魔宝戦姫はふたなりチンポにガチ恋する 作:人の心を捨てないと書けない
プロローグ
「怪人だぁぁぁー!」
ビルが立ち並ぶ何気ない街中。その風景にはとてもではないが溶け込めない者が現れた。通常の人間よりも数倍の巨体を持ち、その見た目にそぐわない力を持つ、角を生やした生物。木製の棍棒を持ち、街を荒らしていく。
拳銃などでは太刀打ちできず、人智を超えた力を持つその者達を、人は怪人と呼んだ。
怪人に対抗手段を持たない人類は破滅を待つのみ…
「きゃっ…! …ひっ……やぁっ…!?」
逃げ遅れた女性の前に怪人が歩を進める。女性は圧倒的な力を持つ存在に対して、あまりにも無力。腰が抜け、もはや逃げる力は無い。ただその心には恐怖だけが渦巻く。
怪人は棍棒を振り上げ、その女性へと振り下ろすべく、大きく振りかぶる。
…ドシンっ……と大きな音が響く。
……しかしそれは、怪人が棍棒を振り下ろした為では無い。女性は目を瞑っていたが、いつまで経っても訪れない死に疑問を抱き、目を開く。
すると、怪人がのけぞり、倒れ込む光景が目に入る。
その時の怪人の額には、一本の矢が刺さっていた。
「君たちの好きにはさせない。世界の希望を映す光!クリスタルイーグル!」
「母なる大地を包む青、サファイアタイガー!」
二人の少女が、女性の前に立つ。
一人は『白』を基調とした衣装を纏っており、自身よりも大きな刀を持っている。
もう一人は弓を手に持ち、腰に剣を携えている。こちらは『青』をイメージさせられる衣装だ。
彼女は、幼い頃に見た女児向けの変身ヒロインを目の前の少女達に投影した。
「行くよ、サファイア!」
「はい、先輩」
クリスタルは武器を持ち、駆け出した。
怪人はとっくに立ち上がり、その怪力を持って少女を押し潰そうとした。しかし、クリスタルはその手に持った大太刀でそれを難なく受け止めた。
武器を介した力比べが始まる。お互い、力を込めて相手を押し返そうとする。腕力にそこまでの差は無いようで、拮抗状態が続く。
「必中…ウィンドショット!」
その沈黙を破ったのはもう一人の少女、サファイアだ。怪人は忘れていた。相手は二人いるのだと言うことを。風の如き矢が放たれる。それは寸分の狂いもなく、怪人の瞳に飛び込んだ。
「よくやった、……ぜやぁぁ!」
その矢に怪人は怯み、力が緩んだ。その隙を逃すことなく、クリスタルは大太刀にて、一閃。
怪人は倒れ込み、光に包まれて消滅した。
「…よし、良い援護だった。ありがとう」
「いえ、先輩の力あってこそです」
二人は軽く会話をし、すぐさまどこかへ跳び去っていった。
【魔宝戦姫トゥインクルエンジェル】
『『『『『『ジュエル・アルター、セット!』』』』』』
『世界の希望を映す光!クリスタルイーグル!』
『母なる大地を包む青、サファイアタイガー!』
『へ、平和を導く安らぎの緑!エメラルドドラゴン!』
『正義を貫く不変の黒!スピネルウルフっす!』
『はぁ…叡智を刻む神秘の紫…アメジストスネーク』
『笑顔を咲かせる愛情のピンク!ルビーラビット♡』
1.〇〇県の周辺に現れる6人組の少女達。怪人が現れた場合に突如として現れて退治していく。
2.彼女たちの詳細は一切不明。我々と同じ人間なのか、それとも別の何かなのか。その力が、いつか人々に向けられるのではないかとの危惧を訴える人も少なくない。
3.超常的な力を探るべく、政府等の公的機関も動いている。しかし、神出鬼没かつ危険な怪人のいる場に現れるため、調査は難航している。
4.しかしその功績や可憐な容姿により、若者を中心としてファンが拡大中…
「…可憐な容姿だなんて、照れるっす〜!」
「こ、この名乗り口上…広まってるじゃない…!」
「ふふ、6人で名乗ったことは無いというのに…随分と手が早いものだね」
「…うるさい。騒ぐなら出てって」
ここは、希望ヶ丘高等学校。三年制の普通の高校である。
その、離れの校舎のとある一室。
程々の大きさのテーブル一つで埋め尽くされた小部屋。椅子を引いたまま座れば後ろは通れない程の狭い小部屋だ。
そこに、四人の少女がそれぞれ椅子に腰掛けている。
