熱で溶けて 作:モスコミュール
◆無自覚誘い受け
近頃、暑くなってきたので自宅では半袖にショートパンツで過ごす日が多くなった。今日は、掃除をした。楽郎君に捕獲された。翌日寝坊した。
料理をするとき、油が跳ねたりするのでエプロンは手放せない。楽郎君に捕獲された。翌日寝坊した。
少し髪の毛が伸びすぎた。襟足が暑かったので、髪ゴムで結んだ。楽郎君に捕獲された。翌日寝坊した。
以下省略
玲は決意した。さすがに、その、や、やりすぎだと思う。玲は嫌なわけではない。体力が持たないわけではない。ただ、その、休日の度に昼頃に起きる生活をするのは、よろしくないと思う。
彼に相談した。
「うん……それは、もう申し訳なく……」
彼は頻度を抑えると言ってくれた。
その時、玲の胸がツキリと痛む。もし、彼がそれで二度と触れなくなってしまったら。
思わず彼の服のそでを掴んで、
「毎日、じゃなければ、良いんです、よ?」
「…………。玲さんさぁ」
彼にカチリと火が灯ったのが分かってしまった。
肩を捕まれる。目と目が合う。
「まだ、止まれるから、嫌ならイヤって言って?」
翌日寝坊した。
◆熱で溶けて
玲も彼も。いっぱいいっぱいだった。その証拠に、部屋のドアを閉める音がなりやむ前に、肩をぐいっと抱かれる。
(あ……)
いちどめ。存在を確かめるように軽くふれあう。
にどめ。足りない。ふかくふかく彼の熱が玲に注ぎ込まれるようだ。
さんどめ。ドアに身体が押し付けられる。玲と彼との距離は零になる。玲は、彼の呼び掛けに応じるように舌を絡める。
「あ……ふぁ」
声が漏れ出てしまう。隠したいのに彼はガッチリと玲を抱き締めるから、それができない。
「玲さん」
(あぁ……)
熱っぽく玲を見つめる虹彩に、自分が映り込む。
とても、他の人には見せたくない顔。淫らな自分。
玲はそっと目をつぶる。そして、一言。
「ください」
彼の吐息が近くなる。
熱が。
溶けた。
◆幾度も共に過ごして
「や、やめ、らくろうくんやめてくださいびんかんだからひうっ」
彼は意地悪だと思う。普段は優しいのに、こういう時の玲の懇願は絶対に聞いてくれない。今日もそうだ。
「でも玲さん、締め付けてきてるよ?」
「それはっあ」
なにか言い返さないとだめなのに、玲の思考はもう働かない。思わずぎゅと彼の手を握った。
「玲さんは動かなくて大丈夫だから」
彼は熱っぽい瞳を玲に向け、そして抽送のスピードを速め、
「ひゃぁぁぁん!」
バチバチと目の前が真っ白になる。身体がバラバラになってしまいそうで怖くて。すぐそばにある身体に抱きつく。
「くっ……玲さん!」
「あああああああっ!」
まぶしい光が差し込む。いつもは、玲の方が先に起きているのに、今日はだめだったみたいだ。
「おはよう、玲さん」
「おはよう……ございます」
喉ががらがらだ。その理由は確実に昨晩の-。恥ずかしくなって、玲は布団に顔を隠す。
「顔見せて欲しいな」
「いやです、今はその」
抵抗むなしく、布団をはがされる。確実に今の自分の顔は真っ赤だろう。
そんな玲を見て彼ははにかんで、額に口付ける。
「大好きだよ」
「わたしはいじわるするらくろうくんはいやです」
「嫌いになった?」
返事の代わりに、彼の手を全力で握りしめてやった。
「いたいいたいいたい!」
ざまあみろ。
玲の口は、ふにゃふにゃに綻んだ。