乙女ゲームのR-18ルートに突入してしまった… 《もしかしたら あったかもしれない『はめふら』R-18ルート》 作:帆速やこぬ
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――やっぱり、鍬を振るっている時が一番落ち着くなぁ
朝露のきらめく清々しい空気の中、秋の収穫を終えた畑の一画を整えていると、昨晩キースと深く愛し合った事が夢だったように思えてくる。
でも夢じゃない。
愛していると何度も囁かれ、身体の一番深いところを繰り返し突かれ、数えきれないほど絶頂した事を身体が覚えている。今もまだ、じわじわとお腹の奥が違和感を訴えている。
キースの愛撫や言葉を思い出すと身体の芯が熱く火照り、奥からにじみ出る愛液が流れ落ちてくるのが分かる。
あんなにたくさん精液を注がれてしまったのだから、赤ちゃんができていてもおかしくない。
けれど不思議と、不安に思う気持ちはなかった。
早く、キースに会いたい。だけどどんな顔をすればいいのか分からない。
相反する気持ちを持て余しながらあれこれと考えるうちに、畑仕事は一段落ついてしまった。
――サッとお風呂に入って、汗と土を流してしまおう
今日は午後にお城でのお茶会とアラン様の演奏会があり、夜はメアリの屋敷にお泊りの予定だ。
キースと恋人になった今、ジオルドと顔を合わせるのは気まずいが、招待はすでに受けてしまっている為、正当な理由もなしに今さら欠席もできない。
これからの事をきちんとキースと相談し、どうするのか考えよう。
道具を片付け、さて部屋に戻ろうと立ち上がった瞬間、後ろから声を掛けられた。
「おはよう、義姉さん」
「お、おはよう、キース」
挨拶を交わしたものの、後の言葉が続かずに、照れくささでお互いうつむいてしまう。
「義姉さん、その……身体は平気? どこか痛かったりしない? 昨日、だいぶ無理させちゃったから」
やっぱり、キースは優しい。いつもの義弟の様子にホッとしながら答える。
「大丈夫よ。キースこそ昨日あんなに動いたのだし、疲れてない?」
「ん、平気。ありがと。……義姉さん、今日はお城のお茶会だったよね。行くの?」
「うん。アラン様の演奏会もあるからね。そのまま夜は、メアリの屋敷でソフィアも一緒にお泊り会」
本当はマリアも誘っていたのだけれど、残念ながら風邪を引いてしまったので、昨日のピクニックに引き続き、今日も不参加だ。
お見舞いに行きたかったが、マリアから手紙で“風邪がうつってはいけないから、お見舞いの心配はなさらないでください”と気遣われてしまったので、せめてもの気持ちに果物とお花を届けてもらっておいた。
「なら、お茶会の会場でジオルド様と会うよね。僕たちの関係は、今はまだ公表しない方がいいと思うから、義姉さんはいつも通りに振る舞ってほしい……できそう?」
「大丈夫。たぶん」
「まあ、お茶会は僕も参加するし、なるべく傍にいるようにするけれど、義姉さんは嘘をつくのが下手だから、心配だよ」
「あ、ひどい!」
「嘘、嘘、ごめんってば」
キースの胸をポカスカ叩くと、笑いながら手を取られる。
傍目からは、ごく仲のよい姉弟に見えるだろう。
誰が見ているか分からないこの場所では、キースはいつも通りだった。最後の瞬間を除いて。
キースが歩き出しながら、流し目で囁く。
「後で、僕の部屋に来て」
きゅん、と下半身が疼いてしまうのを止められるはずがなかった。
「んぅっ……あんっ……」
「義姉さん、声我慢しないと、使用人やお義母様たちに聞こえてしまうよ?」
キースの部屋。
ベッドのシーツは交換され、床に飛び散った二人の体液も綺麗にされていて、昨日の夜のエッチの痕跡は全くなかった。
部屋には一見、キースの姿はない。
「だめ、キースっ…そんなに吸っちゃっ……!」
椅子に座ってスカートをたくし上げ、広げた私の脚の間に、机の下にいるキースが顔をうずめていた。
「これから毎日、ここが剥き出しになって戻らなくなるまでするって、言ったでしょ」
昨日までは自慢だった仲のよい義弟に、こんなに明るいところで恥ずかしい場所を広げてじっくりと眺められ、身体中で一番敏感な突起を剥き出しにされてちろちろと舌先で転がされながら吸われると、気持ちよさに漏れてしまう声を抑えられない。
「……そうだ。ここに、昨日の夜させてもらえなかった、キスをしよう」
そう言うとキースは秘部全体を口で覆うようにして舐め回し、舌を奥へと入れた。
ぬるぬるとした感触は、指で弄られるのとはまた違ってゾクゾクしてしまう。
「はぁぁっ――」
気付けば、キースの頭を押さえて、もっともっととねだってしまっていた。
私がイクまでシてくれたキースは、顔中が愛液まみれになっていた。
「キース、ちょっと顔をこっちに向けて」
ハンカチを取り出して、義弟の顔を綺麗に拭う。
拭われながら、キースはなんだか嬉しそうだ。
「――ね、このハンカチ、僕にちょうだい?」
「いいけど……どうするの?」
「義姉さんのいい匂いがたっぷり滲み込んでいるからね。今日はメアリのところに泊まりでしょ? だから今夜はこれで我慢する」
「!」
それって、“おかず”って事!?
恥ずかしいのに、それ以上に嬉しいと感じてしまっている自分を、変態ではないかと疑ってしまう。
「――あれ、義姉さん? 顔、真っ赤だよ」
キースがからかうように微笑んだ。
ノックの音がした。
「どうぞ」
部屋に入ってきたのは義姉さんのメイド、アンだ。
「キース様、お話がございます」
「構わないけれど……」
言いながらチラリと時計を確認する。そろそろ午後のお茶会に出席する為に出掛けないといけない時間のはずだ。
「時間は平気? 義姉さんの支度は終わったの?」
「はい」
アンが話したいと言うならば当然、内容は義姉さんの事だろう。
「差し出がましいとは存じますが、どうかお聞きいただけますでしょうか?」
「もちろん。義姉さんの事、だよね?」
「はい」
「ちょうどよかった。後で僕も、アンに聞きたい事があるから」
「では、単刀直入に申し上げます。キース様、あまり無茶はなさいませんよう」
何の話か分からずに、首を傾げる。
「カタリナ様が、その……懐妊されるような事はできればお控えください」
「――!」
動揺を顔に出さずにいられたか、あまり自信がなかった。
「……どうして、気付いたの?」
「お二人の様子を見ていれば……いえ、お嬢様を見ていれば分かります。目線や目つき、態度や話し方、そういったもので勘のよい者はすぐに気付きますし、お嬢様は特に隠し事のできないお人柄でいらっしゃいますから。それにキース様はメイドからもとても慕われておりますから、色事に結びつきそうな出来事があれば必ず耳に入ります」
“色事”と聞いてドキリとする。
「それ……具体的にはなんて?」
「シーツや床に、情事の痕跡があったと。今のところ、相手はメイドの誰かではないかと言われていますが。……ちなみにメイドたちの中では“今夜は自分がお相手に呼ばれるかもしれない”という期待で、そわそわと落ち着かない空気になっております。メイド長とわたくしとで、絶対に旦那様や奥様のお耳には入らないよう注意してはおりますが」
「そう…なんだ……」
軽い頭痛を覚える。
そういえば、どうも朝からメイドたちが、何でもない用事で話しかけてきては何か言葉を待っているようだったが、そういう事か。
「どうぞ、ご自重くださいませ。せめて、お嬢様が学園を卒業なさるまでは。懐妊され、それが周囲に知られる事になれば、間違いなく退学となってしまいます。それではあまりにお嬢様が不憫です」
「――ありがとう、アン」
「え?」
まさか礼を言われるとは思わなかったらしく、アンは驚いた顔をした。
「義姉さんを本当に心配してくれているんだね」
部屋に来てからずっと硬い表情だったアンの頬に赤みが差した。
「……カタリナ様の幸せが、わたくしの幸せですから」
「アンの言いたい事は分かった。でも約束はできない。僕も男だからね」
「では、避妊薬をご用意いたしますので、せめてそれまでは」
「うん、そういう事なら……。ところで、僕も聞いていいかな?」
「はい」
「1週間くらい前に、夜中にジオルド様が学生寮の義姉さんの部屋を訪れた事はなかった?」
「いえ、そのような事は――」
言いかけたアンの身体が、ぐらりと立ち眩みでもしたように揺れた。
「アン!?」
「? ――…?」
慌てて駆け寄り、アンの腕を取って支える。
「大丈夫?」
「申し訳ございません。それで……何のお話だったでしょうか?」
「ジオルド様が夜中に義姉さんの部屋を訪れたり、その後、義姉さんをお風呂に入れたりした事はなかった?」
「以前カタリナ様にも同じ事を聞かれましたが、そのような事はございません。ですが……」
曖昧なものを思い出そうとするように、アンが眉をしかめる。
「なぜか、その日の事はよく思い出せないのです」
外でのお茶会にうってつけの、穏やかな午後。
少し遅れて到着したお茶会の会場は、すでに盛況だった。
城の庭に準備されたテーブルには秋の薔薇がふんだんに飾り付けられ、様々なケーキやお茶菓子、軽食が並んでいる。どれもとても美味しそうだ。
主催者のジオルドはお茶会の最初に挨拶したきり、忙しいのか時々姿を見かけるだけで、ほとんど顔を合わせる事はなかった。
キースには“大丈夫”と言ったものの、婚約者がいるのに義弟と恋人になってしまった後ろめたさがある。いつも通りに振る舞えるか不安だったので、少しホッとしていた。
残念ながら昨日のピクニックの疲れで熱が出てしまったというソフィアと、それに付き添っているニコルが急遽欠席となり、少し寂しい。
メアリも殿方に囲まれてしまっており、傍にいてくれると言っていたキースも、少し前から姿が見えない。
どこに行ってしまったんだろう?
