※この作品はR-18です。

グルメ狂いにトリガーハッピー   作:ウルサス第二師団

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▶︎AM 01:56 深夜耽溺◀︎

 模造品(レプリカ)なんて、変なコードネーム。

 それじゃあ本物(オリジナル)は何なのだろう。

 アルテオと初対面の時、あたしはそう思った。

 

 角付き、緑髪、あたしより高い背。

 羽と蛍光灯付き、赤髪、低い背丈。

 

 デコボコなんていうのは、ボスの評価だったかな。

 実際、出会ってばかりの頃は喧嘩も多かった。

 まぁ原因の8割はあたしなんだけど。

 不思議なことに、今となってはプライベートな場で本当の名前を呼び合って、キスをする仲だ。

 いわば恋人というやつである。

 

 告白はレプリカ───アルテオの方からだった。

 〝お前の全部が欲しい〟なんてストレート過ぎる言葉と一緒に、あたしのドックタグを奪った。

 文字通り全部なんだ。

 あたしの〝死〟でさえ欲しいんだと分かった。

 あたしから〝レミュエル(本名)〟をもらっても満足しない。角に違わない強欲さだと、その時は思わず笑ってしまった。

 

 …ラテラーノ宗教の教えに於いて、

 かつて天の御使はその大半が堕落した。

 自由、知恵、反抗───堕落の理由は数多くあるけれど、最も大きな要因は〝愛〟にあった。

 

 今なら、それが納得できる。

 求められて、肌を重ねて、溶け合うように体温を分かち合うのは、あまりにも甘美だ。

 本当に全てを忘れたくなってしまう。

 だから主は〝溺れてはならぬ〟と戒めたのだと思う。

 

 だから、溺れないように。落ちないように。

 落とされないように。溺れさせられないように。

 愛される時も、愛する時も、

 あたしはそれを心がけている。

 

 ───主よ、私は求めることこそ多々あれど、ここまで強く求められたのはきっと初めてだったのです───

 

 

 

 

 

 


 

 

 AM 00:50 龍門 住宅地 マンション『アマリリス』

 天候:晴天 星模様:満天

 

 

 二人しかいない寝室。聞こえる音は呼吸のみ。

 遅れて布と布が擦れる音も加わる。

 暗がりの中、サンクタ特有の光輪は克明だ。

 

 レプリカの上に、エクシアは足を広げて座っている。

 向かい合うように、顔を間近にして。

 二人の服は中途半端に崩れていた。

 エクシアは黒が主体の、肩や胸元が露出したクロップドタイプのルームウェアを。レプリカは白をベースにした、プルオーバーのパーカーを。

 

「…んっ」

 

 鼻から抜ける声。唇を離すと同時に漏れるものだ。

 どちらともつかない唾液が口元で糸を引いている。

 口を拭う間に、今度はレプリカが仕掛けてきた。

 先ほどまで重ねていた場所へ舌を伸ばす。

 唇の端から端へと這わせていく。

 首筋を通って鎖骨まで来たら、柔く食む。

 

「ひ、ぁッ」

「動くなよ、歯が当たる」

「無茶言わないでよ……」

 

 抗議の声など気にせず、レプリカは吸い付くようにキスをする。体を震わせる天使をよそに、二度三度。

 女は静かに荒い息を何度も吐く。

 体の中で疼く熱を出すようにと行われたそれは、男の獣欲を煽る動作でしかない。

 

 けれど、まだだ。ことに至るには早いと、二人は互いの熱を抑えようと強く抱き合う。

 体と体があわさると同時、男は女に唇を押し付けた。

 そのまま潤った舌を流し込む。

 男は女の首を伸ばし、顎を軽くあげさせる。上から舌を落とし中身から溶かし込むように責め立てる。本来なら味を識る為の器官が、互いの唾液を貪り尽くす。

 呼吸を奪って、思考を鈍らせていく。

 

「ンッ、く、ぁ…は、うぅ…ッぁ…」

 

 苦しいのか、赤髪の女は身を捩る。

 そのもがく様を見て、男は僅かに口端を歪めてなおも舌を絡める。

 溶け落ちそうな程に熱く、柔らかな舌。

 吸い付き、捻るように絡め、水音を鳴らす。

 酸素が欲しいと訴えるように捩っていた身体は、次第に鈍く。それでも懸命に塞がれた口をはくはくと、そして背は呼応するように痺れたように動く。

 

 見計らうかのように、レプリカはそこで舌を離した。

 

 呼吸を許されたエクシアは咳を吐く。同時に、喉から音が鳴る呼吸を。長時間酸素を奪われたせいか、瞳は焦点が合わないまま潤っている。それでも、彼女の両手はいじらしく男を抱きしめたまま。

