎を握った。
「うぁっ!」
寝起きだからか、包み込む手が熱い。その手に優しく握られて上下に動かされ、思わず変な声が出てしまう。
「硬い……それに凄く熱い……あ、先っぽ、ぷるぷるしてる……」
興味津々なその様子に、自分は玩具にされているだけだろうか、と考える。
性的な興味を満足させる為の手近な異性。
突然優しくなったのも、単にこれが目当てだったのだろうか?
――やっぱり、信じては駄目だ……
「カタリナ様……本当に、いけません……離して……」
「そんな事言って、こっちは離してほしくなさそうだけど?」
溢れ出した先走りが彼女の手を濡らし、動かす度にニチャニチャと音を立て始めた。
もう止められないほど昂り、怒張してしまっている。
「嬉しい……♡ キースが凄く興奮してくれてるの、伝わってくる……」
「本当に…んっ……本当にこれ以上は……ぅんっ」
言葉と言葉の間に恥ずかしい喘ぎが交じってしまう。
「キースの声、甘くなってきた♡ ……気持ちいい? ね、気持ちいい?」
正直に言えば、自分でするより何倍も気持ちがいい。
けれどそれを認められるほど、まだ素直にはなれなかった。
「これはその――敏感な部分を触れられた反射的な反応で、特別気持ちがいい訳では――」
「そっか……ごめんね、あんまり上手でなくて」
申し訳なさそうに微笑む彼女を、抱き締めたい衝動に駆られる。
男とは本当に馬鹿で単純な生き物だと、自分でもつくづく思う。
「………では……カタリナ様……そのままお願いしても……?」
義姉の顔がパッと輝いた。
「うん! キースも、もっとこうしてとか、他にして欲しい事があったら遠慮なく言ってね!」
言えるはずがない。ねだれるはずがない。
それはもう、心から謝罪を受け入れたという事だ。
まさかこんな事で、自分が今までしてきた事をなかった事にするつもりなのか?
こんな事で自分が許されるとでも思っているのか?
恥ずかしいところにつけ込めば、僕を言いなりにできるとでも?
どこまで馬鹿にすれば気が済むのだろう。
――それならこちらは、それを性欲の処理に利用してやるだけだ
相手がしたいと言っているから、させているだけ。
朝勃ちを見て勝手に興奮している義姉の興味を満たしてやっているだけ。
そう割り切って楽しんでしまえばいい。
どうせ二人の間に、愛などないのだから。
そう思うのに、愛おしそうに撫で回し、扱いてくる温かな手の甘やかな感触に、ゾクゾクと昂ってしまう。
「カタリナ様、あの……そろそろ出るので、離して――」
「ううん、いいよ、キース。このまま出して♡」
カリ下を擦る手に熱が込めながら、反対の手でそっと亀頭を包むようにする。
「ですが、汚してしまいますので――」
「キースのなんだから、汚くないよ。遠慮しないで、いっぱい出してね♡」
「……!」
ふわりと微笑む義姉に、下半身がビクリと一際反応してしまう。
これは本当に今まで僕を虐げてきた、あの義姉なのか?
こんなに―――可愛かったか?
心臓に、昂りとは別の高鳴りを覚えた。
――なんだ、これ……なんだこれ!?
精液が一気に昇り詰めてくる快感と未知の感情に訳が分からなくなりながら、シーツを握り締める。
「ああぁっ――出るっ! ぅくッ」
びゅるるっ、と勢いよく吐き出される精液を手で受け止めた義姉が、興味深そうに手と指に絡まる白濁液を見ている。
「すっごい……♡ 見て、キース。濃過ぎて全部繋がってる!」
お願いだから、精液をつまんで持ち上げ、嬉しそうに言わないでほしい。
「恥ずかしいので、やめてください」
たっぷりと射精して一応落ち着いた男性器を見下ろし、少し安心する。
いつもなら一度くらいでは足りない。
――昨日の夜、抜いておいてよかった……
そんな埒もない事をボウッと考えていると、義姉が手の平の精液をペロッと舐めた。
「カタリナ様!? 何をされているのですか!?」
「え? キースの味を知りたいって思って……だめだった?」
「そんなもの、口にしては駄目です!」
「でも男性は喜んでくれるって何かで読んだのに……」
「どんな本で読んだのですか!?」
慌てて手の平を拭い取って綺麗にすると、義姉は「ありがとう」と笑う。
「お返しに、私もお掃除してあげるね♡」
掃除?
