グルメ狂いにトリガーハッピー 作:ウルサス第二師団
R回はサブタイを▶︎で挟んで分かりやすく
それじゃあ
アルテオと初対面の時、あたしはそう思った。
角付き、緑髪、あたしより高い背。
羽と蛍光灯付き、赤髪、低い背丈。
デコボコなんていうのは、ボスの評価だったかな。
実際、出会ってばかりの頃は喧嘩も多かった。
まぁ原因の8割はあたしなんだけど。
不思議なことに、今となってはプライベートな場で本当の名前を呼び合って、キスをする仲だ。
いわば恋人というやつである。
告白はレプリカ───アルテオの方からだった。
〝お前の全部が欲しい〟なんてストレート過ぎる言葉と一緒に、あたしのドックタグを奪った。
文字通り全部なんだ。
あたしの〝死〟でさえ欲しいんだと分かった。
あたしから〝
…ラテラーノ宗教の教えに於いて、
かつて天の御使はその大半が堕落した。
自由、知恵、反抗───堕落の理由は数多くあるけれど、最も大きな要因は〝愛〟にあった。
今なら、それが納得できる。
求められて、肌を重ねて、溶け合うように体温を分かち合うのは、あまりにも甘美だ。
本当に全てを忘れたくなってしまう。
だから主は〝溺れてはならぬ〟と戒めたのだと思う。
だから、溺れないように。落ちないように。
落とされないように。溺れさせられないように。
愛される時も、愛する時も、
あたしはそれを心がけている。
───主よ、私は求めることこそ多々あれど、ここまで強く求められたのはきっと初めてだったのです───
AM 00:50 龍門 住宅地 マンション『アマリリス』
天候:晴天 星模様:満天
二人しかいない寝室。聞こえる音は呼吸のみ。
遅れて布と布が擦れる音も加わる。
暗がりの中、サンクタ特有の光輪は克明だ。
レプリカの上に、エクシアは足を広げて座っている。
向かい合うように、顔を間近にして。
二人の服は中途半端に崩れていた。
エクシアは黒が主体の、肩や胸元が露出したクロップドタイプのルームウェアを。レプリカは白をベースにした、プルオーバーのパーカーを。
「…んっ」
鼻から抜ける声。唇を離すと同時に漏れるものだ。
どちらともつかない唾液が口元で糸を引いている。
口を拭う間に、今度はレプリカが仕掛けてきた。
先ほどまで重ねていた場所へ舌を伸ばす。
唇の端から端へと這わせていく。
首筋を通って鎖骨まで来たら、柔く食む。
「ひ、ぁッ」
「動くなよ、歯が当たる」
「無茶言わないでよ……」
抗議の声など気にせず、レプリカは吸い付くようにキスをする。体を震わせる天使をよそに、二度三度。
女は静かに荒い息を何度も吐く。
体の中で疼く熱を出すようにと行われたそれは、男の獣欲を煽る動作でしかない。
けれど、まだだ。ことに至るには早いと、二人は互いの熱を抑えようと強く抱き合う。
体と体があわさると同時、男は女に唇を押し付けた。
そのまま潤った舌を流し込む。
男は女の首を伸ばし、顎を軽くあげさせる。上から舌を落とし中身から溶かし込むように責め立てる。本来なら味を識る為の器官が、互いの唾液を貪り尽くす。
呼吸を奪って、思考を鈍らせていく。
「ンッ、く、ぁ…は、うぅ…ッぁ…」
苦しいのか、赤髪の女は身を捩る。
そのもがく様を見て、男は僅かに口端を歪めてなおも舌を絡める。
溶け落ちそうな程に熱く、柔らかな舌。
吸い付き、捻るように絡め、水音を鳴らす。
酸素が欲しいと訴えるように捩っていた身体は、次第に鈍く。それでも懸命に塞がれた口をはくはくと、そして背は呼応するように痺れたように動く。
見計らうかのように、レプリカはそこで舌を離した。
呼吸を許されたエクシアは咳を吐く。同時に、喉から音が鳴る呼吸を。長時間酸素を奪われたせいか、瞳は焦点が合わないまま潤っている。それでも、彼女の両手はいじらしく男を抱きしめたまま。
「……は、あ……ふ、はぁーっ、は、ぁ」
