彼の名前は健斗、オタクだ。今日も日課のネットサーフィンに勤しんでいる。
「ん? なんだぁこれ? バケモノ? 世界中で? …マジで?」
彼が見た記事にはアメリカの都市で人々が怪物に襲われているもの。記事にはこういった事件が世界中で頻発しているそうだ。
「そんなわけないだろ!こんな記事でまかせに決まってる。こんなふざけた記事作りやがって!!編集社は正気か!!?」
とは言いつつ合成にしては精巧にできているその報道に興味を持つ。調べてみると、この事件を取り上げているのは一社だけでなくSNSでも各地で被害の声が広がる。
「…ま、まじか…? こ、そうしちゃいられない!! 早く準備しなくちゃ!!」
SNSではバケモノは神出鬼没。どこに現れるかわからない。実際、健斗が在住している秋葉原でも被害が出ている。近所のコンビニやスーパー、ホームセンターで保存食や携帯トイレなんかを買い漁り自宅の地下室に全て放り込む。この地下室は戦後の名残りで空襲に備えられて作られた防空壕が整備され緊急時の避難場所となっていた。
「…でも、…娯楽無しでは暇で死んでしまう。…そうだ!!」
地下室は鉄筋コンクリートで固められており外部の電波は繋がらない。現代人からネットという娯楽を取り上げては生きて行けない。そこで、家中にあった漫画やラノベを全て押し込めた。
「よし!!こんだけあれば食料が尽きるまで娯楽の心配はないだろう。こんな不気味な事件…落ち着くまでここで引きこもってやる。」
地下室の中に入り扉を厳重に閉める。中はそこそこ広く整備もされていることから住み心地もそこそこ良い。
「よーし!!引き篭もり生活開始! まずはそうだな… SAOあたりからいってみようか。」
ライトノベル『ソードアート・オンライン』の一巻を手に取り読み始める。このようにして健斗の地下室引き篭もり生活が始まった。大量のラノベや漫画を読み漁り、腹が減ったら保存食を食べる。そんな生活を三ヶ月ほど過ごす。
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「…流石に飽きてきたな。保存食も無くなってきた… くそっ!! わかったよ! 出ればいいんだろ!もう三ヶ月も経過してんだ。バケモノなんて残っていねぇよ!!!」
引き篭もりがようやく重い腰を上げた健斗。
ブゥウウゥウゥン!!!
「な!!なんだ!? うわぁぁぁ!!」
信用していた地下室の鉄筋コンクリートをすり抜けて赤紫の光が健斗を飲み込んでいく。
「ひっ…ひぃ!!なんなんだよ!今の? ひ、光?こんな地下に? や、やばい!早くここを出ないと!!」
地下室の鍵を開けて外へ飛び出す。安全な部屋で起こった原因不明の出来事に混乱している。
「…あっ…ぁ…な…なんだ? これ? どこ…だ?」
活気のあった秋葉原は廃墟と化していた。建物の多くは崩れ、瓦礫が散乱している。
「…何があれば、こんなことになるんだよ… だ、誰か!い、生き残りは!」
辺りを見渡す。人はちらほらいる。だが、様子がおかしい。ディスプレイの映像を見つめてボーっと立ち尽くしている。よくみると、ちらほら人に見えないようなモノもいる。体がバケモノみたいに変化していたり、変なネバネバを身体中から垂らしている。
「なんなんだよ…一体。」
ザザァッ
テレビなんかで電波が悪い時のノイズ音が聞こえてきた。
「ちゃ〜んと♡ 役に立ってね♡!
「…声? 女の?」
人のようなモノたちが見つめているディスプレイには赤髪のツインテール、ゴスロリ衣装の少女が写っていた。人をバカにするような舐めた態度の彼女はオタクがいうところのメスガキに見える。
「最初の命令よぉ♡ 私の洗脳にかかっていないゴミを見つけ出してねぇ♡ 見つけたらぁ〜、改めて洗脳するのもめんどくさいしぃ〜 コロしていいよ♡」
「………ァい、アヴィズ様。おぉぜ…のマまに………」
「なっ!!」
咄嗟に物陰に隠れる。彼らは少女の命令を聞くと辺りを徘徊しだす。牙と角が生えた獣のようなヤツは高い機動力で瓦礫を飛び越えていく。粘液に覆われたヤツはネバネバで地面に吸い付き這い進んでいく。ヤツがいた後には煙が立っており地面がデロデロに溶けていた。
(こんな奴らに見つかったら… 殺される! 逃げなきゃっ 安全な場所へ!!)