何をするつもりだろうと見ていると、屈み込んだ義姉は縮んだ男性器をぺろぺろと舐め始めた。
「な、何をされているのですか!? 口でなんて絶対にいけません!」
「えへへ……大きいキースもかっこよかったけど、小さくなったキースも可愛い♡」
時折キスするようにチュッチュッと唇を這わせ、舌でまとわりつく精液を舐め取る。
最後に尿道に残る精液を吸い出されると、その初めての刺激に思わず仰け反ってしまった。
「んぁう!」
「あ、ごめんねキース、強過ぎた? もしかして痛かった?」
「いえ……少しくすぐったかっただけです……」
なんだ?
なんでこの人は、唇や舌まで使って、恋人にしかしないような事を僕にしてくるんだ?
――こんな――まるで、“愛している”と伝えたくて仕方がないみたいに――…
「ん、綺麗になった」
「……ありがとうございます……」
自分の気持ちに整理がつかないまま、機械的に礼を口にする。
「あのね、キース」
「なんでしょうか、カタリナ様?」
顔を近づけた義姉は、悪戯っぽく耳元に囁いた。
「明日の朝も、シてあげるね♡ 部屋の鍵、かけちゃだめだよ♡」
その日から毎朝、義姉は部屋を訪れては朝勃ちを慰めてくれるようになった。
「義弟の面倒をみるのは義姉の役目!」と言いながら、手だけでなく口まで使って気持ちよくしようとしてくる。
初めはつたなかった手つきも舌遣いも、僕の反応を見ながらあっという間に上達してしまい、今では気持ちのいいところを全て暴き出されていた。
どこで仕入れた知識なのか、何度止めても、口淫の度に射精されたものを飲んでしまう。
それも、美味しそうに。
そして、愛おしそうに。
それを見る度、義姉の別人ぶりに戸惑いながらも、心の氷が少しずつ溶けていくのを感じる。
「あれ、キース……今朝はまだ足りないみたい?」
いつもなら一、ニ度抜けば萎えるが、今朝は手と口にたっぷり射精したのに萎える気配がない。
「申し訳ありません。昨日は忙しくて夜に抜いておく事ができなくて……」
「え? もしかして朝時間がかからないように、いつも気を遣ってくれていたの?」
義姉が嬉しそうに笑う。
「そんなの気にしなくてもいいのに。キースは優しいなぁ」
いや、そういう訳にはいかないだろう。
こんな事、義父や義母、使用人たちに知られたりしたら―――どうなるか考えたくもない。
――まさか、そうやって僕が身を滅ぼすのを楽しむ為に、こんな事を?
そんな考えも浮かんだが、すぐに否定した。
僕の破滅を望むならば、他にやり方はいくらでもあるはずだ。
こんな風に愛おしくてたまらないとでもいうように、見下していた義弟の男性器を舐め回すなんて、できる人間ではない。少なくとも今までの義姉には無理なはずだ。
「……じゃあ、今朝は特別」
義姉はパジャマのボタンを外すと、するりと肩から落とした。
淡い朝日の射し込む部屋に浮かび上がるように光る白い肌に、思わず見惚れる。
「――――…」
「えへへ♡ ……ちょっと恥ずかしいね」
上目遣いでこちらを見上げると、はにかむように笑う。
「あんまり大きくないけど……私、頑張るからね♡」
それは謙遜が過ぎるのではないだろうか?