熱い呼吸の音。いやでも生命を感じる。それと同時に、弱りきったものに興奮するどうしようもない男。
鼓動は荒々しく、大きく。合わさった体から、うるさいくらいに主張してくる。
まるで仔を強請る猫のよう。
天使がするには背徳が過ぎる表示と仕草だ。
組み敷かれた女は、開いた瞳孔で男を見る。目の当たりにしたのは、盛った緑青の瞳。垂れ下がった同色の髪は、天蓋のように見えるだろうか。
けれど、それも一瞬のこと。
次に視界に入ったのは、自分の首元にある顔。
白い肌に咲く紅。
それが何か理解するのに時間はかからない。
独占の証。見える箇所にわざと付けられたもの。
咎める声は出せない。それ程までに、今二人の頭はのぼせている。
「……ねぇ、もういいんじゃない?」
「………ん…」
レプリカは小さく返事をして、エクシアのルームウェアの裾に手をかけた。
ゆっくりと捲り上げながら脱がせていく。露わになるのは引き締まった白い肌、形の良い臍。上を脱がせたら、今度はズボンの方へ手をかける。
「腰、浮かせろ」
「はいはい」
言われるがままにエクシアは従う。
レプリカの手が下着にかかると同時に、彼女は自分でそれを下ろした。外気に晒される下腹部。しかし羞恥心よりも先に湧き上がるものがあった。
早く、この熱を解き放ちたい。
そんな衝動に駆られるが、しかし女は歯を食いしばって自らを戒める。
けれど、それを阻むように男が女の脚の間に手を滑り込ませ、ぬかるみに触れた。
指先が沈み込む感覚。充分すぎるほど潤っている。
そのままゆっくりと中指を沈めると、温かく湿った肉壁が押し広げられていく。
「うぅ……!」
指が動く度、甘い吐息と共に天使の腰が跳ねる
指先は的確に弱所を捉えて責め立ててくる。
もっと奥まで、と欲するように膣内は収縮を繰り返す。
指の動きに合わせて溢れる愛液は、留まることを知らない。男の手の平まで濡らした。
女は必死になってシーツを掴み快楽に耐える。
「ぁ…ッ、やぁ、あっ…! ひ、ぃ…っ!?」
そこから、軽くほぐすように乱していく。
「ぁ、あ…ッ、」
蠢動する秘肉。収縮を始める内側。酒に煽られたような紅潮した顔に、高く甘い嬌声が溢れる。淫蕩な水音を立てながら、残る指で花芯を見つけ、腹を当てる。
擦れる都度、響く嬌声。震える体は、走る感覚に弄ばれるように。それを頃合いと見たのか、男は指を更に深くへと沈み込ませる。
「ぁ、ぁぁ…、ちょ、っと…これ、まっ…て」
否と返答するかのように、蜜を吐く壺を撫でた。
途端に震える身体。天使は羽を持つ背中が、反り返るほどの反応を見せる。
「っ、ぁ…は、ッぁ───っ!!」
声すら出ない。喉の奥から漏れ出るのは、押し出されたような息。ビリビリと震えるように足が蠢く。
けれど、それでも。その様を目の当たりにしても、まだ足りない。二人が燻らせた熱は一向に治らない。むしろ、昂ぶっていく一方だ。
頃合いか、と次の段階に移る。
男は自身の下衣に手をかけ、獣欲に満ちた怒張を晒す。
そのまま寝台横の小机の引き出しから、小箱を取り出す。中に入っていたのは、薄いゴムの膜。
開封を終えた彼へ、光輪を持つ女は手を伸ばす。
「……手」
「………ゴム付けてぇんだけど」
「片手でも出来るでしょ、手」
渋々と、レプリカはエクシアの手首を掴む。
手を握って欲しかったのか、女は不満そうな顔だ。男といえば、少し不機嫌そうに避妊の準備を終えていた。
もう一度、男は女に覆い被さる。
先走りに濡れそぼった怒張が割れ目に触れる。
その僅かな刺激だけで、女の秘部は浅ましく蠢いた。
すぷ、と先端が埋まる。入り口を割り開く。
そして一番太い部分を通り過ぎ、カリ首まで入ったところで、一気に根元まで突き入れた。
「ひ、ぁ、…ぁ…ッ…ゃ、〜〜〜ッ!?」
待ち望んでいた衝撃に女の全身が戦慄く。
目の前がちかりと明滅した。
