乙女ゲームのR-18ルートに突入してしまった… 《もしかしたら あったかもしれない『はめふら』R-18ルート》 作:帆速やこぬ
☆ another story18話に書き下ろしを加えた文庫本を、BOOTHにて販売始めました!
https://hosokuyakonu.booth.pm/items/6517431
☆ extra story13話に書き下ろしを加えた文庫本を、BOOTHにて販売中です♪
https://hosokuyakonu.booth.pm/items/6121168
☆ 本編13話に書き下ろしを加えた文庫本を、BOOTHにて販売中♪
https://hosokuyakonu.booth.pm/items/5929552
麗らかな春の空の元。
今日、ニコルたち二年生はこの魔法学園を卒業する。
卒業式ではジオルドが送辞を、ラファエルが答辞を述べた。
――ああ、本当によかったなぁ……
ラファエルがラファエルとして無事卒業する事を感慨深く感じながら、涙を浮かべる。
ラファエルはこれから、魔法省で働くそうだ。
それを聞いた時を思い出し、くすりと笑う。
――その未来は変わらないんだ
それでも強制ではなく自分で選んだ道であるなら、なにより喜ばしい。
色々な事があった一年半だった。
せっかく友情エンドを迎えて苦労と努力が報われたと思ったのに、気付けばこの『FORTUNE LOVER』の世界に再び転生していた。
キースを強引に籠絡したり、マリアに嫌がらせが及ばないようにしたり、ソフィアと再び友情を育んだり、メアリとアランの仲を取り持ったり、ジオルドとの仲を深めてしまったり、ラファエルのお母様を助けてニコルとの関係の背中を押したり。
破滅エンドを回避する為に奔走し、思いもかけない事態の連続に、忙しくも充実した日々だった。
――断罪イベントでマリアが傷付いてしまった事だけは本当に心が痛んだけれど、それももう――…
「――カタリナ様」
マリアに呼ばれ、振り返る。
「マリア! そのドレス、よく似合ってる! すっごく可愛い!」
「ありがとうございます」
はにかみながら微笑むドレス姿のマリアの胸元に、もう傷はない。
“傷を残したい”と言っていたマリアは、その数日後に“やっぱりカタリナ様のお心を痛める事はしたくない”と傷を綺麗に治す事にしてくれた。
「本当によかった……」
マリアが傷付いたままなんて、その傷を誇りに思ってしまうなんて、絶対にいけない事だ。
「カタリナ様?」
「あ、ううん! 私のドレス、ちゃんとぴったりでよかったなって」
「メイドさんが頑張ってお直ししてくださいましたから」
約束していた通り私のドレスを着たマリアは、私が着た時の何倍も映えていた。
ドレスを選ぶ時、なぜかマリアは私とお揃いの色がいいと言って譲らず、今日は二人で青のリンクコーデっぽくなっている。
卒業式はつつがなく終わり、青空の下で卒業パーティーが始まった。
ニコルとラファエルの傍のテーブルには、たくさんのお祝いの花束が山のように積まれて前衛的なオブジェみたいになっている。
もちろん私も前回同様に野菜束を用意して、苦笑いを浮かべる二人に渡した。
今回は自分で育てた野菜ではないのが返す返すも残念だ。
「あ、この飲み物、美味しいよ」
「どれ?」
ニコルがラファエルの手にしていたグラスを取り、口をつけると、二人の仲睦まじい様子を見守っていた生徒がバタバタと失神していく。
苦笑しつつ目を転じると、メアリがアランにケーキを“あーん”している。
照れくさがりながらも素直にフォークを口に運ぶアランと、幸せそうに微笑むメアリの姿に、お似合いのカップルだとしみじみ思う。
やがて前回と同じようにジオルドとアランの二重奏が始まった。
前回ほどではないけれど、二人は確実に兄弟の絆を深めているように見える。
マリアはまだ動かない。
アランはメアリと、ニコルはラファエルと結ばれた事で、逆ハーレムルートはないはずだ。
――だからジオルドとキースのどちらを選ぶか、なのだけど……
今回のマリアはゲームの事も友情エンドを迎えた前回の事も、全部知っている。
だからどちらと結ばれたとしても、私をどうにかするとは思えない。
とはいえ、問題なのはマリア本人じゃなく、攻略対象だ。
――だけど何度聞いても、私の事が好きってはぐらかされちゃうし!