生まれて初めて見る義姉の裸に、興奮よりも美しさで目を奪われてしまう。
首筋から肩にかける華奢な線も、ツンと上向きの乳房の形も大きさも、思い描く限り理想的で、咄嗟に言葉が出てこない。
綺麗なピンク色をした乳首にむしゃぶりつきたい衝動に駆られる。
義姉は僕をベッドの端に座らせると床に跪き、まだ昂りの治まらない陰茎を少したどたどしく乳房で挟み込んだ。
温かく柔らかな肉にむっちりと包み込まれ、しっとりとした肌が吸い付いてくる。
「どう……かな?」
「どう、と……言われましても……」
「もっと大きい方がきっと気持ちがいいのだろうけど」
「いえ、その……充分、気持ちいい、です……」
「よかった♡ ……ええっと確か、もっと気持ちよくするには――…」
何やら口をもごもごさせると、とろっと唾液をこぼした。
温かな唾液が亀頭にかかり、ゆっくりと伝って乳房の間へと流れていくと、上下に扱き始める。
「うぁっ! ……あぁ!」
みっちりと挟まれた肉棒が唾液でぬめる度に吸い込まれていくようで、言葉にできないほど気持ちがいい。
「キースの、どんどん熱くなっていく……」
時折、硬くなった乳首をコリコリと亀頭に擦りつけたり、乳房をギュッと寄せて強く締め付けたりして、射精へと導く。
「カタリナ様! もう出ますから離れて――」
言っても離してくれないと分かってはいたが、このままだと顔にかかってしまう。
すると義姉は、はむっと亀頭を咥えた。
「ッ!!? ―――ッく!!」
引き抜く間もなく、乳房に挟まれたまま義姉の口に精液を流し込んでしまった。
嬉しそうに口で受け止める義姉の姿に、勢いよく出た後も脈打つ陰茎からトプトプと精液が止まらず溢れてくる。
「ん……いっぱい出たね♡」
んく、と一生懸命精液を飲み下しながら、義姉が微笑んだ。
「三度目なのに、凄く濃い……♡」
ぺろりと口の端にこぼれた精液まで美味しそうに舐め取ると、改めて屈んで彼女の言うところの“お掃除”を始める。
「普段はこんなに可愛いのに、あんなに大きくなるなんて、キースのって本当に凄いね♡」
「別に僕が凄い訳では……」
義姉は亀頭の先にチュッとキスをしてから、悪戯っぽく上目遣いでこちらを見た。
「……このくらい、かな。あんまりしつこくしちゃうと、また大きくなっちゃうものね」
目が合うと水色の瞳が優しい形になり、その表情を見る度、心がかき乱されて冷静ではいられない。
慌てて目を逸らしながら、話題を変えた。
「……カタリナ様はこんなに毎朝早く起きて、大丈夫なのですか?」
「あー、うん、今は畑仕事がないから――」
「畑仕事?」
「な、なんでもない! キースとちょっとだけ仲良くなれた気持ちになれる、この時間が大事だから、毎朝頑張って起きてるの!」
「そうですか……」
こんな風に昔から仲のよい姉弟のような口調で話されると、どうしても戸惑ってしまう。
「あ、もしかして!」
「はい?」
「朝早いのを気にしてるのって、本当は夜に来てほしいって事!? もしかして一晩中添い寝してほしかったり!?」
「はい!?」
なんでそうなる!?
――いや、冷静になれ
義姉の様子がおかしくなってから、少し――いや、かなり独創的で奇抜な言動が増えた。
突然、庭師のトムさんに頼み込んで庭の一部を鍬で掘り返したり、庭の樹に登ってみたり、蛇のおもちゃを投げる練習を始めたり、街に出掛けては美味しいと評判のお菓子や貴族からは品がないと敬遠されているロマンス小説を大量に買い込んできたり。
――まるで中身だけがそっくり変わってしまったみたいだ
そんな荒唐無稽な考えが思い浮かんでしまうほど、義姉は劇的に変化していた。
見ないようにしていたはずなのに、つい視線が追ってしまう。
行動の予測がつかず、不安と心配と好奇心で目が離せない。
ふと目が合った時に見せる屈託のない笑顔が、はにかむような微笑みが、愛おしい――…
ハッと己の思考に我に返る。
なんだ? 今、僕は何を考えていた?