キョロキョロしていると、後ろから声を掛けられた。
「――こんにちは、カタリナさん」
魔法学園生徒会長のシリウス・ディークだった。
陽光の下、綺麗な赤い髪がまるで燃えるようだ。
「こんにちは、会長。あちらのテーブルのケーキ、もう食べました? とっても美味しいですよ!」
会長は私の手にする皿にケーキが山盛りなのを見て苦笑してから、首を傾げた。
「誰か、お探しですか?」
「そうなんです。会長、キースを見かけませんでしたか?」
「そういえば、先程あちらの方に歩いていくのを見かけましたよ」
会長が庭の奥に視線を向ける。
傍にいると約束してくれたキースがわざわざ出向くなんて、余程の何かがあったのだろうか。私も行った方がいいかもしれない。
「ありがとうございます。行ってみます」
ケーキに未練を残しつつ皿をテーブルに置き、早速探しに行こうと踏み出した途端に、会長に引き止められる。
「もう演奏会も始まりますし、後にしては?」
見ればアランがピアノの傍に立ち、一礼していた。
「……そう、ですね。そうします」
暖かな日差しに気持ちのいい秋の風が吹く午後にぴったりの、軽快でいて憂いを含む旋律。
城の庭に置かれたピアノを奏でるのは、第四王子のアランだ。
子供の頃から幾度となく聞かせてもらっているが、いつ聞いてもアランのピアノはとても耳に心地いい。
うっとりと聞き惚れていると、ちらりとこちらを見たアランと目が合い、ふっと笑われた気がした。
――口にクリームでもついていたかな?
周りに気付かれぬよう、そっとハンカチで口元を押さえておく。
演奏が終わり、会場が拍手に包まれると、アランは婚約者であるメアリと私がいるところに真っ直ぐに来た。
メアリが、用意していた花束を渡す。
「素晴らしい演奏でしたわ、アラン様」
花束を受け取るアランに、私も声を掛ける。
「素敵な演奏でした! 特に、曲の中盤の、物悲しくて甘い旋律のところは、聞いていて切なくなってしまいましたわ」
「ああ、ありがとう。あの部分は俺も気に入っている」
いつもはぶっきらぼうなアランが嬉しそうに微笑むと、隣で聞いていたメアリが追い払うように言った。
「アラン様。あちらでご令嬢たちが声を掛けていただけるのをお待ちのようですし、ご挨拶された方がよろしいのでは?」
「ああ……そうだな」
ゲームの設定と違い、普段はアランにそれほど好意を寄せているようには見えないメアリだけれど、やはり婚約者がたくさんのご令嬢からモテるのはいい気分がしないようだ。
「――後で、うやむやにしておかなくては」
メアリがもの凄く真剣な表情で呟いた。
後で合流する事をメアリと約束し、キースを探して会長に言われた小道を行くと、石造りのドーム屋根の東屋――ガゼボが見えた。
あそこにいるかな?
「……キース、いる?」
期待して覗いてみたが、誰もいなかった。
少し歩いてみたけれど、どうもこの先に人がいる気配がしない。
――こっちじゃないみたい……キース、どこ行っちゃったんだろう?
一度会場に戻ってみようと踵を返すと、来た方向からこちらに来る人影があった。
お城の庭を勝手に来てしまったので、警備の人に見咎められたら怒られるかもしれないと思い、咄嗟に木の影に隠れてしまう。
――あれ? メアリとアランだ
二人が連れ立ってガゼボに入っていくのが見えた。
ドーム状の屋根の下、設えられた石のベンチに並んで座ると、メアリがアランに身を寄せる。
ここからの角度だと、アランが奥、メアリが手前になる。
仲睦まじく二人きりになりたかったのかな、と思っていると、アランが焦ったように声を上げる。
「ちょっ、待てメアリ! こんなところで…!」
すぐに出ていけばよかったのに、なんとなくタイミングを逃してしまい、出ていきづらい。
――何してるんだろ?
キスするのかと思ったが、何かアランの膝でごそごそしている。
持ってきたお菓子でも食べているのかな。
二人とはそれほど離れていないので、会話も途切れ途切れだが聞こえるし、表情も見える。
メアリはアランにそれほど惹かれてはいないのかと思っていたけれど、本当は二人きりの時はあんなに甘えたりしてたんだ。
マリアがもしアランルートを選択してもメアリには破滅エンドはないはずだし、どうなるか分からない今は素直に二人を応援したい。
「あらあら、アラン様ったらもうこんなにして……」
メアリはおもむろにアランの膝に屈んだ。
膝枕かな?
でも、なんだろう……膝枕にしては、メアリの頭の位置が高いような……。それに、上下に動かして……。
ようやく二人がしている事を理解して、カアッと顔に血が上る。
――こんなところで!? 仲がいいにも程があるのでは!?
いくら婚約者とはいえ、誰に見られるか分からないこんな場所で、余程気持ちが昂ってしまったのか。そういえば、さっきメアリが思い詰めたような表情で何か呟いていたっけ。
きっと人気のあるアランに、自分だけを見ていてもらいたかったのだろう。
――だけど二人がこんなエッチな事をする仲だったなんて、全然知らなかった……
状況を理解してしまうと、メアリのしている事が手に取るように分かる。
上下する頭の位置から随分根元まで咥えているようで、その度にアランが気持ちよさそうに喘ぎ、何かを囁いた。
メアリの動きは慣れている感じがする。きっとアランと何度もしているんだ。
見ちゃいけないと思うけれど、目が離せない。
昨日の夜、キースにたくさん愛され、ここに来る前にも口でされてしまった熱が身体の芯に残っているせいで、二人の熱い息遣いがここまで聞こえる気がして、私まできゅんと感じてしまう。
「メアリッ……もう……!」
アランがメアリの頭をグッと押さえつけた。
「んん――ッ!」
たくさん注がれたのだろう、しばらく押さえられていた手が離れると、メアリが顔を上げて激しく咳き込みながら身を折る。
「だ、大丈夫か、メアリ?」
「アラン…様……出し過ぎ、です……」
涙目でケホケホと苦しそうに睨んでから、メアリは立ち上がった。
手前にいたメアリがどいた事でアランの下半身が見える。
たった今、メアリに出してもらったばかりだと言うのに、硬くそそり勃つ男性器。
どうするんだろう。服は乱れていないものの、あの状態じゃ、会場には戻れないよね。
そう思っていると、メアリがアランの前にしゃがみ込んだ。
ドレスの肩を落とし、豊満な乳房が露わになる。
――わあ、凄い……
いやらしいはずなのに、白い肌は滑らかに光って、なんだかとても綺麗だ。
耳に髪をかける仕草が凄く色っぽい。
ごくりとアランは唾を飲み込むと、メアリの首の後ろに両手を回した。
ネックレスを外してあげたらしい。どこに置くか一瞬迷い、メアリに何か言った。
メアリが頷くと、アランは自分の上着の胸ポケットに入れる。
「ドレスは汚さないでくださいね」
「ああ……………ふっ……ッう……」
たぷっと音のしそうな豊かな乳房を両手で持ち上げるように寄せながら、アランの反り返った男性器を挟んで、扱いている。
柔らかそうな乳房に埋もれ、扱かれる度に顔を出す赤黒い先っぽを、メアリが舌を伸ばして舐め始めた。
――メアリ、なんか目つきが色っぽい……アランも凄く気持ちよさそう……
「はッあ……メアリ、そろそろ……出す、ぞ……」
メアリがギュウッと乳房を狭めながら、先っぽを咥える。全部口で受け止めるつもりみたいだ。
「ぅくッ…!」
勢いよく噴き出す反動でメアリの口を外れた男性器は、顔だけでなく髪やドレスにまでどろりとした白い液体をまき散らした。
メアリはドレスの肩を直しながら、恨みがましい目でアランを見上げる。
「……ドレスは汚さないでとお願いしたじゃないですか」
「す、すまない」
器用なはずのアランが、不器用な手つきでメアリの顔や髪についた精液をハンカチで拭う。
「……もういいです。アラン様は主催者なのですから、あまり長く会場を離れられる訳にはいきません。もう戻ってください。後からわたくしも参りますから」
アラン様の衣服を整え、おかしなところはない事を確認して、少し強引にお茶会の会場に向けて背中を押した。
申し訳なさそうに振り返るアラン様に微笑んで見せてから、ドレスに飛んだ汚れを押さえる。
――ちゃんと刷り込む事はできたかしら…?