どちらを選ぶの!? と悶えているうちに演奏は終わり、会場は拍手で包まれた。
なかなか動かないマリアにヤキモキしながらケーキを平らげていると、マリアの元にジオルドとキースが近づいてきた。
ちらりと三人がこちらを見たので、反射的に見ていないふりをしてしまう。
そっと振り向くと、三人は連れ立って会場を抜け出していくところだった。
――これって告白イベント!? それも二人に!?
マリアがどちらを選ぶのか、どんな結末を迎えるのか、気になってこっそり後をつけていく。
――まさか三人でハッピーエンドって事はないよね……?
マリアが二人を好きになってしまって“どちらも選べない”となったら、そういうハッピーエンドの可能性もあるのかと首を捻っていると、林の中で三人は立ち止まった。
茂みからこっそり顔を出して見ていると、何か真剣に話し込み始める。
どうも愛を告白しているという感じはしない。
もしかしてこれから三人で余興を披露する打ち合わせだったのかと、戻ろうと後ずさりした時、足元にあった小枝を踏んでしまい、パキッと乾いた音を立てた。
三人が振り返る。
「あ……」
見つかってしまった。
「えっとー…これはそのー……」
つけてきたとは言いづらく、咄嗟に言葉が出てこない私を見た三人は、なぜか笑顔になる。
「カタリナ様! 今、ちょうどお呼びしようと思っていたところだったんです!」
「へ?」
ジオルドとキースが、戸惑う私の手を引いて茂みの陰から連れ出す。
三人は私の前に立つと、まずジオルドが口を開いた。
「カタリナ、君に話しておかないといけない事があります」
「な、なんでしょうか?」
「ようやく王位継承権を放棄する手続きが終わりました」
「は!?」
一瞬、聞き間違いかと思った。
――王位継承権を――放棄!?
「ええ!?」
「さすがにいきなり廃嫡とはできないので、段階を踏む必要があるのです。君が僕を受け入れるのをためらう理由は、王族になりたくない事なのでしょう?」
「え、ええっと、まあ……」
それも理由のひとつではあるけれど……。
「で、でも王位継承権って一度放棄したら二度と取り戻せないのでは?」
「君の為なら惜しくはありませんよ。それに僕には優秀な兄たちと弟がいますからね」
キースがポケットから箱を取り出した。
「――義姉さん、これを」
パクン、と開くと、そこには指輪が4つ収められている。
「これは?」
「誓いの指輪だよ。義姉さんのは、これ」
キースの指差す指輪を手に取ると、内側を見るよう促される。
指輪の内側には青い石が4つ、留められていた。
「僕たち四人の瞳の色だよ」
よく見ると4つの石は少しずつ色味が違っていて、確かに四人の瞳の色だ。
「どうして……」
マリアが私の手の指輪を取り、左手の薬指に嵌めてくれる。―――薬指? …薬指!?
「え? え?」
三人が顔を見合わせてから、声を合わせて私に告げた。
「これからもずっと、あなたの傍にいさせてください」
「!!?」
――主人公が攻略対象に告げるセリフ!
