魔宝戦姫はふたなりチンポにガチ恋する 作:人の心を捨てないと書けない
「……ふっ!」
引き絞った弓から一筋の矢が放たれて、怪人の胸を貫いた。しかし、その矢はなんと突き刺さるどころか、胸に大きな風穴を空けた。
怪人は後ろは倒れて、消滅した。
「……す、凄い威力じゃないか」
近くで追撃を意図していたクリスタルは、サファイアが放った矢の威力に驚きながら武器を下ろす。
本来の作戦では、サファイアが放った矢に怯んだ隙をクリスタルが突く…という、二人でペアを組んだ時のいつも通りの作戦であった。
ところが、いつもの数倍近い威力の矢を急に放ち、一人で撃破してしまった。もちろんクリスタルもこの程度の敵ならば単独で撃破できるが…そう言う話ではない。
「そんな力があったのかい? 言ってくれれば良かったじゃないか」
微笑みながら、サファイアを見つめながら手を握ってそう言う。
「へ……? あ、そうです…ね?」
サファイア自身も不思議そうにしている所を見ると、彼にとっても予想外の力だったのだろう。
「ふむ、それじゃあ帰ろうか」
クリスタルは特に気に留めた様子もなく、サファイアと共にその場を立ち去っていった。仲間の実力が上がったという事実にはそこまで頓着する必要は無いと思ったのだろう。
(今のは一体……? …っ、なっ…何っ…これっ…!)
「せ、先輩。今日はこのまま帰ります」
「…うん? 別に構わないけど…どうかしたのかい?」
突如、もじもじした様子でそう告げるサファイア。少し不審に思いながらも、特に止める理由もないため別れる二人。
サファイアはみるみるスピードを上げて、人気のない場所で変身を解く。そして自宅に向かって駆け出す。
「おかえりー……って、なに?」
ドアに付いた鈴が鳴る。彼の妹である聖が気づいて声をかけるが、駆け足で二階にある自室へと向かっていく。普段であれば返事を返すのだが、無視…というより、気に留める余裕もないような兄の雰囲気に聖は疑問を抱くも、それについて何かを聞くほど興味はなかった。
「…くっ…、はぁっ…なんなの…!」
部屋に入った真央はすぐにズボンを脱いで、下半身を露出させた。
真央の下半身に付いているペニスは、既に勃起していた。戦闘が終わった直後から、勃ちっぱなしであった。やけに性欲が昂って、耐えられない状況だ。
「……ふっ…うう…ん」
勃起したペニスを手でしごく。それだけなのに、やけに射精感が湧き上がる。いつもよりも圧倒的に早い。だんだん速度を上げていき、そして……
「あら、お邪魔だっかしら」
「…は? ……なっ!?」
いつの間にか、開いた窓に腰掛ける魔女、ドロシー。自慰行為を見られた事による羞恥に顔を染め、以前辱められた恨みを胸に、バッグから宝石を取り出そうと手を伸ばす。
「あら、そんなに怖い顔しなくても良いじゃない」
しかし間に合わず、またもや腕をベッドに縛り付けられる。変身前の彼には何の力もないため、抵抗は出来ない。
「あは♡ 怯えてるのぉ?」
「うっ…な、何のようだっ…!」
裸で縛られて、見下ろされるこの状況。以前と同じ状況にトラウマが再燃するも、なんとか気丈に振る舞おうとする。しかし、ドロシーはそれを見透かすように真央を見つめる。
「大変そうね。大丈夫かしら」
真央のバッグを奪い、自身の手元に置いて拘束を解いた。宝石が奪われてしまえば、変身することもできない。
「くっ…ドロシー! これは、なんなのっ…!」
シャツを捲る真央。そこには、可愛らしいハートマーク。しかし、以前と比べると…大きく、模様が足されている。そして、今もなお淡い光を放っている。
「ん? あぁ、それね。それは淫紋。そうね…あなたを女の子にする秘密の魔術よ」
詳しく話すと長くなるんだけど…と漏らしてから話し始めた。内容を掻い摘むと…その淫紋が完成した場合、魔王の眷属となる。
そして人で無くなる。
真央は耳を疑った。自分が人を失う危険性を孕んでいるということを。
「そん…な、どうすればっ…」
「良いじゃない。あなたはもうレヴィちゃ…魔王様のものなんだから。そっちの方が楽じゃない?」