アラン様がカタリナ様に惹かれている事は、カタリナ様と本人以外は皆気付いている。
これ以上ライバルを増やさない為に、アラン様に気付かせる訳にはいかない。だからこれまでずっと、深く考えさせないよう気を逸らしたりして、カタリナ様への気持ちを自覚させないようにしてきた。
だがそれにもそろそろ限界を感じてきた頃、アラン様の性欲を利用する事を思い付いた。
それをカタリナ様に向けられないよう、自分を差し出す事にしたのだ。
カタリナ様への気持ちが動いた時にはすかさず性欲を満たし、する時には必ずわたくしの名前を呼びながら、“愛している”と囁くように約束させた。
わたくしを愛しているのだと誤解させ、快楽と共に刷り込む為に。
初めは戸惑っていたアラン様も、今では手を取ってそっと指を絡め、思わせぶりに見つめるだけでついてくるようになった。
今のところ、それは上手くいっていたが、同時に言いようのない虚しさも感じるようになっていた。
――なんだか疲れた………
カタリナ様に会いたい。あの温かい笑顔を見られるだけで、わたくしは幸せになれる。
わたくしが愛しているのは、カタリナ様ただひとり。
幼い頃に出会い、優しい言葉と明るい笑顔、温かい人柄に救われてから、身も心もカタリナ様に捧げると決めた。
けれど同性での恋愛は難しい。この想いが成就する可能性はとても低いだろう。
もし、わたくしが誰か男性を愛していて、その人を慕うライバルが現れたのだとしたら、同じ土俵で正々堂々と闘ったと思う。
だけど同性であるカタリナ様を慕うわたくしのライバルは、男性――それも王子に、血の繋がらない弟、宰相の息子と、身分だけでなく容姿も才能もレベルが高く、あまりに強敵だ。
学園に入ってからは生徒会長のシリウス・ディークもカタリナ様に惹かれ始めているようだし、女子生徒からも人気がある。その最たるが、珍しい光の魔力を持ったマリア・キャンベルだ。
マリアさんはとても純粋にカタリナ様を敬愛しているようで、同級生からひどい嫌がらせを受けていたところをカタリナ様に助けられたのがきっかけだった。生徒会メンバーという事もあってわたくしたちの輪に加わるようになったが、わたくしもソフィア様もきっかけが似ている事もあり、すんなりと受け入れる事ができた。
昔から、メイドや庭師といった貴族ではない者でも分け隔てなく接するカタリナ様と共に過ごすうち、身分に囚われる愚かさや身分を笠に着る醜さに気付けた事で、マリアさんに対しても平民だからという偏見を感じた事はない。
美しい容姿に優しく素直でいながら芯が強く、とても努力家で、カタリナ様が気に入らない訳がないと納得してしまうような少女だ。
なによりカタリナ様の大好きなお菓子をつくるのがとても上手で、それを食べて幸せそうなカタリナ様を見ていると、わたくしまで幸せになってしまう。
もしそこに、公爵令嬢であるカタリナ様に取り入ろうとする下心が見えるようであれば全力で追い払うのだが、ただ純粋にカタリナ様に喜んでほしくてしているのだと見ていて分かってしまうので、いつの間にか自然に、マリアさんはわたくしたちに溶け込んでいた。
だがマリアさんの気持ちがいつ一線を越えるか分からない。同志が増えたという気持ちと同じくらい、ライバルが増えたという気持ちもある。
いつだってカタリナ様の周りでは、和やかに見えるその裏で一欠片でも多く愛情を独り占めしようと競い合っているのだ。
カタリナ様と仲良くなるにつれ、いつもキラキラと輝いている彼女に釣り合う令嬢になる為にたくさんの努力を重ねてきた。正直に言えば、つらくて辞めてしまいたいと思う時は何度もあったが、いつもカタリナ様が“凄い、素晴らしい”と褒めてくれたから、どんな事も頑張る事ができた。
今のわたくしが“貴族令嬢の鑑”と称えられるまでになったのは、カタリナ様のおかげだ。
目につくところの汚れは大体綺麗にし終え、ホッと息を吐く。
それほど離れていない会場の喧騒が遠く聞こえる。
秋の空は高く、見上げると、こんなところでひとりで立っている自分がとても孤独に思えた。
スッと頬に濡れた感触が走る。
――どうしてわたくし、泣いているのかしら……?
分からない。ただひどく、疲れを感じた。
きっと、昨日のピクニックではしゃぎ過ぎたせい。それに午前中も、カタリナ様が泊まりに来る準備で忙しかったから……。
そう自分に言い訳をしたが、疲れの原因は分かっている。
カタリナ様を愛しているのに、アラン様に身を委ねる自分が許せないのだ。
それが戦略だとしても、わたくしが汚されてしまった事に変わりはない。
何より一番許せないのは、こうしてアラン様とする度に、わたくしの名を熱っぽく繰り返し、愛していると囁かれる事を、心のどこかで嬉しいと感じてしまっている自分がいる事だ。
それが心のこもらない、上辺だけの言葉だと分かっているのに。
――馬鹿ね、メアリ・ハント。しっかりなさい! 仕掛けた罠に自分で嵌ってどうするの
この後、カタリナ様が泊まりに来てくれるのだ。マリアさんが風邪を引き、ソフィア様が熱を出してしまった今、カタリナ様と夜を二人きりで過ごす事ができるまたとない機会。
これまで色々と準備してきた甲斐があるというものだ。
涙を拭うとパンッと頬を両手で打ち、顎を上げて胸を張り、会場へと歩き出した。
メアリがこの場を後にするのを見送り、見つからないようずっと同じ姿勢でいた身体をようやく伸ばす。
――メアリ、泣いてた……
いつだって貴族令嬢として誇り高く気丈なメアリが、あんな風に泣くなんて初めて見た。
覗いてしまった二人の秘め事よりも、そちらの方が衝撃だった。
胸が痛い。本当はすぐに駆け寄り、抱き締めてあげたい。
だけどそれは見ていたとバラすのと同じ事で、メアリの望むところではないだろう。
友人だからこそ知られたくない事だってある。
――今日の事は、この胸にしまっておこう……
そろそろ会場に戻ろう、そう思った瞬間、後ろに人の気配を感じた。
振り返ろうとすると、突然目の前が真っ暗になる。
――あ、れ…? 立ち眩み……?
意識を失う間際、ちらりと赤い色と微笑む口元が見えた気がした……。
「……さん! 義姉さん!」
目を開けると、キースが心配そうに覗き込んでいる。
「ふぁ? あれ……キース? おはよう……」
「寝ぼけないで、義姉さん。探したんだよ」
「探した? ……って、あれ?」
いつの間にか、ガゼボの石造りのベンチで眠ってしまっていたようだ。
どうして私、こんなところに?
「昨日のピクニックの疲れが残ってるの? もうお茶会はお開きだよ」
そうそう、お城のお茶会と演奏会に来ていたんだった。それで、姿の見えないキースを探して中庭の奥に探しに入って、メアリとアランの―――。
「!」
「どうしたの? 顔が赤いよ?」
キースが怪訝な顔をする。
「な、なんでもないわ!」
メアリとアランの事は誰にも内緒だ。
「まったくもう、心配したよ。急にいなくなるから……」
キースのお小言を聞きながら、何か大切な事を忘れてしまっている気がする。
確か……夢を見ていた。よく思い出せないけど――…
“全て、夢ですよ”
――そうか、昨日の夜、キースに愛されたのは夢だったか……
一応、キースにも確認しておこう。
「ねえキース。昨日の夜、何かあった?」
「なに? “何か”って。特に何もなかったと思うけど」
「そ、そうだよね! あはは」
「?」
いやだなぁ、私。ジオルドに引き続き、キースとまでエッチな事をする夢を見るなんて。
欲求不満なのかなあ?
キースに付き添われて会場に戻ると、メアリが駆け寄ってきた。
「カタリナ様! どちらにいらしていたのですか?」
「あー、うん、キースを探しに中庭の奥に行ったら、眠気に襲われて、途中にあったガゼボで寝ちゃってたの。心配かけてごめんね」
メアリが戸惑った顔で「ガゼボでですか?」と呟いた。
「あーうん、通りかかった時、誰もいなかったから――」
慌てて付け加えると、メアリが目に見えて安堵する。
「そうでしたか。お茶会も終わりですし、このままわたくしの屋敷に向かいましょう」
「あ、その前にちょっと待って、メアリ」
メアリをギュッと抱き締める。
「カタリナ様!?」
何も言わず優しく頭をポンポンしてあげると、戸惑っていたメアリの強張った身体からゆっくりと力が抜けていく。
「カタリナ、様……わたくし――」
メアリの声が震えた。
「いいよ、メアリ。無理に言わなくて。私はいつだってメアリの味方だから」
「はい――…はい……」
――何をしてるんだ、カタリナたちは?