子宮口に叩きつけられた剛直。
そこから伝わる痺れにも似た快感。
達してしまうのに時間は掛からない。
それと同時に、嗜虐心に駆られたレプリカの手が、エクシアの白い首に伸びる。
呼吸を遮るよう、しかし緩く甘やかに掴まれた喉。
突然訪れた圧迫感に、赤い瞳に涙が滲む。
呼吸が抑えられ、苦しい。苦しいはずだ。
しかし、それすらも気持ちよく思えてしまう。蜜壺が剛直を強く求める。混乱が天使の頭を埋め尽くす。
「うぅ゛っぁ゛ァ゛ッ…ッ!あ゛…ぁっっ゛ぁ゛…?」
呼吸を求め喘ぐ口の端からは唾液が流れ、だらしなく開いたままの口からは意味の無い音だけが漏れている。
視界が霞む。意識が定まらない。
けれど、それも束の間のこと。レプリカが首から手を離し、抽挿を開始したから。
「…はッ…ぁっ…? あ、る…? …ひ、ぁッ」
荒い呼吸。胸元を大きく上下させる女。快に口を緩ませた男は、彼女の手を握り、指を絡める。
それと同時に、男は怒張をぎりぎりまで引き抜く。雄が蜜壺から抜け切るか、抜け切らない程度。次の動作がわかったのか、女の頬は引き攣った。
指を強く絡め、最奥を突き上げる。
「が……あぁ゛っ!はぁ…!ぁ…っあ…あっ!」
女の中は悦んで絡みつく。快楽が蝕む。
彼女の中は柔らかく蕩けていて、包み込まれるような感覚がある。
腰を引く度に逃さないとばかりに締め付けられ、突き入れる度に歓迎するように吸い付いてくる。堪らず何度も繰り返していれば、次第にエクシアの声が大きくなっていく。
「は、あぁ……! んぁ、あっ、はぁ……ッ!……ふ、ぅ……!」
突かれるたびに漏れ出る艶めかしい声。
限界が近いのか、赤髪の天使は指を解き、両手を伸ばして男の首に回す。
離れるつもりはないと言うかのように、強く男の頭を抱く。
それを合図にして、更に激しくなるストローク。
肉を打つ音が響く。水音が鳴る。嬌声が広がる。
「ぁ……、だめ……ぇ!……やぁ、ぁ……ッ!」
「……もう、いい、か…っ」
「う……、うん……! は、やく……出して、よぉ……!!」
エクシアは脚を彼の腰へと絡め、強く引き寄せた。
密着する身体。互いの体温が混じり合う。
そして、一際深く穿たれた後、薄い隔たり越しに粘度のある熱が、胎の奥に広がった。
脈打つ陰茎。それが白濁を吐き続ける間も、エクシアは足に力を入れていた。
やがて、長い吐精が終わると同時に弛緩していく肉体。
それでもなお、二人は繋がったまま。
汗ばんだ肌が触れ合っている感覚。
少しだけ息苦しくて、でも心地良くて、離れたくないと思ってしまう。
「…ぁ、…ぅ…ま、て…なに、する…の」
そして、終わらない。
体勢を変える。女の体をうつ伏せにして、男はその体の腕を掴み逃れられないようにする。
男が何をするつもりなのか理解したのか、女は蕩けた顔を青ざめさせて、震えた声で、はっきりした意識で男に言う。
「まて…まって、これ、だめだ。寝バック、やだ。ほんとに、だめになるから、ねぇ、一回休んで、お願いだから」
その言葉を無視して、男は腰を動かし始める。這うように逃げようとする女の身体を押さえつけ、獣のように後ろから攻め立てた。
「ぁ"……~~ッ!!……おねがぃぃぃ! もうむりっ、無理だって、イってるからっ、ずっとイくからぁぁああぁァアアッ!!!」
「…知らねぇ」
「ひっ、ぎ……っ!? ~~~っ、っっ!!!」
無慈悲に突き立てられた張り型。
押し潰された果てた後の身体。
悲鳴すら上げられない。
ただ身を震わせることしかできない。
そんな彼女を気遣うことも無い。
男は物を使うかのように腰を叩きつける。
証左に鳴るのは、肉が肉を打つ音。
時折水音が鳴る。結合部から溢れる愛液。
絶頂している最中の膣内を攻め立てられ、
女は喉から呻き声を上げることしかできない。
「あ゛ああぁっ… ゃ、あ゛あっ…や゛っ…」
「ああ───獣みてえな天使サマ」