 

「……は、あ……ふ、はぁーっ、は、ぁ」

 

 熱い呼吸の音。いやでも生命を感じる。それと同時に、弱りきったものに興奮するどうしようもない男。

 鼓動は荒々しく、大きく。合わさった体から、うるさいくらいに主張してくる。

 まるで仔を強請る猫のよう。

 天使がするには背徳が過ぎる表示と仕草だ。

 

 組み敷かれた女は、開いた瞳孔で男を見る。目の当たりにしたのは、盛った緑青の瞳。垂れ下がった同色の髪は、天蓋のように見えるだろうか。

 けれど、それも一瞬のこと。

 

 次に視界に入ったのは、自分の首元にある顔。

 白い肌に咲く紅。

 それが何か理解するのに時間はかからない。

 独占の証。見える箇所にわざと付けられたもの。

 咎める声は出せない。それ程までに、今二人の頭はのぼせている。

 

「……ねぇ、もういいんじゃない?」

「………ん…」

 

 レプリカは小さく返事をして、エクシアのルームウェアの裾に手をかけた。

 ゆっくりと捲り上げながら脱がせていく。露わになるのは引き締まった白い肌、形の良い臍。上を脱がせたら、今度はズボンの方へ手をかける。

 

「腰、浮かせろ」

「はいはい」

 

 言われるがままにエクシアは従う。

 レプリカの手が下着にかかると同時に、彼女は自分でそれを下ろした。外気に晒される下腹部。しかし羞恥心よりも先に湧き上がるものがあった。

 早く、この熱を解き放ちたい。

 そんな衝動に駆られるが、しかし女は歯を食いしばって自らを戒める。

 

 けれど、それを阻むように男が女の脚の間に手を滑り込ませ、ぬかるみに触れた。

 指先が沈み込む感覚。充分すぎるほど潤っている。

 そのままゆっくりと中指を沈めると、温かく湿った肉壁が押し広げられていく。

 

「うぅ……!」

 

 指が動く度、甘い吐息と共に天使の腰が跳ねる

 指先は的確に弱所を捉えて責め立ててくる。

 もっと奥まで、と欲するように膣内は収縮を繰り返す。

 指の動きに合わせて溢れる愛液は、留まることを知らない。男の手の平まで濡らした。

 女は必死になってシーツを掴み快楽に耐える。

 

「ぁ…ッ、やぁ、あっ…! ひ、ぃ…っ!?」

 

 そこから、軽くほぐすように乱していく。

 

「ぁ、あ…ッ、」

 

 蠢動する秘肉。収縮を始める内側。酒に煽られたような紅潮した顔に、高く甘い嬌声が溢れる。淫蕩な水音を立てながら、残る指で花芯を見つけ、腹を当てる。

 擦れる都度、響く嬌声。震える体は、走る感覚に弄ばれるように。それを頃合いと見たのか、男は指を更に深くへと沈み込ませる。

 

「ぁ、ぁぁ…、ちょ、っと…これ、まっ…て」

 

 否と返答するかのように、蜜を吐く壺を撫でた。

 途端に震える身体。天使は羽を持つ背中が、反り返るほどの反応を見せる。

 

「っ、ぁ…は、ッぁ───っ!!」

 

 声すら出ない。喉の奥から漏れ出るのは、押し出されたような息。ビリビリと震えるように足が蠢く。

 けれど、それでも。その様を目の当たりにしても、まだ足りない。二人が燻らせた熱は一向に治らない。むしろ、昂ぶっていく一方だ。

 

 頃合いか、と次の段階に移る。

 男は自身の下衣に手をかけ、獣欲に満ちた怒張を晒す。

 そのまま寝台横の小机の引き出しから、小箱を取り出す。中に入っていたのは、薄いゴムの膜。

 開封を終えた彼へ、光輪を持つ女は手を伸ばす。

 

「……手」

「………ゴム付けてぇんだけど」

「片手でも出来るでしょ、手」

 

 渋々と、レプリカはエクシアの手首を掴む。

 手を握って欲しかったのか、女は不満そうな顔だ。男といえば、少し不機嫌そうに避妊の準備を終えていた。

 

 もう一度、男は女に覆い被さる。

 

 先走りに濡れそぼった怒張が割れ目に触れる。

 その僅かな刺激だけで、女の秘部は浅ましく蠢いた。

 すぷ、と先端が埋まる。入り口を割り開く。

 そして一番太い部分を通り過ぎ、カリ首まで入ったところで、一気に根元まで突き入れた。

 

「ひ、ぁ、…ぁ…ッ…ゃ、〜〜〜ッ!?」

 