“愛おしい”?
“心配”?
大嫌いなはずの義姉に対して?
「――まさか」
「え? 何か言った、キース?」
パジャマを羽織っていた義姉が不思議そうな顔で振り返った。
「いえ……」
そんなはずはない。
長い事虐げられてきた憎しみも悲しみも、そんな簡単に拭い去れるはずがない。
これは単に、自分に都合よく性欲を処理してくれる相手に、多少の執着と罪悪感を感じているだけの事だ。
そうに決まっている。ここに愛などあるはずがない。
「………あって堪るものか」
もやもやを振り払うように、頭をひとつ振る。
「そろそろお部屋に戻られた方がよろしいですよ、カタリナ様」
今日は朝から晴れ渡り、秋ももう終わりというのに午後には暑いくらいまで気温が上がった。
窓際で読書をしていると、ノックの音がする。
「はい」
返事を確認したのか疑わしいほどすぐに勢いよく扉が開き、義姉が来襲した。何か、包みを持っている。
「キース! 庭をお散歩しましょ!」
瞳を輝かせる義姉に逆らう術などなく、素直に頷いた。
「……かしこまりました、カタリナ様」
庭の大樹まで来ると、義姉は根元に座って脚を投げ出した。
隣に座るよう促されたが、断って傍に立つ。
いそいそと包みを開くと、真っ赤に熟れた林檎が二つ。包んでいたナプキンで皮を磨き始め、つやつやになると満足してこちらに渡してきた。
「はい、キースの分」
「……ありがとうございます」
芳香を吸い込んでから歯を立てると、皮と果肉の弾ける小気味よい音が立ち、甘い果汁が口いっぱいに広がる。
「美味しいね、キース」
林檎にかじりつきながら楽しそうな義姉につられて、気付けば微笑んでいた。
「ええ」
木漏れ日の下、日差しはあるがひんやりと心地よい風に吹かれ、これまで感じた事のない穏やかで優しい時間が流れる。
「……昔、この樹の下でよく一緒にお昼寝したよね」
「え? ええっと……僕には覚えがありませんが……」
首を捻りながら返事をすると、義姉はポカンと目を丸くしてから慌てて両手を振る。
「え!? あ! ごめんなさい。ちょっと勘違いしちゃった」
「いえ……」
しばらく視線を泳がしていた義姉は、もじもじとしながら切り出した。
「あのね、キース。もう聞き飽きてしまったかもしれないけれど、今まで本当にひどい事をしてきてごめんなさい。キースが寂しくて悲しくてつらい事知っていたのに、何もしてこなくてごめんなさい。眠っている時、うなされている事だって知っていたのに――抱き締めてあげる事だってできたはずなのに――」
そう言って唇を噛んで俯いてしまった義姉に、驚く。
夜、うなされていた事まで知っていたなんて。
不意に、気付いた。
義母が僕を夫の愛人の子だと疑っていた事。
義母の手前、義姉は僕につらく当たる以外に選択肢がなかったのではないだろうか?
もしかしたら義姉も、ずっと板挟みになって苦しんでいたのではないだろうか?
