熱で溶けて 作:モスコミュール
「いい加減、なんとかならないのか……?」
「なんとかなりたいなあ……」
ベッドに腰かける丹月の、すっかり張り詰めきっている肉棒。
それを受け止めるのは、百の胸だった。リズミカルに、というには些か惰性混じりに、欲望の象徴を挟み込んで左右に擦りあわせていく。
「そろそろ出るよ」
「ん」
ビュルルルッと、そこそこの勢いで排出される白い液体。余韻を残すかのように、柔肉の中で今なおびくびくとはね続ける。
「まだ……みたいだな」
そして吐精したにもかかわらず、未だ硬さのなくならない丹月のそれを、百は心底あきれた表情で見つめた。
「どうなってるんですかこれ……」
「どうもこうも、大きいままなんだろう」
「大きいままだから困ってるんですよ。 どうなってんの斎賀秘伝の薬って」
かれこれ数度、こうして精を吐き出しているのに、なかなか衰えない陰茎。長年の相棒たるそれのこの状態に、丹月は戦慄を禁じ得なかった。
「これ、俺の体に害出るよね確実に」
「…………さあ」
「素人が! 安易に! 薬品を! 作ったらだめ!」
「私ではなく、仙姉さんのせいだろうが!」
叫ぶ両者。
関係なくいきり立つ丹月のリトル丹月君。
この状況の責任の一端を担った自負は一応ある百が、それを掌に包み込んで上下に動かしつつ。
「どうしてこうなったんだ……」
「本当にねえ…………………、あ、そろそろ」
「早漏」
「ごめんねえ! 薬物のせいだけどね! 多分!」
◆
共に暮らす、ということは共有するものも多くなるということに他ならない。
そして、ある意味で冷蔵庫の中身はもっとも気軽に共に所有するものと言えるかもしれず。
「喉乾いた」
だから、ことの発端も冷蔵庫の内容物だった。
この日も、丹月は例のごとくVR世界へとそれなりに長い時間旅立っていた。しかし、もっともあらゆる欲求の中でもっとも根源的な生理的欲求に逆らえる道理はなく、少し早くはあるがあちらの世界での作業を切り上げて戻ってきたのだった。
「何かあったかな」
既に日は暮れ、周囲も薄暗くなりつつあって、冷蔵庫の扉を開ければ光が溢れてくる。そして、″シソジュース″と書かれた容器があった。
「紫蘇……?」
こんなんもんあったっけ。
丹月は、夏に麦茶とか作るポットの正面からは見えなかった方の側面を見るために回転させる。
斎賀家謹製。
そこにはそう書かれていた。
そういえば最近、同居人が実家に呼び戻されていたことを丹月は思い出した。
「その時に、貰ったやつかな」
手作りのものは市販品と比べると大体悪くなるまでの足が早い。早めに消費してしまうべきだろう。百の意思表明も特に記載されていないため、丹月も飲んでも問題はないと判断。
爽やかな甘酸っぱさが、乾いた喉を潤していく。自分が考えていた以上に喉が乾いていたようで、一気にコップに入れた分を飲み干して、おかわりを注ぎ。
ドタドタと妙に騒がしい足音を立てた同居人が。
「やめろ草餅!!!」
「え、なんで」
「それは媚薬入りだ!!」
「なんで!!!!!!??????」
シャワーと音を立てて、温かなお湯が床へと落ちていく。
「本当に、なんでそんな媚薬ドリンクなんかを冷蔵庫に入れてたのさ……」
壁に手をついて、おねだりするようにゆらゆらと腰が揺らされた。今なお、猛りがおさまらない男は、その腰を掴まえる。
「私だって、そんなもんを身内から渡されるとは思わなかったんだ……んっ」
「というか、逆によく気づきましたね……くぅ……」
抵抗もなく受け入れられる肉棒。きゅうと肉ひだが絡みついてき、思わず丹月は声が漏れる。
「玲、が……あ……ん…………もっと…………玲から電話がかかってきたんだ」
「あー……あっちの家にも…………ごめん、そろそろっ…………」
どちゅどちゅと肉がぶつかる音が、そのピッチをあげていく。
かちかちと頭に白い光がはしる。そして、まだまだ衰えを知らない男根から出た白い液体は、ごぼりと音を立てて肉壺からあふれでていく。
雄液を最後まで搾り取るために、肉壺が蠢動する。
「……なんでまだ、硬いままなんだ…………ん」
「そういう百さんこそ……ずっと締まって…………いく……」
「知ってるか丹月、液体は蒸発して……はあん……大気に漂……んぅ♡」
◇
「つまり、百さんも普通に媚薬の影響を受けてるってことだよね」
「そうなるだろうな」
「お義姉さん、流石にやりすぎじゃない?」
だらんとうつ伏せの背中に、丹月は覆い被さる。
そして、そのまま本日何度めになるかも分からないほど、繰り返した動作を──すなわち挿入れた。
「んぅう……♡……まあ、ヤりすぎだな」
「もう一回、お風呂入らないとな」
「はやく鎮めろ」
「それはほんとうにそう」
なんかまじで、怖くなってきた。
「壊死するんじゃないかそろそろ」
「そういうこというのやめてくださいよ」