「せんぱぁい? そんなにピリピリしてどうしたんですかぁ?」
扉が開き、また一人の少女が入室する。ピンクの髪を高い位置でツインテールに結び、低身長も相まって幼さを感じる。
「あんたねぇ…はぁ。もういいわ。過ぎたことだし。…で、真央は?」
「せんぱいなら、せんせーのお手伝いしてましたよぉ?」
語尾を伸ばしながら、甘ったるく話すこの少女の名は
希望ヶ丘高等学校の一年生かつ、魔宝戦姫の一員である。
「じゃ、自分は手伝ってくるっす〜!」
黒い髪をショートボブに切り揃えた少女が扉の外へと駆け出していく。
「…美羽ちゃん、場所知ってるんですかぁ?」
鉄砲玉のような彼女の名前は
「…あの子が騒がしいのはいつものことでしょ。はぁ…」
読んでいた本を閉じて、落ちてきたメガネを上げながら気だるげにそう言った彼女は、
魔宝戦姫、アメジストヴァイパーとして怪人と戦っている。
「元気なのは良いことじゃないか。……ほら、二人とも来た」
白い髪を高い位置で後ろ手に結んだ、大人びた姿勢を見せる彼女の名は
「到着っすー! いや〜先輩もまだまだっすねー!」
「い、いや…校舎内では走らない方が良いと思うよ…」
美羽が勢いよく扉を開け放つ。それに少し遅れて、最後の一人が到着する。
「いやいやぁ〜、こんな離れなんて誰もいないんですから良いじゃないっすか」
「ま、まぁそうだけど…ほら、ルールはルールだからさ」
物腰柔らかに接する最後の一人。彼女…ではなく彼は
彼は生物学的にはれっきとした男性なのだが…その中性的な見た目から、制服を着用していなければ女性とも見られかねない。
そして成り行きで魔宝戦
「遅いわよ! …まぁ、人助けしてたみたいだけど」
「う、うん。ごめんね。涼葉」
真央の到着について不満を漏らしながらも、本心で言っていないことが言葉の節々から感じられる。この素直になれない少女も、もちろん魔宝戦姫。
エメラルドドラゴン、
真央とは子供の頃から一緒にいる幼馴染である。どちらも二年生。
「さて、全員揃ったことだし。始めようか」
「別にぃ、なにもしないじゃないですかぁ。ねぇ? 部長」
「…本を持ってきなさいよ」
この部屋は彼女達が読書部の部室として借り受けている。本来、読書部は陽菜の一人だけだった。その名残として、最年長である蒼依を差し置いて読書部の部長となっている。
ただ、読書部といえどまともに活動しているのは陽菜だけである。他は喋ったり、携帯を弄るなど各々の好きなことをしている。
「ほらほらぁ、見てくださいよぉ。これ」
「なに? ……って、本当に何なのよこれ! 誰よこんなローアングルで撮った奴は!」
詩織が涼葉に見せたのは、『激写!魔宝戦姫の〇〇〇』というネット記事だ。そこには紛れもない変身中の自分達の写真。
もちろんタイトル通りの過激な写真などはない。ただ、一部際どい物が混じってはいるが。
「あはは…しょうがないよ涼葉。僕だって…ほら…」
真央が見せた携帯の画面には、サファイアタイガーについての掲示板だ。
「ふむ、随分と人気のようだね」
「ていうかぁ、セクハラレベルですよねぇー。まぁ、猫宮せんぱい可愛いですしぃ?」
内容については、とてもではないが目も当てられない。
「僕…男って公表しよっかなぁ…」
「…それ、意味ないと思う」
普段は会話に加わらない陽菜が珍しく会話に入った。
「男の娘ってコンテンツがあるから…」
「陽菜先輩ー!声ちっさくて聞こえないっす!」
「…聞かなくていい」
「…ふふ、相変わらず賑やか……む…皆んな!」
「…はぁ。また…か」
彼女たちのポケットから淡い光が漏れ出す。そのポケットの中にある物は、それぞれの魔宝戦姫の名前に由来する宝石だ。
皆立ち上がり、各々にそれを取り出して外へ出る。
彼女たちの宝石が光った時、それが怪人が現れた合図である。
「行こう、皆んな」
「ジュエルアルター、セット!」
彼女たちの体が光に包まれ、ただの学生から魔宝戦姫へと変わる。
今日も、彼女達の戦いが始まる。
いくつかストックを作るかもしれないので、当分先の投稿になるかもしれません。