そうなるべき。なって当たり前、と言うように語るドロシー。そんな彼女の見下すような態度が、真央の神経をより一層逆撫でする。
「もう、そんな睨まないの。…はぁ、しょうがないから教えてあげる。それを完成させないためには……」
「せーんーぱい。 あれぇ…せんぱい?」
各々が部活、自宅へ向かう時間帯。まだ人で賑わう教室に、一人で机にうずくまる真央。
ちょうど目の前の教室を通りかかった読書部の一年生メンバーがついでに呼びに来たのだ。しかし、真央はその呼びかけには応えない。激しく貧乏ゆすりをしているので、寝ているわけではないようだが…
「詩織ちゃん、自分に任せるっす!せんぱぁぁい!」
「うひゃぁっ!? …い、犬丸さん…」
耳元にて大声で呼びかける美羽。真央もさすがに、その音量から飛び起きた。その突然の大声に驚いて、周りの生徒の視線も集まっている。
「早く行きましょうよ! ほら!」
「……!? っ…」
真央の手を持って、部室へ引こうとする。
そんな美羽の手を、無理矢理振り払った。
「痛っ……先輩?」
「あ…ご、ごめん。そんなつもりじゃ…。…その、先に行ってて」
目を逸らしながら、自分の取った行動に罪悪感を覚えているような素振りを見せる。二人はそんな真央を不思議に思うも、すぐに部室へと向かっていった。
「……ふーっ…ふーっ…! 駄目…だってっ…」
前屈みで、よろよろとトイレに向かう。そして、周りには聞こえないほどの大きさの声で、そう呟いた。
そんな真央の手は、自身の股に添えられている。昨日の夕方から今現在まで、彼の男性器は勃起状態を維持していた。常人であれば不可能なそれを可能にするのが、彼に刻まれた淫紋だ。
自慰をして収めればいいのだが、それができない理由があった。
『サファイアちゃんが射精するたびに成長していくわ。我慢できるならしても良いけど…』
ドロシーから聞かされた、淫紋の成長の条件。ならば逆の事をすれば良いのだと真央は判断した。つまりオナ禁をすれば良い。
しかし、そんな単純ではない。ドロシーはあちらの世界では一の魔法使い。対抗策を残すほど甘い女ではない。
それが、今現在真央に起きている異常な性欲と勃起だ。淫紋には意思がある。ただの模様ではあるが、半分は生物としての性質を持っている。
精のエネルギーを糧として生きている淫紋は、もちろん長いことオナ禁をされれば死んでしまい、消滅する。
だから、自身の死から逃れるため、宿主へ強制的に自慰行為を行わせるべく発情させる。
「うっ……うぅっ…! やめろっ…僕っ…!」
淫紋が消滅するまでに必要な期間は、およそ一週間。たったの一週間。普通であれば我慢できる範囲だ。しかし、これは普通ではない。一日…いや、半日でも相当な負担を強いられることになる。
夜を越して、次の昼も越えた現在は…
「今日の練習って何だっけ」
「知らん。あー、だりぃ」
「っ……!」
自身のペニスへと手を伸ばしかけたが、トイレへ入ってきた男子生徒二人のおかげで我に返ることができ、止めることができた。
「ふっ…ふうっ…、くそっ…!」
今日は、もう家に帰ろう。そう考えて旧校舎では無く校門へと足を運んでいく。出来るだけ人に会わないようなルートを選んで進む。
(耐えろっ…どうにか耐えるんだ…!)
先の見えない戦い。それでも、真央は抵抗をやめない。
…そうしていないと、自分が保てない気がしたから。
「よっ、こんなとこで何してんだ?」
もう少しで校舎外…というところで。聞いたことのない声が、後ろから真央へと投げかけられる。最初は無視しようかと考えていたが、出来るだけ平静を装う為に振り向いた。
「体調悪そうだなー。大丈夫か?」
真っ赤な髪を垂らした、高身長の女子生徒。身長は高めで、低身長の真央を容易に見下ろすことができる。クリスタルこと、蒼依と同程度だ。
「な…なんでもないですっ…」
今、女子生徒と不用意に関わるのは良くないと考えたため、話を早々に切り上げて自宅へと向かう。
態度としては良くないかもしれないが、そんなことを気にする余裕はない。
「へー、あいつが…ねぇ」
だからこそ、去っていく真央の背中を見つめる女子生徒には気づかなかった。それも、捕食者のような鋭い視線で。