何が彼女を変えたのかは分からない。
けれど義姉は、今までの自分の行いを振り返り、後悔しているのだ。
本当はとっくに分かっていた。
彼女は今までの事を心の底から悔いていて、今からでも僕を大切にしようとしているのだと。
企んでいる訳でも騙そうとしている訳でもなく、純粋に仲良くしたいだけなのだと。
「キース……?」
こちらを見上げる瞳が潤んでいる。
以前なら底意地の悪さしか感じなかったその水色の瞳を見た時、今まで感じた事のない感情が湧き上がり、ゾクリと震える。
たった今、分かった。
突然、理解した。
今までの日々は試されていたのだ。
彼女を愛し抜く事ができるかを。
彼女の前に片膝をつく。
「え? どうしたの、キース?」
「カタリナ様――義姉さん、とお呼びしてもよろしいでしょうか」
驚いた顔が、パアッと輝く。
「もちろんよ、キース! 嬉しい! 初めて呼んでくれた!」
開けっ広げに喜ぶその姿に、こちらまでつい微笑んでしまう。
「……義姉さん――以前、なんでもして欲しい事を言ってもよいと仰りましたよね?」
「うん、言ったね」
「では最後まで、させていただく事は可能でしょうか?」
「最後って?」
彼女の手を取り、甲に口づけをする。
「義姉さんと――深く繋がりたいです」
義姉は大きく目を見開いてから、耳まで真っ赤になった。
「あ、えっと……うん……そうだよね、年頃だものね。朝のアレだけじゃ物足りないよね」
両手を合わせて指を組み、顔を上げた。
「い、いいよ、キースがしたいなら……私はおねえさんだもの。どんな事だって、う、受け止めてあげる」
――声が、指が、震えている……
本当は恥ずかしいのに、怖いのに、それでも僕を受け入れてくれようとしているんだ……。
そんな健気な様子も愛おしくて、衝動に任せて彼女を抱き上げた。
「ちょっ!? キース!?」
生まれて初めて愛する事を知った喜びを囁きかける。
「もう離しませんから覚悟してくださいね」
「う……うん」
「――義姉さんの初めてを、僕にください」
自室に戻るともどかしく着ているものを脱ぎ捨て、義姉のドレスを引き裂くように乱暴に脱がす。
「ま、待ってキース、メイドを呼ぶから――」
身をよじる彼女を強引にベッドに押し倒し、手首を掴んで組み敷いた。
「駄目ですよ、義姉さん。もう一秒だって待てません」
緊張しているのか微かに震える身体にうずめるように頬を寄せ、肌の熱さを直に感じる。
人の肌がこんなにも気持ちがいいだなんて、知らなかった。
指を滑らせればすべすべと滑らかで、抱き締めればしっとりと吸い付いてくる。
こんなにも女性の身体が柔らかいなんて、初めて知った。
どこに触れてもふんわりとしているのに、みずみずしい弾力が押し返してくる。
溜め息のような甘い吐息を耳元で聞きながら、首筋に顔をうずめて甘い香りを思い切り吸い込むと、頭の芯が痺れてもう欲望が抑えられない。
「愛しています、義姉さん」
「キース……」
溢れそうなほど涙を溜めた目を見つめ、唇を重ねた。
初めは軽く触れるだけだった唇へ、ぷるんとした感触を貪るようにしっかりと組み合わせて舌を差し入れる。
林檎の香りのする甘い唾液を味わってから、身体中に口づけをして、跡をつけた。
これは僕のものだという証に。
他の誰にも渡さないと示す為に。
本当は見える場所に残したかったが、時期尚早だとかろうじて理性が止め、ドレスで隠れる場所で我慢する。
彼女を確実に僕のものにするには、まずは義親の説得と婚約者のジオルド王子の排除が必要だ。
――必ず手に入れる
家族からついぞ与えられる事のなかった温もり。
それを知ってしまった今、もうこの温もりを手放すなんて考えられない。
焦がれるほど欲しかった、人との絆。
ずっと誰かに認められたかった。受け入れられたかった。愛されたかった。
とうとう現れた僕を愛してくれる人を前に、冷静でいられるはずがない。
心から欲しいと思った、生まれて初めての執着。
例え相手が王子だろうと、譲るつもりはない。
他のどんな男にも触れさせたくない。
どんな手を使ってでも、僕だけを見つめさせ、想わせ、愛させる。
その手始めとして、彼女の奥まで自分を刻み付ける。