出口で主催者としてジオルドと二人、帰る招待客たちに挨拶し見送っていたが、さっきからカタリナにメアリ、キースの三人が会場の隅で話し込んでいる。
ジオルドもチラチラと視線を送って気にしている様子だ。
遠目にはメアリが泣き出し、それをカタリナが慰めているように見える。
――もしかして、さっきのアレか……?
メアリが泣く理由が、それくらいしか思い当たらない。
お茶会の最中に二人で抜け出し、口淫させた挙句、汚したまま置いてきてしまった。
やっぱりちゃんとついていた方がよかっただろうか?
メアリに行けと言われたからと言い訳するのは、さすがに情けない。
だがメアリが自分からそんな事を話すとも思えなかった。それに色々と策を弄するが、基本的には公平で曲がった事は嫌いなメアリが、自分に都合のいい嘘をカタリナに吹き込んだとも思えない。
あるとすれば、誤解だろう。
そこまで考えて、一番あってほしくない可能性に思い当たる。
――まさか、アレを見られた?
スッと血の気が引く。
さすがにジオルドも黙っていられなくなったのか、招待客の波が途切れた瞬間に耳打ちしてきた。
「アラン、メアリと何かあったのですか?」
「いや!? 特に何もないぞ!」
ジオルドはこちらの顔を見ると、苦笑いしながら溜め息を吐いた。
「……あったんですね。こじれる前に、誤解を解いておいた方がいいのでは? 休みはまだ3日もありますし、時間を置いてしまうと解けるものも解けなくなってしまいますよ」
メアリの屋敷に向かう馬車。
並んで座るメアリは泣き止んだものの、見られたと気付いてしまって、ずっと顔を合わせてくれない。
ただ慰めたかっただけなのに、かえって落ち込ませてしまった。
あるいは、恥ずかしくて居たたまれない?
私もここのところ変な――エッチな夢を立て続けに見たりして、女の子だってそういう気分になったり昂ったりする事もあるよね、と共感があるだけだが、実際そういう事をしている場面を見られてしまうのとは全然違うだろう。
自分に置き換えれば、ジオルドと私がエッチな事をしていて、それをメアリに――…
「~~~~~~!」
想像した途端、頬に血が上る。
――わあ! 無理無理! 絶対、恥ずかしい…!
ばかばか、私。ごめんね、メアリ。
中途半端に慰めようとなんてしない方がよかった。
落ち込みそうになる気持ちをなんとか前向きに持っていく。
ともかく、メアリを元気づけなくちゃ!
何かメアリが元気になる事……メアリがしたいと言っていた事……
――あ、そうだ!
閃き、がっちりとメアリの手を取って握る。
「メアリ、お家に着いたらまず、一緒にお風呂に入ろう!」
――これは夢かしら……?
湯船に香油を垂らし、たっぷりと張ったお湯には真っ赤な薔薇の花びらを浮かべ、その中にカタリナ様と向かい合って浸かっている。
ドレスを脱ぐのを手伝ってくれたメイドも下がらせたので、今この浴室にはカタリナ様と二人きりだ。まだこんなに明るいうちに、大好きな人と、何も纏う事なく一緒にいられるなんて
まるで夢のようで、アラン様との事を見られてしまった恥ずかしさなど消し飛んでしまう。
当初の予定では今日のお泊り会はソフィア様とマリアさんも来るはずだったので、趣向をこらしたお風呂を用意してはいたものの、一緒に入れるとは想定していなかった。
「んんん~、いい香り! メアリ、こんな素敵なお風呂を用意してくれていたんだね。ありがとう」
伸びをしながらカタリナ様が微笑んだ。
「いえ、どういたしまして。久しぶりに我が家でのお泊り会でしたし、ちょっと気合を入れてみたのです。ソフィア様もマリアさんも残念でしたけれど、でもカタリナ様と一緒に入る事ができて、とても嬉しいです。お二人には恨まれてしまいそうですけれど」
ゆっくりと香油の甘い香りを吸い込み、さっきまでの憂いを吐き出して、あまり失礼にならないように俯き加減でカタリナ様の姿を視界に入れる。
――カタリナ様の裸、とても綺麗……
「メアリ、肌がとっても綺麗ね」
「とんでもありません! カタリナ様こそ肌が綺麗で、その……お胸も――いえ、なんでもありませんわ!」
「胸? メアリの方が、女性らしくて柔らかそうで素敵だと思うよ」
「カタリナ様にそんな風に言っていただけて、嬉しいです!」
胸の話題になった為、お互いになんとなく目線が胸に行ってしまう。カタリナ様の形のよいツンと上向きのお胸は大きさも程よく、わたくしの理想だ。
――どんな感触かしら。触れてみたい……
いきなり触らせてほしいなどと言って、カタリナ様に嫌われたら困る。なんとかして上手い方法はないものかしら?
思案していると、カタリナ様が身体を洗う用の海綿を手に取った。
「ねえ、メアリ。洗いっこしようか」
「!!!?」
あまりにタイミングの良いお言葉に、思わず耳を疑ってしまう。
「そ、それは、わたくしがカタリナ様を洗わせていただけて、カタリナ様がわたくしを洗ってくださる、という意味でしょうか!?」
「う、うん。いやならいいんだけど」
「いいえ! ぜひ!!」
今日はなんていい日なの! もしかしたら、今までしたいと思っていた事が全て叶えられるかも!!
――よかった。メアリ、元気出たみたい
一緒にお風呂に入ろうと提案してから、終始メアリはうきうきと嬉しそうだ。
お招きしたのはわたくしですから、というメアリに上半身を洗ってもらう。
メアリはなんだかとても真剣に、目に焼き付けてでもいるかのようにじっくりと海綿を滑らせてくれた。さすがに下半身は恥ずかしいのでお断りすると、とても残念そうだった。
「次は私の番ね」
メアリの白くてキメの細かい吸いつくような綺麗な肌に、優しく海綿を滑らせていく。
「メアリ、強くない? 痛かったら言ってね」
「いえ! ちょうどいいです! カタリナ様に洗っていただけるなんて、今日は人生最良の日ですわ!」
大げさだなあ。
ついさっきも、“カタリナ様を洗わせていただけるなんて、以下略”と言っていたし。
やっぱり、恋愛だけでなくこういうきゃっきゃうふふな女子同士のやり取りも、女の子には必要だよね。
首筋や肩を洗い、胸まできて、自分にはないその大きさに内心では興味津々だ。
海綿で触れると、メアリがくすぐったそうに笑う。
「胸の下も洗わなきゃ。持ち上げてもいい?」
「もちろんですわ」
「わ、重い! 大変だね、メアリ。後で私が肩を揉んであげる」
「ほ、本当ですか!?」
それにしても、凄いな。大きくて柔らかくて、ぷるぷるでふわふわのお肉に指が簡単にうもれてしまう。なんだろう……なんていうか、クセになる。そりゃ、こんな素敵なおっぱいの婚約者がいたら、アランもメアリに色々してほしくなっちゃうよね。
「……カ、カタリナ様……」
メアリが顔を赤らめている。
いつの間にか洗うのを忘れて、メアリの巨乳を揉みしだいてしまっていた。
「あ! ごめんね、メアリ。つい気持ちよくって」
「い、いえ! この胸も身体も、カタリナ様に触れていただけるのでしたら大歓迎ですわ!」
「そう?」
変態とドン引きされなくてよかった。
ホッとしていると、メアリが意を決したように泡だらけの手を握ってきた。
「カ、カタリナ様! わたくし、悩んでいる事があるのです!」
「なあに? 私でよければ相談に乗るし、協力するよ」
「 “これ”です」
恥ずかしそうに乳房を持ち上げる。
胸? おっぱいが大きいのが悩み、とか?
「乳首が……その……」
「ああ」
メアリは乳首の先が内側に入り込んだ、いわゆる陥没乳首だ。
ちょっと見、小さなおへそみたいに見える。
「気持ちよくなって硬くなったりしても、出てこないの?」
「気持ちよく……なった事がないのです……」
「な……」
なんですって! アランは婚約者にあんなエッチな事をさせておいて、自分だけ気持ちよくなっていたの!? ちゃんとメアリの事も気持ちよくしてあげなくちゃ、だめじゃない!
説教してやりたいのはやまやまだけど、そういう訳にもいかない為、逆に使命感に火が付いた。
よし、ここは親友である私が、メアリを気持ちよくして、悩みも解決してあげよう!