 待ち望んでいた衝撃に女の全身が戦慄く。

 目の前がちかりと明滅した。

 子宮口に叩きつけられた剛直。

 そこから伝わる痺れにも似た快感。

 達してしまうのに時間は掛からない。

 

 それと同時に、嗜虐心に駆られたレプリカの手が、エクシアの白い首に伸びる。

 呼吸を遮るよう、しかし緩く甘やかに掴まれた喉。

 突然訪れた圧迫感に、赤い瞳に涙が滲む。

 呼吸が抑えられ、苦しい。苦しいはずだ。

 しかし、それすらも気持ちよく思えてしまう。蜜壺が剛直を強く求める。混乱が天使の頭を埋め尽くす。

 

「うぅ゛っぁ゛ァ゛ッ…ッ!あ゛…ぁっっ゛ぁ゛…?」

 

 呼吸を求め喘ぐ口の端からは唾液が流れ、だらしなく開いたままの口からは意味の無い音だけが漏れている。 

 視界が霞む。意識が定まらない。

 けれど、それも束の間のこと。レプリカが首から手を離し、抽挿を開始したから。

 

「…はッ…ぁっ…? あ、る…? …ひ、ぁッ」

 

 荒い呼吸。胸元を大きく上下させる女。快に口を緩ませた男は、彼女の手を握り、指を絡める。

 それと同時に、男は怒張をぎりぎりまで引き抜く。雄が蜜壺から抜け切るか、抜け切らない程度。次の動作がわかったのか、女の頬は引き攣った。

 指を強く絡め、最奥を突き上げる。

 

「が……あぁ゛っ!はぁ…!ぁ…っあ…あっ!」

 

 女の中は悦んで絡みつく。快楽が蝕む。

 彼女の中は柔らかく蕩けていて、包み込まれるような感覚がある。

 腰を引く度に逃さないとばかりに締め付けられ、突き入れる度に歓迎するように吸い付いてくる。堪らず何度も繰り返していれば、次第にエクシアの声が大きくなっていく。

 

「は、あぁ……! んぁ、あっ、はぁ……ッ!……ふ、ぅ……!」

 

 突かれるたびに漏れ出る艶めかしい声。

 限界が近いのか、赤髪の天使は指を解き、両手を伸ばして男の首に回す。

 離れるつもりはないと言うかのように、強く男の頭を抱く。

 それを合図にして、更に激しくなるストローク。

 

 肉を打つ音が響く。水音が鳴る。嬌声が広がる。

 

「ぁ……、だめ……ぇ!……やぁ、ぁ……ッ!」

「……もう、いい、か…っ」

「う……、うん……! は、やく……出して、よぉ……!!」

 

 エクシアは脚を彼の腰へと絡め、強く引き寄せた。

 密着する身体。互いの体温が混じり合う。

 そして、一際深く穿たれた後、薄い隔たり越しに粘度のある熱が、胎の奥に広がった。

 脈打つ陰茎。それが白濁を吐き続ける間も、エクシアは足に力を入れていた。

 やがて、長い吐精が終わると同時に弛緩していく肉体。

 それでもなお、二人は繋がったまま。

 汗ばんだ肌が触れ合っている感覚。

 少しだけ息苦しくて、でも心地良くて、離れたくないと思ってしまう。

 

「…ぁ、…ぅ…ま、て…なに、する…の」

 

 そして、終わらない。

 体勢を変える。女の体をうつ伏せにして、男はその体の腕を掴み逃れられないようにする。

 男が何をするつもりなのか理解したのか、女は蕩けた顔を青ざめさせて、震えた声で、はっきりした意識で男に言う。

 

「まて…まって、これ、だめだ。寝バック、やだ。ほんとに、だめになるから、ねぇ、一回休んで、お願いだから」

 

 その言葉を無視して、男は腰を動かし始める。這うように逃げようとする女の身体を押さえつけ、獣のように後ろから攻め立てた。

 

「ぁ"……~~ッ!!……おねがぃぃぃ! もうむりっ、無理だって、イってるからっ、ずっとイくからぁぁああぁァアアッ!!!」

「…知らねぇ」

「ひっ、ぎ……っ!? ~~~っ、っっ!!!」

 

 無慈悲に突き立てられた張り型。

 押し潰された果てた後の身体。

 悲鳴すら上げられない。

 ただ身を震わせることしかできない。

 そんな彼女を気遣うことも無い。

 男は物を使うかのように腰を叩きつける。

 証左に鳴るのは、肉が肉を打つ音。

 時折水音が鳴る。結合部から溢れる愛液。

 絶頂している最中の膣内を攻め立てられ、

 女は喉から呻き声を上げることしかできない。

 

「あ゛ああぁっ… ゃ、あ゛あっ…や゛っ…」

「ああ───獣みてえな天使サマ」

 