「義姉さん……力を、抜いて――」
ふと思いつき、床に散らばる服のポケットからハンカチを取り出して、ベッドに敷いた。
「……キース?」
不思議そうに見る義姉に微笑んでみせる。
「ああ、すみません。力を抜いて、僕に身を委ねてください」
「ん」
「なるべくゆっくりしますから」
「うん。来て、キース♡」
恥ずかしがる彼女の脚を優しく広げ、たっぷりと潤ったそこへ陰茎をあてがい、ゆっくりと貫いていく。
メリメリと引き剥がしていくような感触と蜜穴のキツさに、こちらの方が引きちぎられてしまいそうだ。
「っ…! ~~~~っ!!」
声にならない悲鳴を上げ、奥歯を噛み締めてぽろぽろと涙をこぼす彼女を抱き締めると、背中に手を回してぎゅっとしがみついてきた。
「痛いですか? 慣れるまで、しばらくこのままでいましょう」
「ん……ありがとう、キース」
震えて乱れる息が首筋にかかる。
「……初めてのその痛みを与えたのが僕だという事を、よく覚えておいてくださいね、義姉さん」
「ふぇ……?」
どういう意味なのかピンときていない様子なので、優しく頭を撫でると、さらりと柔らかな髪が指を滑っていった。
抱き締めて初めて知る腰の細さや綺麗な首筋に、愛おしさが溢れて止まらない。
これまで何もかもが憎らしいとしか感じなかったはずなのに、今は彼女の全てが愛おしい。
――泣き顔……可愛い……
いつから僕は変態になったのだろう。
愛する相手が痛みで顔を歪めているのに、ゾクゾクしてしまっている。
その瞳から溢れる真珠のような涙を綺麗だと感じてしまっている。
この胸には確かに“彼女を大切にしたい”という気持ちがあるのに、相反する気持ちが湧き上がって止まらない。
ベッドに敷いておいたハンカチを確認すると、血がこぼれて深紅の模様が描かれていた。
本当は中心にくるようにしたかったが、端に寄ってしまっている。
――いや、ちょうどいいか
畳めば内側に隠す事ができる。
彼女が――愛する人が、僕の腕の中で乙女を失った証。
僕が彼女の初めての男であるという証。
それを肌身離さず持ち歩き、いつでも眺める事ができる。
「キース? どうしたの…?」
「いえ……幸せで少し、ボウッとしてしまいました」
挿入された異物を押し出そうとしていた膣内が、キツさはそのままにゆっくりと馴染んで包み込むように変わってきた。
「……もう、平気。動いていいよ、キース」
こちらに気遣ってだろう、彼女はまだ苦しそうなのに笑顔を浮かべて、頷く。
「ありがとうございます、義姉さん」
ゆっくりと抽送を始めると、息を止めるようにしていた彼女からだんだんと小さな喘ぎが漏れ始めた。
「よかった……義姉さん、気持ちよくなってきたみたいですね」
「キースは気持ちいい? ちゃんと私、気持ちよくしてあげられてる?」
「ええ、義姉さんの身体、素晴らしいです。熱くて、絡みついて、僕のをぎゅっと包み込んで――“愛している”って、“もっと愛して”って言ってくれているみたいで――」
「私のたったひとりの、大切な義弟だもの」
「いけない義姉ですね……義弟に、こんなに奥まで深く愛させるなんて」
「だってキースに――幸せになってほしいから――」
「幸せに?」
「今までつらい思いをしてきた分、キースには幸せになってほしくて、でも私嫌われているから、こんなやり方しか思いつかなくって――」
思わず、動きを止めてしまう。
「まさか義姉さんは、僕が欲望に任せて、こうしてあなたを抱いていると思っているのですか? 今までの腹いせに、大切な初めてを奪ったのだと?」
「違うの?」
「心外です」
乱れた髪を優しく梳いて整え、両手で頬を包み込む。
「愛しています、義姉さん……自分でも意外なのですが、義姉さんが変わられてから、あなたから目が離せないんです。こんなに簡単に心変わりする自分を責めたりもしましたが、どんどん惹かれていく気持ちを止められなくて――朝に義姉さんがシてくれる事だって本当は毎晩心待ちにしていて、寝る前の入浴でも義姉さんに嫌がられないようにって今までの何倍も丁寧に洗ったり――身なりに気を遣うようになったのだって、使用人たちに“色気づいた”なんて陰口言われているのだって、全部義姉さんのせいなんですよ? だから――」