「ちょっとよく見てみてもいい?」
「は、はい!」
――でも、そんなにイヤかなあ。これはこれでエロ可愛いと思うけど
乳房の大きさに比例するように大きな乳輪はふっくらと膨らんでいて、張りのある乳房から乳輪までツヤッとしている。エッチくて凄く可愛い。
いやいや、個人的な価値観を押し付けるのはよくない。思春期の身体の悩みは人それぞれなのだし、きっとメアリは真剣に悩んでいるのだろう。
「もう一度、胸に触ってみても平気?」
「はい、もちろんです」
昨日夢の中でキースにされたように、ゆっくりと乳房を揉み上げ、乳首には触れないようにたっぷりと愛撫する。少しずつ乳房の中心に寄せるようにしていると、なんとなく芯が硬くなった感じがしてきた。
「ほら、メアリ。先っぽがちょっと顔を出したよ」
ふっ、ふっ、と息を漏らしていたメアリが、涙目で見下ろす。
「んー、なかなか手強いなあ。ちょっと吸い出してみてもいい?」
「本当ですか!? ぜひ!!」
メアリが妙に目を輝かせているのが気になるけれど、とりあえず私はメアリの胸元に屈みこんだ。
「じゃあ、いくよ」
ちゅっと吸ってみる。
途端に「あぁ…!」と甘い声を上げて、メアリがびくりと仰け反った。
「あ、ごめんね、メアリ! 痛かった?」
「い、いえ、違うのです。大丈夫ですので、続けてくださいませ」
「そう……?」
陥没しているところを指で広げ、舌先で刺激しつつ先端を剥き出してもう一度吸ってみる。
ちゅっちゅっと吸い出していると、だんだん可愛い乳首が露わになってきた。最後に息が続く限り強く吸いつくと、勃起した乳首が完全に姿を現す。
「ほら、メアリ、可愛い乳首が出てきたよ」
もう反対も同じように吸い出すと、メアリの大きな二つの乳房に、ツンと勃った乳首が揃った。
ふう、と満足の溜め息を吐きながらメアリを見上げると、ふるふると震えながら顔を赤らめ、目元は涙が溢れそうになっている。
「え!? ちょっ、メアリ!?」
「カ…タリナ、様……」
メアリがぎゅっと抱きついて、柔らかな乳房を押し付ける。
「わたくし、もう……我慢できません…わ」
甘い吐息が耳にかかった。
「わたくしにも……同じ事をさせてください」
「あの……メアリ?」
熱っぽい目をしたメアリに湯船の端に追い詰められた私は、たっぷりと乳房を愛撫される。
「んっ……ちょっと待って……あっんっ………ああっ…!」
「わたくしのとは全く違う感触なのですね……張りがあって…みずみずしい感じ。あぁ……素晴らしい感触ですわ」
ちろちろと舌が乳輪をなぞり、愛撫ですぐに硬くなってしまった乳首をしゃぶる。
「ま、待って、メアリ! 女の子同士でこんな…!」
「でもカタリナ様が教えてくださったのですわ。ここをこんな風に触れて、こう―――吸うと、とても気持ちがいいって」
「は…あっ……それは、ああっ……メアリ、あんっ…………ぁんんっ」
抑えられない喘ぎに悦んだように、メアリの舌遣いが熱を増す。
「ひぁっ…あっ…メアリっ………どうして、そんな上手――?」
「カタリナ様に悦んでいただけるよう、本で色々勉強しましたの。でも実践は初めてですので、本当にカタリナ様が気持ちいいと感じてくださっているなら嬉しいですわ」
――以前ソフィア様に借りて読んだ、王女と町娘のラブロマンス。
初めて触れた同性でのロマンスに、自分が求めていたのはこれなのだと雷に打たれたような衝撃を覚えた。以来、こっそりと自分で手に入れては登場人物をカタリナ様と自分に置き換えて楽しんでいる。
欲望には終わりがない。手に入らなければ手に入れるまで、手に入ればもっと欲しくなる。
少しずつ本は増え、内容は過激になっていき、毎晩カタリナ様を思いながら読み耽っていた。
妄想の中ではとっくにカタリナ様とは一線を越えていて、それを現実にする為ならわたくしはどんな手でも使うつもりでいる。
「……まあ大変。カタリナ様、お顔が真っ赤。少しのぼせてしまいましたね。もう、上がりましょうか」
バスローブを羽織り、水差しの水を二つのグラスに注いで、傍に置かれたガラスの小瓶から甘い香りのする液体を数的垂らす。
「お水をどうぞ。薔薇水を混ぜたのでいい香りがしますよ」
「う、うん、ありがとう……」
グラスの水を飲んで見せると、カタリナ様もグラスを受け取り、くっと中身を飲み干した。
「美味しい……ちょっと甘い?」
「そうですわね。最近手に入れたばかりの新作なんです。……さ、こちらにいらしてくださいな。カタリナ様の為に、色々ご用意したのですよ」
自室には、秋の果実を盛り合わせたコンポートが用意されている。
ベッドに座り、葡萄を手に取ると一粒外し、カタリナ様の口元に運ぶ。
「カタリナ様、はい、あーん」
「メ、メアリ、自分でできるから……!」
「まあ、残念ですわ。では、どうぞ」
葡萄を一房渡されたカタリナ様は、受け取ろうとしてベッドに落とした。
「あ、れ…? 力が……」
そのままドサリとベッドに倒れる。
「? ……?」
戸惑うカタリナ様にそっと囁く。
「実は先ほど水に混ぜたのは、媚薬なんです。わたくしが何度か試したので、身体に害がない事は確認済みですが、初めてですと効果が少し強いかもしれません。大丈夫ですわ、とっても気持ちよくなるだけですから」
クラクラとして、本当に身体に力が入らない。
――メアリ、今、媚薬って言った? 聞き間違い? 聞き間違いだよね?
媚薬って、エッチな気分になったり、気持ちよくなっちゃったりする、アレ、だよね?
本当にメアリがそんなものを……?
「んぁ…ぁ」
メアリ、と呼びかけようとしたが、か細い声しか出ない。これも媚薬の効果?
――それにしても、メアリどうしちゃったんだろう。
お茶会でアランと色々あったけれど、さっきのお風呂で元気になったと思ったのに。
思い出したらむしゃくしゃして、憂さ晴らしがしたくなった?
けれど今のメアリはとても機嫌がよさそうに見える。
それに媚薬なんて簡単に手に入るものじゃないだろうし、事前に準備していないと。
――もしかして、アランと使おうと思って用意してたのかな?
そうかも。お茶会の最中に、いつ人が来るかもわからないような場所であんなエッチな事をする仲だったのだから、きっともう二人で色々なプレイをしているに違いない。
だとしたら、メアリが泣いていたのはなんだったんだろう?
あの場ではメアリが主導していたように見えたけれど、本当はアランに強引にさせられたんだろうか?
あり得る……。だってアランは俺様王子だし。
油断してたわ。そっち系はお子様だと思ってたのに。
ともかく何かがあって、アランとちょっと喧嘩しちゃったメアリのおっぱいを私が弄った事で、火を点けてしまった、とか?
なら、メアリの気が済むまで付き合うしかないかも。どちらにしろ身体も動かせないし。
「――やはり、ひとりでは無理そうですわね。わたくしが食べさせて差し上げますわ」
そう言うと、メアリは葡萄を一粒口に入れ、少し咀嚼してから私に口移しで食べさせる。
強い甘みと香りが弾けるようで、とっても美味しい。
それにメアリの唇のぷるんとした感触や押し付けられる乳房の感触も、さっき浴室で触れたよりも鮮烈に感じる。
葡萄を飲み込んでもメアリの唇は離れることなく合わさり、舌が絡められる。
身体に力が入らず、指も動かせないのに、感覚だけは鋭敏に研ぎ澄まされているようだ。
メアリの舌の感触が、腰が抜けてしまいそうなほど気持ちがいい。
――なにこれ? 身体が熱い…! それになんだか凄く敏感になってる!?