理解が追い付かずに軽くパニックになっている私の前で、三人はそれぞれ指輪を手に取り、差し出した。
「僕たちにも嵌めていただけますか、カタリナ?」
ジオルドがキラキラと微笑みながら囁く。
「これからもずっと一緒だと誓わせて、義姉さん」
キースも色気たっぷりに見つめる。
「これでもう、何も心配いりません。四人で幸せになりましょうね、カタリナ様」
マリアがにっこりと微笑んだ。
「――あの、カタリナ様の着けている指輪って、ジオルド会長とキース様と同じものですよね」
「マリアさんも着けていらっしゃるわよ」
生徒会の一年生たちに言われ、どう答えたものかと曖昧に笑って誤魔化す。
「あー…、うん。そうね」
二年生となったジオルドとキース、マリアと私の指には、卒業パーティーのあの日からお揃いの指輪が嵌められている。
「何か、意味があるんですか!? 友情の証とか!?」
目を輝かせる後輩にタジタジになっていると、気付いたジオルドが助け舟を出してくれた。
「それは四人の絆の証ですよ」
「絆!」「素敵!」と感激する後輩に学園祭のポスターを貼り出してくるよう仕事を振って送り出すと、生徒会室にはジオルドと二人だけになった。
ジオルドが私に片目をつぶって見せる。
「本当の事を教えても混乱するだけでしょうからね」
“四人で婚約”なんて普通は理解に苦しむだろう。
私は“逆ハーレム”という状態を知っているからまだ受け入れられたけれど、 普通は思いつきもしない。
私の秘密を聞いたマリアは、破滅の起きないルートを考えに考えて、大胆な方法を思いついた。
それこそが、『四人で結ばれる』ルート―――主人公の自分と悪役令嬢の私に、不安要素のジオルドとキースを取り込む事で丸く収めてしまおう、という説明を受け、私は卒業パーティーを抜け出した三人の指に指輪を嵌めたのだった。
よくジオルドとキースを説得できたなあと思ったら、マリアが何か策を弄したらしい。
純粋なマリアがそんな事をするなんてとても思えなかったが、何をしたのか聞くとジオルドとキースは少し遠い目をして口をつぐんだ。
「――女性は強いですね……」
「ええ…それに怖――いえ、何でもありません」
そんな訳で、卒業したら四人で結婚する約束を交わした私たちは、郊外に屋敷を建てる事にした。
四人で暮らせる家。
ジオルドとキースとマリアと一緒に、幸せになる為の家。
前回の友情エンドとは違う結末を迎え、それでも“きっともう大丈夫”と思える。
だって三人とも私を好きだと言ってくれて、私も三人が大切なのだから。
「……そういえば、よく王位継承権放棄の申請が通りましたね」
「ええ、そもそも僕の派閥の貴族が起こした事件ですからね。何がしかの責任を取る必要はありました。まったく――久しぶりに家族全員が勢ぞろいしましたよ」
その時の事を思い出したのか、少し楽しそうにジオルドが話す。
「父も母も兄弟たちも――特に上の兄は――そこまでする必要はないと言ってくれましたが、今回の件を重く受け止めている事と、これ以上婚約者や友人を傷付けたくない事、そしてこの事実が他の派閥の貴族たちへの見せしめとなり過激な行動を抑制する可能性がある事を話し、何とか納得してもらいました。そうしてゆくゆくは廃嫡まで持っていきます」
決意固く語るジオルドに申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
それと同時に、ジオルドを本当に受け入れている自分にも気付いた。
ジオルドは大切な権利を放棄してでも、私の“王族なんて無理”という我儘を尊重してくれた。
どうしてそこまで、と思うのはさすがにジオルドに失礼だ。
ジオルドは本当に私を愛してくれていて、共にあるにはどうしたらいいかを真剣に考えてくれている。
きっともう、ジオルドに破滅に追いやられると心配する必要はないはずだ。
「……カタリナ。もしかして、気にしていますか? 僕が王位継承権を放棄した事」
「それは――はい……」
「君に安心してもらいたかったのが一番の理由ですが、僕も面倒事から解放されてすっきりしているのです。だから君が気に病む必要はありません」
「ありがとうございます、ジオルド様」
ジオルドは額に優しく唇を押しつけた。
「傷の責任を取る、なんて誤魔化しはもう言いません。僕はこれからの君に責任を持ちたい。もう決して、誰からも傷付けさせたりしない。君を――そして君が望むのであれば、キースとマリアさんも――僕が守ると誓います」