引き篭もっていた地下室へと駆け出していく。今の健斗にはあの地下室しか安全に思える場所がなかった。無事戻れたとして食料も残り少ない状況では長期間立て篭もることはできないが混乱して冷静な判断はできない。
「はぁ! はぁ! はぁ! は、早く!!地下室!」
来た道を走って戻り、自宅の地下室へ直行する。無事、家の前まで到着し地下室に逃げ込めると少し安堵する。
ヒュゥ〜 ドガァァァン!! グシャァァ!!
家に入ろうとすると大質量の物体が勢いよく家に飛んできた。その物体に押し潰され家が倒壊する。健斗は風圧で家の前の道まで吹っ飛ばされる。
「グォオォォ〜〜〜!!ミズケダゾォォォォ!!」
「ぐおっ! いってぇ! …あっ!!あいつは! さっきの! バケモノ!!」
「アヴィズ様…命令…コ、コロズゥゥ!!」
「ふざけんなァ! に、逃げ!!」
2Mはある人狼のようなバケモノは凄まじい動きで追いかけてくる。当然逃げるが逃げ切れるわけがない。すぐさま捕まってしまった。片手で健斗を地面に押さえ付ける。
「シ、シネ!!」
「い、嫌だ。タスケテ!! だ、誰かァ!」
絶体絶命の瞬間、健斗の右手が白く光り出した。否、正確には右手にカードが出現しそれが光っている。もちろん健斗はそんなもの持っていなかった。いきなり現れた。多くのことが起こりすぎて健斗自体気が付いていないが、健斗も赤紫色の光を浴びている。よって、健斗にも何かしらの変化があるはず。最も、健斗は光が原因でそうなっていることに気がついていないのだが。
「はあぁ!!」
「グッ! ギャァァ!!」
光の中からある人物が出てきた。その人物は細剣でバケモノの腕を刎ね飛ばした。ゴロっと腕が地面に転がり切断面から血が溢れた。バケモノは痛みでのたうち回っていた。
「もう大丈夫よ。私が来たから。守ってみせる。」
「え?え、えぇ!!? ア、アスナ!? SAOの?」
白赤の服。水色の細剣。栗色のロングヘア。容姿までが、作品で登場していたままの姿。
「これがあなたの能力。あなたが知る作品の登場人物を召喚できる。
「俺の…能力?」
「グギャゥゥぅ……」
「詳しい話は後にしましょう。命令して、健斗くん。あなたの指示が私たちの力になるの。」
「め、命令…」
話の全容は全然わからないがとりあえずコイツを倒さなくちゃいけない。
「…わかった。…アスナ、アイツを…倒してくれ!!」
「うんっ!!任せて!!」
健斗が指示を出した瞬間,先ほどカードから溢れていた白い光がアスナを包む。アスナ剣を振るい,閃光のような一撃で人狼を両断する。2Mの巨体は上下に分かれて崩れ落ちる。
「…イ、イタイ…ナンデ…」
「…ごめんなさい。せめて、安らかに…」
ザシュッッ!!
頭に鋒が突き刺さる。人狼が生き絶えた。目の前でこんな大きな生き物の死を初めて見る。健斗は腰が抜けて地面にへたり込んでいる。
「大丈夫!?健斗くん!!」
「あ、あぁ。おかげさまで…」
「とりあえず、ここを離れましょう。騒ぎを聞きつけて敵が集まってきたら大変!!」
「あぁ!!動きは遅かったけど、さっき向こうでバケモノを一体見たんだ。ネバネバの粘液みたいなのが出てきて辺りのコンクリが溶けているのを見た!」
「溶解性の粘液…剣との相性はかなり悪い…やはり、一旦隠れましょう。」
アスナは健斗の手を取りそのままそのバケモノとは逆方向に逃げる。しばらく走って距離を取った後、破損の少ない家に入る。不法侵入だが今はそんなこと言ってられない。
「とりあえずここまで来れば安全だと思うよ。」
「あぁ、助けてくれてありがとう。」
「ふふ♪ どういたしまして。」
アスナはテキパキと家事を始める。水道、電気、ガスが通っているのが唯一の救いで生活するには問題無い。湯を沸かしてコーヒーを運んでくれた。
「これ飲んで落ち着いたら今後の話をしましょう。」
「…あぁ、ありがとう。」
もし出してほしいキャラがいたらメッセージにお書きください。参考にします。