メアリがゆっくりと唇を離すと、舌先にツッと糸を引いた。
「感じてくださってますか? この媚薬は、元は麻酔として使われていたものなのですが、改良されて快感だけを何倍にもしてくれるのです」
うっとりとした表情でメアリが続ける。
「ずっと……ずっとわたくし、カタリナ様とこうしたかったのですわ。ああ、まだ暗くならないうちからこんなにカタリナ様と愛し合えるだなんて……」
「ぁ……ぁ……」
「申し訳ありません。媚薬の効き目が強いうちは話す事ができないかもしれません。その分、気持ちよさも強いので、どうか今しばらくはわたくしに身を委ねてくださいませ」
メアリは鏡台に並べられたガラス瓶の中からひとつ取り上げると、栓を抜いた。
「カタリナ様は、お風呂上がりはどんなお手入れをされていますか? わたくしの最近のお気に入りはこの蜂蜜入りの香油なんです」
メアリがガウンを脱いで床に落とす。明るいところで見るその裸体は、絵画のように美しかった。
滑らかに光る白い肌。豊かな乳房のライン。出るところはばっちり出ていて細いところはしっかり細い、完璧なプロポーションだ。
全裸になったメアリは小瓶を自分の胸元で傾け、花と蜂蜜の甘く濃密な香りがする香油をたっぷりと垂らす。メアリの体温で温まった香油を手の平で丁寧に広げると、ベッドに上がり、私のガウンの胸元を開いた。
「カタリナ様にも香油でお手入れして差し上げますわね」
メアリは乳房を持ち上げると、私の乳房に押し付ける。たぷ、たぷ、と肉感のある乳房が香油でぬるぬると滑り、合わさる乳房は擦る度に形を変え、メアリの柔らかな乳房に飲み込まれてしまいそうだ。
「ひぁ……ぁ……」
敏感になっている乳首にメアリの硬く尖る乳首が当たる度、下半身まできゅんきゅんと昂り、息が乱れる。
「あ、んっ……まるでカタリナ様と乳首でキスをしているみたいですわね」
乳首同士をクリュ、クリュ、と擦りつけながら、嬉しそうにメアリが声を上げた。
「……こちらは、どんな感じでしょうか」
再び舌を絡める濃厚なキスをしながら、ローブの裾から差し込まれた手が太ももの内側を撫でる。
ただそれだけなのに、びくりと反応してしまうほど身体は敏感になっていた。まるで全身が性感帯になってしまったみたいだ。
さっきメアリが言っていた通り、身体は動かないけれど感覚は逆に敏感になっていて、メアリの手も、唇も、乳房も、髪も、頬も、全てが軽く触れるだけで気持ちがいい。
夢の中でジオルドやキースに愛された時とは全然違う、女の子特有の柔らかく滑らかな肌の感触。
一番敏感な部分に滑り込んだ指が、ひだを広げながらクチュクチュと音を立てる。
「あぁっ……素敵」
「ひぅっ…! はっ…ぁっ……!」
軽くイってしまった。
メアリが嬉しそうに微笑んだ。
「ああ、カタリナ様、感じてくださっているのですね。わたくしも………同じですわ」
そう言って私の手を取り、自分の秘部へ導く。
指が触れた途端、熱い愛液が溢れ出て手首にまで伝う。
「あっ…あんっ…、申し訳ありません、カタリナ様の綺麗な手を汚してしまって…は、ぅんっ…でも、止まらないのです……」
切なそうに涙を溜めたメアリは、私の指を自分の中へと挿入する。
「ああっ、あっ、はぁッ、カタリナ様の指がわたくしの中に! あっ、奥まできて…!」
昨日の夜、キースの指を使って自慰をする変態っぽい夢を見てしまった私に、止める権利などない。
メアリの中はピクン、ピクン、と指を奥へと飲み込むように痙攣し、もうすぐイキそうなのが分かる。
「き、気持ちいいっ! あぁっカタリナ様っカタリナ様っカタリナ様ぁ…!」
仰け反ると、そのままメアリは果ててしまったようだった。
媚薬の効果なのか、その興奮が伝わりこちらまで感じてしまう。
「わたくしったら、いけませんわね。自分だけ気持ちよくなってしまって……」
荒い息遣いのまま弛緩した笑みを浮かべたメアリが私の脚の間に移動すると、両脚を大きく広げて太ももを押さえた。
「今度はカタリナ様の味を教えてくださいませ」
息がかかるほど顔を寄せたと思った途端に、メアリが秘部を舐め回し始める。
「わたくしが全部舐め取って差し上げますわね」
「んぅっ……ひあぁ…っ!」
身体中で一番敏感な部分をメアリの柔らかな唇と舌が踊り、細い指が遠慮なく奥まで差し込まれ、ゆっくりと抽送する。身体の芯に電気が走るみたいに、全身を痺れるような甘い快感が満たす。
――こんなに気持ちがいいのは、媚薬のせいなの!? それとも女の子同士でイケナイ事をしているせい!?
強烈な快楽のせいで理性が飛びそうだ。
「カタリナ様のここ、とっても柔らかくて、いい香り……甘くて…まるで果実のよう……それに熱いのがこんなに溢れて……いやらしい音を立てて……ここも…こんなに真っ赤な顔を出して……ああ、カタリナ様、もういいですわよね?」
え? “いい”って何が?
メアリがペロリと唇を舐め、ベッドから下りると、棚にあった箱から布に包まれたものを取り出した。
スルスルと布を解く。
「少し前に手に入れましたの」
「!?」
メアリが手にしていたのは、U字形の双頭ディルドだった。
茶会と演奏会も終わり、全ての招待客を見送って、俺は自室に戻っていた。
窓から中庭を見下ろし、溜め息を吐く。着替える気にもなれない。
結局、俺を避けるように会場を後にしたメアリと言葉を交わす事ができず、一緒にいたカタリナも困った顔で、庇うようにメアリについていった。
窓から離れて、ソファに身体を投げ出す。
――メアリの涙の理由はなんだったんだろう
やはりタイミングから言って、原因はさっきの口淫だろう。
言い出したのはメアリだが、それに乗ったのだから俺にも責任はある。
気が利かない自覚はある。なにかメアリの気に障る事を言ったか、やったか。
――精液で汚してしまった事?
でもわざとではないとは分かっているだろうし、そういう事を根に持つタイプでもない。
――俺とああいう事をするのが本当は嫌なのか……?
例えば親に、婚約者としての絆を確かなものにする為に身体を差し出すように言われ、実は嫌々している、とか。本意ではないのに自分を騙して口淫し、挙句汚されたとなれば泣きたくもなるかもしれない。
――あんな風にメアリと淫らな事をするようになったのはいつ頃からだったか……
自分でもよく思い出せない。
“婚約者なのだから当然”
“おかしな事など何もない”
“一緒に気持ちいい事をしましょう”
そんな風に囁かれ、柔らかな胸を押し付けられて、理性を保ち、拒める男がいるだろうか?
容姿が美しく、取り分け目を引く豊かな胸を持つメアリは、社交界でも人気が高い。
そんな婚約者を持つ事を自慢に思う気持ちが全くないと言えば嘘になる。
そのメアリが俺を誘うようになったのは、普段は見せない独占欲や嫉妬からだと勝手に思っていた。
“貴族令嬢の鑑”と周りから称賛されているメアリが、陰で努力を重ねていた事を俺は知っている。
一方で、“家柄と運がよかっただけ”と陰口を叩く連中もいるらしい。
王子という身分に取り入ろうとする貴族令嬢は多い。中には純粋に俺のピアノや俺自身を好いてくれている者もいるかもしれないが、多くは打算的な目的で騒いでいるだけだろう。
今日みたいにお茶会や晩餐会、演奏会などがあると令嬢に囲まれる事があるが、メアリの機嫌が悪くなるのはその後が多いような気がする。だからきっと、努力を踏みにじられ自分をないがしろにされているように感じて、その苛立ちから俺との関係を深いものにしたがっているのだと思っていた。
――俺やジオルドを王子として扱わないのは、カタリナくらいのものだからな
自然と口元に笑みがこぼれたが、今はそんな場合ではない。
カタリナは、メアリと俺が淫らな行為をしている事を知っているのだろうか?
それを考えると言いようのない不安と焦燥感のようなものが胸をよぎる。
励ますようにメアリに寄り添っていたカタリナが、その理由を知っているのか。
メアリに対する心配と同じくらいに、カタリナが俺をどう思うかと考えると不安が頭をもたげる。
――明日、メアリの好きな花でも持って、謝りに行くか……
何に対して謝るのか分からずに謝るのは誠意がないかもしれないが、ちゃんとメアリと話をしよう。ジオルドの言う通り、早い方がいいだろう。
方向性が決まり、ようやく人心地つく。
上着のボタンを外し、脱ごうとした時、柔らかな金属の音がした。
――何かポケットに……?
胸ポケットから出てきたのは、メアリのネックレスだった。
「―――……」
時計を振り返る。
午後遅くはあるが、婚約者を訪問するのに非常識というほどの時間ではない事を確認すると、上着を着直し、従者に馬車の用意を命じた。
「――張形、というらしいです」
メアリは手に持ったそれを乳房に挟むと、軽く顔をしかめた。
「少し冷たいので、わたくしが温めますね」
――それを……それをどうするの…!?
「わたくし、アラン様としても気持ちがいいと感じた事がありませんの……。いえ、違いますわね。オーガズムに達する事はできるのです。ただ、幸福感というか充足感というか、満たされる感じがなくて」
アランにしていたように乳房に挟んだディルドを、愛おしそうに撫でる。
「カタリナ様……これ、どうしてこんな形か、お分かりになりますか?」
ディルドの片側を自分の秘部にあてがう。
――メアリ!?
「んっ……」
ゆっくりとディルドがメアリの中に飲み込まれていく。
「はぁぁ……いつも、これをカタリナ様だと思って、入れているのです」
――私、男性器付いてないよ…!?
媚薬を盛られてしまった時点でとっくにメアリについていけなかったが、いよいよ何かおかしい。
メアリの事は子供の頃からの幼馴染みで、美少女で頭もいいし魔力も高い自慢の親友で、なのになんでこんな事になっているのか、全く理解できない。私も媚薬のせいで頭が回らないけれど、もしかしてこの薬、何か副作用があるんじゃ……!?
――やめさせなくちゃ、こんな事!
さっきメアリは何度か試したと言っていた。きっとこの媚薬のせいで少しおかしくなっているんだわ!