ジオルドは本当に変わった。どこかいつも焦燥に駆られているようだったのに、四人で幸せになる事を受け入れてからか、とても落ち着いて穏やかになった。
「はい。これからもよろしくお願いします」
幸せそうに微笑むジオルドと笑い合う。
「じゃあ、私もポスターを貼るの、手伝ってきますね」
「待って、カタリナ」
歩き出そうとした私の手首をジオルドが掴んで引き寄せ、腰に手を回すと口づけをした。
「……義姉さん」
後ろから聞き慣れた優しい声がし、振り返る。
「キース! そっちはもう終わったの?」
「ん、貼り終わったから手伝うよ。あと残っているのはどこ?」
「えーっと、中庭近くの掲示板と渡り廊下のところかな」
キースは私が抱えていた学園祭ポスターが入った箱と踏み台を、さりげなく持ってくれる。
「ここからだと渡り廊下の方が近いね。そっちを先に貼りに行こうか」
「ありがとう、キース」
踏み台に上がったキースはポスターを押さえながら振り向いた。
「どう?」
「んん~…右がちょっと上がってる?」
水平を微調整してから鋲で留めていると、グウ、とお腹が大きな音を立てる。
「義姉さん、お腹空いたの?」
くすりと笑ったキースはポケットから包みを取り出した。
「はい、これ」
包みを開くと、私が好きな焼き菓子店のクッキーが入っている。
「わあ! ありがとう、キース!」
渡り廊下近くの空き教室に入り、ちょっとだけ休憩させてもらう。
「……キースは食べないの?」
「僕はいいよ。義姉さんが美味しそうに食べてくれるだけで満たされるから」
片肘をついて微笑む義弟にドキリとしていると、不意にキースは真面目な表情をした。
「僕ね、ずっと誰かに必要としてほしかった。認めてもらいたかった。愛してほしかった」
「……うん」
「だから義姉さんが僕に謝ってくれて、仲良くなりたいって言ってくれた時、信じられなかった反面、本当はとても嬉しかったんだ。信じたらまた傷付くって自分に言い聞かせながら、心のどこかで期待していた。そんな疑り深い僕に、義姉さんは根気強く接してくれた―――今なら分かるよ。僕があまりに信じないから、義姉さんはあんな極端な方法を取ったんだよね?」
なんと返事をすればいいのか分からず、困ってしまう。
「……キースは長い事つらい目に遭っていたから、仕方がないと思う。私の方こそ、ごめんなさい。ずっと悲しい思いをしていたキースに寄り添ってあげられなくて――」
頭を下げると、キースは慌てて両手を振った。
「待って待って! そこを蒸し返したい訳じゃなくて、僕の方こそ謝らないといけないんだ」
「どうしてキースが謝るの?」
「毎朝義姉さんがシてくれる事に溺れて、味を占めて、僕は義姉さんをまるで愛玩人形のように扱った。僕と仲良くしたいと言ってくれた義姉さんを尊重せずに、ただ甘えていたんだ。どんな事をしても許してもらえると」
「でもキースは別に、私に仕返しがしたかったのではないって分かっているから――」
「それでも、だよ。僕は愛しているって言いながら、欲望を義姉さんにぶつけていただけだったんだ。だけどね」
キースはフッと息を吐いた。
「義姉さんに近づけなくなって、ようやく頭が冷えた。反省したよ。初めて恥ずかしいって思った。守る力も――何の力もないくせにただ義姉さんを欲しいって駄々をこねている自分に気付いた。本当に僕は子供だった」
「キース……」
「マリアさんに“四人で幸せになろう”と持ちかけられた時、そんな事できる訳がないと思いながらも、“きっとそれが僕たちの理想なのだろうな”と不思議と納得できたんだ」
今、キースは学業の合間にお父様の仕事を少しずつ教わり、跡を継ぐ為に――私たちを守る為の力をつける為に、頑張っている。
顔を上げたキースがふわりと笑う。
「大好きだよ、義姉さん――誰よりも、心から、あなたを愛しています。もっと大人に――いい男になって、結婚した後も義姉さんが僕を選んでよかったと思ってもらえるよう、頑張るね」
「うん……私も、キースが大好きよ。それに四人で結婚しても、キースが大切な義弟である事には変わりないから」
「ありがとう。僕、義姉さんと出会えて本当によかった――…」
微笑んだキースは、ゆっくりと唇を重ねた。
トラブルが起きたと慌てた様子の一年生がキースを呼びにきた為、ひとりで中庭に向かう。