びくびくと痙攣する肢体。
壊れた人形のように揺れ続ける頭。
半開きになった口からは唾液が流れ続け、焦点の合わない瞳からは涙が流れる。
けれど、レプリカはそれを気にすることなく責め続けた。
「ひぁぁ……ッ! やぁ……っ! もぉ……むりぃ……! あたまおかしくなるっ、て、これぇ……ッ!」
「なっていいぜ?……堕ちるならとことん堕としてやるよ、そんで、俺も一緒に堕ちてやる」
そう言って、男は背後からエクシアを抱き締める。
耳元に顔を寄せ、甘噛みしながら囁いた。
〝───愛してる、レミュエル〟
「~~~~~~~ッッ!!!」
瞬間、エクシアは大きく仰け反った。
声にならない叫びを上げ、何度も何度も全身を跳ねさせる。男の言葉に反応したかのように子宮口が収縮し、搾り取るような動きをする。それに応えるように男の陰茎が脈打ち、二度目の精を放った。
長い絶頂が終わった後も、二人の動きは止まらない。
エクシアはうつ伏せのまま動かない。呼吸を整えながら、男が引き抜く。べしゃり、と白が残るゴムの筒と、僅かな液体がシーツに投げ出される。
「……こん、なの…むり、だよ…おぼれる、って…」
体を震わせながら、今なお下腹部を痙攣させる赤髪の女は呟く。その言葉を聞いていたのかいないのか、男はエクシアの手を取り、抱き寄せてキスをした。
唇を合わせ舌を差し込み、相手の口腔内を犯していく。
エクシアもそれに応えようと、必死になって舌を動かす。
「……ん、ふぅ……ぷぁ……ゃ、ぅ…ん…」
まるで愛を欲しがる子供のよう。男はエクシアを強く抱きしめたまま、しばらくそうしていた。……やがて満足したのか、ゆっくりと口を離す。
銀色の糸が伸びて、切れる。名残惜しげにそれを見つめた後、男は彼女の隣に横たわった。
エクシアは震える腕を伸ばし、男の首に絡める。そのまま引き寄せると、自然とお互いの顔が近づく。
鼻先が触れる距離で視線を交わし、微笑み合う。
そうして、緩んだ口から女は苦言を呈した。
「…このサディスト、死ぬかと思ったんだけど」
「こうでもしなきゃ、お前は信仰ばかりだろう。敬虔な奴は皆そうだ」
「……それは否定しないけど、そういうあたしを好きになったんでしょ?」
「悪りぃかよこの野郎…女々しいって笑うか? 教えに嫉妬なんざちゃんちゃらおかしいもんな」
「まさか。あたしもアルが他の女と喋ってたら同じこと思うよ。それに、こんな風にしてくれるなら嬉しいかな」
「……そーかい」
照れた様子の男を見て、エクシアは笑った。
「ねぇ、もう一回しない?」
「却下だ却下。ゴムがさっきのでラスト」
「じゃあもうちょっとだけこうしてたい」
「……アップルパイ一枚で」
「えー、そこ交渉する?」
花も団子も取ろうとする男。
女は呆れ混じりの苦笑い。
時間が滔々とすぎる中で、二人の肌と肌の距離は変わらずゼロのまま。
その中で、先に睡魔に飲まれたのは男の方だった。
次第に船を漕ぎ、緩やかに瞼を閉じる。
夜に残された女は、男の角に人差し指を滑らせて、小さく笑う。
長い夜は、一度ここで終わった。
アルテオが先に寝入り、あたしは暇になる。
眠くないのか、と聞かれると眠い。
身体もしっかりと疲れてる。
けれど、その前に無防備に寝ているアルを見る。
正確には、アルの左手首。
菱形が特徴的な、黒いバングル。
皮膚とくっついてるみたいで、取れそうに無い。
薄く透き通った黒色の腕輪。
中で水のような物が、ぐるぐると流れ続けてる。
聞いてもきっと教えてもらえないだろう。
次に見るのは、捩れた黒い角。
角を持つ種族は多々ある。ドラコ、ヴィーヴィル、キャプリニー、エラフィア───そして
アルテオは自身をヴィーヴィルと登録している。
本人がそれで良いのなら、あたし達は止めない。
けれど、今日で改めて思った。
主に対して嫉妬を覚えるなんて、アルは本当に悪魔らしい。