「ぁ………あぅ……」
だめだ、声が出ない。
いつの間にかメアリがディルドの片側を男性器のようにそそり立たせて、私の脚の間にいる。
「カタリナ様……一緒に、気持ちよくなりましょう。大丈夫ですわ。この媚薬のおかげで痛みは感じませんから」
ディルドに香油を垂らすと、私の膣にゆっくりと挿入する。入れながらメアリが陰核を剥き出して弄るので、奥までくる頃には軽くイってしまっていた。
「ああっ、ようやくカタリナ様とひとつに! そう考えただけでゾクゾクしてしまいますわね。でもここからが本番ですのよ。わたくしずっと、カタリナ様に悦んでいただく為に練習してきたんですわ!」
メアリが、まるで男性のように腰を振り出す。だんだんと激しさを増すのにメアリ側がどうして抜けずに抽送できているのか、分からない。
奥まで当たるのが気持ちよくて、メアリが気持ちよ過ぎて、もう何も考えられない……!
「メ、ァリっ、ら、めぇ…!」
「さすがカタリナ様ですわ。もう声を出す事ができるんですのね。わたくしが初めて試した時は、一晩中腰が抜けて朝まで声も出せませんでしたのに」
――親友に、女の子に犯されて、私、イっちゃうの!?
身体が動かないはずなのにカクカクと腰が浮いてしまうと、メアリの動きが更に激しくなり、突き立てえぐる。
――イク! イク、イクッ、イクッッ……!
「あ……ぁぁぁぁ!」
強烈な絶頂感に、意識が飛んだ――。
――ついにカタリナ様と――…
初めて得た甘い充足感に満ちたオーガズムで、目が眩む。
肩で荒い息をしながら、失神してしまった彼女に折り重なるように倒れ込んでしまう。
――こんなに…こんなにも愛する人と繋がる事は気持ちがいい事なのね……
友人の一線を越えてしまった後悔がないと言えば嘘になる。だがそれ以上に、もうこの気持ちに嘘がつけなくなっていたのだ。
アラン様に身体を許す度に感じていた虚しさ。やはり愛がないと満たされないものなのだ。
一番望ましかったのはカタリナ様から求められる状況だったが、とりあえずきっかけを作っていただけたという事でよしとする。
心地良い疲労感にこのまま少し眠ってしまおうかと思ったが、まだカタリナ様と張形で繋がったままだと気が付いた。カタリナ様が眠っている間に抜こうか迷い、少しもったいないのでやめた。もう少しだけ、愛する人と繋がっていたい。目が覚めたカタリナ様ともう一度愛し合うのもいい。
カタリナ様を抱き締め、頬を合わせる。
「カタリナ様、子供の頃からずっと、お慕いしておりました。……どうして……わたくしは男性に生まれてこなかったのでしょう? 女の子同士ではダメでしょうか…?」
顔を上げるとあるのは無邪気な寝顔。静かに漏れる寝息さえ愛しい。
「愛しています。カタリナ様……」
唇にキスをし、一方的に愛を誓う。今はそれだけで充分だった。
「――申し訳ございません、アラン様。ただいまメアリ様には誰も通さぬよう仰せつかっておりますので……」
「カタリナも来ているんだろう? なら婚約者が部屋に行っても問題ないだろう」
「せめて客間でお待ちいただけませんか。仕度する間にお茶をご用意いたします」
「いや、すぐに帰るつもりだから、その必要はない。少し話をするだけだ」
「………?」
なにか、部屋の外が騒がしい。でもメイドたちには夕食の時間までここには近づかないようにと申しつけていたはず。どうしたのだろう?
ノックの音がした。
いつまでもこうして繋がっていたかったのに、という不満を殺し、寄り添っていたカタリナ様から起き上がる―――と、不躾にもノックに対する返事を聞かないまま扉が開かれた。
「おいメアリ、これ、忘れていっ――」
信じられない事に、アラン様が部屋に入ってきた。
あまりの無神経さに驚き過ぎて、咄嗟に言葉が出てこない、
向こうもベッドの様子を見て、言葉を失った。
「な!? お前たち、何やって…!?」
「ど、どうされましたか? アラン様」
アラン様の後ろにいたらしいメイドが慌てたように声を掛ける。おそらく、近づくなと言われているが訪問者を放っておく事もできず、距離を取って様子を見ていたのだろう。
駆け寄る気配がしたが、アラン様はさり気なく入り口に塞がるように立ち、部屋の中が見えないようにしながら答える。
「いや、なんでもない。少しメアリと二人きりにしてくれ」
そうメイドに告げると後ろ手で扉を閉め、鍵をかけた。
部屋に入ったものの、どうしたものかと目を覆い、そのまま前髪を掻き上げる。
「いや……その……すまん」
掻き寄せた毛布でカタリナ様と自分を隠しつつ、できるだけ動揺を顔に出さないようにしながら次の言葉を待つ。アラン様がこの状況をどのように解釈したかで対応が変わる。
ただひとつ決まっているのは、カタリナ様には絶対に触れさせないという事だけだ。
「それで……これはどういう状況なんだ?」
メアリの部屋に入り、目にした光景は想像だにしないものだった。
ローブがはだけ、しどけない姿のカタリナと一糸纏わぬメアリが、乱れたベッドの上で折り重なっている。それも、下半身が性具で繋がった状態で。
その意味が分からないほど世間知らずではない。
ただカタリナは眠っているらしく、さっきから起き上がる様子がない。
――話をしにきただけのはずだったのだが……
どうすべきなのか見当もつかないし、混乱し過ぎて頭が回らない。
メアリは俺を愛してくれていると、少なくとも憎からず思ってくれていると思っていた。普段態度に見せないのは照れ隠しで、本当は自分を大切に想ってくれているのだと。
本人の意思と関係なく幼い頃に決められた婚約者ではあるが、それでも共に過ごしてきた時間はかけがえのないもので、だからこそメアリは俺に身体を許してくれているのだと思っていた。
時がくれば婚姻を結ぶのだという事にも、疑問を感じた事はない。カタリナという共通の友人のおかげで、自分たちの関係は良好だと信じていた。
それが、全て、嘘だった?
――いや、待て。落ち着け
ここで騒いで事を大きくすれば、間違いなくメアリとの婚約は破談となるだろう。だが婚約を破棄したいかと言われれば、自分が全くそれを望んでいない事に気が付く。
こんな状態を見られてなお、言い訳も取り乱しもせず、むしろ挑むような目線をこちらに向けるメアリを、改めて凄い女だと思う。そして思っていた以上に自分にとってメアリは大きな存在だった。
それに友人たちとの楽しい日々に亀裂が入り、ギクシャクするのは何としてでも避けたい。
――今この状況を、上手く流す方法はないか?
メアリは他の男と浮気をした訳ではない。
男には分からない、女同士の戯れの一種という可能性がないとは言い切れない。
一概に裏切ったとは言えないだろう。
相手がカタリナなのには驚いたが――いや、前からカタリナに対するメアリの態度は度が過ぎるところがあったから、今となっては納得するしかないのだが、でもやはり、ここまでの事をする仲だったとは想像もしなかった。
どうしたらいい? どうしたらこの状況を受け流し、これまでの関係を続けられる?
回らない頭で必死に思考を巡らせ、かなり強引な筋書きを思いつく。
――自分も、この状況に混ざる
事を荒立てるのではなく、むしろ好機だとでもいうように目の前の状況を受け入れる。
思いつく限り、手はそれしかないように思われた。
ならば、いやらしい事が好きな馬鹿を演じきってやろう。
気が付かないふりで、嘘をつき通すのだ。
ベッドに近づき、身体をずらして性具を抜こうとしていたメアリを押さえて、毛布を剥ぎ取る。
「ああ、抜かないでいい。このまま仕置きをしてやる」
俺は今、ちゃんと好色そうに笑えているだろうか?
「アラン様?」
眠っているカタリナに押し付けるように戸惑うメアリを押し倒し、尻を掴み広げるようにして、性具で繋がる性器をじっくりと眺めてやる。
「いやっ…! 見ないで…!」
「イヤじゃないだろう? こんな玩具を友人にまで試して快楽を貪ろうとするなんて、どれだけ欲求不満なんだ? まあ確かに、さっきの口淫じゃ、お前は満足できなかっただろうからな」
「な…! 違いますわ。わたくしはカタリナ様を――」
最後まで言わせず、傍にあった香油の小瓶を手に取り、メアリのアナルに垂らす。
「ひっ!?」
オイルがかかる感触だけでピクピクと敏感に反応するアナルに指を突き立てると、ぬるぬると飲み込んでいく。
「だから今から、お前が失神するまで味わわせてやる。俺もさっきのだけじゃ物足りなかったからな」
「!?」
「俺という者がありながら、“玩具と”浮気するなんて、婚約者としてしっかり仕置きをしないといけないだろう?」
「ああぁっ」
――指が! アラン様の指が入って…!
ピアノを嗜むアラン様は、手が大きく指が長い。
その長い指を根元までお尻の穴に差し込まれ、奥までグリグリと弄り回されると、今まで感じた事のない感覚がゾクゾクと背筋を駆ける。
「ア、アラン様、わたくしへの辱めなら甘んじて受けます。ですが、カタリナ様には触れないでください」
「分かっている。これは俺たちの問題だ。カタリナは関係ない」
アラン様が、指1本でもキツいお尻の穴に2本指を無理やり捻じ込む。
「ひっ!? ああああぁぁぁ!」
――これは何!? お尻の穴を弄られるのが、気持ちいい!? こんなの――こんなの嘘!