ポスターを仮止めしては少し離れて曲がっていないか確認し、なんとか綺麗に貼りつけて満足感でベンチに座り込む。
ふと、ここで前回のマリアと仲良くなれた事を思い出した。
――なんだか不思議……
友情エンドを迎えた前回をなぞって行動していたはずなのに、全く違うイベントが起こり、ゲームにもない結末を迎えた。
“ゲームの世界だから、最終イベントが終わったらまた転生し直しちゃうんじゃないか”とも恐れていたけれど、そんな事もなく無事二年生に進級する事もできた。
きっと、マリアに全てを話したからだと思う。
優しいマリアが、私に破滅が訪れないよう知恵を絞ってくれたおかげで、この“四人でハッピーエンドルート”に突入する事ができたのだ。
金色に染まり始めた空を見上げ、生きている幸せを噛み締めていると、サクサクと芝生を踏む音がして振り返る。
「――マリア! 一年生はもういいの?」
面倒見がよくて教え上手なマリアは、後輩たちに色々と教えながら回ってくれていたはずだ。
「はい。みんな優秀で、あっという間に覚えてテキパキ作業してくれました。キース様に頼まれてお手伝いに来たのですが、もう終わってしまいましたか?」
「今終わったところよ。それでちょうど、マリアの事を考えていたんだ」
マリアは嬉しそうに微笑むと、隣に座る。
「学園祭、楽しみですね」
「そうね! 軽食を売る出店がたくさん並ぶって聞いたから、片っ端から全部食べようって心に決めているわ!!」
もし前回のように畑を作れていたら、収穫した野菜を学園祭で売ったりもしたかったけれど、ないものは仕方がない。
代わりにという訳でもないけれど、無事に二年生になれた記念に学園に花壇を作るという申請を出して許可をもらったので、この一年は思う存分畑を耕すつもりだ。
生徒会の方は一年生が入ってくれたおかげで手は足りていて、こうして時々頼まれてお手伝いをするだけなので時間は充分にある。
初めは“生徒会メンバーでもないのに何でいつも顔を出しているんだろう?”と不思議そうだった一年生たちも慣れたようだ。
“もう破滅フラグに怯える必要はない”と安心して送れる日々がようやく訪れ、毎日が愛おしくて幸せだった。
「――マリア、本当にありがとうね」
喜びを噛み締めながらマリアの手を取り、指を絡ませる。
「カタリナ様?」
「毎日を楽しく過ごせるのは、マリアのおかげよ」
「わたしは別に……この結末はカタリナ様が勝ち取ったものです」
「そんな事ないわ。マリアが私の話を信じて、真剣に考えてくれなかったら、きっと私、今こうしてここにいられなかったもの」
「ですが、信じさせてくれたのもまた、カタリナ様なのです」
マリアは繋いだ手を両手で握った。
「光の魔力が発現してから、わたしはずっとひとりでした。お友達も周囲の人もわたしと距離を取り、父は去り、母とはギクシャクしていて。誰もわたしを見てくれない――長い事、そう思っていました。けれどその間もカタリナ様はずっとわたしを気にかけてくださっていたのだと、あの日々はカタリナ様と出会う為だったのだと知って、あの孤独な時間さえも報われた気がしたのです」
「マリア――」
そんな風に感じてくれていたマリアの純粋さに、心打たれる。
「わたしはただカタリナ様のお傍にいたい。カタリナ様と一緒にこれからを歩みたい。カタリナ様にいつも笑顔でいてほしい。それがわたしの幸せで、望みなのです」
「うん、ありがとう、マリア。私もマリアに幸せになってほしい。笑っていてほしい」
絡めた指のお互いの指輪に口づけをしてから、私とマリアは唇を重ねた。
「これからもずっと一緒にいようね」
これで本編はおしまい!最終話となります。
次回はエピローグ、その後にextra story(R-18)を書きます!
二年生で起こるはずだったカタリナ誘拐事件は、ジオルドが王位継承権放棄しているので、メアリがさらわれる事になるのかな…。
闇の魔力はラファエル編で根絶された――訳もないので、逃げ出したディーク侯爵夫人の手下とか、別に書かれた闇本とかで事件はきっと起きていくのでしょうね。
でもディーク侯爵夫人は闇の魔力から足を洗っているはずなので、闇の魔力の実験でたくさんの子供が犠牲になる事も、サラの存在もなく、キース誘拐事件は起きないはず…?
願わくば、このままカタリナたちが幸せになりますように!ヾ(≧▽≦)ノ