 びくびくと痙攣する肢体。

 壊れた人形のように揺れ続ける頭。

 半開きになった口からは唾液が流れ続け、焦点の合わない瞳からは涙が流れる。

 けれど、レプリカはそれを気にすることなく責め続けた。

 

「ひぁぁ……ッ! やぁ……っ! もぉ……むりぃ……! あたまおかしくなるっ、て、これぇ……ッ!」

「なっていいぜ?……堕ちるならとことん堕としてやるよ、そんで、俺も一緒に堕ちてやる」

 

 そう言って、男は背後からエクシアを抱き締める。

 耳元に顔を寄せ、甘噛みしながら囁いた。

 

〝───愛してる、レミュエル〟

「~~~~~~~ッッ!!!」

 

 瞬間、エクシアは大きく仰け反った。

 声にならない叫びを上げ、何度も何度も全身を跳ねさせる。男の言葉に反応したかのように子宮口が収縮し、搾り取るような動きをする。それに応えるように男の陰茎が脈打ち、二度目の精を放った。

 長い絶頂が終わった後も、二人の動きは止まらない。

 エクシアはうつ伏せのまま動かない。呼吸を整えながら、男が引き抜く。べしゃり、と白が残るゴムの筒と、僅かな液体がシーツに投げ出される。

 

「……こん、なの…むり、だよ…おぼれる、って…」

 

 体を震わせながら、今なお下腹部を痙攣させる赤髪の女は呟く。その言葉を聞いていたのかいないのか、男はエクシアの手を取り、抱き寄せてキスをした。

 唇を合わせ舌を差し込み、相手の口腔内を犯していく。

 エクシアもそれに応えようと、必死になって舌を動かす。

 

「……ん、ふぅ……ぷぁ……ゃ、ぅ…ん…」

 

 まるで愛を欲しがる子供のよう。男はエクシアを強く抱きしめたまま、しばらくそうしていた。……やがて満足したのか、ゆっくりと口を離す。

 銀色の糸が伸びて、切れる。名残惜しげにそれを見つめた後、男は彼女の隣に横たわった。

 エクシアは震える腕を伸ばし、男の首に絡める。そのまま引き寄せると、自然とお互いの顔が近づく。

 鼻先が触れる距離で視線を交わし、微笑み合う。

 そうして、緩んだ口から女は苦言を呈した。

 

「…このサディスト、死ぬかと思ったんだけど」

「こうでもしなきゃ、お前は信仰ばかりだろう。敬虔な奴は皆そうだ」

「……それは否定しないけど、そういうあたしを好きになったんでしょ?」

「悪りぃかよこの野郎…女々しいって笑うか? 教えに嫉妬なんざちゃんちゃらおかしいもんな」

「まさか。あたしもアルが他の女と喋ってたら同じこと思うよ。それに、こんな風にしてくれるなら嬉しいかな」

「……そーかい」

 

 照れた様子の男を見て、エクシアは笑った。

 

「ねぇ、もう一回しない?」

「却下だ却下。ゴムがさっきのでラスト」

「じゃあもうちょっとだけこうしてたい」

「……アップルパイ一枚で」

「えー、そこ交渉する?」

 

 花も団子も取ろうとする男。

 女は呆れ混じりの苦笑い。

 時間が滔々とすぎる中で、二人の肌と肌の距離は変わらずゼロのまま。

 その中で、先に睡魔に飲まれたのは男の方だった。

 

 次第に船を漕ぎ、緩やかに瞼を閉じる。

 夜に残された女は、男の角に人差し指を滑らせて、小さく笑う。

 長い夜は、一度ここで終わった。

 

 

 


 

 

 アルテオが先に寝入り、あたしは暇になる。

 眠くないのか、と聞かれると眠い。

 身体もしっかりと疲れてる。

 けれど、その前に無防備に寝ているアルを見る。

 正確には、アルの左手首。

 

 菱形が特徴的な、黒いバングル。

 皮膚とくっついてるみたいで、取れそうに無い。

 薄く透き通った黒色の腕輪。

 中で水のような物が、ぐるぐると流れ続けてる。

 聞いてもきっと教えてもらえないだろう。

 次に見るのは、捩れた黒い角。

 天使(サンクタ)が持たないもの。

 

 角を持つ種族は多々ある。ドラコ、ヴィーヴィル、キャプリニー、エラフィア───そして悪魔(サルカズ)。

 アルテオは自身をヴィーヴィルと登録している。

 本人がそれで良いのなら、あたし達は止めない。

 

 けれど、今日で改めて思った。

 主に対して嫉妬を覚えるなんて、アルは本当に悪魔らしい。

 

 

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