そう、きっとこれは、ついさっきカタリナ様とオーガズムを共有した余韻が残っているから、それに媚薬もまだ効いているからに違いない。
カタリナ様のお顔が目の前にあるのに、アラン様の強引な愛撫を受け、頭が混乱する。
――そうだわ。アラン様のいう“お仕置き”を、カタリナ様にされているのだと思えばいいのだわ
抜こうとしたところをアラン様に止められたので、カタリナ様とは未だ張形で繋がっている。
カタリナ様を悦ばせる為に、動かしても抜けないようにしっかりと膣で押さえる練習をしてきたが、さすがに無防備なお尻の穴を弄られると維持できない。だが抜けてくる度にアラン様は乱暴に張形をズポズポと音を立てて動かしてから、奥まで押し込む。
膣とお尻、両方同時に責められ、気が付けばガクガクと腰を振っていた。
「……なんだ、こっちを弄った方がいつもより濡れるじゃないか」
アラン様は香油の小瓶を口に咥えると、両手の中指を捻じ込んでアナルを広げた。くぽっと口を開いた穴にオイルを流し込む。
「ひあぁぁぁぁぁぁ…!」
トロトロと流れ込むオイルの感触だけで軽いオーガズムに達してしまう。
「なんだ、もう絶頂したのか? そんなにアナルが好きなら……」
そう言うと、アラン様がズボンを下ろし、そそり勃つ陰茎を見せつけた。
――わたくしにもこんな逞しい男性器があれば、カタリナ様をたくさん悦ばせてあげられるのに……
オーガズムの余韻でボーッとそんな事を思っていると、アラン様が香油でぬるぬるになったお尻の割れ目に陰茎を擦りつける。
「いくぞ、メアリ。力を抜け」
前戯は何もしていないのにすでにガチガチに硬くなった陰茎で、一気にお尻の穴を貫く。
「クッ、締まる……!」
――苦しい! 熱い!
「イヤッ! イヤぁあぁぁ!」
「……あまり声を上げると、カタリナが起きるぞ」
「!」
――こんな、こんな姿だけは、カタリナ様には見られたくない!
声を抑えようとするが、憶えがないほどに荒々しく激しいアラン様の腰遣いに、漏れ出る声が抑えきれない。
――初めてなのに! お尻は初めてなのに!! 前も入っているのに!
お尻の穴を奥深く突き、ゴリゴリと突き上げ、容赦なくえぐる。
打ち付けられる度に流し込まれた香油が飛び散った。
いつもとは違うあまりに激しい動きと、初めての穴を強引に広げられ弄ばれているにも関わらず、感じてしまっている自分に戸惑う。
苦しいのに、痛いのに、一突きされる度にカタリナ様と繋がった張形にも当たって刺激されるのが、まるで二人に同時に犯されているようで倒錯しそうになる。
「あッ…、あッ…、激しっ、激し過ぎます! アラン様ぁ!」
「優しくしたら、仕置きの意味がないだろ」
カタリナと性具で繋がっているメアリのアナルを突く度に、衝撃はカタリナの身体も揺らす。喘ぐメアリの肩越しに、意識のないカタリナも少し苦しそうに息を乱している。
眠っていても、感じているんだろうか?
――まるで、眠っているカタリナを無理矢理犯しているみたいだ……
そう考えた途端、ゾクゾクと言いようのない快感が身体中を駆け巡る。
その衝動をメアリに全てぶつけるように腰を打ち付けた。
「ッ…アラン様っ…許して! もう許してくださいっ!」
そうだ。俺は今、仕置きと称してメアリに罰を与えているんだ。
「許すってお前、感じまくっているじゃないか。さっきから玩具が抜けそうになるくらい愛液が溢れてきてるんだからな」
「それはアラン様が張形を入れたままにするからです…!」
「こっちの穴も凄い締めつけて絡みついてくるぞ。俺の方がちぎり取られそうだ」
「そんな事…!」
メアリは口では否定しながらも、アナルはギュウギュウと締めつけてくる。
――言葉責めも効果あるんだな
新たな発見だが、メアリは意外とマゾの傾向がある。
いやらしい言葉を言ってやるとアナルが敏感に反応するし、今までした事がない乱暴な扱いも、身体は悦んでいる節がある。今度する時も、試してみよう……。
「抜いて! 許してください! ――もうっ腰がっ、抜けちゃう! ああっ、いや! いやあ!!」
――ッくッ! 搾り取られる…!
今までで一番の締め付けに導かれるように、アナルの奥へと精液を吐き出した。
アラン様はアナル責めの強烈なオーガズムに満足すると、ようやく張形を抜いた。
愛液でドロドロになった張形が、ゴトリと床に落ちる。
「ほら見ろ、メアリ。やっぱり感じていたんじゃないか。アナルからの俺の精液だけでなく、膣から真っ白い愛液が噴き出してくるぞ」
そう言いながらアラン様は、わたくしとカタリナ様のぴったりと合わせた恥骨の隙間に、男性器を差し込んだ。
動かす度に陰核にカリが引っかかり、乱暴に刺激する。
「――や、ぁあッ! これ、本当にダメです! おかしくなる! おかしくなっちゃうぅ…!」
「言っただろ、失神するまでしてやるって」
「お願いです、アラン様! 少しでいいので休ませてください!」
しっかりと腰を押さえつけられて刺激を逃がす事もできず、達しても休ませてもらえないまま連続で絶頂を繰り返していた。
同じように陰核を刺激されているカタリナ様も、意識がなくても感じているらしく、ぴくんぴくんと反応し、顔が赤く息も荒い。
――あと1回でもオーガズムを迎えたら、きっとわたくしも失神してしまう…!
そう思った瞬間、カタリナ様が目を開いた。
「!!」
――メアリと……アラン?
目を覚ました途端に強烈な快楽に襲われ、また意識が飛びそうになる。
メアリの肩越しにアランが見えるが、どういう状態なのか全く分からない。
ただ分かるのは、勃起した陰核を乱暴に擦られ、気持ちいいけど苦しい、相反する快楽に飲み込まれそうだという事だけだ。
「!? ……!!?」
メアリが震えながら、それでも笑顔を作った。
「カ、カタリナ様、これはその……そう、夢です」
ゆ、め……?
「その証拠に、身体が動かず声も出ないのに、頭が痺れるほど気持ちいいでしょう?」
そうか、これも夢か……。私、やばいな……。
こんなに立て続けに大切な友人たちを相手にしたエッチな夢を見るなんて……。
でも、メアリの言う通り、目が覚めた瞬間から身体がもの凄く昂っていて、何度もイってしまったような感じだ。というか今この瞬間も、イキそうだ。
――だめ! またさっきの! 凄いの、キちゃう…!
「ぁっ…んぅッ…ん――ッ」
頭の中で何かが弾けて真っ白になり、私はまた気を失ってしまった――…。
心地良いまどろみから覚醒すると、すでに日は落ち、窓の外はだいぶ暗くなっていた。
部屋にアラン様の姿はない。
サイドテーブルに目をやると、ネックレスが置かれていた。
カタリナ様が目を覚ましてすぐに気を失った時、わたくしもほとんど同時にオーガズムを迎えて気を失った。
アラン様は、わたくしが“玩具と”浮気をしたと言った。つまりカタリナ様の事は不問にするという事だ。あの状況を見て、それでもカタリナ様の事は言及しなかった。
まだ温かいお風呂の湯に清潔なタオルを浸して搾り、カタリナ様の身体を綺麗に拭ってガウンを整える。
拭いながら一応確認したが、わたくしが気を失っている間にアラン様がカタリナ様に手を出した形跡はなさそうだ。
――まったく…変なところで真面目なんだから……
呆れとも安堵とも取れる、相反する感情が沸き上がるのを感じながら、それでもこれからまだしばらくは、今まで通りに過ごせる事に感謝する。
アラン様の先程の行為がいつもと違っていたのは、わざと乱暴にし、それを罰としてわたくしを許すという事だ。
――不器用な人
だけどアラン様のそういう不器用な優しさは、嫌いではない。
口元が自然と微笑んでしまっている事に気付き、慌てて気を引き締める。
そろそろメイドが夕食を運んでくる時間だ。
カタリナ様はお風呂の後に眠ってしまった事にして、一緒に来ているアンにパジャマに着替えさせてもらうとして、わたくしはどうしよう?
それと……お尻がピクピクしてしまうのはどうしたらいいかしら?
アランだけが自分の気持ちに気付いていない為、カタリナに直接手を出すシチュエーションにはできず、メアリに乗っかる形での参戦となりました。いや、操られている設定で強引に持っていってもよかったのですが、アランの”不器用でぶっきらぼうだけど根は真面目”という性格が結構好きなので、そのままで進めました。
アラカタ推しで”なんでカタリナを押し倒さないんだ!そういう話が読みたかったのに!”という方、ごめんなさい
オモッテタノト チガウ! (;゚Д゚) |ω・)スミマセン