熱で溶けて 作:モスコミュール
売り言葉に買い言葉。きっかけなんて、そんなものでしかなかった。
「そもそも、これまでも私はこうして外出してきたんだ。今まで、なんの問題も起きていないんだから、これからもそうだ」
「これからは、わからないんじゃないかなあ」
「では、やってやろうじゃないか」
「やめとこ?」
「ジャージの下が、下着であってもバレることはないと、証明してみせよう。お前が言い出したことだ」
「俺はなんも言ってないですよ!?外出するんだからジャージの上に上着くらい羽織れとは言ったけども!?」
そうして、互いに引けなくなったせいだ、と百は考える。引けなくなったのそっちだけだよ、という男の意見は無視をした。
そして、今。
とりあえず、これが終わったら丹月を、確実にぶちのめそうと、百は決意していた。
なぜなら。
(ひけなくなって…………下着すら…………つけていない…………!)
それもこれも、あの男のせいである。間違いない。あの男のせいだ。
恥じらいからか、怒りからか、ぎりっと歯を食いしばりながら、百はレジに並ぶ。購入するものは、エナジードリンク缶2本と──コンドーム。
別に。
購入するものに対して。
思うところはない。ないったら、ない。相手が全力で止めてた気もしなくはないが、気のせいだ。
「──しゃいませ。──で」
「ああ、袋は必要ない」
いつの間にか順番が来ていて、悟られないように店員とのやりとりをしていた。ゆえに、うっかりとやらかしたことに気づいた。
(………!?)
袋、いるんじゃないか。
なにせ、モノがモノである。つまり、どう思われるかを想像すると────。
(だめだ)
恥じらうな。その方が、いろいろ恥ずかしい。堂々としていれば、そう、なにも問題はない。気取られてはいけない。
「お支払いは?」
幸い、というべきか。店員は、淡々とレジ作業を機械的にこなしている。
「タッチ決済で」
バーコードを見せるだけの簡単なこと。いつもこなしている行動だ。
けれど、妙に、自分の衣服の下のことも、意識してしまっていて、そのせいか動きがぎこちなくなってしまっている。
(普通に……普通に…………)
だから。普段はそんなこと無いのに。
少し、腕が自身の胸元に触れてしまって。
「んっ……!〜〜〜〜〜〜〜っ」
しまった。
そこからのことは覚えていない。ひたすら早足で店を出て、百のことを待っていた男に罵声を浴びせて。
なんか帰宅後めっちゃくちゃ盛り上がった。
◆
「買ったんじゃないんですよ……」
「は?」
「学生の頃に、ノリで、お互いの誕生日にこういうのを贈るっていうのが、流行ってた時があってですね。男子校出身のやつが、そういうノリを持ち込んだんですけど」
「アホ」
「おっしゃる通りです。ところで、百さん」
「変なコトを言ったら、どうなるかわかるな?」
「ぼちぼち、もろもろキレてて……コンビニに」
「死ね」
めちゃくちゃ盛り上がっ(略)