「――責任、取ってくださいね」
腰を掴んでグッと奥まで挿入し直すと、義姉が仰け反ってガクガクと身体を震わせる。
「やっ――待って、キース! これ、深い! 深過ぎるよぉっ…!」
「それがいいんです。僕の事、義姉さんの内側で覚えてください。これから毎日――魔法学園に入学してからも毎日、確認しますからね」
「何、を?」
「もちろん、僕以外の男の手がついていないか、です」
「ええ!?」
「どうして驚くのですか? 愛する人を独占したいと思う事がおかしいですか? もしかして、僕は弟というだけで、男としての魅力はない?」
「いや、そんな事はないけれど……むしろ最近色気が凄いってメイドたちが噂しているし」
「使用人たちの事はどうでもいいのです。義姉さんが僕をどう思っているのか、それだけが重要で」
「もちろんキースの事は大好きだし大切だけど、でも私には、ジオルド様という婚約者が――」
「義姉さんはジオルド王子との結婚を望まれますか? 婚約者であるあなたをないがしろにする冷たいあの男を愛しているのですか?」
以前であれば冷たくあしらわれている義姉をいい気味だと思っていたが、今はそれが自分には好都合である反面、腹立たしくも感じる。
泣き出しそうな表情の彼女の唇が震えた。
「でも私にはどうする事も――会ってももらえないし、“額の傷は消えたので婚約を解消してもらって構わない”って手紙を書いても、返事もこないし――…」
自分の知らないところでそんなアプローチをしていた義姉に、少し驚く。
これまで、王子の婚約者という立場に何があってもしがみつく気でいるとばかり思っていた。
「本当は嫌なのですね? ジオルド王子と結婚するのは」
義姉さんは目を逸らしてから、こくり、と頷く。
ならば、僕がするべき事はひとつだ。
「ではあなたが不安に感じる全てを、僕が払ってみせます。あなたはただ安心してこれからもずっと僕の傍にいて、僕を愛して、僕に愛されていてください」
「無理だよ……いくらキースが頑張っても……相手は王族だよ?」
「そうかもしれません。ですがあなたが望むのであれば、僕はどんな手を使ってでも、あなたを手に入れます」
「そんな事言って――キースはかっこいいから、魔法学園に入学したら絶対に女の子たちが放っておかないし、好きな人もできるだろうから、きっと私の事なんて邪魔だと思うようになっちゃうんだよ?」
その言い方がなんだかおかしくて、つい微笑んでしまう。
「それはありません。僕はもう、心に決めました。本当は優しいあなたを一生愛し抜くと。例えあなたが再び僕に冷たくなってしまっても、それには理由があるのだと知ってしまった今、もう僕はあなたを諦めません。だから――」
頬にひとつ、口づけをする。
「愛される覚悟、してくださいね」
それでも不安そうな顔をする義姉の瞳を覗き、額をくっつけた。
「とりあえず今は、僕だけを見つめていてください。たっぷり奥まで愛して、憂いも不安も全て忘れさせてあげますから」
カタリナハ ココロヅヨイ ミカタヲ テニイレタ!
…という訳で、入学前にキースを攻略しました。
次回から舞台は魔法学園になります。
(タイトルに”入学直前”とありますが、かかっている言葉は”気付いたら”で”入学前に攻略する”ではないので、あしからず!)
8歳でカタリナに”救われていない”『FORTUNE LOVER』のキースは、性格も攻略後の愛情表現もちょっと歪んでいるかなあ、と思って書いています。
(もちろんそれが本来の『FORTUNE LOVER』ですが、「急に大嫌いなはずのカタリナが可愛くなった」&「カタリナが積極的にエロい事をする」為に思考が追い付かず極端になっています) (゚д゚)!
少し強い言葉(ジオルドを”排除”とか)だったり、執着強そうな言動は、この後、キースがヤンデレていく暗示ですので、『はめふら』のキース(とジオルド)がお好きな方はご注意ください。(。>ㅅ<。)ゴメンネ
ところでカタリナのお母さんは”ミリディアナさん”というんですねー。なんか素敵な名前~。